【TGS2012】衝撃作品連発! センス・オブ・ワンダーナイト(SOWN2012)リポート
2012-09-22 15:34 投稿
●5回目の開催を迎えるインディーズゲームの祭典
センス・オブ・ワンダーナイト(以下、SOWN)はゲーム開発者にスポットを当てた、“見た瞬間、コンセプトを聞いた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚”――センス・オブ・ワンダーを引き起こすゲームのアイデアを発掘する企画。今年で5回目の開催で、今回は16の国と地域から75件の応募があり、海外6作品を含む10作品のプレゼンテーション が行われた。IGDA日本副代表の新清士氏とイザベル・マサボ氏が司会進行を務めるなか、選考委員と約320名の来場者に見守られながらプレゼンテーションは始まった。
○GRANDMASTER
ウクライナ
Artur Mine and Dmitry Verbitsky(Beast Mode)
ホームレスのカルチャーに深い理解を示し、その生活を完全再現したアクションゲーム。タッチスクリーンに向けてひたすら穴を掘ってゴミ箱をあさって食べ物を探したり、ゴキブリや意地悪な警官と戦ったりする。採集や狩猟などの人間の原始的な感覚に訴え、分別を学ぶツールとしても機能する。ゲームのテーマもさることながらイラストのセンスや制作者のノリもまさに“ワンダー”で、場内から大きな笑いと歓声が巻き起こっていた。
○chumamちゅまむ
日本
石田翔(い~といん)
二台の端末をつなげ、進行ルートを作り出していく端末間移動アクション。基本ルールは『チクタクバンバン』などを彷彿とさせるシンプルなものだが、ポイントは“端末間移動”にある。自動生成されるルートを進行するのはピンちゃん、チルちゃんという2体のキャラクター。彼らが画面端のポートに達すると3秒間待機したのち落下してゲームオーバーになってしまうが、この間にもう1台の端末のポートを連結させ、ピンチイン(はさんで閉じる)で端末間を移動。これをくり返して長く走らせ、取得アイテムや合流回数に応じたスコアを競う。
○BREAKS
日本
なんも/柳原隆幸(FullPowerSideAttack.com)
円形のフィールドに置かれたボールをスワイプで操作して、次々に出現するブロックを破壊していくアクションゲーム。ブロックからはやがてレーザーが発射されるようになり、時間の経過とともに難易度が上昇していく。本作の大きな特徴は、ゲーム内のさまざまな状況に連動してBGMにエフェクトがかかる点で、独特のトリップ感が味わえるゲームとなっていた。ゲームプレイそのものを演奏にできないかというコンセプトで作られている。
○光弾の射手 The Light Shooter
日本
安本匡佑
電子弓を使った射的ゲーム。作者の安本氏は東京工科大学で現役の助教で、大学での研究分野をゲーム映像に応用。電子弓の弦を引き絞るとスポットライトが当たるように暗闇に光が浮かび、白い線と点のみで表現された世界が現れる。そこにはさまざまな生き物がバイオロジカルモーションを使った躍動的な動きで活動しており、画面外に出て来るまえにすべて倒すことが目的となる。東京工科大学のブースにも展示中なので、興味があれば足を運んでみてはいかがだろうか。
○TAISO
日本
雑魚雑魚
体操競技をモチーフにした作品で、“端末アクション”とも言うべき独自の操作方法が特徴。画面内にいる体操選手を端末に見立てて、携帯を回転させたり、裏返したり、投げたり(!)して華麗な演技をさせるのがゲームの目的だ。ファミコンのような8BIT音も特徴。端末を投げるという破天荒な遊びかたをさせることもさることながら、数々のテキスト・トゥ・スピーチ(合成音声によるテキスト読み上げ機能)を駆使した開発日誌にも場内は爆笑の渦が巻き起こっていた。
○Douse
アメリカ
DigiPen Team Terrabyte
絵本のような幻想的で美しい世界を舞台にしたアクションゲーム。“Douse”とは“水を浴びせる”という意味の動詞で、文字通りに周りに水で癒しを与える雨の精が主人公。音楽とアートを組み合わせた、誌的でリラックスな経験を体験できるのが特徴で、歩くだけで花が咲いたりと、枯れた森に生命を与えていく様子が描画されていく。余計な文字やゲージなどの表示物は一切ない、まさに魂を癒してくれるゲームと言えそうだ。
○BACKWORLDS
スウェーデン
Anders Ekermo & Juha Kangas
美しい緑の世界と、無機質な白黒の世界が重ね合わせになったステージを進んでいくアクションゲーム。画面をスワイプするとその箇所に逆側の世界が現れるので、ふたつの世界を連動させて動物キャラクターを導いていくのだ。バックワールドは風が吹いていたり、時間が止まっていたり、重量が逆転していたりとさまざまなギミックがある。お絵かきをするようなペイント感覚で、両方の世界を組み合わせて仕掛けを解くのが醍醐味だ。
○BARA BARI BALL
アメリカ
Noah Sasso(Strange Flavor)
スポーツゲームや格闘ゲームの要素も取り入れた対戦アクション。2人のプレイヤーキャラクターとボールがあり、ぶつけ合ったり水面に落としたりしてスコアを競い合う。制作者のNoar氏は音楽の制作や演奏をメインの業務にしており、過去に日本に来たのは演奏のためだったとか。そんな氏は、ゲーム制作に関しても音楽をまず考え、ゲームも楽器のようなものと捉えている。10年後や100年後も遊びたいと思える、時間を超越するシンプルなゲームを作ることが目標とのこと。
○MEMORY OF A BROKEN DIMENSION
アメリカ
Ezra Hanson-White(sole creator)
“壊れた次元の記憶”と名づけられた、これまでの常識を覆す特異なゲーム。まず、意味不明のコンピュータ言語が並び、かすみのようなエフェクトがときおりかかった画面が現れる。これは、まったくわからないOSをいじっている感覚を再現したもので、ディレクトリでファイルを見ながら、コマンドを見つけて打ち込んでいく。するとデータのスクリームがロードされ、バラバラなデータが浮遊している空間に放り出される。そこで適切なポイントに到達すると、データが物理的なオブジェクトになっていく。環境自体を組み立てることが目的で、プレイするたびに内容も変化する。とにかくさまざまなインスピレーションが詰まった、非常に興味深い作品である。
○TENGAMI
イギリス
Jennifer Schneidereit(Nyamyam)
“飛び出す絵本”を思わせる、立体的な絵本の中を冒険する和風のアクションゲーム。閉じられた本をめくると、そこには美しくも情緒豊かな日本の風景が現れる。ページには小さなページも存在し、それらを別々に閉じたり開いたりしながら、キャラクターを操作して物語を進めていく。ページをめくり続けると季節が変わり、画面内のオブジェクトを使った謎解きなども用意されている。鳥居や古井戸なども登場し、楽曲も含めて世界観は純和風で、日本固有の美意識が表現されている。また、すべてのアートワークを印刷して製本すると、本当の絵本として実現できるというのも驚きだ。すでに約1年の開発期間をかけられているが、完成度はまだ20%程度だそうで、来年のリリースを目指しているようだ。
●ホームレスカルチャーが会場を席巻!
10作品のプレゼンが終わると、すでに時刻は午後8時過ぎ。最後に各審査員から特別賞が発表された。今年は例年にも増してハイレベルで甲乙付けがたく、審査員の面々はかなり悩んだようだった。こうして5回目を迎えたSOWN2012も、大盛況のうちに幕を閉じた。
○GMOインターネット賞
TAISO
○GREE賞
ちゅまむ
○Joju Games賞
BACKWORLDS
○日本マイクロソフト賞
光弾の射手
○NHNジャパン賞
GRANDMASTER
○UBM TechWeb Game Network賞
MEMORY OF A BROKEN DIMENSION
○オーディエンス賞
GRANDMASTER
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