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『Ingress』、『ポケモンGO』の先にあるものとは!?ナイアンティックのトップ3が語る未来のカタチ

2018-10-18 21:22 投稿

位置情報とARがもたらす新世界への歩み

2018年10月12日から21日の10日間に渡って六本木ヒルズで開催されている“INNOVATION TOKYO 2018 – AR PLAY GROUND WITH NIANTIC”は、『Ingress』や『ポケモンGO』で知られるナイアンティックが提唱する、“位置情報とARによる新しい世界”を体験できるプロジェクトだ。

世間的にはゲーム会社という認識の強いナイアンティックが、本来何を目指し歩んでいるのか。

新たなAR技術“リアルワールドプラットフォーム”の未来を、CEOのジョン・ハンケ氏をはじめとするナイアンティックのキーマンが明かしてくれた。

本記事ではその内容をフリーライターの深津庵がお届けする。

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記事のポイント
●これまでの積み重ねが生み出す新たなARの世界
●目に見えないものを現実世界に重ねるAR技術の実現
●ポケモンと触れ合う新たな体験と技術の実装
●スマホを使わないAR未来とGoogle+問題の行方

これまでの積み重ねが生み出す新たなARの世界

2018年10月16日に行われたこの説明会には、ナイアンティックの創設者でありCEOジョン・ハンケ氏のほか、アジア統括本部長兼エグゼクティブプロデューサーの川島優志氏、グローバルプロダクトマネージメント担当である副社長の河合敬一氏、マーケティングマネージャーである須賀健人氏が登壇。さらに、日本法人社長である村井説人氏がMCを務めるという特別な場となった。

約1時間半に渡って行われたこの説明会は、いずれも重要な内容であり今後のナイアンティックはもちろん、『Ingress』のエージェント、『ポケモンGO』のトレーナーにとっても興味深いもの。

ここからはジョン氏、河合氏、川島氏の順に“リアルワールドプラットフォーム”が示す未来のカタチをまとめていく。

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▲左から村井説人氏(日本法人社長)、須賀健人氏(マーケティングマネージャー)、ジョン・ハンケ氏(ナイアンティックCEO)、河合敬一氏(グローバルプロダクトマネージメント兼副社長)、川島優志氏(アジア統括本部長兼エグゼクティブプロデューサー)。

ハンケ氏は最初に「テクノロジーを活かして世界をよりよいものに導くことが我々の使命だが、新しいものに対して抵抗を示す人も多い。しかし、わたしはテクノロジーに対して楽観的に考えています。」と説明。いまよりもっとすばらしいものになると信じているのだと未来像を語った。

「隣りに座っている河合らとGoogleで開発したGoogle Mapが世の中にもたらした価値は、とても大きいなものだと感じています。スマートフォンさえ持っていれば世界のどこへでも出かけ、さまざまな情報を得ることができる。そうしたサービスはまさに魔法のような体験だった」とハンケ氏。

さらに、「たとえばここ、六本木ヒルズが建っている場所に昔何があったのか。どんな人物が生まれ、その命を遂げたのかといったことを知りたいとします。インターネットを使えば調べることができますが、いま立っている場所に直接触れながら歴史を知ってもらいたい。そうした想いから生まれたのが『Field Trip』なんです」と、最初に手がけたアプリケーションとナイアンティックの思想を明かした。

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▲ナイアンティックという社名の由来はサンフランシスコ湾に沈んでいる船名であり、目に見えないものを探していこうという考えから来ているとハンケ氏。

ハンケ氏によれば、リアルワールドプラットフォームとはナイアンティックが積み重ねてきた技術の集合体。人々が起こすアクションを同時に処理して、同じものをひとつの世界に反映させるというものであり、多人数でプレイすることから生まれる時間の共有こそが重要なのだという。

さらに、「ナイアンティックには最大1秒あたり100万回のリクエストを処理する独自のエンジンがある。高度な画像認識技術を成し得ることで、大規模なサービスの提供が可能になった」とハンケ氏。

今後もそうしたテクノロジーを使って人々を外の世界に導き、互いの顔を見ながらコミュニケーションを楽しめる空間の構築を目指していくと名言したうえで、「提供するゲームおよびサービスにはまだバグもあり、完全なるサービスとはまだまだ言えるものではない」と、現在向き合っている多くの課題について言及。今後のイベント展開への期待を感じさせた。

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▲「最初はたった1人の社員を派遣する手探り状態だったにも関わらず60人以上集まった。そこで生まれるコミュニティに刺激を受け、その後さまざななイベントを実施。『Ingress』では何万、『ポケモンGO』にいたっては何十万人もの人々が参加していただけるまでになった」とハンケ氏。

また、「イベントはマーケティングにも大きな意味がある。特定の場所に数万の人々が集まったとき、どれだけスマートフォンに過大な負荷をかけるのか。安全性の問題はもちろん、たくさんの改善を重ねてきた。この分野では他社にはないトップクラスの経験を持っている。」と、大規模なイベントで生じたトラブルから多くのことを学び、それがナイアンティックにとって大切な財産になっていることを語った。

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▲『Ingress Prime』のリリースに関する問いに対して難しい質問としたうえで、「我々の開発者を追い詰めたくないが、『Ingress』6周年を迎える11月付近にリリースしたい」と語った。

目に見えないものを現実世界に重ねるAR技術の実現

『Ingress』や『ポケモンGO』といったタイトルの企画制作や運用のほか、現在開発中の『ハリー・ポッター』を支えるリアルワールドプラットフォームの開発も担当する河合氏。

「ジョンとはGoogle Mapの開発をしていたころから約11年歩んできた」と語る河合氏は、人々が歩くために必要なマップをいかに現実世界に落としこむか、ARをどう重ね合わせていくべきなのかを考えながらこれまで仕事をしてきたことを振り返る。

そこで、ナイアンティックのコアバリューとは“見えないものを見えるようにする”こと、発見を通じてさまざまな交流を生み出すことだと問う村井氏に対して、それを実現するために掲げているテーマが3つあると河合氏。

ひとつ目はエクスプロア、いろいろな場所に出かけて新しい発見をする喜び。ふたつ目はエクササイズ、運動のために体を動かすのではなく、好きなことをしていたら自然と運動をしていたという偶発的なもの。そして3つ目がリアルワールドソーシャル、人々をつなぐことだという。

河合氏は『Ingress』に備わる機能にひとつであるミッションを例に挙げ、「各地域に住むエージェントがみずからオススメするスポット、グルメなどを巡るルートを構築。それにチャレンジすることで、はじめて訪れた地域をガイドに案内してもらった感覚で安心して歩くことができる。」と語った。

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▲『ポケモンGO』のレイドバトルも、ひとりではできなかったものがみんなとなら成し遂げられる。同じ時間、同じ場所で共通の目的をもって楽しめることもリアルワールドソーシャルなのだと河合氏。

また、リアルワールドソーシャルで人々の生活はどう変わっていくのかという村井氏の問に“難しい質問だ”としたうえで、「それらの答えは何年も積み重ねて見出されていくもの。」と河合氏。

今回の“INNOVATION TOKYO 2018 – AR PLAY GROUND WITH NIANTIC”では、ポケモンの声や自然の音を聞きながら隠れている場所を探すAR体験がある。

ふたつの世界を重ね合わせていくことがARの魅力であり目指すべき未来であること。それに関連する技術として存在するのが、2018年6月に公開して多くの話題を集めた空間を認識して駆け回るピカチュウのAR映像というわけだ。

河合氏は「リアルワールドプラットフォームは将来的に一般への開放が検討しているが、“いますぐ使えるかと言えばまだそうではない”」としたうえで、パートナーを公募する予定であること、近日中に詳細を明らかにするので期待してほしいと述べた。

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▲リアルワールドプラットフォームについて、「コンピューターから見れば写真は色の付いた点の集まり。学習を重ねることでイスや机など写っているものが認識できるまでになった」と河合氏。光源の場所にあわせて正しい影のカタチを計算するなど、よりリアルに表現できるようになったという。

ポケモンと触れ合う新たな体験と技術の実装

「ナイアンティックが研究しているARとはデジタル情報を現実世界に重ねるだけではない。隠されたレアなスポット、みんなが忘れているものに導き再発見してもらうことにある。」と語る川島氏は、今回のプロジェクトが3年前、『Ingress』のコアユーザーでありMITメディアラボの伊藤穰一氏がナイアンティックのサンフランシスコオフィスを訪れたところから始まっていたのだと明かした。

庭園を持つ六本木ヒルズで自然に触れ合う体験はできないかという話題から、“ゲームと自然ふたつの音を同時に感じられるARの世界”を考えついたのだという。

さらに、森ビルが所有する六本木ヒルズの1000分の1模型に『Ingress』エージェントの活動(1週間のタイプラプス)をプロジェクションマッピングで投影するなど、現実世界にARを重ねわせるさまざまなチャレンジを実現できたと明かした。

なお、今回公開したAR庭園の技術(音を頼りにポケモンを探し触れ合うもの)は今後、『ポケモンGO』に実装されるスニークピークと呼ばれるものあり、同じ場所にいるトレーナーたちが遊んでいるポケモンが各自の画面にも反映されるという。

これは公園でペットと遊んでいる飼い主を見かけるのと同じ光景、「画面を通じて各トレーナーがお気に入りのポケモンと触れ合う様子を眺める不思議な体験になるだろう」と、老若男女幅ば広い層が楽しめる機能への期待を明かしてくれた。

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▲2018年10月17日深夜からスタートするアニメ版『Ingress』にプロデューサーとして携わっている川島氏。重厚なストーリーを持つ『Ingress』の世界をより多くの人へ届けたいこと説明した。

スマホを使わないAR未来とGoogle+問題の行方

最後にハンケ氏は、現在ARが提供されているデバイスはおもに5インチ程度小さな画面(スマートフォン)の中ですべてを表現しているが、ARが持っている力はそんなものではないと確信していることを明かした。

技術的なハードルはたくさんあるがスマートフォンに頼ることなく、現実世界すべてのものにインターネット上の情報を付与できるようになるという。

その進化の例にゲーム黎明期をあげ、当時のATARIや任天堂が業界を牽引、技術的な進歩に繋がっていたこと。そこからゲーム以外の成熟したアプリケーションが生まれたのと同じように、ARの世界もさらなるジャンルへと進化していくのだと語った。

あらゆる世界を有意義で色彩あるものにしていくことが我々ナイアンティックが目指すARの未来でありゴールだ」と語るハンケ氏の言葉は印象的だった。

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▲究極のゴールまでの距離を100メートル競争に例え、ナイアンティックが開発してきたAR技術はまだ15m程度だととハンケ氏。今回披露する“Neon”も成し遂げた結果のひとつである語った。

なお、『Ingress』ユーザーはとくに注目しているGoogleが提供のSNS“Google+”が来夏で終了ことに対して、ハンケ氏はGoogleを離れた身なので簡単にと前置きし、「Google+のユーザー数が減少していった流れを、我々はどうすることもできなかった」と述べた。

続けて、「Google+はエージェントにとってコミュニティの中心であり、今回の発表は家から追い出されること同じ。何かしなくてはいけないと思っている。」と、今後何らかの対策を取ることを明言した。

P.N.深津庵(撮影協力:あしたづひむ)
※深津庵のTwitterはこちら

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