10人の武将と祝言を挙げる！　『いざ、出陣！ 恋戦～豪華版～』

●武将を陥とすぞ!!　ヤーー！

戦国時代のお姫様となり、諸国の武将と恋をする『いざ、出陣！ 恋戦』。その豪華版である本作は、攻略対象の武将たち10人がセットになっています。最初はお値段を見てビックリ（2100円[税込]！）しましたが、10人揃ったボリューム感はかなりのもので、キャラクターごとに個別購入するよりもお得と知ってさらに納得。

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さて、内容をもう少し詳しくご紹介しますと、まずプロローグで姫である主人公が旅立つことになります。主人公の国は小さく、領主である父親は病に 伏せっているうえ、跡継ぎとなる男子がいません。そこで、どこかの国と同盟を結ぼうということで、主人公に視察に行かせるんですね。「そんなムチャな」と 思うところですが、さすがに姫ひとりでなく、護衛として佐々木小次郎が同行してくれます。

この小次郎もなかなかイイ線なのですが、本作ではあくまでお兄さん的な存在なので攻略はできません。(スマートフォン版は未配信ですが、同シリーズの” 関ヶ原の戦い”を舞台にした”第一幕”では攻略できるようです)プロローグ終了後は武将を選択して、いざ出陣でございます！

●どーれーに、しーよーうーかーな？　領主に軍師、忍がよりどりみどり！

攻略対象となる殿方は、上杉家、武田家それぞれ5名ずつ。ここでは彼らの人物像、そして描かれる恋模様をどうぞ……。

上杉家

長尾景虎(上杉謙信)
軍神と恐れられている越後の領主ですが、ふだんは気さくでニコニコ。甘い言葉で、主人公を恥ずかしがらせるのがお好きなようです。しかし、大切な人を奪わ れようものなら、我を忘れるほど激昂して奪い返しに行くほどの激情を持ち合わせています。彼の見せるさまざまな一面が、母性本能をくすぐったり、切なくさ せたりと、気持ちを大きく揺さぶります。

前田慶次
上杉家に士官している傾奇者。主人公の素性をすぐにバラしてしまうなど、隠し事や細かいことは苦手ですが、豪快であったかい人柄は皆を惹きつけます。愛情 表現もすごくストレート。逆に、いつも笑顔の彼が真剣な眼差しになったりするとドキドキ……。和歌を詠んだり、お茶を点てたりと風流な趣味を持っているの もナイス・ギャップ！

直江兼続
何かと謙信の世話を焼く上杉家家臣で、謙信にニンジンを食べさせようと追いかけている姿をよく見かけます。純情、純朴といった言葉がぴったりで、攻略対象 の中で頬染め率ナンバーワンかもしれません。主人公とのやりとりのムズかゆさに、見ているこっちも赤面しそうです。しかし、そんな彼には許嫁がい て……!?
唯一、恋敵となる女性がいるキャラクターです。

長尾景勝(上杉景勝)
謙信の義理の息子。主人公よりも若いのに、年上に見えるほど落ち着いていて、寡黙＆無表情。でも本当は恥ずかしがっているだけで、誰より誠実で心優しい青年なんです。ふいにこぼれる笑顔や、歳相応の反応を見るともう、かわいくて。
姉と弟のような関係から卒業し、一人前の男になろうとひたむきになる彼の姿にはキュンとさせられます。

宇佐美定満
名軍師なのだけれど、日常ではどこかボーッとしている宇佐美さん。まだ若いのに縁側でお茶をすするのが好きで、周囲からはおじいちゃん認定を受けていま す。趣味はほかにも、釣りと山菜取りなど渋いものばかり。元より色恋には興味がなかったようで、主人公との距離の縮まりかたも穏やかなのですが、彼のささ やかな思いやりが積み重なると、あるとき「ズシン」と来るはず。男らしい責任感のある言葉もシビれます。

”武田家”

武田信玄
甲斐の国を統べるカリスマ。かなりの”俺様お殿様”なのですが、観察眼が鋭く、情にも厚い人物です。主人公に対しても「茶がぬるい！」とか、「俺のお供を しろ！」とかいろいろ強引で、しかも束縛系の気が。しかし、惚れたらとことんまでという、潔い溺愛っぷりが最強です。馬に乗せてお花畑に連れて行ってくれ るなど、ハードとソフトの使い分けもニクい。

真田幸村
武田家の軍師であり、主人公の幼なじみ。最初から好意を持ってくれているようで、いろいろと気遣ってくれます。いつもさりげなく優しいのですが、彼の内な るダークサイドが徐々に明らかになって……。目的のためなら手段を選ばない彼の非情さが、危うささえ感じるほどで、見ていて痛々しいんです。上杉家のキャ ラクター選択時にも、平穏を破る敵としてたびたび登場しています。そういった意味でも、本当に幸せになってほしいと思えるキャラクターです。

猿飛佐助
真田十勇士のひとりで、やんちゃな忍。最初は荒れていますが、本当はやさしくて素直な子です。佐助は、ある意味いちばんピュア。そのため、素性を偽っている主人公にとって、だんだん彼の真っ直ぐな気持ちが辛くなってくるのですが……。

霧隠才蔵
幸村も信頼を置く、真田十勇士のまとめ役。真面目な性格で、主人公の世話もあくまで任務だと徹していますが、彼なりの励ましや思いやりがとても心に染みま す。さて、ここで問題です。才蔵、そして佐助ルートは、姫と忍との身分違いの恋となりますが、めでたく祝言を挙げるためには……？　すごい荒技ですが、私 は「なるほどコレっきゃないか」と思いました。ぜひ、その目でお確かめください。

高坂昌信
武田家の重臣であり、信玄を崇拝する軍師。女性のように美しい顔立ちで、モテるらしいのですが、信玄ことお館様以外は眼中にないようです。武芸は達者じゃ なさそうなのに、鉄扇を巧みに操るなど意外な一面も。ある事件をきっかけに、ふたりだけの秘密が生まれ、次第に惹かれあっていきます。余談ですが、彼の前 髪はすごいですね。マスクのようにも見えるのは私だけでしょうか。そして、初夜のお話が外伝でなく、本編に入っているのも何か彼らしいです。

●漢字が読めないときも（笑）

本作はビジュアルも雰囲気もとってもステキなのですが、少し気になるところも。それが、”漢字”です。主人公含め、武将たちの口調は現代人の私た ちに近い感じ。そのためセリフはすんなり入ってくるのですが、時折すごく難しい言葉がポッと出てくるんですよね。戦国時代らしさをかもし出してはいます が、「これなんて読むの？　どういう意味？」と、つっかえて流れが止まってしまうのはもったいないと思うんです。せめてルビを振ってほしい～！

と、文句も言わせていただきましたが、作品の内容自体は充実していると思います。実際、ひとり分のシナリオはコンパクトですが、”戦”が恋の行く末を左 右するように物語が展開し、主人公の心境の変化もしっかり描かれていて、”実の詰まった作品”だと思います。史実や伝承に基づいた、キャラクターの代表的 なエピソードもチョイチョイ入っていて、歴史好きな人もニヤリとするはずです。ぜひシリーズ作をバンバン出してこれからもファンを魅了していただきたいで す。（本間ウララ）

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