【OGC 2013】森川社長が語る、LINE1億人ユーザー突破への道のり

2013-03-15 21:50 投稿

売り切れちゃうその前に!

今回も人気アプリの限定アイテム盛りだくさん!
『ファミ通App iPhone&Android NO.006』絶賛予約受付中!
★Amazonでの購入はこちら!


 

●“OGC 2013”基調講演、LINEユーザー1億人突破 NHN Japanの事業戦略

一般社団法人ブロードバンド推進協議会(BBA)は、ブロードバンドコンテンツの総合カンファレンス“OGC 2013”を東京・ベルサール神田にて開催した。今回で9回めとなるOGC。本年度は“What’s Open-Platform, Game and Contents?”をテーマに、プラットフォームとゲーム・コンテンツのエコシステムに焦点を当て、今後のゲーム・コンテンツビジネスを明らかにすべく実施された。

全カンファレンスに先立って行なわれる基調講演を担当したのは、NHN Japan 代表取締役社長 森川亮氏。NHN Japanは2013年4月1日より、LINE株式会社と、Hangame株式会社に分割されるため、「いまはかなりバタバタしています。恐らくNHN Japanとしては最後の講演になるかと思います」(森川氏)と、講演の口火を切った。
[関連記事]
※世界がハマったLINE GAME 配信から約半年で累計ダウンロード数が世界1億件を突破

▲NHN Japan 代表取締役社長の森川亮氏。基調講演を担当するのは今回が2度目。

 

●LINEの成り立ち ~東日本大震災後すぐに開発に着手~

LINEの成り立ちについて森川氏は、「NHNは“Next Human Network”の略です。会社の設立以降、コミュニケーションをどう価値あるものにするか、ずっと考えてきました。韓国でブロードバンドが普及したときのキラーコンテンツはコミュニケーションでした。ただ、単にコミュニケーションをするだけだと寂しいので、そのキッカケを作るためにゲームが出てきました。オンラインゲームコミュニティーサイトの“ハンゲーム”は韓国語で“ちょっとゲームをやらない?”くらいの意味です。ソーシャルゲームの走りというか、コミュニケーションのキッカケとしてのゲームを追求してきたサービスなんです」とコメントした。

続けて、「Naverという検索サイトも、“人と人とが教えあう検索”がコンセプトです。韓国では当初、ネット上に情報が少なかった。少ないということは、情報を生み出す仕組みを作らなければならないということです。答える人のインセンティブなど、価値を作り上げてデータベース化し検索に結びつける。それを世界で初めて確立したんです。そういう意味では、世界市場でも唯一といっていいイノベーションをしてきた会社です」と説明。その流れで新しい産業を作ろうと展開してきたなか、スマートフォンでどうすべきかを4~5年悩んで生まれたものがLINEだという。

LINEができるきっかけは東日本大震災にあった。2011年3月11日に地震は発生し、3日後に一時会社を閉鎖。森川氏を含め幹部は福岡に移動し社員の安否を確認したが、その際に使用したコミュニケーションツールに“既読機能”がなく、相手から返事があるまで待つ必要があり、とても不安を感じていたという。そこで、「僕らはスマートフォン時代の新しいコミュニケーションツールが作れるのではない か?」と東京に戻り、急遽開発を始めたのがLINEだった。

2011年6月にサービスが開始されたLINE。メディアなどから「いつからいけると思った?」とよく聞かれるという森川氏だが、当初プロモーション展開などはとくにせず、社員や家族に使ってもらいながら、友だちを集める社内コンテストを開催していたという。通常、こうしたイベントは紹介した人に「怪しい」といぶかしがられるのがつねだが、LINEに関しては「本当に便利」、「楽しい」と極めて好評。そのとき森川氏は、「これはいけるだろうと」と手応えを感じたという。以降はユーザー数も1日10000ペースで順調に推移し、今年1月にはついに1億人ユーザーを超えた。先週からTVCMが投入されているスペイン語圏では日本以上の伸びを見せており、メキシコなど南米でも受け入れられつつあるというから、その普及ぶりには驚かされる。

利用者1000万人突破に6ヵ月、1億人ユーザー達成まで19ヵ月(Twitterが49ヵ月、Facebookが54ヵ月でそれぞれ達成)と、スマートフォンの普及を追い風に急成長しているLINE。当初は若い女性が多かった利用者属性も、近年は老若男女幅広い層に普及。「スマートフォン利用者の90%以上が利用しているのではないでしょうか。利用シーンもさまざまで、最近は家族が多く、お子様、孫とおじいちゃんおばあちゃん、幅広い年齢をつなぐ役割を果たしているようです。楽天など最近は企業インフラとしても徐々に使われはじめているんですよ」という。

▲全世界で1億ユーザーを突破したLINE。国内でも老若男女幅広い層が利用しているという。

 

●LINEの成功要因 ~スマートフォンに特化。ゼロからのスタート~

LINEの成功要因について森川氏は、「正直わからないところもある」と前置きしつつ、「僕らが狙ったのは、まずスマートフォンに特化したこと。企業は何か成功すると、それをコアにして新事業を展開しようとします。“わが社の強み”や“差別化を図る”という判断ですね。ただ、大きな階段を登るときは、それが足手まといになることが往々にしてあります。僕らがPC事業から携帯電話事業に進出するときも、“PCの強み”、“PCの開発力を活かす”と打ち上げたのですが、それが大きな失敗要因になりました。利用者からしてみれば、そんなことどうでもいいんです。その端末、環境にあった最高のものを出してほしいと思っているんです。スマートフォンに関しては、いままでのものをすべてを捨て去って、利用者が何を求めているのか。そこに集中しました」とコメント。スマートフォンに特化して、ブランド、ID、コンテンツなど、すべてをゼロから開発したという。

ここで森川氏が“こだわり”として挙げたのが、“クローズド”と“エモーション”。オープンで広域伝達に向くTwitterやFacebookだが、一方で見知らぬ人にからまれるたり、こっそり誰かに伝えるといったことが難しい。その点「クローズな方向に振り切ることで、新しい価値が作れるのではないか」というのだ。

一方で、エモーションに関しては、「フィーチャーフォンで成功した価値を、スマートフォンに置き換えたらどうなるんだろうと考えました」という。その一例がデコメ(デコレーションメール)や絵文字など日本発の表現方法で、そこから生まれたのが、LINEを普及させた大きな要因となったスタンプだ。当初はいろいろな意見があったというスタンプだが、実際に出してみると、かなり使われると同時に「もっといろいろなものを作ってほしい」と言われたという。「ふだんのコミュニケーションはテキストベースですが、対面だとボディランゲージの持つ意味は大きいですよね。言葉の意味が、人それぞれちょっとずつ違うということもあります。一口に“好き”といっても、“ちょっと好き”なのか、“ものすごく好き”なのか判断しづらい。その気持ちをどう伝えるか。作家でもない限り、文字で表現力を高めるのは難しいですよね。それを補うのがデコメや絵文字、そしてスタンプです。同じ表情でもキャラクターによってニュアンスが変わるんです。日本人はとくに細かく使い分けます。これもひとつのポイントですね」と説明する。

続けて、LINEのプラットフォーム化について森川氏は、“Channel”という概念を提示。インターネット黎明期のおすすめサイトリンク集からYahoo!に代表されるディレクトリサービス、Googleなど検索サービスの躍進、フィーチャーフォンの普及によるポータルサイトへの回帰と勝手サイトの台頭など、これまでのトレンドに言及しつつ、スマートフォンに関しては「アプリを生み出したことが大きい」とコメント。求めるコンテンツや情報に早くたどりつきたいという利用者を前に、ポータルアプリは存在しづらいという。ゆえに「直接コンテンツに飛ぶものをアプリ化しトップに並べる。これがスマートフォン時代の使いかたなのだと思っています。リニアな階層構造ではなく、立体的につないでいく。そういった意味では、HUB(ハブ)になるコンテンツが必要です。それをLINEが担えればいいなと思っています。そして、コンテンツやマーケティングにつながるものを“Channel”という概念で呼んでいます。いまはまだまだ初期段階ですが、今年はみなさんが驚くものを用意していきますよ」と注目すべきコメントを発した。

▲コミュニケーションツールから“プラットフォーム”へ。森川氏が提示したのは“Channel”という概念だ。

 

●LINE GAME ~幅広い人と遊べるものが大切。今後はソーシャル系も提供~

NHN Japanでは、2012年7月よりLINE GAMEを展開しているが、こちらに関しても明確な方針があった。「ゲームプラットフォームが普及するときは、カジュアルからコアへのワンサイクルをくり返してきたと思っています。新しいプラットフォームが出ると、まずはカジュアルゲームが普及した。そこで、まずは、パズルゲームで勝負をかけよう、ということになりました」という。結果、『LINE POP』や『LINE BUBBLE』は、1日数千万人がプレイする大人気コンテンツに成長した。毎週月曜日のランキングリセットにより「強弱が明確だと嫌になりがちだが、リセットにより“来週はがんばろう”と盛り上がれる」など、細かい配慮も奏功しているようだ。

LINE GAMEのタイトルは今後も続々と登場する。3月4日には韓国で大ヒットしたアーケードライクな作品『ドラゴンフライト』がサービスイン。3月末以降は「昔、Facebookで流行ったようなゲーム」という、農園系などソーシャルゲームを重点的に提供していくという。「カードゲームやMMORPGを出せば売り上げはいくと思うが、ゲームの裾野を広げることは産業全体にとって重要。収益だけを考えるとコアユーザー向けに課金率を高くとなってしまうが、そうすると一部の人しか遊ばない。これが続くと“ゲームとはそういうものだよね”となってしまいます。知り合いと遊ぶ楽しさ、どう価値が作れるか。もうしばらくLINE上でがんばっていきたいです」と森川氏は方針を語った。

▲昨年末より本格始動したLINE GAME。今後はソーシャルゲームを重点的に提供していくという。

 

●今後は電子書籍や音楽なども提供 ~アジア初のナンバーワンを目指す~

「今後は電子書籍、音楽も順次出していこうと思っています」という森川氏。各コンテンツやサービスは単に出すのではなく、コミュニケーションの活性化、豊かさに結びつけるサービス・ビジネスモデルを作るといい、今後はマーケティングなどコンテンツ以外のものもいくつか準備しているという。また、スポンサードスタンプ、LINE公式アカウント、ビジネスアカウント“LINE@(ラインアット)”など、直接利用者に伝える“オフラインも含めてつながりを作る”プラットフォームとして国内外に展開していくとのことだ。

最後に森川氏は、「人、地域、オフラインを結びつける。これは、いままでのインターネット企業ではできなかったことで、具体的な効果が出てきています。やり切ることでインターネットが変わるのではないかと思っています。いままでアジア企業で世界ナンバーワンはなれませんでしたが、我々はアジア初のナンバーワンを目指したい。中国、アメリカの会社も成果がでているが、幅広い地域でやれているLINEが注目されています。今年は英語圏でも勝負したいです。そのために、幅広く提携して安価な端末などで広げていく予定でいます。とにかくいろいろと準備していますよ。LINEを全世界で普及させていきたいです」と、意気込みを語った。(取材・文/豊臣孝和)

※NHN Japanの公式サイトはこちら

この記事のタグ

Amazon人気商品ランキング 一覧を見る

関連記事

この記事に関連した記事一覧

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧