【注目アプリレビュー】『クレイジータクシー』いい意味でおバカなノリこそが『クレタク』の魅力

2012-12-21 15:37 投稿

●ハイテンションドライブゲーム

セガからiPhoneアプリ『クレイジータクシー』が配信された。本作は、アーケードで1999年に発売され、その後ドリームキャストなどさまざまなハードに移植された異色のドライビングゲームだ。レースゲームと書かなかったのは、本作はそのタイトル名にある通り“タクシー”でお客さんを届けることが目的のゲームだからだ。そしてこれもまたタイトル通り、激突、逆走、ジャンプとなんでもありの“クレイジー”さがウリのゲームである。しかし、ゲームの本筋では“タクシー業”を忠実にこなす必要があるのも事実。タクシー業界の皆様はぜひこの『クレイジータクシー』をプレイして、革命的なサービスを考案する参考にしてみてはいかがだろうか?

●客を拾い、届けるのだ!

まずは本作の基本的なゲームの流れを紹介しよう。

タクシーで街を走る

$マークの付いた人のそばに停車して乗車させる

目的地まで走って停車する

なんとこれだけである。この繰り返しでゲームが進行していく。アーケードモードではゲーム自体に制限時間が設けられており、客を届ける時間によってタイムボーナスが得られて制限時間が延長される。

▲勢いよく突っ込みすぎるとお客さんは車をよけてしまい、乗車が遅れてタイムロスとなる。降ろすときは荒っぽくてもオーケーだが、乗せるときはていねいに(笑)。

▲ドライバーと車はセットで4種類。加速とか最高速とかの違いはあるが、筆者はアクセル一択。

●クレイジーだがリアル

ルールは上記の通りで、操作もステアリング(傾き操作も選択可)と前進と後退を行うためのボタン(【D】と【B】)がふたつあるだけと超シンプル。しかし、それをもって「なんだ簡単なのか」と思ってしまうのはいささか早計というもの。おそらくこのゲームを初めて遊んだ人のほとんどが、お客さんを5人も届けられずにゲームオーバーとなるはずだ。

それはなぜかというと、運転のテクニック以前に道を把握していないからである。考えてみてほしい。あなたがタクシーに乗って行き先を告げたあとに、「ちょっとわかんないですね……」と言い出す運転手は間違いなくヘボである。ゲームでも同じだ。実際のゲーム内では矢印が出てナビゲートしてくれるが、それでも道を知ってるいるかどうかは非常に重要。「あの店なら矢印の方向じゃなくてこっちから行った方が早い!」と瞬時に判断できるようになれば、運転が少々アレでもたくさんのお客さんを乗せられるはずだ。

●クレイジーな技をぶっ放せ

さきほど、操作に使用するボタンは少なく非常にシンプルと書いたが、じつは上記のボタンを組み合わせたコマンド技もいくつか存在する。ロード中に表示されるので気づいた人もいるかと思うが、それらをここにまとめておこう。

■クレイジーダッシュ
⇒停止状態から【D】をダブルタップで急発進できる。お客さんを乗せたら毎回これ!

■クレイジーバックダッシュ
⇒停止状態から【R】をダブルタップでバックの急発進ができる。

■リミッターカット
⇒クレイジーダッシュ時の2回目のタップを押しっぱなしにすると、走行中にさらに加速する。

■クレイジードリフト
⇒走行中、左右のハンドルどちらかをダブルタップして押し続けるとドリフト状態になる。急カーブを曲がるとき以外にも、停車したいときなどは壁にドリフト状態でぶつかると素早く止まれる。

■クレイジーバックドリフト
⇒クレイジードリフトで180度回転したときに、クレイジーバックダッシュを行うとバック状態でドリフトできる。使いどころは少なめ。

■クイックターン
⇒停止中に【D】をタップし、すぐに左右ハンドルのどちらかをダブルタップして押し続けると、その場でターンできる。

クレイジーバックドリフト以外はほぼすべてが必須テクニックと言っていい。コマンド技といっても操作は難しくないので、しっかり身に付けておこう。

●おバカなノリをとことん楽しめ

ルールやテクニックについてここまで書いてきたが、実際そんなものはゲームを少しプレイすればおのずと気づくものだし、習得もできるはずだ。本作の魅力はそういうところとはべつの、いい意味での“おバカさ”や“陽気さ”だ。たとえば、これがなければ『クレタク』じゃないというくらい有名な『The Offspring(オフスプリング)』、『Bad Religion(バッド・レリジョン)』の楽曲は、iPhone版にももちろん収録されており、プレイ時のテンションをグイグイ上げてくれる。いや、もう本当にこの楽曲のパワーはすごい。おなじみの「ヤーヤーヤーヤーヤー!」以外にも名曲揃い。ちなみにiOS版はiPodのプレイリストの楽曲をBGMにすることもできるが、正直これらの楽曲以上のものを筆者は用意できそうにない(笑)。

そしてプレイヤーのあやつるタクシーに乗り込む客たちが求めるのは、目的地につくスピードのみ。ぶつかろうが飛び跳ねようが、海に落ちようが文句ひとつ言わない。それどころか、派手なアクション(ジャンプやドリフト)には拍手喝采でチップを弾むというノリのよさ。なんというか、スコアーが悪くてもそんなこと気にしたらいけないんだという気になってくる。

 

思うに、そうやって無茶苦茶できる非日常の気持ちよさと、タクシーという日常的なリアルさのミックス加減が極上なのだと思う。対向車に思いっきりぶつかったりしてて「どこがリアルやねん!」って話もあるが、そういったことに残虐さとか悲壮感がまったく感じられず、一周回って明るさやおもしろさに昇華されちゃってるところが本作のすごさだ。

元がアーケードでありドリキャスであるわけだから、グラフィックはいまのゲームと比べても見劣りはしない。ある程度上達するまですぐにゲームオーバーになってしまうシビアさはあるものの、当時のファンだけが楽しむようなゲームでは断じてない。「車のゲームは苦手……」と、あまり構えずにサクッと気軽にプレイしてみてほしい。

最後に、タクシー業界の皆さまにとって参考になる話なんて一切なかったことを深くお詫び申し上げて、本稿を締めたいと思う(笑)。

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CRAZY TAXI(クレイジータクシー)

メーカー
セガ
配信日
配信中
価格
450円[税込]
対応機種
iPhone 4、iPhone 4S、iPhone 5、iPod touch (第4世代)、iPod touch (第5世代)、iPad 2 Wi-Fi、iPad 2 Wi-Fi + 3G、iPad (3rd generation)、iPad Wi-Fi + 4G、iPad (4th generation)、iPad Wi-Fi + Cellular (4th generation)、iPad mini、およびiPad mini Wi-Fi + Cellular に対応。 iOS 4.3 以降が必要 iPhone 5 用に最適化済み

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