原因はリスナーの手紙!? 弟の不可解な死を追う真夜中の恐怖体験『深夜放送』【Steamハック：第23回】

有名な都市伝説になぞられた恐怖

ラジオの仕事が順調だとうれしそうに語る弟が、とある放送を最後にみずからの命を絶ってしまう。

当日の朝はいつもと変わりない様子だったが、まさかそんなことになるなんて……。

Steamハック：第23回となる今回紹介する『深夜放送』は、チラズアートの最新作だ。

弟が自死をするはずがないと信じる兄がラジオ局を調査し、残された複数の音声データから真相へと迫っていく。

おもわず深堀りしたくなるストーリー、元ネタと思われる詩集『砂金』についても注目していきたい。

生前の音声を集め真相に迫る深夜の探索

弟が務めていたラジオ局に残されていたのは、リスナーから投稿されたホラー話を読み上げる生前の音声データ。

弟が残したデータはどれもラジオネーム“とーこさん”からの投稿を読み上げるものばかり。

元気に読み上げる弟の声が薄暗いラジオ局に鳴り響く。

“最後まで聴いてはいけない”

そんな恐怖と不安がいっきに押し寄せてくる。

軽自動車に乗ってラジオ局や民家、ゴミ捨て場などをめぐり、点在している音声データを集めていくのが大きな目的だ。

赤外線ライトや腐った食べ物など、いくつかのアイテムを利用する謎解きはどれもシンプル。

癖が強い車の挙動には賛否あると思うが、そこはもう割り切って楽しんでもらいたい。

霊感のあった同級生、従兄弟、バイトの同僚など、一見すると関連性のない“とーこさん”からの投稿。

だがしかし、そこには明確な悪意と呪いが隠されている。

じっくり耳を傾け、その“違和感”を探し出そう。

とある都市伝説を連想させるストーリー

手紙を読み上げていく弟は、その中で1つの違和感に気づき何度も言葉と詰まらせる。

それらを順に並べていくことでストーリーは大きく動いていく。

並べて完成するワードとは、日本の詩人・西條八十氏が残した詩集『砂金』に登場する詩の題名であり、それにまつわる“とある都市伝説”が本作のストーリーに大きな影響を与えているように感じる。

ぜひ、3つのエンディングを見届けた後、『砂金』という詩集を読んでもらいたい。

P.N.深津庵
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