10年ぶりの『ソリティ馬』は、やはり……年度代表馬クラスのおもしろさだった!!【大塚角満の『ソリティ馬 Ride On!』レビュー】

2023-01-29 15:00 投稿

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ソリティ馬 Ride On!

◆あのころの熱狂が蘇った!!

いまから10年も昔の2013年、当時連載していた週刊ファミ通の巻末コラム“大塚角満のゲームを読む”で、カードゲームの『ソリティア』と、競馬ゲームが理外の合体を果たした奇天烈なタイトル(※注:めっちゃホメてます)について、褒め殺しのような記事を書いたことがある。

それはもちろん、あのゲームフリークが制作した傑作ニンテンドー3DS用ソフト『ソリティ馬』のこと。

2014年秋からスマホ版のサービスも開始されて話題を振り撒き、惜しまれつつも配信終了となっていたのだが、なんと去る1月20日にApple Arcadeにて『ソリティ馬 Ride On!』の名で大復活ッ!!!

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縁側で茶をすすり始めた俺のような御隠居ユーザーを、再び狂喜の渦に叩き込んでくれたのであるッッ!!!

『ソリティ馬 Ride On!』のサービス開始以来、俺の脳ミソは、風呂に入っているときもトイレに籠っているときも、ヘタすりゃ夢の中でまで、

「A(エース)が出てくれたらK(キング)から一気に繋がって……! 6……いや7枚まで連続で取れるはず……ッ!! そうしたら“人馬一体”が発動して……! 劣勢を挽回して……ッ!!! じじじ、GIタイトルをッ!!!」

なんて、『ソリティ馬』のことばかり思考するようになってしまった(苦笑)。ほかにも仕事でプレイしなきゃいけないゲームが山積みになっているってのに、とんでもないことになってしまったものである。

そんな、焼け木杭に火の状態になって『ソリティ馬 Ride On!』で遊んでいるので、その成果として1本くらい記事を残しておこうと思った次第である。

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でも、その前に。

ニンテンドー3DS版の『ソリティ馬』について書いた10年前のコラムが、このゲームのおもしろさの真髄に触れまくっているので、ちょっと長くなってしまうんだけど一部を抜粋して紹介したいと思う。

◆◆◆

ある日、仲のいいクリエイターさんとお酒を飲みながらゲーム論を戦わせていたとき、その方がこんなことを言ったのだ。

「そう言えば大塚さん、そりてぃ……ナントカってゲーム、知ってますか?」

「ん?」と首を傾げながら、僕は素直に答えた。

「ソリティアだったら大好きですよ。そもそも僕は、カードゲーム以上に完成されたゲーム体系はないと昔から思っ……」

僕のかっこいいセリフをまったく聞かず、クリエイターさんが声を大きくした。

「あ、『ソリティ馬』だ! 『ポケモン』のゲームフリークさんの作品で、ニンテンドー3DSのダウンロード専用タイトル。めちゃくちゃ出来がいいって、半年くらい前から話題ですよ!」

お恥ずかしい話だが、僕はこのときまで『ソリティ馬』のことを知らなかった。なんでも、ひとり用トランプゲームの“ソリティア”と競馬ゲームがドッキングしたような作品で、「下画面でソリティアをプレイすると、その結果が競走馬の気合や折り合いといった要素に影響を及ぼして、白熱した競馬が楽しめるらしいです」とのこと。

その、あまりにも斬新な発想に心を惹かれてしまった僕は、「明日にでもダウンロードして遊んでみます!」と言ってクリエイターさんと別れたのであった。

翌日、さっそくニンテンドー3DSを起動して“ニンテンドーeショップ”にアクセスし、すぐに出てきた『ソリティ馬』を購入。価格は500円だった。そして、逸る気持ちを抑えながらソフトを起動し、画面の説明に従いながら10分ほど遊んだ結果……。

「うわああああ!! めちゃくちゃおもしろい!! なんでもっと早く遊ばなかったんだ俺><」
ステキなゲームに出会えた喜びよりも先に後悔の念が押し寄せてきてしまったほど、『ソリティ馬』はじつに楽しく、完成されたゲームだったのだ。

ゲームの説明は上の数行ですべて……ってくらいシンプルなものなのだが、そもそもソリティアと競馬ゲームをくっ付けてしまうというぶっ飛んだ発想がたまらなくステキだ。現実世界の整合性なんてどうでもよく、“ゲームとして楽しければそれでいい”と割り切って舵を切った感じがひしひしと伝わってきて「さすが!」と手を打ちたくなる。この『ソリティ馬』が放つ“ナンセンスなことを楽しんじゃえ”というオーラは、古き良き時代の家庭用ゲーム機用ソフトが持っていたものと同質なもので、どこか懐かしくすら感じた。

◆◆◆

ここで書かれている、

「現実世界の整合性なんてどうでもよく、“ゲームとして楽しければそれでいい”と割り切って舵を切った感じ」

とか、

「“ナンセンスなことを楽しんじゃえ”というオーラ」

とかとか、

「古き良き時代の家庭用ゲーム機用ソフトが持っていたものと同質なもの」

なんて部分はまさに『ソリティ馬』の本質で、それはもちろん『ソリティ馬 Ride On!』に引き継がれている。

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育成やレースの選択など、“競走馬育成ゲーム”としての造りは極限までシンプルにまとめ、

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ゲーム性のほとんどをレースシーンに任せてある。

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競走馬を速く走らせられるかどうかは、プレイヤーのソリティア次第。

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それにプラスして、スタミナの管理スペシャルカードの回収などを、かなりアナログな操作で指示を出していく。

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まるでボードゲームで遊んでいるかのような手触りと、競馬ゲームらしく目まぐるしく展開していくレースの様子は『ソリティ馬』というゲームならではのものだ。

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会心のプレイでソリティアでパーフェクトを出し、馬がMAXパワーで突き進む“人馬一体”が発動したときのカタルシスたるや……ッ!!!

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そしてゴールまで突き進み、GIタイトルを獲ってしまった日には……ッッ!!!

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その瞬間、これをお読みのアナタも『ソリティ馬』の虜になってしまうことを保証するいや、断言する!!

簡単ルールにカスタマイズされたソリティアだけでも楽しいのに、それに連動してかわいい愛馬が活躍してくれたのを見て、夢中にならないわけがない。

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▲自分で育てた馬同士を配合させ、その遺伝子を受け継いだ2世をデビューさせることもできる!!

育てるだけ育ててレースは放置の育成系競馬ゲームも大好きだけど、こうやってワンアイデアをもとに能動的にレースに絡める『ソリティ馬』のアプローチには、10年の時を超えて再度頭が下がるばかりである。

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そう、『ソリティ馬 Ride On!』の基本システムは、10年前に遊んだそれとまったく変わらない。それでいてこれだけのおもしろさと新しさを感じさせてくれるってんだから……!!

俺が夢中になってしまったのも、仕方のないことだったのであるwww

(大塚角満 https://twitter.com/otsuka_kadoman

ソリティ馬 Ride On!

ジャンルシミュレーション/テーブル(トランプ・将棋など)
メーカーゲームフリーク
配信日2023年1月20日
コピーライト

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