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『セブンスコード』前田氏とSSS by applibotの高木氏による対談――2つのクリエイタ―集団が起こす化学反応とは

2019-10-30 15:00 投稿

各々の感性を震わせて

2019年10月21日、アプリボットから新作スマホタイトル『SEVEN’s CODE―セブンスコード―』(以下、『セブンスコード』)が配信された。

本作は、『Dance Dance Revolution』や『Dance Evolution』を手掛けた前田尚紀氏率いるUNLIMITED STUDiOが携わっており、昨年の東京ゲームショウ2018にて発表されたタイトルだ。

その後、同じくサイバーエージェントグループ内に立ち上がった、米山舞氏、BUNBUN氏、PALOW.氏などの著名クリエイターが名を連ねるスタジオ、SSS by applibot(以下SSS)も本作に関わることが明らかになった。

今回、それぞれのスタジオを代表するふたりによる対談を実施。お互いの印象、クリエイターとしての共通する信念や、『セブンスコード』への関わりかたなどについて、うかがうことができた。

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▲SSS by applibotのスタジオマネージャー高木正文氏(左)、UNLIMITED STUDiO代表であり、本作のプロデューサーを務める前田尚紀氏(右)。

最高の音色を奏でるバンドのような存在

――2つのスタジオが手を組み開発することになった本作ですが、はじめて会ったときのお互いの印象はどうでしたか?

高木正文氏(以下、高木) アプリボットに入社した2018年9月からSSSのメンバーも続々とジョインし始め、そのときすでにいくつかのプロジェクトが動いていました。そんなSSSの第1作目に『セブンスコード』はどうか、と紹介されたんです。僕は『ダンスダンスレボリューション』をダブルで踊るくらい音ゲーが大好きだったので、前田さんの名前を聞いたときに、すぐに「いっしょにやりたい!」と思いました。その後、SSSに加わったメンバーたちもこのプロジェクトに賛同してくれました。前田さんとイタリアンを食べながら熱く語り合ったのが最初でしたね。

前田尚紀氏(以下、前田) 僕はサウンド、高木さんはアートと、お互いに歩んできた道、路線が違うんですよね。いま我々はサイバーエージェントという文化の中にいますが、それぞれ異なる経験を重ねて“色”や“匂い”を付けていますので、最初に会ったとき「なんだこれは?」と興味が湧いたのをよく覚えています。

――それぞれ持っているクリエイティブ性が強く、ぶつかってしまうなんてことは?

高木 現場ではスタッフたちが多少議論をする場面もありますし、僕たちが個人、もしくはスタジオの代表として熱く議論することもありました。

前田 ぶつかる、というのとは少し違うかもしれないんですが。

高木 そうですね。音ゲーとして新しいものを作りたいという前田さんの熱い想いがあって、設立したばかりだった僕たちSSSも新しいデザイン様式を作りたいと話し合っていた矢先でした。双方がこれまでの経験を踏まえてみずからそれを壊していく……そんなチャレンジをしたいという気持ちが共通意識にありましたから。

前田 音楽でたとえるなら、クリエイターたちはふだんソロ活動を、集まったときはバンドを組んでいるのだと考えています。個々が交わることでミラクルが起きるのがバンドサウンド。今回、SSSと組むことでまさにそんな化学反応が起こったなと実感しています。

高木 僕たちはよく“思想”の話をするんですよ。“なぜいっしょにやるのか”とか“何を成し遂げたいのか”なんて話題が多い。前田さんはプロデューサー、僕はスタジオマネージャーという肩書きを持っていますが、クリエイターとしての思想も持っている。今作では単体では動かないイラストと、時間軸を表現できるサウンドが合わさる作品なので、以前から組み合わせたいと考えてきたものが実現するチャンスに巡り会えたことはとてもうれしかったですね。

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▲多いときは1日に3時間ほど思想の共有を行い、互いが抱いているクリエイターとしての直感を確認するという。多くを語らずとも共通の認識を持つことが大切だと両氏は語る。

イメージしたものを直感的に表現し合う関係

――『セブンスコード』はUNLIMITED STUDiOが開発ですが、音楽に合わせてビジュアルを乗せる、といったような作りかただったのでしょうか?

前田 開発はほぼ同時並行で行っていますね。企画そのものが動き出したのはもうずいぶん前ですが、僕がサウンドの人間であり、デザインを表現する環境を持ち合わせていなかったので、立ち往生していた時期もありました。そんなときに出会えたのがSSSだったんです。

高木 企画当初の段階では、SSSはキャラクターのアバターを考案していたのですが、しっかりと世界観やコンセプトも考えてみたい、となりまして。僕たちはそれができるチームだと提案をしたんです。そこからデザインとサウンドが相互的に動き出したんですよね。

前田 僕たちに不足していたパズルのピースをSSSが埋めてくれた。それが化学反応を起こしてようやくプロジェクトが動き出したんです。じつは2018年の東京ゲームショウで『セブンスコード』を発表したときは、企画のイメージを伝えるくらいしかできない状況だったんです。それがSSSと出会うことでやっといまの形になりました。

高木 大きく動き出したのは去年の暮れあたりでしたよね。本格的に動き出した中後期を振り返ると、互いが同じレイヤーで向き合っていたのを覚えています。

――前田さんから具体的なデザインのオーダーはありましたか?

高木 実現したいビジョンを受けて、こちらからいろいろなものを提案することが多かったですね。

前田 僕はクリエイターの感性を信じて任せるタイプなので、お任せしました。デザイナー、シナリオライターなども含めて、クリエイターはそれぞれが共鳴しあえないとダメだと思っているんですよ。お互いが刺激し合い、それに負けないものを作りたいという意欲を持つこと。いいシナリオを見れば自然にそれに合うキャラクター、サウンドが生まれてくる。各々が、感性を震わせることが大切だと思うんですよね。

―SSSのクリエイターにも通ずるものがあった、ということでしょうか?

前田 ありますね、それは理屈ではなくまさに直感ですが、皆さん、こだわりやセンスを持っている。だからこそ、すばらしいものがアウトプットされてくるんです。

高木 SSSのクリエイターはそれぞれ多くの経験を重ねて集まった集団です。それを統合させながら、個体として『セブンスコード』でどう表現するべきか考えていきました。たとえば、前田さんを色で表現すると赤だよねとか、スタッフたちとオーラの話題で盛り上がる。その人の持っている個性を直感的に理解することも大切だと思うんですよ。

前田 僕は赤なの?(笑)

高木 たとえばですよ、前田さんは赤って感じではないですよね……金ですかね。(笑)

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▲「クリエイター同士が前もって通じあっていれば相手が何を欲しているかがわかる、ニュアンスに対して何度も意見を交わす手間を省くことができるので日ごろの会話を大事にしている」と語る高木氏。

1年後にストーリーが完結するというゲームデザイン

―『セブンスコード』が掲げた1年後にストーリー完結という運営方針を聞いて高木さんはどう思いましたか?

高木 僕も強く賛同しました。1年で完結するというコンセプトに興味を持ちましたし、当初からそこだけは変えないでほしいと伝えていたんです。

前田 1年という限られた体験を最大限に楽しむための提案をSSSからたくさんもらいましたよね。

高木 アニメには決まった期間があって必ず終わりが来る。うちのスタッフにはアニメに関わるものも多く、『セブンスコード』のテーマに同じものを感じたんです。しかし、ゲームの中では“1年で完結”というコンセプトを活かしきれていなかった。それに対してどうしたらいいのか、いろいろ議論しましたよね。

――この世界観を活かすデザインというのは具体的にはどういうことでしょう?

高木 当初は、ユーザーインターフェイス上に大きな時計を表示してカウントダウンをしていき、12ヵ月を歩んでいくことを実感できるようにしたらどうかとか、ほかにもユーザーのストーリー進行度に合わせて、メニュー画面にいるキャラクターや背景が変わるような仕掛け等を提案させてもらいました。更新されるストーリーと連動させることによってライブ感を感じてもらえたらなと思っています。

――作品全体を通して、どういうデザインをするように意識しましたか?

高木 テイストは謎を紐解くというストーリーもあったので、キャラクターだけではなく街や背景にもフォーカスした“全体で見てもまとまって良く見える“絵作りがこのゲームに合ってると思い、PALOW.さんの提案でブレードランナーやトロンのようなサイバーパンク、レトロフューチャーな平面イラストが映えるテイストにさせていただきました。前田さんの作られる曲やEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)とも相性が良いですね。

――ストーリーとともに進行する本作ですが、収録された楽曲には共通したテーマはあるのでしょうか?

前田 はい、楽曲をディレクションする際、1つのキーワードを設けました。たとえばアニメの場合、オープニングとエンディング、挿入歌やキャラクターソングなど、世界観を彩るものがありますよね。その手法を取り入れ、『セブンスコード』というIPを構築し、それに対してサウンドをデザインしていくようオーダーを出しました。また、本作ではEDMを重視しています。昨今のいわゆる音ゲーでは薄まっていた要素を存分に体験してもらえると思います。

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▲「音楽には記憶を閉じ込める力があるんですよね。『セブンスコード』にストーリーを取り入れたのもその“経験”と音が結びつくことで、思い出に残るものを提示したかったからです。体で音を感じて視覚で世界を補完して楽しんでもらいたいです」と語る前田氏。

――最後に『セブンスコード』を楽しみにしているユーザーに向けてのメッセージとともに、今後の展望をお願いします。

前田 直球勝負のリズムアクションもいいですが、ときに人は箸休めをしたいと考えることもありますよね。『セブンスコード』はそのバリエーションを増やす役割を持っていると考えています。また、いまの時代を考えたとき、ゲームというカテゴリーで留まっていてはいけないと思っています。本作は1つのIPであって、もしかすると次回作はアニメ化や小説化という展開もありえる。フィギュアライズやリアルイベントなど、世界観を広げていくことも想定しています。まずはこの『セブンスコード』を多くのかたに楽しんでもらいたいですね。

高木 主人公クラスの個性を持った多数のキャラクターが登場します。音ゲーという部分やストーリー展開を盛り上げるデザインを意識していますのでぜひ楽しんでいただければと思います。前田さんのお話にもありましたが、今作は1つのIPと考えているので、皆さんが2次創作をしたくなるような、興味を沸かせるものにしたいですね。

前田 2次創作、いいですね。ぜひ!



インタビューの中で互いのコメントに共感し合う場面が多かった両氏。多くを語らずとも共通する思想を持っているからこそ、期間限定という新しいゲームの形に向き合うことができたのだろう。サウンドとビジュアル、それぞれのプロが所属するスタジオ同士がタッグを組んで生まれた本作は、いよいよ10月21日に配信された。

ちなみに『セブンスコード』はプレイするためのサウンドを購入するゲームデザインだが、サービス終了後の楽曲に関して、前田氏は、「プレイヤーが所持できる仕組みを考えています」と回答。今作をシーズン1とたとえたように、これからも長くこのIPを楽しんでいけるのだと実感することができた。

音楽を脳で感じて臓器で敵を叩く、近未来都市を舞台に戦う壮大なストーリーがリズムアクションを通じてどう終焉を迎えるのか。ついに動き出した12ヵ月というカウントダウンの中でどんな体験ができるのか、今後も本作およびUNLIMITED STUDiO、SSSの両スタジオに注目していきたい。

(聞き手:編集部 さとるり
文:ライター 深津庵)

※深津庵のTwitterはこちら

SEVEN’s CODE―セブンスコード―

対応機種iOS/Android
価格iOS:490円[税込](アプリ内課金あり)
Android:無料(アプリ内課金あり)
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ジャンル音楽
メーカーアプリボット/UNLIMITED STUDiO
公式サイトhttps://www.sevenscode.jp/
配信日配信中
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