【インタビュー】スクウェア・エニックスとOasysの今後について 人気IPでのブロックチェーンゲーム展開はあるのか?
2022-11-17 12:05 投稿
今年中に10タイトルがローンチ?
ゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトOasysの初期バリデータとしてスクウェア・エニックスが参画を決定したという一報を受けたファミ通App編集部は、Oasysの松原亮氏(文中:松原)とスクウェア・エニックスの畑圭輔氏(文中:畑)にインタビューを実施。
Oasysとスクウェア・エニックスのブロックチェーン事業の今後の展開についてお話を聞くことができたので、本記事でお届けする。
ゲーム特化のブロックチェーンOasys
――まず最初に、Oasysとは何か簡単にご説明をお願いします。
松原 Oasysは、ゲームに特化したブロックチェーンです。代表的なチェーンですと、イーサリアムやPolygonなどがありますが、これらのブロックチェーンの多くが汎用的なものになっていて、ゲーム以外の様々なアプケーションで使われています。そんな中、Oasysは、ゲームで使いやすいブロックチェーンとなっています。
――ゲームで使いやすいというのは、具体的にどのように使いやすいのでしょうか。
松原 ブロックチェーンゲームは、様々なブロックチェーンのプロジェクトの中でもトランザクション(取引)がかなり多い方です。我々のチームにはもともと『My Crypto Heroes ( マイクリプトヒーローズ)』(以下、『マイクリ』)というゲームに関わっていた人が多いのですが、その運営の中で利用しているチェーンが詰まってしまい、取引のスピードが遅くなり、まともにゲームができなくなるという経験をしているんです。
――Oasysではそこが解決されると。
松原 そうですね。ブロックチェーンゲームの課題が3つあると思っていまして、ひとつはスピード。極端な例ではありますが、アイテムの交換やキャラクターの強化1回につき毎回1時間かかってしまうようでは、ゲームにならないですよね。
ふたつめが手数料。ひとつのアイテムを交換するのに1万円とかかかっていた時代があったんですけど、これもゲームとして成り立たないと思うので、Oasysでは無料にします。
3つ目は、チェーンにまつわるUXなどです。現状では、一般のゲーマーの方々は非常に使いにくい状態だと思っているので、エコシステム全体で変えていきたいと思っています。
――ありがとうございます。Oasysは、ゲーム特化のブロックチェーンということですが、ゲーム以外には使われないのでしょうか。
松原 基本的にはゲームのみですね。ただし、NFTなどゲームに関わるようなもの、ブロックチェーンゲームを補助するようなものに関しては取り扱っていきます。
――Oasysにスクウェア・エニックスが参画するというニュースが発表されましたが、参画を決められた理由を教えていただけますか。
畑 『資産性ミリオンアーサー』というNFTプロジェクトを運営していく中で課題なども見つかってきて、ブロックチェーンについても理解を深めていかないといけないという思いがありました。
そこで、我々の事業部としてもブロックチェーンに関係するプロジェクトの体制強化と合わせて、Oasysの初期バリデータとして参画することによるブロックチェーンの知見も得ていきたいということで参画を決めました。
――国内の大手ゲーム企業の参画となりますが、Oasysとしてどのように捉えていますか?
松原 当然ながら、非常に心強いですね。黎明期からやってきた我々としては、フェーズとしてイノベーターやアーリーアダプターという段階から、マス(一般層)に向けて広めていく上で、大手のゲームメーカーさんが参画していただけるのは、非常に力になります。
ブロックチェーンゲームを普及させるために
――マスに向けてというお話が出ましたが、現状のブロックチェーンゲームは仮想通貨などに詳しい人がプレイしているという印象があります。このあたりを一般化していくにはどのようなことが必要だと思いますか。
畑 Oasysには、コンテンツや事業者ごとに世界観を構築できるVerse(バース)という概念がありまして、例えばですけど、スクエニバースというものを作って我々の世界観を好んでくれる人が楽しめる場を作るなどして輪を広げていくことなども検討することができます。
――Oasysとしてはいかがでしょうか。
松原 そうですね。ブロックチェーンだけではゲーマーの方々に届けることは難しいので、まずはゲームメーカーさんたちがゲームを作りやすい環境を整えていくことをしていきたいと思います。
チェーンとしては、スピードやコストといった障壁を取り除いたうえで、ブロックチェーンゲームと意識せずにプレイできるようなところを目指していきたいです。
――例えばスマホゲームでは、強化ボタンをポチっと押せばすぐに強化完了となりますが、ブロックチェーンゲームでもそのくらいのレスポンスを目指していくと。
松原 はい。そのうえで、スマホゲームのときもスマホならではのおもしろさというものが出てきたと思うのですが、ブロックチェーンゲームならではのおもしろさが出てくると一般の方にも広まっていくかなと。
あと、最近ではeSportsなども流行って一部のプロの人がゲームで稼げるようにはなってきましたよね。『マイクリ』では、‟ゲームにかけた時間もお金も情熱もあなたの資産となる世界”というテーマを掲げているのですが、ゲームはムダじゃない、その後の人生も豊かにできるんだと「ブロックチェーンゲームは、ゲームの社会的意義も変えられるんだ」というメッセージも伝えていきたいですね。
――ブロックチェーンゲームならではのおもしろさという部分について、畑さんはどう考えていますか。
畑 これまでのゲームでは、何十時間かゲームが終わるまでプレイしてそれで終わりでした。しかし、ブロックチェーン技術が加わることによってそこで育成したキャラクターやアイテムなどのデジタルデータをユーザー間で売買することができて、場合によっては利益を得られるというのはブロックチェーンゲームならではのおもしろさだと思います。
――‟ユーザー間で売買ができる”だけでゲームごとに様々な特徴が生まれてきそうですね。
畑 そうですね。『資産性ミリオンアーサー』ではデジタルシールの販売を行っていますが、これもゲームごとにそれぞれやり方があるので、社内でほかの事業部の人からも、「おもしろい技術だね」とか「新しいことができそう」という声もあります。
――今回、『ミリオンアーサー』というIPとブロックチェーンの組み合わせでしたが、ほかのIPタイトルでブロックチェーン技術を利用したプロジェクトなどは今後でてくるのでしょうか。
畑 もちろんブロックチェーンという技術と相性のいいIPがあれば、ブロックチェーン技術を使ったコンテンツも検討の余地はあると思っています。ただ、新しい技術に対しては新規のIPの方がより自由に展開していけるので、まずは新規IPでのチャレンジが重要と考えています。
――現状、スマホゲームは無料で遊べるものが多いですが、ブロックチェーンゲームはNFT購入など、初期投資が必要なイメージがあります。こちらはどう考えていますか?
松原 畑さんがおっしゃっていたように、各ゲームによって千差万別ではありますが、『マイクリ』のようにNFTの購入もできるけど、プレイすることでNFTが手に入るゲームもあります。初期投資が必要、不必要含めて、ブロックチェーンゲームの窓口を広げることが、一般のゲーマーの方に触れてもらうためには必要かなと思います。
Oasysの今後の展開
――Oasysについて、今後の展開について教えてください。
松原 まずは、ブロックチェーンのローンチですね。そしてOASトークンのローンチと時期はまだ言えないのですが、初期タイトルのローンチもあります。
▼Oasysメインネットのローンチを発表
――初期タイトルのローンチというのは、遊べるようになるという認識で間違いないですか?
そうですね。今年中に10タイトルくらいが出ると思います。
――10タイトル! それこそ各ゲームによるとは思うのですが、プレイ環境などはどんなものが多いのでしょうか。
松原 まずは、メインとなるのがブラウザですね。あとはPCでクライアントによるもの。そして一応ですが、アプリもあります。
ただし、アプリに関してはストアのレギュレーションなどによって変わってきますので、どうなるかはまだわかりません。
――ありがとうございます。グローバルでの展開についてはいかがでしょうか。
松原 メインマーケットを何個か選んでいまして、『Axie Infinity』が流行ったというのもあるのですが東南アジア、そして日本、あとはゲームという観点でも、Web3という観点でも今ホットなラテンアメリカ、そしてインドの展開を考えています。
――最後になりますが、今後のブロックチェーンゲームの発展に向けて意気込みなどをお願いします。
畑 『資産性ミリオンアーサー』も含めて、ユーザーのみなさまに楽しんでもらうことが大前提として、その中で新しいブロックチェーンという技術を使ってみたことのない景色を見ていただけるように頑張っていきたいと思います。
松原 スクウェア・エニックスさんのようなゲーム会社が、しっかりとゲームを出せるような環境を整え、そこからグローバルに展開できるようにサポートできるような体制も整えていきたいと思います。
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