編集部大プッシュ『ねじ巻きナイト』の開発者はイケメンだった!

2012-01-12 20:31 投稿

●次回作はホラー系? これから作るんだって!

Android、iOS用のオリジナル横スクロールアクションとしてリリースされ、「こりゃ、良作だ!」と話題になっている『ねじ巻きナイト』。編集部でも中毒ぎみのスタッフが続出で、すでにおすすめ記事でも書いているとおり、キャラクターデザイン、ジャンプアクション、グラフィック、ステージ構成……どれをとってもていねいに作り込まれていてゲーマー魂をくすぐられる作品。しかもiOSは170円[税込]、Androidに至っては無料という太っ腹価格。「作った人にぜひ会ってみたい!」と思うのは自然の流れで、サンフランシスコにあるROBOT invaderにダメもとでアポをとってみたところ、プロデューサーのクリス・プルエットさんがたまたま年末年始のバケーションで日本にいることが判明!! しかも日本語ベラベラ! こりゃ、お話を聞くしかないとのことで、観光中のところを急遽お呼びし、インタビューを敢行しました。

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※85円でこの完成度はハンパない! 遊ばないと損するレベルのアクションゲーム『ねじ巻きナイト』
※App編集者的2011年のベストアプリ3本 いろいろ迷った末にこの3本にしました

 

ROBOT invader
クリス・プルエット氏

――まず、率直にお聞きします! ゲームをプレイして感じたことなんですけど、あれだけ丁寧に作られているということは、クリスさんって家庭用ゲーム開発出身ですよね???

クリス はい、私はアクティビジョンの子会社で働いていました。日本で参加したゲームは、ゲームボーイアドバンス用の『クラッシュ・バンディクー アドバンス2 ぐるぐるさいみん大パニック!?』や、プレイステーション2、PSP、Wii用の『スパイダーマン3』などですね。いまの会社は私含めて3人でやっているんですが、3人ともプレイステーション2やゲームボーイアドバンスのソフト開発に携わっていて、そのころからの仲間になります。

──やっぱり! もともとアクションゲームは得意分野だったんですね(笑)。

クリス そうですね、中でも横スクロールアクションが多かったです(笑)。今回の『ねじ巻きナイト』も横スクロールですし、もちろんそれ以外にも作りたいんですが、経験的にはアクションが多いですね。

──なるほど。そもそもどういった経緯でアプリを作ろうと思われたんですか?

クリス 私は2011年4月までGoogleで働いていて、そこでAndroidのゲーム開発会社をサポートする仕事をしてました。Googleでの仕事は非常に満足していたんですが、元々開発者出身だったこともあり、次第に自分でゲームを作りたいと感じるようになったんですよ。じつはGoogleで働いているときに、友人といっしょに仕事の勉強も兼ねて『ワンダのレプリカ島』というAndroidゲームを開発したんです。いざリリースしてみると、評価も悪くなく、私がこれまでに関わってきたコンソールゲームのユーザー数より、多くのユーザーがプレイしてくれました。そういったユーザーの反応もあり、アプリを作りたいと思い会社を立ち上げました。現在3名のスタッフで運営しています。

【ワンダのレプリカ島】
価格:無料
対応機種:Android 1.5以上

 

――『ねじ巻きナイト』のダウンロード数は世界でどれぐらいになるんですか?

クリス Androidのみで世界で130万ダウンロードぐらいになりますかね。その2割ほどが日本のユーザーの方です。

――AndroidとiOSでは価格が違いますが、なにか理由があるのですか?

クリス Androidのほうはダウンロードが無料で、アプリ内課金というシステムをとっています。私たちはもともとゲーム会社のプログラマーですので、正直課金システムについては詳しくないんですよ。ただ、私たちが作りたいのは、“ユーザーにとってフェアなシステムであること”。Androidは基本的に無料なんですけど、4分の1ほどゲームを進めると、続きをやるための料金の請求画面が出てくるんです。ですが、この料金はゲーム内で貯めた仮想通貨で支払うこともできる。ただし、そこまで貯めるには、ある程度腕がないといけません。スキルさえあれば最後まで無料で遊べちゃうんです。

逆に課金すれば簡単にすべてのステージを解放することができ、自分の腕を頼りに無料で挑戦するのか、課金を使ってある程度楽に進めるのか、その選択をプレイヤーに委ねることが“フェアなシステム”だと考えました。言い換えると”価値のある課金システム”だと考えています。

ですが、こういった料金システムは前例がなく、ユーザーの理解を得られない部分もありました。そのためiOSでは、そういった複雑なシステムは諦めて、「最初に代金を払っていただければ最後まで遊べますよ」といったわかりやすい料金体系にしました。

──最近では明らかに課金をしないと先に進めないだろ! といったゲームが出ている中、アイテムを買わなくても実力さえあればクリアーできるゲームというのはすごいですよね。

クリス 私たちもお金を使わないと進めないというシステムがすごく嫌なんですよ。クリアーが面倒でしたらお金を使っていただいてかまわないんですけど、やる気さえあればクリアーまで無料でできます。

──この『ねじ巻きナイト』は、自分でキャラクターを移動させる従来の横スクロールとは違い、自動で動くようになっていますが、そうした理由はあるのですか?

クリス そもそもタッチ画面で十字キーが好きじゃないんです(笑)。なぜかというと、操作感を肌で感じられないですし、十字キーを設置してしまうと、画面が指で覆われて遊びづらいと思うんですよ。もともと難しいゲームを作ろうと思っていたので、コントロールは完璧にしなくてはいけませんでした。

 

十字キー以外にも、いまの4つボタンの形になるまでに、ジェスチャー(モーションセンサーやスワイプ)での操作などいろいろな操作方法を試しました。ですが、たとえばスワイプなど操作を複雑化すると、ゲーム側でどのような操作方法が行われているか判断が遅れる。そうなると、画面を触ったときにアクションが行われず、爽快感が失われるんですよ。タッチしたときにアクションが行われないのは非常に気持ち悪いと思いました。

反応速度が大事なゲームになっていましたので、このゲームには合わないと思ってボタン操作にしたんです。ボタン操作にするにあたって、ボタン配置にはとくにこだわりました。右側にあるボタンは1回押すと反応するアクションで、左側が長押しができるボタンにしています。ボタンをふたつ押す場面もゲーム中に出てきますが、右と左がわかれるようにしていますよ。あとは、ボタンのアイコンとある程度ずれたところでタッチしたしても反応するようにしているので、ボタンを見ていなくても操作できるようにしています。開発期間の5ヵ月中、2ヵ月はこの調整に費やしました(笑)。

──かなりこだわり(笑)。だから『ねじ巻きナイト』は某超名作アクションのような気持ち良さがあるんですね。

クリス ありがとうございます(笑)。さきほども言った、ボタンを押したときの反応速度や、じつは主人公はジャンプして着地したときに体が少し小さくなるんですね。操作感には関係ない部分ですが、見た目の気持ち良さにもこだわっています。

──隠しアイテムや隠し通路がチラっと見えたり、ステージの構成がいい意味でいやらしいですよね(笑)。

クリス それはすべて私ではなく、いっしょに開発したケイシーがステージを担当してくれました。彼はもともとアニメーション専門ですので、どちらかといえば美術系の経験が多いんですね。だからこそ、「ここでこういう風に見せると、ここに行けますよ」というステージの見せかたが上手いんです。

──だからか! あと、一番衝撃的だったのは難しさなんですよ。なぜ、ステージ途中にセーブポイントがないんだ、と(笑)。

クリス 難しさが半端ないのが目標なんで(笑)。でも、さすがに2面で50回死んでしまうようなシステムはよくないですが、難しくないとクリアーしたときの満足度が得られないと思ったんです。もし、難しいゲームをやりたくないんでしたら、ほかにゲームはたくさんありますし、そちらを遊んでもらえばいいと思います。私たちは、一般的なアプリゲームより難しく、コンソールゲームより少し簡単なゲームを作りたいんですよ。そうすることで、コンソールゲームをやっている人も、アプリしかやったことない人も、どちらもが楽しめる歯ごたえのあるゲームを作れると思っています。それでも、難しすぎると感じる人は、アイテムを購入しゲームを簡単にしてもらえれば。今回作成した『ねじ巻きナイト』は、仲間のひとりであるケイシーが、『スーパーミートボーイ』というゲームが好きで、それが非常に難しいゲームなんですよ。その影響もかなりあると思いますよ。

──ひとステージあたりのクリアーまでの距離感も絶妙ですよね。

クリス 1分~2分の間にクリアーできるように設定しています。携帯ゲームですので、遊んでは止めてをくり返さなきゃいけないんですよね。チェックポイントはどうしても入れたくはなかったので、ステージ自体を短くしました。その代わりステージを多く入れるようにしました。

 

──ネットではローカライズが素晴らしいと称賛されていますが、どなたがやられているんですか?

クリス 私でも中途半端な訳はできるんですが、中途半端ではダメと思い、プロにお願いしました。ゲームの世界観は昔のものになるのですが、最近のネットとかで流行っている言葉を使いたかったので、英語から訳しづらかったんですね。2chの言葉とかは英語で存在しないんですよ。それに似たような言葉はあっても、意味も雰囲気も違いますし。プロであるハチノヨンさんにお願いして翻訳したので、日本でのダウンロード数の伸びにもつながったと思いますアメリカのゲーム開発者としては、日本はビデオゲームの元祖という思いが強いので、日本でも人気を集めたいという気持ちが強かったのです。。

──気が早いのは承知ですが、次回作が気になりすぎます!!(笑)

クリス ありがとうございます(笑)。まだ内容はとくに考えていませんが、そろそろつぎのゲームに着手しようと思っていました。本当に具体的な予定はまだないんですが、夏ごろにリリースできるのが理想ですね。僕らは3人で実際に作ってみて、思考錯誤をしていくスタイルなんです。なので、実作業は帰国してからですね……(笑)。じつは私はホラーゲームに興味がありまして、10年ほどブログでホラーゲームのインプレを書いているんです。なので、そろそろ自分でホラーゲームを作りたいんで、次回作は……いや、やっぱりホラーにはならないでしょうね~(笑)。いつかはホラーゲーム作りますよ。ゾンビとかヴァンパイアが出てくるようなものではなく、プレイヤーが本当に恐怖を味わえるような作品を作りたいですね。

──ちなみに、一番好きなホラーゲームはなんですか?

クリス ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンが出している『SIREN』ですね。あれが一番恐いですね。あとは『サイレントヒル』『ナナシ ノ ゲエム』も好きですね。もうオタクって言っていいほどハマっていますよ(笑)。開発者の視点からホラーゲームのおもしろさを言わせていただくと、ホラーゲームは“恐怖”を作るためのゲームデザインなんですね。でも、ふつうのゲームは“楽しい”とか“おもしろい”と思わせるゲームはありますけど、具体的なポイントで特別な感情をプレイヤーに持たせられるのは、ホラーゲームだけだと思っています。私の持論になりますが、ホラーゲームのそのシステムを理解できれば、“切なさ”とかの複雑な感情も与えられるようになるのではないかと考えています。そのためにホラーゲームの研究を始めたんですけど、いまではただのオタクに(笑)。つぎはホラー系にならないと思いますけど、そのつぎぐらいには作りたいと思いますので、ご期待ください。

――ぜひ、来年の夏に!! そのまえに次回作に期待しまくってます(笑)。ありがとうございました。

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【ねじ巻きナイト】
メーカー:Robot Invader
配信日:配信中
価格:iOS版:170円[税込]、Android版:無料(アプリ内課金あり)
対応機種:iPhone/iPod touch、iPad、Android 2.2以上

(C) 2011 Robot Invader

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