
AIが生成したキャラクターはゲーム内に実装可能か?『逆転オセロニア』のエイプリルフール事例から学ぶAIのビジネス運用手法と課題【CEDEC 2022】
2022-08-27 15:00 投稿
AIキャラの違和感を解消する技術・企画双方のアプローチ
2022年8月23日に開催された、開発者向けカンファレンス“CEDEC 2022”にて、セッション“アセット生成AIで作成したキャラクターをリリースした事例 ~これが『逆転オセロニア』のエイプリルフール!~”が実施された。
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本セッションでは、DeNAが配信するスマートフォンアプリ『逆転オセロニア』(以下、『オセロニア』)のエイプリルフールイベントでAIが作成したキャラクターをリリースした事例について、どのようにAIを利用し、ゲーム内に落とし込んだのかが語られた。
AI生成画像は、ビジネス運用が可能なのか? 同社PMの吉村拓真氏、エンジニアの阿部佑樹氏は、AIを利用する上でさまざまな課題に直面しながらも、ふたつの側面からのアプローチでイベントを成功に導いた。その手法について詳しい内容が紹介されたので、本稿にてリポートしていく。
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【講演者】
・吉村 拓真 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
データ本部データアナリティクス部AI推進グループ
PM
・阿部 佑樹 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
データ本部AI技術開発部 第二グループ
エンジニア
ゲーム業界でも毎年各ゲームがさまざまな催しを実施する、4月1日のエイプリルフール。アプリゲームにおいては、いつもとは違う変わったイベントを実施したり、SNSや動画コンテンツなどゲーム外でも盛り上がりを見せるのがお約束となっている。
『オセロニア』の場合は、そんなエイプリルフールにAIが自動生成したキャラクターをゲーム内に実装するというイベントを実施した。
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イベントでは、AIを用いて架空のキャラクターを10000体を生成。さらに、キャラクターの一言メッセージなどもすべてAIが生成したほか、『オセロニア』に登場する既存のキャラにそっくりな外見のAI生成キャラなども登場させたという。
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結果的にはイベントは好評に終わったようだが、実際に企画を進める中で、AIキャラを使う上での課題も見えてきたという。
わかりやすい例として挙げられたのは、世界観とのミスマッチ、生じるギャップについて。一見クオリティの高いキャラクターをAIが作ったとしても、世界観や既存のキャラと合わないデザインに仕上がるなど、ゲームの世界観を壊しかねない、要求品質に達しないものになってしまったそうだ。
そのミスマッチをどのように埋めていくのか。エイプリルフールイベントを通じて得られた知見や活用方法が、企画的アプローチ、技術的アプローチの2点で語られることになった。
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技術面でまず課題として挙がったのは、コストと品質問題。
前述した通り、AIの生成したキャラクターは世界観とのミスマッチにより、『オセロニア』で提供するクオリティには満たなかったという。そして、クオリティを上げるにはAIに対する大規模学習が必要になるが、当然そこには膨大なコストがかかるという問題が生じる。
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また、AI活用を目的として据えることの難しさも課題として挙がったそうだ。
AIを活用するのはビジネスの観点からすると、あくまで手段にすぎず、前提となる目的はプレイヤーにおもしろい体験を届けること。AIを使っておもしろさを届けられるという合理性が求められたという。
また、前述したようにAIの生成する画像には世界観とのミスマッチが生じてしまい、仮に99%の精度を出しても、1%の違和感にユーザーは気づいてしまうと捉えたそうだ。技術・企画双方からのアプローチによってそのギャップを埋めていった結果が、エイプリルフールイベントに繋がっている。
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複数のAIを組み合わせて実用可能なクオリティのイラストを自動生成
実際にAIでどのように画像を生成して、実用するに至ったのか。『オセロニア』の世界観に合うクオリティを満たす、実用に耐える品質で、世界観や企画で吸収可能なラインのものを作れるようにさまざまな技術を駆使したという。
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AIでイラストすべてを作成しようとすると、どうしてもクオリティが落ちてしまい、実用ラインに達しない。そこで『オセロニア』では、駒絵と呼ばれる顔領域に絞ったキャラクター画像を生成することに注力したのだという。
多様性の高いデータセットの学習は、生成AIにとって非常に困難らしい。そこで、顔領域に絞るとある程度難易度が下がり、結果的に品質向上の確度が高まったそうだ。顔領域に絞り、後述する“GAN”と呼ばれる手法で駒絵を大量に生産していくという手順を採用している。
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実際にGANで作成した画像もクイズ形式で展示されたが、一見するとふつうに作成されたイラストとの違いには気づけないほどのクオリティだ。
これらがAIによって自動的に生成できるならば、たしかにビジネス運用は考えたくなるのも頷ける。
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▲8キャラが表示され、AIが作ったのはどのキャラかを当てるクイズも実施された。正解は赤枠の5キャラがAI生成なのだが、答えがわかった後も違和感は感じない。
生成の手法としては、全身絵のあるキャラ約5000体から、人型キャラの顔画像を学習させたのだという。
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AI技術として使ったGANは、画像を作り出すAIと、画像を識別するAIのふたつを交互に使って訓練をしていく、近年主流の方法。
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生成AIであるGeneratorが画像を作成し、Discriminatorでその画像がAIが作ったものか、人が作ったものかを判定させるのだという。併せて人が作った本物の画像も学習させ、偽物と本物を学習させる。
この手法を繰り返していくことで、Generatorは本物と見分けがつきにくい画像を生成できるようになり、Discriminatorは本物と偽物の識別精度を上げていき、最終的には本物と差異の少ないクオリティのイラストを生み出せるようになったそうだ。
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また、この技術を応用することで、本物のイラストと似た性質を持つ画像も生成可能になったらしい。
その結果が、『オセロニア』に実装された既存キャラのそっくりさんキャラなのだという。
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さらに『オセロニア』では社内で開発している音声合成AIも活用し、キャラボイスまで実装したプレイアブルキャラとして登場させている。
AIで作ったイラスト、ボイスがゲーム内に実装される稀有な一例だ。
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ただ、AIの学習ですべてが解決したわけでなく、新たな問題も浮上したという。
それが、イラストの細部のざらざら感、ぼやけ感などの粗。大きな端末で見た際に、画像に粗が目立つような出来になってしまったそうだ。
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これに対する対処法でも、AIを活用することを選んだそうだ。画質を改善するAIモデルを作成することで、画像生成の粗を解消するという手法で実装に至っている。
AIの穴をAIで埋めるという、なんとも近未来的な手法には驚きを隠せない。
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技術面のアプローチの締めくくりとして、AIは圧倒的物量を用意したり、そっくりさんを生み出すような強みがありつつも、コストやゲーム内に実装する合理性を問われるといった問題は残ることが明かされた。
この問題を、企画側のアプローチで解消したのが『オセロニア』のエイプリルフールイベントになる。
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AIを利用する違和感すらもエンタメに組み込む企画力
一見AIが生成したとは思えないクオリティのイラストを生み出せるものの、どうしても拭えない違和感や、ゲームに実装する合理性といった問題が残る。
その解決策として、企画側ではAI活用そのものをエンタメ化することを選んだという。
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AIを活用したキャラを登場させたとしても、ユーザー目線では運営の自己満足や、細部を知らなければ手抜きと思われるリスクすらある。
ゲームがおもしろくなるという前提を満たせなければ、「なぜAIを使うのか」という疑問に着地してしまう。そういった合理性を解決できるのが、ゲーム業界全体でユニークな催しが実施されるエイプリルフールイベント。
特別なイベントでAIをおもしろい体験として提供することで、実用することができたという。
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10000体のキャラが唐突に登場したエイプリルフールイベントだが、4月1日当日は、AIを活用したという事実は伏せられていたそうだ。
そのため、ユーザー側からは正気を疑う声や、わずかな違和感に気づいていたプレイヤーもいたという。そして、翌日にネタばらしをすることで、AI活用をひとつのエンターテインメントとしてユーザーに受け入れてもらっている。
AI生成による違和感さえもコンテンツとして消化させることで、自動生成が生み出すギャップを乗り越える企画・技術的アプローチの組み合わせが、『オセロニア』のエイプリルフールイベントを成功に導いた。
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実際にエイプリルフールイベントの評判も良く、昨年よりもアクティビティは大きく増進したそうだ。
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AIの生成技術だけではまだ課題も残されているが、圧倒的物量を生成できるという強みは今後のゲーム開発環境において見逃せないものになるだろう。
今回はその課題を企画側のアプローチと合わせることで乗り越えていたが、将来的にはこういった手法を当然のものとして活用することも視野に入りそうだ。
吉村氏は今後、AIを活用した3Dアバターの生成といった新たな領域に挑戦することにも意欲を見せ、セッションを締めくくった。
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