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アプリボットの新スタジオ“SSS by applibot”が目指すものとは?マネージャーの高木正文氏に訊く

2019-03-08 17:00 投稿

目指すのは“個の集合体”としての仕事

先日アプリボットから発表された、“SSS by applibot(トリプルエス バイ アプリボット)”。

キャラクターデザインやコンセプトアートなどのデザインを手掛けるクリエイティブスタジオで、アニメ『キズナイーバー』のキャラクターデザインを務めた米山舞氏、『ポケモンカードゲーム』、『ポケットモンスター サン・ムーン』(TOKIYA名義)のキャラクターデザインを務めた7ZEL氏、『ソードアート・オンライン』(abec名義)、『結城友奈は勇者である』などのキャラクター原案を務めたBUNBUN氏など、ゲーム・アニメ・ライトノベルなどそれぞれの分野における著名クリエイターが集う。

今後スタジオは、スマホアプリゲームだけでなくアニメ、映画業界での作品作りも行っていく予定だという。

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今回、スタジオマネージャーの高木正文氏に本スタジオ設立の経緯や、その思いをお伺いしたので、その内容をお届けしよう。

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▲SSS by applibot(トリプルエス バイ アプリボット)のマネージャーを務める高木氏。『ドラッグオンドラグーン3』、『ファイナルファンタジー零式』といったコンシューマーゲームの開発に携わったのち、前職では『メギド72』のヴィジュアルオーナー(アートディレクター)を担当した。

クリエイティブに特化したスタジオを作る

――SSS by applibot(以下SSS)はアプリボットやサイバーエージェントグループの中でどういった立ち位置になるのでしょうか?

高木正文氏(以下、高木) アプリボットのクリエイティブスタジオになります。基本は自社内での仕事になりますが、サイバーエージェントグループの仕事や、社外の会社さんともモノ作りしていきたいと思っています。さまざまな会社さんと組んで、スマホアプリのゲームに限らず、新しいものを作っていきたいと思っています。

――スタジオの主なお仕事はどういった内容になるのですか?

高木 キャラクターデザインや世界観の構築を行っています。「こういう絵のテイストにしよう」「こういうデフォルメにしよう」といったデザインの様式を提案して、企画者といっしょに詰めていくといった、デザインに特化したコンセプトワークの部分を手掛けています。

――SSSが発足された経緯をお伺いできますか?

高木 3年前ぐらいに、アプリボットの取締役でクリエイティブの統括をしている竹田彰吾と出会ったのがきっかけです。彼はさまざまなゲームをアートに携わっていて、その当時はちょうどアプリボットが3Dのゲーム開発に力を入れ始めたときでした。

――竹田さんが携わる『ブレイドエクスロード』もすごいグラフィックにこだわっていますよね。

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▲『ブレイドエクスロード』のキービジュアルのキャラクターCGは、髭の毛穴やそり残しまでかなり細かく表現されている。

高木 ゲームにおいて今後グラフィックはますます重要になってくる要素だと思っています。ひと口にグラフィックといっても、イラストが得意な人もいれば、デザインが得意な人もいると思うのですが、その中でもコンセプトアートやキャラクターデザインに特化した人たちで集まれるところがあればいいよね、という話になりました。僕はもともと自分でスタジオを持ちたいという夢があったのでぜひやりたいと思い入社を決めました。

――デザインを外部に委託するのではなく、自社内で作るメリットはどこにあるのでしょうか?

高木 自社のIPを作れる、クリエイターのモチベーションが上がる、というのもあるかと思いますが、いちばんは自社の中のメンバーが作ることで、より精度が上がることですね。企画の段階から話に入って、机を並べて作業できるというところが大きいです。現在のスタジオは僕がマネージャーでアーティストが6人いますが、全員絵描きで、皆形態としてはフリーランスではありながら、同じ曜日に出社して、同じ部屋で作業して、ネットワーク上ではなく、顔を突き合わせながら作業を進めていきます。

――打ち合わせもけっこう頻繁にやっているのでしょうか。

高木 頻度は多いと思います。打ち合わせとは名を打たなくても、各々が仲がいいので席ですぐ話してしまうのですが……(笑)。クリエイター全員の能力が高いので、作業の話はすぐに終わるのですが、絵に対する向き合いかたや人生観などプライベートな部分について会話をすることも多いですね。制作をするにあたり、お互いがどういう人間なのかを知ることはとても大事だと思いますので、その環境も大切にしています。

――高木さんご自身もデザインに関わったりされているのですか?

高木 いまのところは手を動かすことはしていません。メンバーのマネジメントや指揮などが中心です。案件によっては自分でクリエイティブ部分のプロデューサーのような立ち位置で入ることはありますが、ここは内製しよう、ここは外部のデザイナーに発注しよう、などといった制作フローを整える役割をしたりと、ケースバイケースで作っていこうと考えています。

マネージャーは“オゾン層”のような役割

――独立したスタジオといえば、昨今ではUNLIMITED STUDiO(アンリミテッドスタジオ)も立ち上がりましたが、このようにアプリボット内で独立したスタジオをいくつも作っているのは、どういう意図があるのでしょうか?

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高木 よりゲームに力を入れていくためです。たとえば、サイバーエージェントというグル―プには、アプリボット以外にもゲームを作る子会社がたくさんあり、それぞれの会社が個々で責任を持っておもしろいゲームを作ろうという考えがあります。スタジオを立ち上げることも同じで、より個々の意識を上げて責任を持って開発に打ちこむためです。

――アプリボットに来てから、いままでと比べて変化はありましたか?

高木 とにかくアプリボットは「やってみよう」までの早さが、断トツに早いですね。それから、経営陣の理解があります。SSSは芽が出るまでが長く、自分たちで作ったものがゲームとして世に出て、それが売れるまでに短くても2~3年かかってしまいます。そうなると、スタジオ維持はけっこうな投資になっているのですが、そこに対してちゃんと構えてくれているというのは、経営側の理解の賜物だと思っています。弊社の強みはそういう風に、モノづくりで「いい」と思えたものに対して、早く動いて投資してくれているというところではないでしょうか。

――SSSというスタジオ名にはどんな意味が込められているのでしょうか?

高木 SSSは“Signs of Sense Studio”の略称で、見た人が震え、魂がゆさぶられる作品づくりに必要な感覚をデザインで示す集合体、という意味を込めています。“S”が3つ並んだロゴのシンボルにも、“チームとしてひとつのモノを創りあげる”、という思いを込めました。

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――クリエイティブに特化したスタジオも複数あるとは思うのですが、SSSが目指しているコンセプトはありますか?

高木 まさにスタジオ名の由来にも関わっているのですが、作るものがひとりの作品にならないよう、“個の集合体として仕事をする”ことです。現状は皆フリーランスで活動しているアーティストですが、彼らが何故参加してくれているのかというと、自分たちと同じレベルで話せるメンバーとともにみんなでひとつの作品を作りたいという思いが強いからなんです。なので、個人の経験としてはもちろんですが、スタジオの仕事として全員でひとつのプロダクトに取り掛かりたいと思っています。

――ひとりではできない大きなお仕事も成し遂げられそうですよね。

高木 新しいデザインを見つけることは、メンバーにとっても新しいチャレンジになりますしね。案件によっては、手を動かすのがひとりの場合もあると思いますが、みんなで意見を出し合って作っていきます。

――いろいろなテイストのデザインに挑んでいくというということでしょうか?

高木 そうですね。確立したテイストにこだわらず、その都度、案件に合わせて自分たちで新たに生み出していこうと思っています。僕の中で既存のクリエイティブスタジオというと「このテイストの絵が描けるこの人が在籍している」という、イラストレーターありきのところが多いかなと思うのですが、SSSとして重要なのはメンバーが同じ目線で話し合って、みんなでいろいろな新しいものを作っていく、というところです。

――キービジュアルも発表されましたが、こちらに込められた意味を教えてください。

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高木 こちらもまさにそれに関連する話で、SSSはアニメ、ゲームやライトノベルなど様々な業界出身のアーティストがいます。キービジュアルにはそれぞれの業界で培ってきた個々の強みをかけ合わせて、ひつの作品を創り上げていくという意味を込めています。チームでデザインを行う“個の集合体”というスタイルで制作をすることで、個では出せない強さを発揮することを目指しておりこのキービジュアルはそれを表現しました。

――個性が強い方も多くいらっしゃるかと思うのですが、皆さんをまとめるために気を付けている点などはありますか?

高木 たとえば彼らを尖った棘とすると……この表現がいいかどうか分からないのですが(笑)、いまはアプリボットがコアで、スタジオが地表で、そこに棘がさまざまな角度で刺さっている状態。その中で僕はオゾン層になることを意識しています。棘のあいだを埋める役割ですね。もともと僕もデザイナーですが、デザインについてはディレクションしない。デザインはみんなが語り合ってくれているので、僕はそれらのデザインや意思をひとつの形にまとめる部分を担うというところに徹しています。

――高木さんご自身も一線で活躍されていたかと思うのですが、また現場に立ちたいという気持ちはないのでしょうか?

高木 僕も確かに社会人なりたてのころは、絶対にキャラクターデザイナーとして有名になりたいと思っていました。でも、だんだんそこへのこだわりが変わっていって。キャラデザじゃなくて、アートディレクターでもいいし、そのうち「マネージャーでもいいか」ってなって、いまでは社長でもいいと思っています。

――心情が変化していったのですね。

高木 そうですね。視野が広がるにつれて、描いて成功する! というこだわりはだんだん減っていきましたが、その分僕よりも描ける人がいるのだったら、僕が彼らをまとめて、もっと広い仕事をするのもいいなあと思えるようになりましたね。ただ、自分が作ったほうがいいと判断したときは、作り手にもなります。作り上げるモノがよりよくなる手段を選びたいと考えています。

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▲「昔から有名になりたかったんですよ(笑)」と語る高木氏。今では個人としてではなく、スタジオブランドの認知を広げていきたいと言う。

SSSのブランドを確立するために

――現在SSSが関わっているお仕事について教えていただけますか。

高木 UNLIMITED STUDiOがメインで作っている『SEVEN’s CODE(セブンスコード)』の製作に協力しています。

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――『セブンスコード』に携わるにあたり、気をつけていることはありますか?

高木 僕たちSSSにとってもUNLIMITED STUDiOにとっても初めて携わる案件なので、けっこう思ったことをストレートに語って意見交換をしています。お互い歩み寄って、ゲームをよりおもしろくするにはどうすればいいのか? という話をして、なるべくいままでの音ゲーとは違うおもしろさを出すために、ビジュアルからも仕掛けていこうと思っています。

――デザインだけでなく、ゲーム部分にも関わっているのですね。

高木 ゲーム作りにおけるデザインワークは、実際にゲームとして仮組を作ってから見えてくるものがあると思います。ゲームのデザインであれば、ゲームに対しても会話していかないと、それにあったデザインにはならないと考えていて、今は意見交換をしているところです。単純にお願いされたイラストだけを描くということではなく、開発と連携しきちんとゲームの中身を理解して、こういう風にやったほうがいいんじゃないか? とか、これはなんで必要なのか? といった部分を議論しながら作業を進めています。

――今後のスタジオの展望を教えてください。

高木 「やっぱりSSSだね」って、良い意味で言われるようになることですね。ゲームであってもアニメであってもいいのですが、我々が作ったものを一般の方が見て、すごいと思ってくれているところに、「これはSSSが作ったんだよ」って伝えることができたら幸せだろうな、と思っています。また、いまは絵を描くアーティストが6人いますが、3D周りやシナリオライターも探していまして、将来的には自分たちの中から企画が出て、オリジナルタイトルも出せるようになればいいと思っています。

――人材募集もされているようですが、どんな人と働きたいと思いますか。

高木 同じ思想を待って興味を持ってくださる方ですね。今後さまざまな企画を立ち上げていきますので、絵周りのデザイナーだけではなく、シナリオを作れる方や、世界観の原作を取りまとめることができる編集者のような方にもぜひ来ていただきたいなと思っています。

――ありがとうございました。

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