新作『Monster Create(モンスタークリエイト)』の開発進行は50%?『城ドラ』の森山氏が手掛ける新作の開発状況を訊いてみた

2022-08-14 17:00 投稿

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モンスタークリエイト

小規模だからこそのこだわりが詰まった森山氏の自信作

インディーゲームの祭典、“BitSummit X-Roads(ビットサミット クロスロード)”(以下、ビットサミット)にて出展された、PICTOYの新作アプリ『Monster Create』(以下、『モンクリ』)。

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本作は数々の名作を手がけてきた森山尋氏が手掛ける最新作で、個性豊かなモンスターのビジュアル、遊ぶほどに楽しさが増す独特なバトルなど配信が待ち遠しい魅力的な内容が盛り込まれている。

今回の出展時『モンクリ』の体験版に触れる機会を得たので、プレイ後に森山尋氏(文中:森山)に開発状況や、ビットサミットに出展しての所感などを訊いてみた。配信時期や『モンクリ』にかける意気込みなど、詳しい内容を語ってくれたので本記事にて紹介していこう。

なお、ビットサミットで展示された『モンクリ』のプレイリポートは別記事にて紹介しているので、そちらもチェックしてほしい。

森山氏の語る大規模開発とインディーの違いと魅力

――現在『モンクリ』を開発しているPICTOYを設立した経緯について教えてください。

森山 「純粋におもしろいものを、もう一度作りたい」というのが設立の理由になります。前職をやめて4人でPICTOYを始めて、もう2年になりますね。知っての通り以前はアソビズムにいましたが、僕が入社した頃はまだ20名くらいの小さな会社でした。だから、ただ好きなようにおもしろいゲームを作れたんですよね。自分たちが描く楽しいだけを追い求められました。

――会社が大きくなることで、事情が変わってきたのでしょうか?

森山 会社が大きくなって社員が増えると、全員を食わさなきゃいけないという責任感から、「売らなきゃ」という意識が強くなってきました。もちろんおもしろいゲームを作りたいという考えはありつつも……。会社が小さかった頃の自由に作れた状態と違い、会社自体も大きく成長してブランドにもなって、スタッフも育ってきたので「自分はいなくても大丈夫かな」と思い、老害になる前に独立しました(笑)。また昔のように余計なことを考えず、面白さだけを追求して作っていきたいです。

――一度大きな会社を離れて、原点に立ち返ろうとしたということですね。

森山 そうですね。好きなもの、おもしろいことを信じてやってみようと。“開発規模の大きさと面白さは直結するわけじゃない”ですからね。『Among Us』のように、小規模開発でも世界中の人に向けてゲームを送り出せる時代になったこともあり、長くやっているメンバーで好きなものを作ることにしました。メンバーはおじさんばかりで、4人全員合わせると197歳なんです(笑)。これが200歳になるくらいには、200歳記念で配信しようなんて仲間内では話してますね。

――200歳記念(笑)。開発メンバーは全員ベテランばかりなんですね。

森山 みんないい歳なので、ムリせず休みながら作ってます。連休など長い休みを取りつつ、楽しくやってますよ。みんな実力と経験があるので阿吽の呼吸で作れますし、こういうゲームを作りたいという軸がしっかりしているのでいいゲームになっていると思います。今日遊びに来てくれた方々も、4人で作っているとは思えないと言ってくれました。

――以前とは違い現在は4人での開発となったわけですが、小規模開発の魅力を感じることはありますか?

森山 通常の会社で今ゲームの企画を立てると、まず「ヒットする根拠は?」とか「何本売れるの?」とか聞かれると思うんです。その企画の“面白さ”より“どれくらい売れるのか?”が重要になってしまうんです。

その点、小規模開発だと「自分たちが食えればいいじゃん」と言えるので、そこがシンプルに大きな魅力ですね。大規模開発になると、どうしてもマネタイズに重きが置かれます。重課金することを楽しむユーザーに向けたゲーム作りとマーケティングが存在するというのも理解していますし、そのシステムを否定するつもりはありません。

ですが、自分のゲームでそこに注力をするのは違和感がありまして……。その点、少人数だと4人が食えたりつぎの作品を作るお金が残ればそれで十分。その考えが下地にあるので「自分たちの信じたおもしろいゲームを作ろう!」と言えるのが魅力ですね。

――大規模になるほどビジネス、マネタイズの比重は重くなりますよね。小規模開発だとクリエイティブな部分の比重を増やせると。

森山 小規模だからこそ、エンターテインメントビジネスとして売れるかどうかよりも、“面白いかどうか”に重きを置けます。インディーゲームが盛り上がっているのは、ユーザー以上に開発者が楽しいを追い求めているのも理由としてあるのかなと。「“おもしろさ”だけを追求して作るのは楽しい!」というのは、ゲームを作る人間にとって最高の状態ですから。

――ユーザーに求められているものよりも、自分たちが作りたいものを優先して作れるのが小規模開発、インディーゲームの強みなんですね。

森山 本来はそうあるべきだと思います。最近のゲーム市場はマーケットが求めるものを追い求める傾向が強く、自分たちが作りたいオリジナル企画ではチャンスをもらうことすらできないケースも多いので……。そういった気持ちを抱えている人はインディーでやればいいと思っています。ひとりでインパクトのある作品を作っている人もいますしね。情熱があれば少人数でもいいゲームは作れるのが、インディーのおもしろいところです。

――やはり大規模な開発だと、そうはいかないのでしょうか?

森山 僕の場合は、会社に何か言われたというより自分で勝手に「稼いで社員を食わせなきゃいけない」と責任感を感じてしまいました。そして、そこから「どうしても売らなければ」という気持ちが強くなってしまいまして……。それが悪いわけではありませんが、やはり大事なのは順番だと思うんです。まず“面白い”が先にあり、その次に“ウケたい”があって、最後に“売りたい”がある。その順番が“売りたい”から始まると、僕は作ることに情熱が減っていってしまうタイプなのかなと。なので自由におもしろいと思ったものを作れる、いまの環境を選択しました。

――小規模になりクリエイティブな部分を優先できるようになったと思いますが、現状『モンクリ』のマネタイズ方法はどのような展開を考えていますか?

森山 悩んでいますね。売り切りは足も早いですし、運営よりも難しいです。なので自分の中では運営タイプを考えているのですが、4人のおじさんたちがやっているのでゆっくり運営しかできないというのは、知っておいてください(笑)。その代わり、重課金が必要なゲームにはしません。ある程度の課金をしてもらいながら、という挑戦ですね。数%の重課金ユーザーに頼らない運営をするチャレンジになると思います。楽しいからお金を払っている、という形のマネタイズにしたい気持ちが強いです。

『モンクリ』の原点はすれちがい通信?

――自由に開発できる環境になったことで、『モンクリ』に込めることができたコダワリや理想はどういった点になりますか?

森山 ニンテンドーDSにすれちがい通信ってあったじゃないですか。あの機能を使ったゲームを作りたいというアイデアがずっと頭の中にあって。

――おもしろい機能で、さまざまなゲームがすれちがい通信を使った遊びを入れていましたね! 森山さんはすれちがい通信でどのような遊びを入れたかったのでしょうか?

森山 僕は、ペンで書いたキャラをすれちがい通信でほかの人に渡して、もらったキャラに落書きをしながら自分のキャラを友だちや他人に流通させていくゲームを作りたかったんです。そうして、たくさんの人に落書きをもらいながらモンスターを作っていく遊びがやりたかった。

なので『モンクリ』には、そのアイデアも反映させています。それが他人の作ったモンスターを下書きとして保存し、それをもとに自分でモンスターをリメイクできる機能ですね。そうして、どんどんおもしろいモンスターになっていってほしいと願っているので、どのようなモンスターが作られていくのか、いまから楽しみです。

『モンクリ』は、真面目に熱くバトルできるルールになっていますが、笑って負けるときがあってもいい、対戦で笑顔になれるゲームにしたいと思っています。そして、みんなで作るおもしろモンスターが、笑顔になれる対戦を作り出してくれると最高ですね!

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▲『モンクリ』では、自分が作ったキャラを他人に評価してもらうシステムが存在。高い評価を得ると、ゲームのトップ画面に多く出現するようになるという。

――負けるときも笑える対戦って、いいですね!

森山 現時点で「実際に自分が楽しいと思えるいいものを作れている」という実感はあります。毎週メンバーとゲラゲラ笑いながら遊んでいます。

――自分が楽しいと思えるものを作ると仰っていましたが、実際に手応えは感じていますか?

森山 自信作ですね! いつも最新作が代表作だと掲げているので、新作はそれを作れていると自信を持っています。完全に自由にやれるので楽しいゲームを作れていますね。たくさんマッチングしてほしいので、多くの人が遊んでくれたらいいなぁと。おもしろく作れている自信はあるので、どうにかダウンロードしてもらえるように頑張りたいです。

――今回体験版を遊ばせていただきましたが、一度プレイすると病みつきになるゲームですよね。見知ったルールのはずなのに、何かが違う。つねに新鮮な気持ちでワクワクしながら遊べました。触らないとわからないタイプの、不思議なおもしろさがあるゲームだと感じました。

森山 それってすごい大事だと思うんですよね。まったく新しいと訳がわからない、でも同じでもつまらない。「遊びかたはわかるけど、ほかのゲームとは違う」というプレイ体験は、僕が開発において大事にしてきたことでもありました。

――ビットサミットでも多くの人が遊んでいましたが、反響はいかがでしたか?

森山 お陰様で好評をいただいています。『モンクリ』は今回ビットサミットに出すまで、ほとんど開発の4人しか触っていなかったので、皆様にいい反応をいただけてうれしいですね! 外国の方とかも笑いながらプレイしてくれました。自分たちがおもしろいと信じて作った部分は、遊んでくれた人にもちゃんと伝わったなと実感しています。なので、このまま自身を持って進めていこうという気持ちになりましたね。

――モンスターのデザインは海外受けもよさそうですよね。

森山 ビットサミットでの反応もよかったですし、海外で出すなら手伝うと言ってくれる方もたくさん来てビックリしています。僕らとしては日本向けに開発をしてきたので、海外の人にもよろこんでもらえるのはうれしいですね。

――森山さんといえば“ドラゴン”というイメージなのですが、本作はそこまでドラゴンがメインな感じはしませんね。

森山 これまで作ってきたタイトルの関係でよく言われるのですが、じつのところプロモーションのために“ドラゴン”と付けていたというのが大きいです。『ドラゴンリーグ』で言えばもともと違うタイトルを考えていたのですが、当時はプロモーションをする余裕がなかったので、「ドラゴンってつければ多少は見てくれるだろう」と(笑)。ドラゴンと言えばゲームやマンガでは偉大な存在でビッグタイトルもありますし、半分はプロモーション目的でした。名前も覚えてもらいやすいですし。

――なるほど、ではとくべつドラゴンに強い思い入れがあるというわけではないのですね。

森山 ないですね(笑)。ただ、ドラゴンの名前を外して失敗しちゃったタイトルもあるので、名前に入れないと成功しない説もあります。なので今回はドラゴンからちょっと毛色を変えて“モンスター”という言葉を使ってみました(笑)。もちろん『モンクリ』にもドラゴンはいますが、そこがメインではないです。

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――現在の開発進捗は何%くらいでしょうか?また、もしリリースのタイミングが見えていましたら、お聞かせいただけますと幸いです。

森山 50%くらいですね。ユーザーに楽しく遊んでもらうインゲームの部分の基盤は、イイ感じになっている自信があります。ただスキルの設定やほかの要素でも、まだまだ深みは出せると思っているので、そこの検討、調整はしっかりしていきたいと思っています。一方のホーム画面やショップなどシステム的な部分、アウトゲームの部分はこれから本格的に動くことになるので、もう少し時間がかかるかなと。なので、リリースは来年の春~夏くらいになると思います。

タイミングに左右されるゲームでもありませんし、急いでも意味はないので、いいものをちゃんと作ってリリースしますよ! 開発が4人なので配信した後の対応もたいへんになると思いますが、そこもしっかり準備してから提供するつもりです。ユーザーが離れる大きな原因である不具合対応を4人で迅速にできるのか、そしてインディーでどうやって運営を進めていくのかについては、挑戦の部分もありますが、万全の準備は整えてからリリースします。そしてインディーだけど運営タイプのゲームで成功するというパターンを見せたいと思います。お金がなくても、少人数でもできるんだということを証明したいです!

――本日はありがとうございました。最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

森山 僕は『スター・ウォーズ』が好きなんですけど、エピソード6まで終わった後、エピソード1が作られると聞いて喜んだのをいまでも覚えています。公開されるまで1~2年ほど空きがあったはずですが、その待っているあいだもワクワクして楽しくて。なので、もし『モンクリ』に期待してくれる方がいるなら、待っているあいだのワクワクは無課金なので、プライスレスな時間を楽しんでお待ちください!

⇒『モンクリ』公式Twitterはコチラ

モンスタークリエイト

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルその他
メーカーPICTOY
公式サイトhttps://mc.pictoy.co.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/PictoyMC
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