擬人化した動物たちが戦うリアルタイムシミュレーション『Paladog(パラドッグ)』
2011-12-23 12:00 投稿
●アニマル軍団を率いて悪魔の陰謀を打ち破れ!
『パラドッグ』は、当初韓国でリリースされた直後に話題となり、瞬く間に全世界で500万ダウンロードを達成したほどの人気アプリ。(日本でのパブリッシャーはバタフライ)ジャンルとしてはRTS(リアルタイムストラテジー)とTD(タワーディフェンス)の中間に位置するようなシミュレーションゲームと言えるだろう。
プレイヤーは、聖騎士の犬(つまりパラディン・ドッグ、略してパラドッグ)となって、地獄から甦った悪魔が率いるゾンビ軍団に立ち向かうため、頼もしい仲間たち(もちろん全員動物)を指揮(召喚)して戦うことになる。召喚した仲間ばかりでなく、主人公自身も戦場に立ち、さまざまな魔法で戦える点がポイント。ただし、総大将である彼のHPが0になると自動的に敗北となる。メインとなるキャンペーンモードでは、“MIND FOREST”や“ICE GLEN”など5のフィールドごとに各24のステージが用意されている。チュートリアルを兼ねたMIND FORESTの第1ステージから始めて、クリアーするごとにつぎのステージに進める仕組みとなっている。
▲味方の軍団は全員動物! とは言っても、人類滅亡後の地球が舞台で、『猿の惑星』よろしく人間的に進化しているのだが。 |
▲一度クリアーしたステージをくり返しプレイすることも可能。経験値やお金稼ぎに利用しよう。 |
●直感的にわかりやすく、気軽にプレイできる傑作
良作という評判は聞いていたものの、正直プレイするまえは「リアルタイム系って複雑でせわしないんだよなぁ」とか「逆にスゴくヌルいデキなのか? それもちょっとなぁ」と、個人的な偏見からいろいろ悲観的な想像をしていたため、恐る恐るゲームを始めてみたのだが……完全に杞憂。いい意味で予想を裏切られた。コミカルでクセのない絵柄。すぐに覚えられるが、かといって単調にもならない操作性。バラエティーに飛んだステージ構成。さまざまなやり込み&収集要素。韓国生れだが日本語へのローカライズは完璧だし、残酷表現のオンオフ機能や4段階の難度設定など、プレイヤーへの心遣いに至るまでもバッチリ。むしろ、RTSとかTD系のゲームに初めて触れる人の入門用にピッタリな作品。「お母さんもぜひお子様に勧めてあげてください」と、どこぞのエキセントリック少年ばりのセールストークをしたくなる出来栄えだ。なるほど、これが500万ダウンロードの魅力か!
▲プレイ開始後に痒いところに手が届くチュートリアルが見られるほか、特殊ステージではそのステージ独自の操作方法や目標もキチンと説明してくれる。 |
▲ステージ半ばにして、あえなく敗れても、そのステージで稼いだお金や経験値、アイテムはキチンと残る親切設計。 |
しかも、単にプレイしやすさが取り柄のライトゲームというワケでもなく、その世界観設定などもかなり個性的だ。人類が自業自得で滅んだ結果、「やっぱ人間は粗暴でダメだね~」と痛感した神様が、生き残った動物たちの知能を進化させて、新たに生まれ変わった地球が舞台。動物たちが、まるでエデンの園のようなほのぼのと幸福な暮らしを営むようになったのはいいが、そこで困ったのは悪魔たち。いままで人間の欲望につけ込む形で争いを煽り、悪しきエネルギーを得ていたというのに、それがなくなってしまっては商売上がったり……と、考えた悪魔たちは、滅亡した人間をゾンビとして甦らせ、平和な動物王国(文字通りの意味で)へと攻め込ませたのだ。
●いや、その発想はなかった!!
SF古典の『地球最後の男』やライトノベルの『鉄コミュニケーション』などのように、人類が滅亡した世界を描いた作品は少なからず存在するし、ゲームでも『ラストハルマゲドン』などはそれに該当するだろう。しかし、その滅亡したはずの人類を、ここまで徹底的に悲惨なザコ悪役の立場で描いた作品は、個人的には寡聞にして初めてだ(しかも、話の流れ的に納得できる!)。そしてもちろん、悪魔の使い捨ての手先として襲ってくるゾンビやガイコツ、ネクロマンサーたちを、我らが主人公パラドッグとその仲間ご一行は、きれいサッパリ葬り去ってくれるのである。
▲アンデッドとは言え、人間時代の知識が残っているのか、さまざまな武器や魔法を使いこなす強者も。味方の相性や配置をよく吟味したい。 |
加えて純粋にゲーム性という面から見ても、本作は非常に巧みなバランスの上で構築されている。少しずつユニットの種類や数が増え、手強くなっていく敵軍。まえのステージを切りぬけた戦力では、つぎのステージでは通用しないかもしれないが、それに対応すべく、味方側にもさまざまなパワーアップ手段が用意されている。さらに言うなら、ちょっとした発想の転換──たとえば、味方を召喚するタイミングや主人公の装備をほんの少し変えただけで、何度も敗北を喫したステージをいともあっさりクリアーできたりするのだ。そういうシーンに遭遇した際の「目からウロコが落ちる」爽快感は尋常でなく、同時に「これぞシミュレーションの醍醐味!」というゲーム好きならではの歓喜を感じることができるだろう。
▲かのドズル中将の「戦いは数だよ兄貴」という持論も、ときには通用しないことも。少数の精鋭が戦局を覆すこともままあるのだ。 |
▲パラドッグはメイス(魔法の戦棍)を3つ、指輪をふたつ装備できる。攻撃と防御を担うそれぞれの選択が戦況を分かつ! |
■基本操作
基本ステージでは、プレイヤーは馬に乗ったパラドッグを操作し、ステージ左端を出発し、右端にある敵の拠点へと進軍していく。無論、敵も黙って見ているわけではなく、拠点からつぎつぎに敵兵が湧き出してくるので、こちらも味方を召喚して対抗するのだ。味方ユニットは、画面左下に表示された食糧ゲージを消費することで呼び出せる。また、右下のマナゲージを消費することでパラドッグは魔法を使用可能。これらのゲージは時間とともに少しずつ溜まっていくので、移動スピードを調整する気遣いも必要だ。パラドッグの周囲には常時黄色いオーラが発生しており、このオーラの範囲内にいる味方は、特技を使用できたり少しずつ体力が回復したりといろいろな恩恵を受けられる。できるだけ味方と一丸になって進撃したいところだが、前述の通りパラドッグの体力が0になると敗走となるので、そのあたりのさじ加減も考えなければならない。
▲敵の拠点までたどり着き、拠点を破壊すればステージクリアー。短時間でクリアーすると、ボーナスとしてゴールドが増えるのだ。 |
▲特定の条件を満たしてクリアーすることで、アチーブメント(トロフィー)が得られることも。 |
数ステージおきに“デスティニーモード”や“馬車護衛ミッション”、“バトルフィールド”といった特殊なステージが挿入される。これらのステージでは、ふだんと異なる勝利条件や操作システムが提示されるので、ルールをよく理解して適切な指示を下さなければならない。
▲ランダム要素の強い“ディスティニーモード”は、ゴクゴキが吐き出すアイコンが勝利の鍵。ユニット召喚を優先しつつ、適度な間隔で魔法を使用しよう。 |
▲“バトルフィールド”では、横向きの5つのコースに敵味方がユニットを配置していく。コース内の敵を一掃して右端に味方が到達するごとに、上のゲージの青い部分が増えていく。赤い部分がなくなれば、自軍の勝利だ。 |
ステージをプレイして敵を倒すことで、パラドッグは経験値やGOLD、アイテムなどを入手できる。経験値が一定量溜まると、パラドッグのレベルが上がるのはRPGなどと同様。ただし、レベルアップ時にランダムに表示される3つのスキルからひとつを選んでパワーアップさせることができる。たとえば、“発掘”スキルを上げれば、アイテムを入手する確率が高まるし、“祈り”スキルを上げればマナの溜まるスピードが速くなるといった具合。スキルごとにレベル上限はあるものの、レベルが上げるごとにパラドッグが徐々に指揮官としても戦力としても強力になっていくのだ。
▲“農業”や“倉庫増加”といった召喚に関係するスキルも積極的に上げておきたい。 |
また、ステージ間のアップグレードメニューでは、貯めたGOLDを使用して、各ユニットを強化したり、ショップで買い物したりすることができる。とくにユニットは、最初はレベル1の“ストリートファイターマウス”(いわゆる将棋の歩的存在)しかいないので、できるだけ早めにいくつかの兵科を揃えてパワーアップさせたい。一方、装備アイテムのうち、メイスについては、最初から装備している“拳のメイス”がかなり優秀なので、資金に余裕がないあいだはあまり力を入れなくてもよい。指輪については、念のため“治癒の指輪”を買っておくとパラドッグが攻撃された際の保険になる。いずれにしても、何度かステージをくり返すうちに、店売りのものより性能のよいアイテムが手に入る可能性も高いので、資金はできるだけユニット強化に回すほうがいいだろう。(キッシー嵐山)
▲ただし、“ディフェンシブタートル”以降のユニットは呼び出すのに食糧50ポイント以上かかる。食糧倉庫スキルを強化するか“緑化の指輪”を装備しないと、食糧ゲージは最大40ポイントなので、せっかく購入しても召喚できないという悲しい結果に。 |
【Paladog】
メーカー:Butterfly Corporation
配信日:配信中
価格:210円[税込]
対応機種:Android 2.1以上
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