
ジークレストの女性向けゲーム業界セミナーで語られたコーエーテクモゲームスの元祖女性ゲーム開発秘話と、長く愛される女性向けIPづくりの秘訣
2019-02-26 18:00 投稿
市場を開拓した3つのタイトルの今後についても
サイバーエージェントグループのひとつ、ジークレストが行う、女性向けゲームや女性向け作品に携わる開発者を対象としたセミナーイベント、“Girls Game MEETS”。
第5回となる今回は、元祖女性向けゲームの『アンジェリーク』を開発、販売したコーエーテクモゲームスから、キーパーソンが登壇。
コーエーテクモゲームス取締役であり、同社の女性向けゲームブランドである“ルビーパーティーブランド”のブランド長を務める襟川芽衣氏と、『アンジェリーク』と同じく、女性ゲーム市場の道を切り開いた『遙かなる時空の中で』、『金色のコルダ』のプロデューサーを務める松濤明子氏が、“長く愛される女性向けIPづくりの秘訣”というテーマに沿い、誕生秘話を語った。
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▲ルビーパーティーはコーエーテクモゲームスの女性向けゲームの制作チーム。同ブランドからは、『アンジェリーク』、『遙かなる時空の中で』、『金色のコルダ』など、著名タイトルが排出されている。
▼前回はこちら
襟川氏が語る『アンジェリーク』誕生まで
まずは襟川芽衣氏が登壇。女性向けゲームがどのように誕生したかについて、世界で初めて発売された女性向けゲームと言われる、『アンジェリーク』を題材に語った。
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本作は、1994年にスーパーファミコンで発売された女性向け恋愛ゲームであるが、構想から10年以上も経ってから世に出たタイトルだということが、襟川氏より明かされた。1980年代、ゲームはパソコンでプレイをするもの、シミュレーションやシューティングなどといったジャンルが大半。ユーザーもほとんど男性で、そこに女性向けゲームが入る余地はなかったのだとか。
そのようなゲーム市場の中、襟川芽衣氏の母であり、現コーエーテクモホールディングス 代表取締役会長である襟川恵子氏は、当時、「人類の半分は女性である。女性がゲームに興味を持つ時代がいつか来る」と考えていた。
しかし女性向けのゲームを社内で提案しても、乗り気な人はいない。そこで襟川恵子氏が「だったら私が作る」とみずから立ちあがったところから、プロジェクトは始まった。
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◆スタッフ不足で、10年寝かされた企画
いざゲームを作ろうとしたものの、当時は女性のスタッフがいなかったので人材の発掘からはじめることになる。1990年になって家庭用ゲーム機が普及してきたころ、女性の開発者も少しずつ出てくるようになり、ようやくチームが発足した。
最初の女性向けゲームは、「女の子が好きなものをたくさん詰め込もう」というコンセプトで、ピンクでガーリーなビジュアル、少女マンガのような上品な世界観、そして素敵な男性との恋愛、という要素を入れて開発を進めていった。
しかしここで重要な問題が発生した。開発を進めても、ゲームとしてのおもしろさが出ない、ということである。
そこで、『信長の野望』『三國志』各シリーズなど数々の名作に携わり、襟川恵子氏の夫であるシブサワ・コウ氏をアサイン。女王候補がふたりで惑星を育成し、キャラクターたちに助けられながら競い合ったり、親密度によってキャラクターの対応が変化するシステムなどを導入し、それまでにはないゲームとしてのおもしろさが生まれた。
こうして生まれた『アンジェリーク』であるが、発売後すぐには結果が出ず、売り上げは低迷した。今のようにSNSも無く、ゲーム雑誌はほとんどの読者が男性だったので、女性向けゲームが取りあげられることもなかった。
しかし、プレイしたユーザーによる「おもしろい」という声が広がり、一般紙などにとりあげられたことなどをきっかけに、徐々に『アンジェリーク』は売れるようになっていったのだという。
それまでマンガやアニメなどのキャラクターを好いていた女性たちにとって一方通行であったはずの想いが、ゲームではキャラクターもプレイヤーに想いを返してくれるという、“双方向の関係性”を作りあげられたことが、新たな感動体験となり、そこから女性ゲームが普及していったのだ。
また、今では当たり前のように行われている、ゲーム外でのキャラクターソング制作やドラマCDの販売といったメディアミックス展開も、このタイトルが初めて行った。元々はファンの熱量が強いことを感じ、「もっと喜んでほしい」という思いから生まれた施策だが、ゲームの中では見えないキャラクターの新たな一面が発見できることにより、ファンの心をわしづかみにした。
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◆中には失敗経験も
そんな、『アンジェリーク』にも失敗があった。
続編を開発する際に、攻略対象となる男性キャラクターをそのままに、主人公のヒロインを変えたことだ。
前作のヒロインとキャラクターのあいだには、プレイヤーにとっては確かに恋愛経験があったはずなのに、ヒロインを変えて同じキャラクターと恋愛させるというのは浮気のようなもの。今であれば多くの開発者がタブーであることが理解できると思うが、当時のスタッフたちは、それが受け入れられると思っていた。
「単に、ユーザーに喜んでもらいたい、という思いだけではなく、ユーザーニーズを把握したうえで落とし込んでいかないといけない」と襟川氏は当時を振り返って語った。
最後に、このセミナーのテーマである“長く愛される女性向けIPづくりの秘訣”として、3つのポイントをあげた
・“良い思い出”として終わらせない
「昔好きだったキャラ」ではなく、「今大好きなキャラ」としてコンテンツを継続させ、ファンの心を離さないこと。
一方で、プレイヤーはつねに新しい感動体験を求めているので「いつでもそこにいる」といったマンネリにならないよう、メリハリを付けることも大事であるとのこと。
・長く続けられる土台を作る
IPを作るためには、1作目のことだけを考えるのではなく、2作目3作目、先のことを考えて作るということ。
具体的には、社内用に誰でも世界観を理解できる共有資料を作ったり、作った人間と同じだけ作品理解のある部下を育てるといったことだ。
どのような状況になったとしてもタイトルを守り続けることのできる環境作りが大事なのである。
・ファンあってのIPである
ゲームを作っているとつい忘れがちになるが、つねに“誰に向けて”、“何を感じてほしくて”作っているのか、ということを頭に置いてゲームを作ってほしい、と襟川氏は言う。
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そして襟川氏は最後に、ルビーパーティーとして今後の展開を語った。
2019年9月は『アンジェリーク』もルビーパーティーも25周年を迎える。
家庭用ゲームを中心に展開してきたブランドにとって、やはり課題はスマホタイトルを作るというところ。「近いうちに発表できると思う」と、ルビーパーティー作品のスマホタイトルの可能性を示唆した。
また、一方で、ずっとコンシューマーで開発してきたということもあり、低迷している今だからこそ、盛り上げたいのだという。
他社と組んで、ニンテンドースイッチで女性向けゲームを遊んでもらおうという施策も実施しており、そういったコンシューマーでの取り組みは今後も続けていきたいと語り、「新しいときめき、幸せを感じてもらえる作品を作って30周年、40周年と長く続くブランドにしたい」と最後に思いを述べて、講演を締めくくった。
IPの引継ぎと拡大を行った松濤氏が語る秘訣
続いての登壇者は松濤氏。初めて氏がメインプランナーを務めたのが、2004年に発売された『遙かなる時空の中で3』になる。
本シリーズは、主人公が時空を超え、そこで出会う男性と恋愛をする物語だ。『遙かなる時空の中で』(以下『遙か』)は平安時代、続編の『遙か2』がそれから約100年後の平安末期を舞台に展開された。
そして続く『遙か3』も、今までのシリーズと同じく歴史モノとして魅力的に見せられるよう、舞台となる時代設定に関してかなりこだわったという。今までのシリーズに触れているプレイヤーであれば、『遙か2』から100年後の世界が自然であるという考えはありながらも、IPの拡大のため、新規層にとっても魅力的に映る時代設定を探ったのだ。
本作の発売は2004年の11月であったが、じつは翌年2005年の1月から放送されるNHKの大河ドラマが『義経』になることは決まっていた。一般メディアでもこの時代が露出することが予想されていたこともあり、『遙か3』の舞台は源平争乱の戦の世となった。
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松濤氏曰く、こういった女性向けゲームの場合、10万本以上売るためにはゲームコア層の女性だけでなく、一般層に向けたアプローチも大事とのこと。
氏も、キャラクターに“萌え”の要素を入れるだけではなく、一般女性の好みを押さえつつ、広いユーザーニーズに答えることを意識的に行ったのだという。たとえば、ゲーム内に京都、奈良、鎌倉という移動を入れることで、多くの女性が好む“旅行”の要素を入れるといった工夫がなされた。
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◆“このゲームにとっては何が大切か”を考える
より大きくIPを拡大させるためには、“ゲームとしてきちんと作る”ことが重要だと語る松濤氏。それまでのシリーズは、アドベンチャー、シュミレーション、ミニゲームの3要素が入っていたが、『遙か3』では、これにRPG要素を取り入れた。
また、女性向けにはなかった“キャラクタールート(それぞれのキャラクターごとに異なるストーリーが展開するゲームシステム)”と、“強くてニューゲーム(2週目以降プレイする際に、レベルを持ちこせるようにする)”を実装。
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スケジュールや開発費が決まっているゲーム開発の中で、こういった新しい要素を取り入れるためには、“このゲームに置いて何が要の部分なのか”ということを見極めることが大事だと言う。
本作においても、物語を開始してから、悲劇が起き、プレイヤーの選択によって物語が再び動き出すまでのプレイ時間がおよそ7時間半かかるのだが、これに対して社内の上層部からは「1時間で納められないか」という話もあった。
しかし、それでは本作の要である“悲劇”を、プレイヤーが悲劇として捉えられなくなってしまうと開発スタッフが抗議。なんとか実現に至ったという。一方で、今までひとりのキャラクターにつき2ルートあったところを、1ルートに変えてそのぶん丁寧に作り込むことで、スケジュールや開発費を前作規模に抑えることができた。
こうして『遙か3』は成功をおさめ、続編の企画が入ってきた。そこで、本作と世界観を同じくして、ストーリーとキャラが追加された『遙かなる時空の中で3 十六夜記』と『遙かなる時空の中で3 運命の迷宮(ラビリンス)』が発売。今では珍しくないが、これがいわゆる“FD(ファンディスク)”といわれるものの走りである。
ファンディスクでありながら、この2作は本作とほぼ同じ本数を売り上げたという。
『運命の迷宮』の発売は、『十六夜記』のわずか半年後。タイトな開発スケジュールであったが、「プレイヤーの熱が冷めないうちに世に出せたことが、成功につながったのではないか」と松濤氏は語った。
松濤氏はこれらのまとめとして、『遙か3』のように、今までのIPを引き継いで続編を作る際には、“コアなニーズに偏らないこと”、“スピード感を持って取り組むこと”が大事である旨を強調した。
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◆既存プレイヤーも、新規プレイヤーも取り込む工夫
続いて松濤氏は2010年、『金色のコルダ』の新作『金色のコルダ3』を担当したときのことを語ってくれた。
このシリーズは当初から、同じキャラクターで続編を作る3部作が想定されていたのだが、それが1作前の『金色のコルダ2 アンコール』を持って完結。
松濤氏は新たな物語として、本シリーズを制作することになっていた。2010年にもなると、2004年に比べて多くの女性向けゲームが市場に存在していたため、新規のプレイヤーも手に取ってもらう必要があった。
そこで、マンネリ化を脱するために、前作までには舞台としていない季節“夏”をテーマに、少年マンガ的な熱く真剣な、“部活モノ”としての魅力を追及。
キャラクターに活発なイメージを出すために、ビジュアルでは、キャラクターの動きを大きくつけることにした。新キャラクターはもちろんのこと、前作まで登場していたキャラクターたちも成長した姿で登場。既存のプレイヤーにも大きな“驚き”を与えた。
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また、数多くいるキャラクターたちを認知しやすいように、キャラクターをグループに分け、それぞれのグループにカラーリングやコンセプトをつけた。さらにグループの中でも上下関係をつけることで、キャラクターをカテゴライズで認識しやすいように工夫。
キャラクターカラーやモチーフなどは、今の女性向けゲームでは当たり前のようにあるが、これも当時としては珍しかったことだという。
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松濤氏は、長いIPの展開を続けるためのアドバイスとして、以下をあげた。
・今までのお客様へのおもてなし
・新しいお客様獲得へのチャレンジ
・お客様に定着していただけるために速度感
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『遙かなる時空の中で』シリーズは2020年に20周年、『金色のコルダ』シリーズは2023年に20周年を迎える。それに合わせ、大きな展開も仕込んでいるという。
「これからも女性向けゲームの発展に貢献したい」と語った。
ジークレストが女性向けゲームの開発者へ向けに開催しているセミナー“Girls Game MEETS”は定期的に行われている。ジークレスト公式Twitter、ジークレスト公式Facebookなどを確認して、情報をチェックしよう。
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