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狂気の半歩向こうを歩むサスペンスアドベンチャー『NOeSIS~嘘を吐いた記憶の物語~』

2011-12-16 12:30 投稿

●連続怪死事件の謎に肉薄する主人公に待つ結末は!?

著名な『かまいたちの夜』シリーズをはじめ、アドベンチャーゲーム、とくにノベルタイプのソレは、ミステリーやサスペンスとの相性が抜群によい。おそらく、メッセージはもちろん音楽やビジュアル、ときには選択肢すら利用して、プレイヤーの意識を意図的に誘導することで、上質の推理小説やサスペンスドラマに勝るとも劣らないサプライズを仕掛けることができるからだろう。

本作『NOeSIS』も、“事件”の“犯人”を見付けることが主人公の目的であるという面から見て、サスペンス系アドベンチャーの範疇に含まれる作品と言える。ただし、ゲーム中で選択肢が提示される機会はごく僅かで、どちらかと言うと、ひたすら物語を先へ先へと読み進めて、“真相”を知るタイプのゲームだ。

 

気まぐれに訪れた校舎の屋上で、飛び降り自殺をしようしている見知らぬ先輩を止めたことで、主人公は学園で起こる怪死事件に巻き込まれることになる。事件は自殺なのか、他殺なのか? 時折見え隠れする超常の影の正体は? 何かを知っているとおぼしきふたりの少女はどちらも口を閉ざし、主人公に「この件には深入りするな」と言う。もちろん、そんな忠告を聞き入れる程素直な性格をしていない主人公は、聞き込みを続けるのだが……。

ある種ミステリーのお約束とも言えるオープニングだが、そこから紡がれるのはサイコホラー的なテイストで味付けされたサスペンスと言うほうが正解だろう。

 
▲ゲーム開始した直後に挿入される、“自殺をはかる少女”の光景。彼女の正体も物語を読み進める中で明らかになる。
 
 
 
▲明るい学園生活の合間に、いきなりギクリとするようなショッキングなシーンや会話が出現する。そして物語が進むにつれて、非日常の世界が主人公の日常を侵食していくのだ。

●ようこそ、素晴らしきヤンデレワールドへ!!

本作は、ブッ続けにプレイしても軽く10数時間はかかる程のボリュームがありながら、無料でダウンロードできるという太っ腹なソフトだ。かといって、安かろう、悪かろうというワケでは決してなく、むしろ質・量ともに非常に高いクオリティーを維持しており、しかもこれを個人が作成したということに、まず驚かされた。

画面上に現れるキャラクターは、ほぼ全員主人公と同世代の女の子ばかり。絵柄もかわいらしい部類に入るし、さらに言えば、「主人公が学生(高校生)で、朝起こしに来てくれる幼馴染の少女と、かわいい妹と、ミステリアスな美人の先輩がいる」という、いわゆるギャルゲーフォーマットな環境。いくつか画面を見ただけだと、「ああ、ごくふつうの学園恋愛物な」と誤解してしまうかもしれない……が! そう思ってゲームを始めた人のおそらく大半が、プレイ開始後30分にして絶叫するのではないだろうか? 「騙された! まともなヒロインがいねぇ!!」 “まとも”という言葉の定義はここでは省くが、少なくともヒロイン4人全員、心のどこかに病んだ部分を抱え、時折それが表に漏れているのだ(中には隠す気がなく溢れ出している御方も……)。俗に言うヤンデレ系。その昔、「ヒロイン全員ツンデレ!?」というキャッチコピーのゲームがあってそれなりの好評を博したが、それにしたってヒロイン全員ヤンデレとは、またピーキーな選択をしたものだ。

 
▲両親不在の主人公の家の家事の面倒を見てくれているのに加えて、朝は起こしに来てくれる甲斐甲斐しい幼なじみの「こよみ」。ただし、時折虚ろな瞳で寒気のするような言葉を漏らすことも。
 
▲主人公が屋上で出会った、人を見透かすような冷たい目をした(そして実際に心を読める)先輩の「千夜」。美人で隙がない少女だが、重度の自殺志願者。主人公にも、親切なのか冷たいのかよくわからない態度をとる。
 
▲この学校の生徒会長。正確には任期は終わり、現在引き継ぎ中。千夜と同じ顔をしているが、性格や雰囲気は正反対で、明るく愛想よくかわいらしい。なぜか異様に主人公に好意的。
 
▲主人公の妹である「憂姫」。昔遭った事故で手足がやや不自由だが日常生活に支障はない。利発で兄思いな、本作唯一の癒しキャラ──そう思っていた時期が、私にもありました。

敢えて言おう。「だが、それがいい」と。そもそも主目的が「学園で起こる謎の連続怪死事件の真相を追う」という殺伐としたものなのだ。事件に出くわすたびに、キャーキャー悲鳴あげるだけの、気弱な(ある意味正常な)ヒロインでは鬱陶しいし、開始して15分で第2の犠牲者になっているのがオチだ。その点、本作のヒロインたちは頼もしい。たとえ目の前で同じ学校の生徒が飛び降りても、眉ひとつ動かさず、自分の行動のジャマをしたことを咎めるクールな先輩。主人公がほかの娘と親しくしていると、途方もない怪力で嫉妬からベンチプレスなどあり得ない重さのものを投げつけてくる幼なじみ。兄の奇矯な行状を分析し、冷静にアドバイスをくれる賢い妹。なるほど、これなら怪死事件なんてメじゃないよね! ……と思うのは早計で、彼女たちもまた各自が抱えた心の闇のせいで強くも弱くもなる。時に殺し、時に殺される側に立つ少女たち。先の見えない状況と、彼女たちの重い(重過ぎる)想いに翻弄されながら、主人公は事態の収拾をはからねばならないのだ。

以上のような内容から、実際プレイする人を選ぶ内容だとは思う。人の心の奥に潜む影。本作はそれを主題に物語を組み立てているのだから。ゲームの世界とは言え、重たいテーマだが、だからこそ人の心に響くものがあるのも確かだ。心の闇を覗いてめげない覚悟があるなら、充実した時間が過ごせるのではないだろうか。

 
 
▲ときおり挿入される日常の癒し的場面に目を奪われると、そのあとのシリアスーンとのギャップがいっそう心に突き刺さることに。
 
▲純粋なミステリーと言うよりは、ややオカルトじみたギミックも用意されているので、その点でもやや人を選ぶかもしれない。

■基本操作

標準的なノベルタイプアドベンチャーと同様、画面をタップすることでメッセージを読み進めていくことになる。セーブ&ロードはもちろん、オートモードやスキップ、バックログといったこの種のゲームに必要な機能も画面左下のメニューボタンを開くことで利用できる。シナリオ終盤に選択肢が表示されることがあるが、そのときは自分の選んだ選択肢を直接タップすればよい。ただし、選択肢表示中はセーブができないので、シナリオの随所でこまめにセーブするクセをつけておくほうがいいだろう。

なお、本作のシナリオは4つの章に分かれていて、それぞれがほぼ独立した話として存在している。プレイを開始した当初は強制的に「千夜の章前編」をプレイすることになるが、各章を終えるごとにひとつずつつぎの章がプレイ可能となる仕組みになっているのだ。(キッシー嵐山)

 
▲バックログはかなりまえまでたどれるが、シーンが変わると途切れてしまうこともある点が少し厄介。
 
▲各章はバラバラのようで、じつは裏でリンクしている。すべての謎をとくには4つ目の「憂姫」まで読み終えなければならない。

【NOeSIS-嘘を吐いた記憶の物語-】
メーカー:cutlass
配信日:配信中
価格:無料
対応機種:Android 1.6以上

 

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