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平家物語に描かれた美しき女武者!巴御前【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第43回】

2020-08-12 12:00 投稿

アツい夏、本格始動!

いやぁ、毎年のことながらアツい! アツいですね!

8月8日の後楽園ホール大会で幕を開けた女子プロ団体・スターダムの真夏のリーグ戦、その名も5☆GP(ふぁいぶすたーぐらんぷり)は!!

総当たりのシングル戦祭りは今年も開幕から熱戦激戦大波乱のバーゲンセール! 燃えっちまいますね!!

ってのはさておき、始まりまするは“元ネタの世界”!

8月は女性英雄の話をしましょうってことで、今回は日本の女武者の代表格と言えるであろう、巴御前(ともえごぜん)をご紹介!

最近だとどうか分かりませんが、個人的には古典の教科書に載っていたことでも印象深い彼女の戦いぶり、とくとご覧あれ!

【目次】
・強くて美人だ巴御前
・幼馴染で妾で乳兄弟で戦友で主従
・栄光から一転、追われる身に
・巴御前の戦いと木曾の最期
・次回はオルレアンの乙女!

強くて美人だ巴御前

巴御前は、平家物語で描かれる人物であり、いわゆる源平合戦で活躍した女性です。

歴史的に実在したかについては若干ダウトなようですが、国内の女性英雄としては知名度バツグン、のような!

20200810_巴御前 (1)

彼女は源氏方である木曾義仲(よしなか)の愛妾にして、戦場に出れば一騎当千の活躍をしたとされる勇猛な女武者でもあります。

また、“色白く、髪長く、容貌がまことに美しい”とビジュアル面も絶賛されており、馬術に長け、弓や太刀を取れば鬼神にも迫る勢い、とすさまじいスペックの人物だったようです。

そんな巴御前が登場するのは、平家物語の“木曾の最期”と呼ばれる部分。

その名の通り木曾義仲が討ち取られるシーンですが、今回はそこより前、義仲と巴御前の出会いから見ていきましょう!

幼馴染で妾で乳兄弟で戦友で主従

義仲は2歳ごろのときに父親が謀殺され、乳母の夫である中原兼遠(かねとお)に庇護されて育つこととなります。

その兼遠の娘、あるいは養女だったのが巴御前でした。

なお、巴御前は義仲より2歳上、あるいは8歳下、などとその生まれたタイミングにも若干幅がありますが、義仲とは幼いころの仲であるとされています。

義仲と巴御前は幼少からともに育てられ、剣術などの訓練でも一歩も引かない巴御前に義仲も好感を抱き、のちには妾としてだけでなく、いち武将としても人生をともにするのでした。

つまり、ふたりは幼馴染で妾で乳兄弟で戦友で主従、ってな間柄だった訳です! その絆の強さたるや、ということですよ!

20200810_巴御前 (2)

義仲たちが成長するなか、情勢も変化していき、「平家にあらざれば人にあらず」とまで言っていた平家も勢いが落ち始めます。

実権を握っていた平清盛が病死すると、関東では源頼朝が謀反を起こしました。当時26、27歳だった義仲は、みずからも北陸道にて兵を起こすことを決心します。

もちろん義仲の軍には巴御前も加わり、反旗をひるがえした義仲は信濃、越後を制圧し、平家の追討軍も逆に撃破していったのです。

義仲軍は騎馬隊を7手に分けて突撃を仕掛ける“木曾七陣”の戦術を得意としたと言われており、その一軍を巴御前が率いていた……、のかもしれないとも言われています。

その後、義仲軍を問題視した平維盛(これもり)は、10万騎もの討伐軍を立ち上げ、義仲軍3万騎のもとへと向かわせました。

しかし義仲は倶利伽羅峠(くりからとうげ)で夜襲を仕掛け、これを見事に撃退してみせます。

このとき、義仲は牛の角に松明をくくり付け、炎で狂った牛を突撃させるという“火牛の計”を用いたとも言われています。

20200810_巴御前 (3)

大勝利を収めた義仲軍はその後も平家との戦いを制し、やがて平氏一門は幼い安徳天皇と三種の神器を伴い、西方へと落ち延びていきます。

こうして、義仲は痛手を負うことなく京の都に入り、朝日将軍の名を賜るのでした。が……。

栄光から一転、追われる身に

将軍という確たる地位を得た義仲でしたが、当時の都は謀略飛び交う政治的魔境と化しており、すぐれた武将ではあるものの、政治家ではなかった義仲はすぐさま苦しい状況に追い込まれてしまいます。

朝日将軍の名をいただいてからわずか半年後、後白河法皇と対立することになった義仲は、武力で何とか実権こそ取り戻したものの、それを皮切りに人心は離れていってしまいます。

さらに、後白河法皇は密かに義仲追討の命を出し、これに乗じて源頼朝は源義経の率いる追討軍6万騎を派遣するのでした。

20200810_巴御前 (4)

ちなみに、火牛の計というブッ飛んだ戦術を使った義仲ですが、義経もクレイジーさでは引けを取りません!

一ノ谷の戦いでは、鵯越(ひよどりごえ)と呼ばれる崖を馬に乗ったまま下り、そのままの勢いで崖下に陣を構えていた敵軍に奇襲をかける“逆落とし”と呼ばれる異様な戦術を用いたりしているのです!

20200810_巴御前 (5)

義仲軍は義経率いる追討軍と相まみえますが、兵力差があったこともあり敗走を余儀なくされます。

義仲が京から落ち延びるときには、義仲と巴御前を含め、わずか7騎にまで減ってしまうのです。

そこにさらなる追撃をかけたのが、追討軍の武将・畠山重忠(しげただ)です。

重忠は怪力の将として知られており、鵯越の逆落としでは馬を気遣い、みずから馬をかついで崖を駆け下りたとも伝えられるほどでした。

しかし、その重忠の追撃を防いだのが巴御前でした。

戦いのなかで巴御前が義仲の妾であると知った重忠は彼女を生け捕りにしようと馬上で掴みかかりましたが、巴御前が重忠を振り払うと、ふたりの強力に耐えかね、巴御前の鎧の袖が千切れ落ちてしまいます。

これに驚いた重忠は、彼女に矢でも射られようものなら一生の不覚になろう、と兵を退くのでした

巴御前の戦いと木曾の最期

その後、内田家吉という別の武将が義仲たちのもとにやってきます。

巴御前が強敵とは知りつつも、女性相手に部下の助けを借りて戦っては面目に関わる、と家吉は巴御前に一騎打ちを挑みます。

馬上で打ち合うふたりの力は拮抗し、戦いは膠着しましたが、そこで家吉は巴御前の長い髪を自分の手首に絡ませ、バランスを崩したところで首を切ろうと試みました。

ところが、巴御前は「卑怯者!」と罵ると家吉の肘を打って刀を落とすと、家吉の頭を自分の鞍に押し付け、そこに太刀を浴びせてやすやすと首を落とします。

20200810_巴御前 (6)

こうした巴御前の活躍もあり、何とか生き延びた義仲たちでしたが、義仲はすぐさま遠方に逃げようとはしませんでした。

苦楽をともにした参謀であり、巴御前の兄でもある今井兼平とはぐれたままになっており、兼平を残してはいけぬ、という判断だったのです。戦略よりも情を取る、義仲らしい判断でした。

無事に兼平と合流すると、逃げ落ちた仲間たちを集め、300騎の軍勢となった義仲は、甲斐の一条次郎が率いる6000騎の軍と、最後の戦いに挑みます。

しかし、あまりにも圧倒的な兵力の差はいかんともしがたく、やがて義仲軍は主従5騎だけが残るのみとなってしまいます。

逃れらぬ敗戦を前に、義仲は巴御前に言います。

「そなたは女だ、もう戦場を離れ、どこへなりと落ち延びよ。

俺はここで死ぬだろうが、木曾は最期まで女を連れていたとあっては聞こえが悪い」

対面を理由に巴御前を生き延びさせようとする義仲の言葉に、巴御前は答えます。

「せめて、木曾殿に最後の働きをお見せしてからお別れがしたい」

そして、そこに御田八郎師重(おんたのはちろうもろしげ)率いる手勢30騎が現れました。

巴御前は馬を駆けて敵陣に飛び込み、無造作に師重の頭を自分の鞍に押し付け、首をねじ切って投げ捨てたのです。

20200810_巴御前 (7)

これを最後に巴御前は義仲と別れ、その後物語に二度と登場することはありませんでした。

そして、巴御前と別れた義仲は最期まで戦うも、薄氷の張った冬の深田にはまったところを弓で射抜かれ死亡。義仲の死を知った兼平は自害し、木曾義仲と巴御前の物語は幕を閉じます。

~ 終 ~

次回はオルレアンの乙女!

と!

いやじつにアツいお話でしたね! 劇場版で見たい!

巴御前の強さもですが、最後に御前を逃がそうとする義仲の姿だったり、勝ち進んで栄光を掴んだ義仲があっという間に追われる身となるやるせなさだったり、見どころ満載と言いますか。

義仲追討軍を率いた義経も、多くの武勲を上げながら最終的には兄の頼朝に追われる身になったりして、その顛末がダブる部分もあるのが地味にアツいですね……!

ちなみにチラッと出た義仲の画像は以前に描いた那須与一のものを流用していますが、与一が有名な扇の的を披露するのは、義仲が没した翌年だったりします!

さて次回! おつぎは有名どころも有名どころ、女性英雄と言えばこの人でしょうというジャンヌ・ダルクのお話をしようかと!

こちらは歴史にも残る人物ですが、創作に負けない意外性を持ったものになっております! 最期がだいぶアレですが!

んでは、また来週! 遠方までプロレス遠征がしたいけどグッと我慢! でも行きてェーー!!

【“元ネタの世界”まとめはこちら】

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

稲葉義明・砂糖俊之・青木行裕(2003)『Truth In Fantasy 59 剣の乙女』新紀元社.

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