女性向けゲームの制作会社は女の園なのか? ボルテージの女性副社長に聞いてみた!
2012-05-30 19:20 投稿
●ボルテージはプロデューサー集団だった。
『恋人は専属SP』や『王子様のプロポーズ』、『誓いのキスは突然に』など女性向けゲームで多くの女性に支持されているボルテージ。ゲームをプレイしてみた筆者も、イケメン王子様や、主人公を守ってくれるSPにドキドキさせられた! しかも、女性の心をグッと掴むような台詞があったり、「わかる!」と思わせるリアルな部分もしっかりと盛り込まれているのだ。今回は、「ボルテージってどんな会社なの?」というところから、どのように女性たちを胸キュンさせるゲームを作っているのか、どんなキャラが人気なのかなど、副社長の東奈々子氏に突撃取材を敢行した!(ももまる)
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ボルテージ副社長 東奈々子氏 |
――早速ですが、ボルテージってどんな会社なんですか?
東 私たちは、モバイルコンテンツ配信をメイン事業としたゲーム制作会社です。オリジナルにこだわってまして、自分達で企画・制作して販売までやっています。システム開発も内製メインでやっていくというのがめずらしいところなのかなと思います。ただライターさんやイラストレーターさんは外の方とやるので、我々はプロデュース、ディレクター集団というイメージかなという風に思ってます。現在のタイトルの内訳は、キャリア公式というものとソーシャルプラットフォームのアプリが大体半々ですね。どっちかという会社が多い中、そのあたりも特殊かなと思います。
――プロデュース、ディレクター集団ということは、いろんなアイデアを出してゲーム作りをするわけですよね。アイデアを出すのに一風変わった会議などはありますか?
東 おもしろい会議はいっぱいあるんですが、そのなかからふたつ紹介します。ひとつはコンテンツ会というのが毎週ありまして、自分が担当してるサイトのアイデアだとか、ストーリーだとかをパワーポイントの1枚にまとめて、90秒で発表するんです。50人くらいの社員の前で。自分はこういうストーリーを作ろうと思いますとか、こういうところがよくなかったとかよかったとか、まあ提案会ですね。それを毎週1回全員やってます。もうひとつは、若い女性の社員もいますので、自分達の身の回りで、グッときた男性の仕草を発表するといったものをやっています。例えばネクタイをゆるめる仕草だとか(笑)。そういうレポーティングの機会を月1回もってます。
――なるほど。その資料、気になりますね(笑)。ガラケーのころからとにかく多作なイメージです。こういう形(ほぼ同一システムでキャラクターやストーリーを変えていく)で進めていこうと思ったのはいつくらいからだったんでしょうか?
東 いまの形を始めたのはもう5年くらい前ですね。ただ元々、99~2000年にiモードのアプリがすごい勢いで出て、各社も相次いで出た時に、我々はインタノベルシリーズというものを作ってました。それはいわゆるWebベースでテキストに絵をつけて、選択肢を選んでいくという簡単なものです。それからアプリが出てきて、女性向けの手軽に楽しめるミニゲームがいっぱい出てきたころに、改めて恋愛モノをアプリで出したらけっこうウケてですね、そこがスタートで現在は50本ほど出ています。「最初は20本くらいいくかなー……でもなんとか100本まで!」と思っていたので、やっといま折り返し地点に来たかなといったところですね。
――十分すごい本数ですよ。ガラケーの月額利用者はどのくらいまで伸びたんですか?
東 100万人くらいまでいきました。
――わ、すごいですね。いまはスマホへの切り替えが加速している時期ですが、いまのところの両者のバランスはいかがでしょうか?
東 ようやくプラスマイナスでトントンまできたかなという感じです。ガラケーのほうがなんとか下げ止まったかなと。
――やはりガラケーの課金者数はどうしても下がってしまうと思うのですが、利用者を減らさないための工夫は何かありますか?
東 ひとつは、これまでは月額でやってきましたので従量課金は控えめにしてきました。それをユーザーさんが喜ぶようなものを個別で従量制にして提供したところ、大変反響がありました。ただまあガラケーだけで言えばやっぱり下がってるのは確かです。他社さんに比べてそんなに激しくないとは思いますが。あとはスマホへの移行をなるべくスムーズにできる仕組み作りをしているところですね。
――ところで、従業員の男女比率ってどれくらいなんですか? この部屋から見る限りだと女性が多くて女の園って感じです。
東 いえ、じつはこの近くにとくに女性が集まっているだけで、実際は半々くらいなんです。
――あ、そうなんですね。それでもふつうの会社にくらべるとかなり多いですね。
●いよいよ男性向けゲームにも着手!
――ゲームについてですが、SPだとか、芸能人だとかを取り入れてゲームを作ろうと思ったきっかけは何ですか?
東 もともと、我々はゲームを作ろうというより、ストーリーを作ろうという感覚がすごく強いので、恋愛ドラマとか恋愛ストーリーを作ろうと思ったときにはやっぱり、“守られる”というような感覚を取り入れるのは鉄板かなと思っています。ただ、ファンタジーになりすぎないようには気をつけていて、“あるある感”はすごく大事にしています。ゲームという視点で見ると変わってるかもしれないですけど、恋愛ドラマや恋愛ストーリーの延長線上で考えています。
――キュンとする仕草だとか、セリフはそのさっきおっしゃっていたおもしろい企画会議で出てくるものなんですか?
東 そうですね。たぶんいまもどこかで……(笑)。レポーティングとはまた別に、いろんなところで行われた会議でもアイデアはポコポコ出てくるので、そこで出たものもゲームに反映させています。
――攻略中の彼から章が終わるごとにメールがくるシステムがありますが、何故それをやろうと思ったのですか?
東 携帯ならではのおもしろさをやりたいと思っていて、携帯だとメールとウェブは一体なので、本当に彼氏からメールが来たような感覚になっていただければと思います。
――ゲームにボイスをつけて出す予定は?
東 いまのところありません。ドラマCDを別途発売していた時期もありましたけど、やはり我々はコアな層の方だけじゃなく、一般の人にも広く楽しんでほしいんです。声をつけると、ちょっとまだコア層向けになってしまうというのが否めないと思うんです。まずはストーリーを楽しんでほしいと思います。絵も少女コミックのような感じですし、ふつうの恋愛ドラマを見るように楽しんでほしいと思ってます。ただ、ボイスだけを販売したりすることもありました。
――ああ、なるほど。ターゲットは声優が好きなアニメファンの女性ではなく、夜9時のドラマを楽しむような女性なわけですね。では、男性向けやBLストーリーを出す予定はありますか?
東 まず、BLはないです。いま言ったようにコア層だけじゃなく、一般の人にも楽しんでほしいので。男性向けゲームは、いま挑戦し始めています。女性向けである程度ボルテージのゲームを知っていただいたかなと思いますので、津谷(ボルテージ取締役社長)※がハリウッドで学んできたストーリー展開を重視した男性向けコンテンツのプロジェクトが始動しました。1年以内を目途に新しいゲームを出せればと思ってます。
※津谷祐司氏はUCLA映画学部大学院に留学経験あり。
――男性向けゲームも楽しみにしています。ちなみに、ボルテージ全体でプロデューサーは何名くらいいるんですか?
東 プロデューサー・ディレクター系でざっくり150人くらいですね。
――多いですね! 現在何ラインくらい稼働中ですか?
東 いまだと20ラインくらいですね。
――これまた多い。実際にゲームが配信されるペースはどのくらいですか?
東 意外に思われるかもしれませんが、3ヵ月に1本程度です。いまはひとつのゲームを大型化というか、よりしっかり長く描いていこうと考えています。付き合う前、婚約、結婚、結婚生活といった具合に物語を長期化したほうがユーザーさんも喜んでくださるのではないかと。
――なるほど。たしかにそれはいいかも……。スマホのほうの配信ペースも同じくらいですか?
東 はい、ガラケーといっしょです。ちなみにスマホユーザーさんはいま30%くらいなんですよ。いまは携帯電話の保有率の20数パーセントがスマホだと言われてる状況なので、割といい数字ですよね。弊社でもアップルさんとのやりとりは苦労しましたけど、やっと慣れてきた感じです。
●エンジェル原田をゲームに出してください!
――ちなみに、東さんお気に入りのキャラやセリフは?
東 私は、『Love&Job オトナの事情』の宝条時雨さんが好きですね。あとは、『恋人は専属SP』の一柳昴くんも好きです。昴くんは料理も作ってくれるんですが、俺様キャラなんですよ。
『Love&Job オトナの事情』宝条時雨 | 『恋人は専属SP』一柳昴 |
――俺様キャラはいいですよね! では、ユーザーさんにいま1番人気なのは?
東 昴くんか、『眠らぬ街のシンデレラ』の廣瀬遼一くんとかですかね。私が好きな時雨さんもアラサー女性にはとても人気です。
『眠らぬ街のシンデレラ』廣瀬遼一 |
――年代によって好きなキャラは違ってきますか?
東 そうですね。あとは、仕事をしている女性とか、主婦の方とか、若い子とかで少しずつ違いますね。でもやっぱり総じて俺様キャラは人気です(笑)。
ここで取材に同行したエンジェル原田が突然口を挟みだす。
原田 ……あの、僕をゲームに出してもらうことはできませんか? 俺様キャラでも何でもやります。 女の子にチヤホヤされてみたいんです!
東 え!? いや、ちょっと私の一存では決められないんです……(笑)。もしオーディションとかやることがあったらぜひお願いしますね。
原田 くそー、やっぱりダメかー!
――突然何を言い出すんですか(笑)。ええと、では社内で人気なのは誰ですか?
東 昴くんと、『王子様のプロポーズ』のジョシュア王子ですね。あと、『吉祥寺恋色デイズ』の佐東一護くんも人気です。あとは、割とサブキャラも人気なんですよ。
『王子様のプロポーズ』ジョシュア王子 | 『吉祥寺恋色デイズ』佐東一護 |
――サブキャラのなかでは、私も『SP』の真壁くんは可愛いと思ったんですよ! そんなサブキャラまでも人気なゲームを作り上げていく中で、おもしろかったのに、ボツになってしまった企画はありますか?
東 企画として、つねに出てくるのは、やっぱり華のある世界である客室乗務員ものとか、アナウンサーものなんです。でも、ゲームにする段階まではいつもいきません……。なんでなんでしょう(笑)。
――相当いろいろなキャラを生みだされてきたと思いますが、どのくらい時間をかけてひとりのキャラを生みだしてるんですか?
東 1~2ヵ月近くかけますね。生い立ちだとか、口ぐせだとか含めて、キャラクターを本物の人間のように事細かに作っていきます。
――す、すごい……。そこでさきほどお話いただいた会議でのリサーチ結果が活きてくるわけですね。そこまでこだわってるからあれだけツボにはまっちゃうんだろうなあ。これからも魅力的なキャラにゲームで会えるのを期待しています。今日はありがとうございました。
▲最後に人気キャラクターふたりとパチリ! このときばかりは副社長も乙女の顔に……! |
■取材を終えて
最初は会議室から見える従業員がほぼ女性で「やっぱり女性率すごいな……」と超ビックリしましたが、実際はそういうわけでもなかったと(笑)。僕はもともとケータイサイトの運営をしていたこともあって、iアプリ全盛時のボルテージの勢いはよく知っています。それが最近になってスマートフォンアプリの配信もすごく増えてきて、気になっていたんですよね。実際に話を聞いてみて、ボルテージのゲームはいわゆる“腐女子”向けではないんだなということがわかったのは新しい発見でした。突飛な設定に思えるものもあるけど、じつは狙っているのは“少しの非現実性”。白馬の王子様じゃないけど、女性が憧れるそういう夢みたいなシチュエーションをうまくくすぐってあげているんですね。待望の(?)男性向けゲームも準備中のようなので、楽しみに待つとします! ちなみに「ゲームに出してくれ」と言った件、結構本気でした……。(エンジェル原田)
■インタビューに登場したゲームはこちら
【王子様のプロポーズ】
メーカー:ボルテージ
配信日:配信中
価格:無料(アプリ内課金あり)
対応機種:iPhone、iPod touch および iPad 互換iOS 4.0 以降が必要、Android OS1.6以上
著作権:(c)VOLTAGE Inc.
【眠らぬ街のシンデレラ】
メーカー:ボルテージ
配信日:配信中
価格:無料(アプリ内課金あり)
対応機種:iPhone、iPod touch および iPad 互換iOS 4.0 以降が必要、Android OS1.6以上
著作権:(c)VOLTAGE Inc.
【恋人は専属SP】
メーカー:ボルテージ
配信日:配信中
価格:無料(アプリ内課金あり)
対応機種:Android OS1.6以上
著作権:(c)VOLTAGE Inc.
【Love&Job オトナの事情】
メーカー:ボルテージ
配信日:配信中
価格:月額315円[税込]
対応機種:Android OS1.6以上
著作権:(c)VOLTAGE Inc.
【吉祥寺恋色デイズ】
メーカー:ボルテージ
配信日:配信中
価格:月額315円[税込]
対応機種:iPhone、iPod touch および iPad 互換iOS 4.0 以降が必要
著作権:(c)VOLTAGE Inc.
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