森で育った純真無垢の騎士!騎士・パーシヴァル【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第46回】

2020-09-02 12:00 投稿

9月、到来!!

いやあ、もう9月ですよ9月! ぶっちゃけここ数年は9月でも以前夏真っ盛りな感じしますが!

ぼちぼち観戦スケジュールも増えてきて心ウキウキな今日このごろ、みなさんいかがお過ごしでしょうか!

ってこと、今週も始まりますよ“元ネタの世界”!

今回はイギリスの英雄譚・アーサー王物語に登場する騎士・パーシヴァルをご紹介!

んでは、いざいざ!

【目次】
・王の息子で森育ち
・光輝く騎士との出会い
・王宮に現れた野生児と野蛮人
・パーシヴァル、初めての戦い
・次回は騎士・ラモラックのお話!

王の息子で森育ち

今回紹介するパーシヴァル、その名前はアーサー王と並んでメジャー、なような?

画像をお借りしている『乖離性MA』では女性になっておりますが、当然のごとく元ネタは男性です!

20200901_パーシヴァル (13)

パーシヴァルはペリノア王の息子、騎士・ラモラックの弟として生まれますが、幼いころにペリノア王を亡くし、母親とともに人里離れた森で育ちます。

騎士の家などではなく森で育った、という野生児的なところがほかの騎士とはひと味違うポイントでしょうか!

ちなみにですが、父親のペリノア王はアーサー王の剣をへし折った人物であり、ラモラックも円卓最強の候補に挙げられるほどの実力者であり、このあたりからもパーシヴァルのポテンシャルの高さが伺えますね!

20200901_パーシヴァル (2)

▼ペリノア王はこちらに登場

さておき、今回は彼がいかにして騎士を志すようになったかをご紹介ですよ!

光輝く騎士との出会い

母親とともに森で暮らしていたパーシヴァルは、森で拾った槍を片手に、狩りをしながら暮らしていました。

ある日、パーシヴァルがいつものように森を散策していると、彼はきらびやかな鎧に身を包んだひとりの騎士と出会います。

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太陽の光を受けて輝く鎧を見たパーシヴァルは、鎧の騎士が天使だと思い、見とれてしまいます。

すると、騎士は微笑みながら騎士道のすばらしさを説き、パーシヴァルもいつか騎士になれるだろう、と語るのでした。

ここで出会った鎧の騎士こそ、円卓最高の騎士とも呼ばれるランスロットだったのです。

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ランスロットとの出会いをきっかけに、パーシヴァルは騎士になることを夢見るようになります。

母親は息子が夫のペリノア王のように戦いのなかで倒れることを危惧しましたが、パーシヴァルの意思は固く、彼はやがてアーサー王の王宮に向かうこととなります。

騎士になるべく森を出たパーシヴァルですが、当然ながら彼は鎧などは持っておらず、獣の皮を身にまとって王宮に向かっていったとか何とか!

いかに中世と言えど、獣の皮を着こんだ少年というのはなかなかにワイルド……!

王宮に現れた野生児と野蛮人

パーシヴァルが王宮にたどり着いたのは、ちょうどアーサー王と騎士たちが昼食を取るころでした。

騎士たちは当時の習慣にならい、黄金の酒盃にワインを注ぎ、誓いの言葉を述べてながらワインを飲み回していました。

パーシヴァルがその様子を眺めていると、彼の後ろからもうひとり、孔雀のように豪奢な赤い鎧を身に着けた男が、大きな足音を立てながら王宮に入ってきます。

と、ここで登場した男はイテール。『乖離性MA』ではかわいらしいお嬢さんになっていますが、上記の一文からしてもむさくるしいオッサンであろうことは想像に難くありません。

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品のない男の登場に騎士たちが呆気に取られていると、赤い鎧の男・イテールは大きな声で騎士たちを侮辱します。

「やい、酒をすする犬どもよ! 酒を飲んで騎士を名乗れるのなら、この俺のほうがよっぽど立派な騎士だぞ」

そう言い終わるや否や、イテールは黄金の酒盃を奪ってワインを一気に飲み干してしまいます。

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あまりの無礼ぶりに呆然とする騎士たちを尻目に、イテールはそのまま馬に乗って走り去ってしまいました。

やりたい放題やられ、アーサー王は怒りに震えます。

「なんという侮辱だ。誰か、あやつを捕らえようという者はいないか!」

騎士たちはこぞって名乗りを上げますが、アーサー王は彼らを止めます。

「いや、あのようなゲスの血を騎士が浴びる必要はない。騎士を目指す者に行かせよう」

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無礼者から酒盃を取り戻し、彼が着ていた鎧を持って帰った者は即刻騎士に叙す、アーサー王がそう言ったとき、一部始終を見届けていたパーシヴァルが名乗りを上げます。

「王様、それならば私があの男を懲らしめてきましょう!

鎧を着ていない私なら、逃げたあの男の馬にも追いつけます」

またもや見知らぬ人間、しかも獣の皮に身を包んだ少年がいたことに驚く騎士たち。しかしアーサー王はその素質を見抜き、パーシヴァルにイテール討伐を命じるのでした。

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パーシヴァル、初めての戦い

身軽なパーシヴァルを乗せた馬は、たやすくイテールに追いつくことができました。

勝負を挑むパーシヴァルに、振り向いたイテールは馬上で槍を構えます。

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戦いが始まりイテールが突撃を仕掛けるも、パーシヴァルはこれをかわします。

つぎは自分が攻める番だ、と振り向いたパーシヴァルですが、イテールはそのまま馬を走らせて逃げようとしています。

「鎧を着けてもいない相手に槍を向け、そのまま逃げようというのか、この臆病者!」

投げかけられた言葉に腹を立てたのか、馬を止めたイテールはゆっくりと振り返り、再び槍を構えます。

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走り込む両者。互いの槍は相手の眉間目掛けて突き出されますが、パーシヴァルはすんでのところで身をかわし、カウンターでイテールの眉間に槍を叩きこみました。

槍は的確にイテールを捉え、一撃のもとにその命を奪います。

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あっさりとイテールを破ったパーシヴァルは、荷物袋から黄金の酒盃を回収し、続いてイテールの鎧を奪おうとしました。

しかし、鎧を着たことのない少年に鎧の脱がしかたがわかるはずもなく、彼はイテールの身体を無理矢理に引き抜こうとします。

すると、どこからともなくひとりの老人が現れ、鎧の外しかたを教えてくれました。

パーシヴァルが騎士になろうとしていることを聞いた老人は、「騎士道について学んでから王のもとに向かうのがいいだろう」と語ります。

ここで登場した老人は、パーシヴァルの師匠となる男・ゴルネマント! こちらも『乖離性MA』では女性となって登場しています。

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その後、ゴルネマントのもとで修業を積んだパーシヴァルは、アーサー王のもとで正式に騎士となり、のちに聖杯を巡る冒険へと旅立つのでした。

~ 幕 ~

次回は騎士・ラモラックのお話!

ってことで、パーシヴァル初めての冒険でした!

イテールから奪った赤い鎧はそのままパーシヴァルが継承したっぽく、ゲームなどに出てくるパーシヴァルも赤い鎧を着けていることが多い、気がしますね!

さて次回、またもアーサー王物語からお届けする予定ですが、つぎはパーシヴァルの兄であるラモラックのエピソードをご紹介しようかと!

最強候補のひとりでありながら、メジャーかと問われると微妙な気もするラモラック、果たしてその実力やいかに……?

【“元ネタの世界”まとめはこちら】

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

サトクリフ,ローズマリ(2001)『サトクリフ・オリジナル アーサー王と円卓の騎士』(山本史郎訳) 原書房.

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