『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』アイドルをより魅力的に輝かせるこだわりの数々を紹介!【CEDEC 2020】

2020-09-04 11:04 投稿

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アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ

新しい技術を取り入れつつコンテンツを進化させる

9月2日~4日まで開催中の開発者向けイベント『CEDEC 2020』にて、9月2日に『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』に関する講演が行われた。

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同タイトルの制作に携わる株式会社Cygamesから、五十嵐蒼さん、横山亜弥さんが登壇。『「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」制作事例 長期運用でアイドルをより魅力的に輝かせる!3DCGビジュアルのアップデートと実装の手法』と題して、5年間に渡る運用の中で行われている3DCGビジュアルの向上させる具体的な手法や開発陣のこだわりが語られる。

 
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まずは、五十嵐さんからゲーム中のライブシーンの開発の中で、技術面の刷り合わせとコンセプト共有をして制作された事例について紹介された。

ライブ演出のために制作されたこだわりの技術の数々

1.リアルなライブ感を演出したい
こちらは2019年に追加された15人のアイドルがライブを行うモードで、最初に追加された『お願い!シンデレラ』のGRAND VERSIONを元に紹介。

リアルなライブ感を追求するために、ライブ中にコールを社内の有志を集めて収録。
また、プロデューサーへのアピールをする挙動のために60種類以上のモーションを追加している。通常のMVでは基本的にダンス1~5種+αで、ポーズや演技によって増加するとのことだが、それと比較しても相当な数だということがわかる。
GRAND VERSIONは通常のライブと比べても大きいステージでの移動やアピールを想定しているため、一連のキャプチャー撮影はほぼ不可能。また、リアル感を演出するために、アイドル同士の動きに差を付けようとした結果、この大量のモーション数になったという。

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さらに、リアルライブと同じようにアイドルたちがハイタッチや手繋ぎができるように“IKモーション”というシステムを導入。こちらは、身長差があるアイドルでもモーションが破綻を起こさずに接触できる技術で、他にも背景や固定されたオブジェクトに触れても自然に見せられるという特別なシステムだ。

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▲最高身長の“諸星きらり”と最小身長の“横山千佳”を基礎に制作されている。

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2.アイドル全員に楽器を演奏させたい
続いては、ゲーム内で行われたイベント“Unlock Starbeat”に関する事例だ。

アイドルの身長差に関しては、体格に合わせて楽器のスケールを変更することで対応。ギターやベースに関しては、アイドルの胸の大きさに合わせて楽器のストラップが不自然にならないように位置が変わる機能が実装されている。

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また、アイドルの利き手に関してもこだわり、左利き用の楽器と反転したモーションを読み込む機能に加え、単に反転するだけではアングルが不自然になることから利き手によってカメラ位置が分岐する機能も実装。こちらは、ギターとベースが同時に写るシーンではどの利き手の組み合わせでも対応できるように制作されている。

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さらに、演奏するシーンをリアルにするために、ライブにも出演していたバンドメンバーの動きをキャプチャー撮影して制作。演奏の指の動きがアップになるシーンでは、別途手元だけの演奏を撮影し、細かい動きはキャプチャー映像で再現できなかったためにモーションデザイナーが全て手付けするというこだわりを見せる。

 
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3.その他のこだわり技術
その他にもMVを向上させるための技術を紹介。“Gossip Club”や“オウムアムアに幸運を”等で使われている“マルチカメラ”は複数のカメラで撮影している画像を好きなところで切り抜く技術でカメラワークによる表現が飛躍的に向上。

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“Fasinate”や“O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!”等で使われている“Chara Motion Overwrite”は、ダンスモーション中に別のモーションを差し込む機能でダンス以外の表現の幅を広げた。こちらは、それまで行っていたダンスモーション中に別のモーションを上書きするという作業が非効率だったために開発した新技術。単に演出の向上を追求するだけではなく、作業の効率化も図られている。

 
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“Secret Daybeak”や“ほほえみDiary”等で使われた“風機能”は、屋外を舞台としたMVで空気感が感じられる自然な演出が可能になった他、海の中の揺らめきや浮遊感も表現される。毛束や衣装など周期をずらして力を加えることで自然な動きを出す技術で、新たに髪の毛や衣装にモーション用の骨組みを内蔵するこだわりの技術となっている。

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“Gaze and Gaze”に導入された“Timeline分岐機能”は、指定した条件でカメラモーションが分岐する機能。“フォーリンシーサイド”の2人でライブを行った時だけ、間奏中に拳を合わせるというモーションが発生するよう分岐し、よりアイドルと楽曲の親和性が強調される演出を見せてくれる。

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アイドルをより魅力的にする衣装のアップデート

横山さんからは、衣装のアップデートに関する技術について紹介された
まずは、衣装制作において厳守すべき事項が2つ挙げられる。1つ目がポリゴン数・テクスチャ容量等を使用内に抑えること。FPSやMVのクオリティ低下を防ぐために限定された条件でどのように表現するかが腕の見せどころだという。2つめがすべてのカット、ダンスモーションに対応すること。不自然さを感じさせずに、様々な挙動に耐えるものを設計することが重要だと語る。続けて、実際の事例が紹介された。

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1.タスキの虹と星を動かしたい!
こちらは、昨年の4周年衣装の事例で衣装についているタスキ部分に導入された技術。こちらはキラキラと光る星が流れるだけでなく、背景の色がグラデーションしながら動いて虹を表現する特殊な衣装となっている。
衣装を構成している3つのテクスチャから、カラーテクスチャにはカラーマップを制作しスクロールアニメーションさせることで虹色を表現。
スペキュラカラーテクスチャには、R、G、Bという3つのチャンネルにスクロール周期や揺れ幅の違う星を設定してスクロールさせることで、より豪華な演出が表現されている。

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2.裾を引きずらせたい!
こちらは、SSレア“ [サンセットヴィーナス]三船美優+”の衣装を事例にして紹介。
ライブ中のアイドルの動きに合わせて、裾が埋まらないよう地面判定用に床へのコリジョンを追加。対象が地面を避けるように設定されて、裾の広がりをリアルに再現している。

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3.大きい翼をつけたい!
こちらは、SSレア“[幻想と神話の紡ぎ手]神崎蘭子+”の衣装を事例に紹介。
背中に大きな装飾が付いている衣装はMVでアイドル同士が接近した際、衣装が干渉しないよう裾の事例と同様に接近したアイドルへの干渉を防ぐためのコリジョンを追加。装飾が自然に避けるように設定されMVの品質低下を防いでいる。

 
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衣装のさらなるこだわりである“ドレスコーデ”

引き続き、横山さんにより“ドレスコーデ”についての解説も行われる。こちらは美しい色の表現を目指し、全員が着用可能な上下バリエーション衣装を追加すること念頭に、こだわりや工夫したポイントが紹介された。

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1.カラーパレットへのこだわり
デレステのアイドルの衣装は、立体感と質を表現する光沢や影だけでなく、物から物に落ちる影や隣接する際の接地影、服のシワの影など書き込みが多いテクスチャとなっている。そこで単にオリジナルの色味を変更するだけでは、かなり不自然な印象になってしまう。そのため、光沢色と影色を抽出、制御し、ベースカラーと合わせて色調整ができるように設定。鮮やかで美しい色が表現できるようになったという。

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2.レッスンウェア衣装の追加
2019年に実装されたレッスンウェアは色だけでなく、上下の組み合わせもコーディネイトできる特殊な衣装だ。
アイドルの体型差分は、体格に合わせて全17パターンのモデルが用意されている。もし、これに上下4種類の組み合わせ差分を用意するとなると、膨大なデータ量になってしまう。そこで、衣装の上下を切り分けて制作しゲーム上で上下を合体させるという手法を開発。1つのバリエーションにつき、体型差分17種だけで対応が可能となった。これにより追加のバリエーションも体型差分モデルを作るだけでよくなったため、衣装追加と更新頻度も上がり、さらにコストダウンも可能にした。

 
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アイドルたちをより身近に感じられる3Dコミュ

続いて、五十嵐さんより『デレステ』のサポートアプリ、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトスポット』(以下、『デレスポ』)にて導入された3Dコミュに関する事例が紹介された。
コンセプトはアイドルを身近に感じられること。そのために、アイドル同士の自然なやり取りの再現や、アイドルが実際にいると感じられる存在感、そしてその世界観のために様々な工夫を凝らしたという。

 
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1.アイドル同士の自然なやり取りを再現すること
自然な動きとは単なる動作だけでなく、背景や小物を使った動きやアイドル同士のアクションによる複雑なやりとりを再現すること。そのために、キャプチャー前にリハーサルを行い、各アイドル同士の位置や背景、小物の確認、きちん尺に収まるかなど、細かい動線をチェック。撮影前に不備になる点の洗い出しをして、撮影時のリテイク回数を減らし、より自然な演技が生まれた。結果的にモーション調整の負担も減り、工程全体における負担を軽減することができたという。

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2.アイドルが存在している!と感じられるようにすること
こだわった点は、リアルなサウンドの追求。アイドルの声が口元から聞こえたり、足音が下から聞こえたりといった存在感をしっかりと感じられるよう、キャラクターのオーディオプレイヤーを顔、腰、右手、左手、足の最大5つも設定。その他にも様々な技術で動作や環境を収録し、没入感が体験できるように調整されている。

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3.アイドルたちのいる世界を表現すること
3Dコミュならではの舞台裏のアイドルたちや楽屋の様子などを再現し、長いコミュでも現実に戻ることなく世界観に没入してもらうためは数限りない演出や表現が必要となる。横山さんからは、これらを導入するために特に負荷対策に注意を払ったと語られる。エンジニア、デザイナーと共に負荷対策へアプローチすることで、やれないことを挙げるよりもやれることを追求して3Dコミュの完成にした。

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全体のまとめとして目指すビジョンや、譲れないポイントを明確化し、大きなプロジェクトでもぶれることなく開発に取り組むことで、コンテンツ同士をまとまりのあるものにできたと手応えを語り、講演は終了した。

 
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▲最後はこの一言で締められた。

アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルリズムアクション
メーカーバンダイナムコエンターテインメント
公式サイトhttp://cinderella.idolmaster.jp/sl-stage/
公式Twitterhttps://twitter.com/imascg_stage
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