10年ぶりの『ソリティ馬』は、やはり……年度代表馬クラスのおもしろさだった!!【大塚角満の『ソリティ馬 Ride On!』レビュー】
2023-01-29 15:00
2023-01-18 19:00 投稿
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ソリティ馬 Ride On!
ニンテンドー3DSでリリースされ、一時期はスマートフォン向けアプリとしても展開していた『ソリティ馬』。
本作は、カードゲームの定番であるソリティアと競馬を掛け合わせたユニークな作品だ。
その『ソリティ馬』が『ソリティ馬 Ride On!』と名を改め、2023年1月20日よりApple Arcadeで配信される。
今回、『ソリティ馬 Ride On!』を配信に先駆けてプレイすることができたので、その概要や所感をまとめてお届けする。
記事の後半では、本作のディレクターであるゲームフリーク・田谷正夫氏のインタビューも掲載しているので、ぜひ最後まで目を通してほしい。
『ソリティ馬 Ride On!』では、プレイヤーがジョッキーとして馬を駆りレースに挑むことになる。
ゲーム冒頭、主人公は調教中の馬に蹴られて死んでしまうが、神様(?)によってソリティアをすることで馬を走らせることができる能力とともに復活。
能力に目覚めた主人公はさまざまなオーナーの持つ馬を預かり、レースを通して馬を成長させながらダービーでの勝利を目指していく、というのが本作の大まかなストーリーだ。
本作は育てる馬を選んでレースに挑み、引退を迎え、新たな馬を選び……、というサイクルで進行していく。
レースは複数回発生するソリティアパートと最後の直線パートに分けられ、基本的にソリティアパートでいい結果を残すほどレースでもメリットが得られる。
本作のソリティアは一般的なものに比べてルールが簡略化されており、マークに関係なく数字が1大きいか1小さいカードをつなげることができる。
通常のソリティアでは10⇒9⇒8……と重ねていくのに対し、本作では10⇒9⇒10⇒J……などのように大小自由に取ることができ、途中で折り返すことも可能だ。
レース中に発生するソリティアは、スタートソリティアとスタート後に行うソリティアの2種が存在。
レースは毎回スタートソリティアから始まり、“START!”の6文字いずれかが書かれたカードを取ることで出走できる。
取る文字によって序盤につく位置も変わってくるが、ソリティアには制限時間があり、時間内にカードを取れないと出遅れてスタミナを浪費してしまう。
スタート後のソリティアは、ウマの“おりあいパワー”を貯めていくのがおもな目的となる。
挑戦するソリティアのレベルなどはポジションによって変化し、ウマはおりあいパワーを消費することでポジションを移動できる。
余ったおりあいパワーは気合に変換され、気合が貯まっているほど最後の直線でスピードが出せるようになる。
最後に直線に向けて気合を貯めつつ、状況に応じてポジションを変えていくのがポイントだ。
レース中には前方からスペシャルカードが流れてくることがあり、これを取得した状態でソリティアを始めると、場の札に取得したカードが追加される。
経験値が増加する蹄鉄カードやスキル習得につながるひらめきカードといった成長を促進するものから、最後の直線で加速が可能になるブーストカード、はたまた取りこぼすとウマのゴキゲンが悪化するボロボロカードなど、スペシャルカードの種類もさまざまだ。
一定回数のソリティアを終えて最後の直線に入ると、一転してウマの操作に切り換わる。
ウマの操作は上下の移動と加速、減速のスピード調整がメインとなっており、操作自体はシンプルだ。
ただし、ほかのウマに衝突するとスピードが落ちてしまったり、最終コーナーでインコースに入りすぎると馬群に飲まれて抜け出せなかったりと、しっかり競馬ゲームらしい操作を楽しむことができる。
ウマの一生はライフマップという形で描かれ、出走可能なレースがマス目状に表示される。
レースの勝敗に応じてルートは分岐していき、勝利を重ねるほどGIなどの大きなレースに出走できるようになる。
ウマは引退すると牧場に入り、オスとメスをカップリングすることで仔ウマが誕生する。
仔ウマは親になったウマの特性などを引き継ぐので、繰り返しプレイして理想のウマを生み出す楽しみもある。
『ソリティ馬 Ride On!』は、ソリティアパートも一般的なソリティアに比べて簡略化されており、競馬ゲームとしてもある程度シンプルなかたちにまとめられた作品だ。
非常にカジュアルで遊びやすい一方、手軽に遊べるがゆえに中毒性が高く、もう1レース、もう1頭、とプレイをするうちに時間が溶けることも珍しくはない。
Apple Arcadeでの配信ということもあり追加課金といった要素もなく、自分のペースで自由に遊べるのも魅力。
過去にリリースされた『ソリティ馬』のファンはもちろん、ソリティア好き、競馬好き、あるいはかわいい絵柄に惹かれた人など、とにかくものは試しで触れてほしい一本だ。
以降は、本作の配信に先立って行われた『ソリティ馬 Ride On!』ディレクターの田谷正夫氏(文中:田谷)へのインタビューの内容を掲載する。
――今回、『ソリティ馬 Ride On!』がApple Arcadeで配信されることになった経緯を教えてください。
田谷:スマートフォン版は日本語版だけを配信していたのですが、フリー・トゥ・プレイで展開する経験値などが不足していたこともあり、短い時間でサービスが終了してしまいました。
ただ、『ソリティ馬』を復活させてほしいという声は届いていて、「何とかできないか」とはずっと思ってたんです。そのうちに日本でもApple Arcadeのニュースを聞くようになって、サブスクリプションという形で、新しいゲームの提供の仕方が始まるのかな、という流れも感じていました。
アプリ内課金なしに定額で遊んでいただけるのであれば、「コンシューマー時代の売り切りに近い感覚で遊んでもらえるかも」という可能性を感じて、Apple Arcadeで配信させていただこうと考えました。
――ニンテンドー3DSのころから大きく変化した部分と、変わらずに継承している部分を教えてください。
田谷:いちばん変化したのは、パッと見でもわかるように、レースが3Dになっているのがいちばん大きいかなと思います。オリジナル版は2画面あったので、スマホ版で1画面に落とし込むのはけっこうたいへんだったんです。
以前のスマホ版ではニンテンドー3DSの上画面と下画面をボタンで切り換えるような仕様にしていたのですが、今回はレースシーンが3Dになったことで1画面に統一できて、カードの登場や馬同士の位置関係などがわかりやすくなっています。
継承しているのは、ソリティアのルールにあまり余計なものを混ぜないことですね。ソリティアをするときにはそこだけに集中してもらえるように、複雑にしないということを念頭に置いて、ソリティアの楽しさを体験していただくことを大事にしています。
――そもそも、ソリティアと競馬を掛け合わせるというアイデアはどのように生まれたのでしょうか。
田谷:僕が元々競馬ファンだったこともあって、中学生くらいのころに競馬ゲームにドハマりしていたんです。プログラマーになった後もそれを覚えていて、「いまならプログラムが作れるんじゃないか」と思ってやってみたらそれらしいものができてしまって野望を抱き始めたんです。
しばらくして『ポケットモンスター』のコンボーザーである一ノ瀬が、ソリティアのアプリを教えてくれて、「これを競馬のゲームに使えないか」ということをささやいてきたんです。そのソリティアがまさに『ソリティ馬』で採用されているルールのもので、一時期すごくハマっていたんです。
その後、一ノ瀬を誘って社内でチームを立ち上げ、試行錯誤しながら作ったのが最初の『ソリティ馬』です。
――ニンテンドー3DS時代から遊んでいる人は本作にもすんなり入れますが、今回初めて遊ぶ人に向けて気を使った部分はありますか?
田谷:できるだけ、チュートリアルのテキストを減らして、操作しながらなんとなくで覚えられることを心掛けました。オリジナル版は10年くらい前の作品で、もうちょっとチュートリアルを短く、テンポよく作るべきだったなという思いがずっとあったんです。なので、文字を読まなくてもUIで理解できるように、ということを意識しました。
――ウマのグラフィックがかわいいのも特徴かと思いますが、3D化にあたってこだわったのはどのような部分でしょうか。
田谷:基本的には、ニンテンドー3DSのころのウマをそのまま3Dモデルにしたんですけど、2Dだと映っていなかった後頭部とかも映るようになるので、そういったところも含めて納得がいくように、かわいい感じが出せるようにしています。
――今回初めて遊ぶユーザーに向けたアドバイスなどがあれば教えてください。
田谷:ソリティアパートは時間制限の中でやるからこそおもしろいというのがありますが、焦らずにじっくり考えてほしいですね。あと、競馬が好きな人はわかると思うのですが、GIのレースに優勝するというのはすごく難しいことなんです。なので、GIはひとつの山場として、なかなか勝てなくても諦めずに優勝を目指してほしいと思います。
――今後アップデートで何かしらの追加などは考えられていますか?
田谷:現時点で明言できることはないのですが、まずはユーザーさんの反応を見て、より遊びやすく、おもしろくできるようなコンテンツを追加していくことに注力していきたいと思います。
――ちなみに、主人公と先生のやり取りが関西弁になっていますが、関西が舞台になっているのでしょうか。
田谷:いや、関東なんですよね(笑)。なんでなのかはわからないんですけど、私の本能的なもので、ああいう掛け合いは関西弁のほうが柔らかい感じがしていいかな、と。標準語で怒られるとヘコむというか、きびしい感じがするので、「アカンがな」みたいに言われたほうがヘコまないかな、と。
――テキストも田谷さんが考えられているのでしょうか。
田谷:そうですね。テキストも全部自分が考えています。
――最後に、今回のリリースから『ソリティ馬』の新作を期待するファンも多いかと思いますが、新作の可能性について伺えますか?
田谷:可能性はあるのかな、と思っています。本当に今回の反応とか、『ソリティ馬 Ride On!』がどれくらい受け入れられるか、楽しんでいただけるか次第だとは思っています。個人的には可能性はゼロではないと思っています。
新しいものを作りたいという気持ちは開発者全員持っているのですが、まずは今回の『ソリティ馬 Ride On!』をしっかりと楽しんでいただいて、どうすればもっとユーザーさんに喜んでもらえるかという部分を考えていきたいと思います。
対応機種 | iOS |
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ジャンル | シミュレーション/テーブル(トランプ・将棋など) |
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メーカー | ゲームフリーク |
公式サイト | https://www.gamefreak.co.jp/rideon/ |
配信日 | 2023年1月20日 |
コピーライト | © 2023 GAME FREAK inc. |
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