最後にサプライズあり! 絶対にネタバレなしで遊んでね『428 ~封鎖された渋谷で~』
2012-01-08 10:00 投稿
●体験した多くの人が勧める、サウンドノベル史上最高峰の名作
バラバラに散らばった伏線が思わぬ集約を見せ、予想外なつながりで回収される。自分が推理を働かせたわけではないし、むしろ自分は読んでいただけ。なのに、プレイしているだけで、これだけの気持ちよさが味わえるのはなんだろう。読む者を気持ちよくさせる。『428 ~封鎖された渋谷で~(以下、『428』)は、そんな稀有なゲームであり、稀有なストーリーだ。
本作は、『弟切草』や『かまいたちの夜』といった、映像や音楽の演出とともに文章を読むアドベンチャーゲーム“サウンドノベル”のひとつ。2008年にWiiで発売され、その後 プレイステーション3やPSPへの移植を経て、サウンドノベルで初めてのiOSへの登場となった。本作のあらすじを少しだけ紹介しよう。主人公は4月28日に渋谷にいた5人の人々。5人はそれぞれ異なる目的を持ち、異なる事件に巻き込まれて、バラバラの行動をしていくのだが、ときどき彼らの運命は交錯し、幾人かはいつしか行動をともにするようになっていく……というものだ。
『弟切草』や『かまいたちの夜』など、数あるサウンドノベルのなかでも、本作は非常に先が気になる構成になっている。つぎからつぎへと予想外な展開が待つ構成は、海外ドラマに近いだろう。そんな構成をゲームならではのものに仕上げるのが、“KEEP OUT”と“JUMP”というシステムだ。本作は、ひとりの主人公の物語をずっと読んでいると、あるところで行き止まりを迎える。それが“KEEP OUT”。早くその先を読み進めたいところなのだが、それにはほかの人物の物語を読む必要がある。たとえば主人公のひとり、新米刑事である加納の物語を読んで、とても先が気にある展開でKEEP OUTになったとする。そこで、しぶしぶ加納はあきらめ、謎の着ぐるみ・タマの物語を読み進めていく。すると、タマの物語に加納に関する描写が現れたところで、加納のKEEP OUTの先へとザッピングする“JUMP”ができるようになるのだ。ならば、すぐに加納にザッピングして先を読み進めたいところ……なのだが、たいていの場合、JUMPできる時点でタマの物語にも熱中してしまっているため、「どっちを読めばいいんだ! っつーか、どっちも読みたい!」というジレンマに陥ることになる。
このKEEP OUTとJUMP、すなわちザッピングのシステムは、セガサターンで発売された『街』というサウンドノベルで採用されたものだが、『428』はさらにそれを進化させ、ゲームならではのザッピング、ゲームでしかできないシステムに昇華させている。この“ゲームでしかできない”という部分が、本作に隠されたサプライズなのだが、これに関しては実際にプレイして、「えっ!」という声を出してもらいたい。少なくとも筆者はこれを味わったときに本当に衝撃を受けたし、そんなサプライズをネタバレせずに味わえたことをいまだにうれしく思っている。
ちなみに、iOS版の『428』はユニバーサルアプリになっており、『428』のアプリを購入すれば、iPhone&iPod touch、もしくはiPadのどちらでも最適化された解像度で楽しめるようになっている。筆者は、最初はiPhoneでプレイしていたのだが、iPadでプレイしたときに、これまでにないサイズでの『428』の見えかたにちょっと驚きを覚えた。というのも、iPadのサイズは、これまで『428』が発売された据え置きゲーム機や携帯ゲーム機のどれとも異なる。携帯ゲーム機のように目の前にありながら、画面は大きいサイズ。『428』は静止画に文字を置いた画面構成だが、写真がどれも素晴らしく、カッコいいシーンが多いため、目の前の大きな画面で隅々まで見られることは、これまでにないうれしさだと思う。
本作に興味があって、ここまで記事を読んだものの、購入に踏み切れない人もいるだろう。その気持ちはわからなくない。なぜなら、サウンドノベルの最大の魅力であるシナリオはゲームを始めないと体験できないし、本作の魅力を伝える多くの記事にサプライズの詳細(ネタバレ)は書かれないからだ。『428』を勧めるファンのブログをいくつか読んだことはあるが、その多くは「ネタバレはできないから、とにかく遊んでほしい」という主旨のものだった。筆者も、これまでに書いた『428』のインプレッションには、「実際にサプライズを体験してほしい」といったことを書いてきた。本作の怒涛のように進むシナリオ、そして最後に待ち受けるサプライズは、プレイした皆が口をそろえて、もしくはブログで言葉を揃えて書くほどのものなのだ。何よりその評価の高さ、そしておもしろさは、iOS版の配信から2ヵ月近くが経っても、ユーザーレビューで星4つ半を記録していることが物語っているだろう。まだ本作を体験したことがなく、ここまで記事を読んでいただいた方がいるとしたら、その方はきっと本作にハマる素質を持っていると思う。すぐに本作を手に取り、誰もがハマる『428』ワールドにどっぷり浸かってほしい。(世界三大三代川)
【428~封鎖された渋谷で~】
メーカー:チュンソフト
配信日:配信中
価格:1800円[税込]
対応機種:iPhone /iPod touch、iPad
(C)CHUNSOFT
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