【新作】不可解な現象を音だけで解き明かすイヤホン必須のサスペンスホラー 『高校の怪談』

ノンルックでスタイリッシュなサウンドノベル

幼少期に父を亡くして以来、ときどき幻聴が聞こえるようになった主人公は日常的にイヤホンでそれを妨げるようになる。

そうして高校生になった彼は怪談話で盛り上がっている高校への編入をきっかけに、さまざまな事件に巻きこまれていく。

本記事で紹介する『高校の怪談』は、画面を見ずにプレイできる全編音声のみで構成されたイヤホン必須のサスペンスホラーだ。

耳を澄ませて情報を集め事件を解くノンルックプレイ

画面をいっさい見ずにプレイできるノンルックスタイルを推奨する本作は、主人公の自問自答（2択）をスマホのボリュームまたは画面上に表示される上下ボタンで決定。ストーリーの合間に行われる自動セーブを音で知らせるなど、基本的にスマホさえ手に持っていれば画面を見ずともプレイできるのが大きな特徴だ。

■『高校の怪談』予告編

主人公の河内空太に仮入部の申請書を催促しにくるヒロインの和泉鏡香は、おっとりしているようで自分のやりたいことには積極的な女の子。彼女の入っている奇妙な同好会への勧誘をきっかけに物語は動き出す。

学校の怪談といえば小学生から中学生のイメージが強く、高校生にもなってそんなことを信じているのかと思う人もいるだろうが（おじさんな筆者はいまでも大好物）、彼らは“勤勉小僧の怪“や“徘徊する日本兵”など、校内で噂される怪現象の話題でもちきり。

選択肢を通じてさまざまな怪談話のヒントを集め、噂の真相を解明していくのがプレイヤーの使命なのだ。

全編音声であることが最大の特徴でありユーザーインターフェイスはおまけ、どんなに物語が進もうが怪現象が発生しようが基本的にはスクリーンショットのような画面のみ。本当に見る必要がないくらいフルボイスのストーリー展開は聴き応えがある。

しかし、シチュエーションを想像させる会話も多くて遊びやすい反面、自分がいまどんな場所にいるのか、どこで誰と会うことができたのかなど位置関係が少々把握しにくい。

画面上にある校内マップに現在地、重要な人物がいる場所をピンで表示するなど、フィールドワークをアシストする何かしらのアシストもほしかったところだ。

ノンルック操作という個性とフルボイスで描くストーリーは文句なしにおもしろい。

お約束の展開で終わらない怪談話や分岐の広さ、冒頭のフリからは想像もつかないくらいポジティブな主人公と、それを取り巻く個性的なキャラクターたちが描く校内の噂は最後まで目が、いや耳が離せないぞ!!

特徴的な声にも注目の個性派キャラクター

フルボイスの本作ではあるがいわゆる有名声優は見当たらない。

そこにモチベーションを持っているプレイヤーには残念なことだろうが、そんなことを気にする必要がないくらい特徴的なキャストが揃っている。

プロの声優なのか身内から志願者を集めたのかは不明だが、最初こそ多少の違和感はあってもキャラクターの個性とマッチしてすぐなれてしまう。

個人の感想としては若干名なじまない口調のキャラクターもいるが、そこは好みの問題で本作に限らずむかしから筆者は“嫌いな口調”なので仕方がない。

そんなことを気にしている暇もないほどテンポのいいストーリーに自然と引き込まれていくだろう。

“おかれきみす会”

聞き慣れない言葉の同好会に入ることになってしまう空太と、そこに巻きこまれていくさまざまな登場人物。空太が聞く幻聴の真意と校内に潜む真の恐怖を解き明かしてほしい。

なお、本作にはアナザーストーリーにあたる『高校の怪談 Another S』というタイトルもあるので、興味がある人はそちらもぜひ!!

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

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