『Ingress』国立競技場で緊急バトル!! 軽い気持ちで呼び掛けたら想定外の結果になったBB戦リポート
2024-07-16 21:25
2017-11-02 13:00 投稿
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Ingress Prime(イングレス プライム)
AR(仮想現実)を使った位置情報ゲームで、たくさんのプレイヤーを外の世界へと導いてきたナイアンティック社。
その名を知らしめた『ポケモンGO』の基盤ともなっている『Ingress(イングレス)』と言えば、レジスタンスとエンライテンドふたつの陣営がポータルと呼ばれるポイントを結んで陣取りを行う、世界規模の戦いが日夜くり返されているゲームである。
当記事でインタビューするのは、kyletan22というエンライテンドのエージェントであり、スマートフォンアプリを開発するオリフラムの代表取締役という肩書きを持つ池田隆児氏だ。
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東京湾アクアラインに存在するも東京湾のど真ん中という場所ゆえ、位置情報を捉えにくく、アクセスが困難とされてきた“風の塔”と呼称されるポータルのキャプチャー(自分のものにすること)に成功した池田氏に、その具体的な方法をレジスタンスに属するfukatuanことフリーライターの深津庵が直接問う。
敵対する陣営に属するふたりが考える『イングレス』との向き合いかた、戦うことの意味と関係性についても語り合ってきたぞ!!
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──オリフラムの代表取締役であり、敵対陣営に属する池田さんとこうして『イングレス』を主題にお話しを伺うことになるとは想像もしませんでした。
池田隆児(以下、池田) とても不思議な感覚ですが、今回は風の塔のキャプチャー方法と経緯について語ってほしいと伺っていますのでよろしくお願いします。
──それでは単刀直入に行きます。風の塔にアクセスする方法を教えてください!!
池田 ズバリ言いますと、Apple CarPlayというものを使います。これはAppleの車事業で行っているひとつで、簡単に例えるなら車にiPhoneを連動させるものですね。AndroidにもAndroid Autoというものがあり、それらを活用して車の位置情報を捉えているポイントに注目したんです。
──そうした技術を使うことで、トンネルに入っても位置情報をロストせず走行でき、海のど真ん中、東京湾アクアラインを使っても風の塔にアクセスできるのではないかと考えたわけですね。
池田 私は“東京湾緑化機構”というエンライテンドの組織に属していまして、俗に“湾岸砲”などと言われている千葉の木更津や羽田、横浜、若洲にあるポータルを結んで巨大なコントロールフィールドを頻繁に作っていて、関東セル(特定のエリアで稼いだサイクルポイントの集計値を競う戦い)で勝つというチャレンジをしています。『イングレス』を始めた当初、自軍のコントロールフィールドで広域を覆うことに強い憧れを持ちました。それがきっかけで、いまのコミュニティに参加することになりました。
──最初からApple CarPlayに狙いをつけていたのですか?
池田 最初はもっとシンプルに、GPSを捉える方法はないのかという疑問からでした。外付けの高価なGPSを買ってみたのですが、海底60メートルからのアクセスは難しい。ただ、風の塔は通気口なので、ほかにもチャンスはあるだろうと。かといって、高速道路で車を停車させるなんてことはできない。そこで注目したのがApple CarPlayだったのです。
──同じApple CarPlay搭載でも国産車はいまいちだった?
池田 私が試した経験では結果だと、国産車の場合は位置情報がブレやすかったですね。道路交通法で東京湾アクアラインは50キロ以下まで落とせませんので、位置情報が安定するのを待っていられない。確実にキャプチャーするなら、個人的にはベンツがオススメです。
──当然、高速道路なので停車できない状況で確実に成功させる方法は?
池田 渋滞しやすい時間帯や、思いっきり空いているときを狙いました。ちなみに、東京湾アクアラインは直線かつ下り坂になっていて、驚くような速度で走っている人もいるので、周囲の状況をしっかり確認する必要があります。また、チャレンジするときは必ずツーマンセルでどちらかが運転し、助手席の仲間がスキャナを操作する。交通ルールは絶対に守ることが大切ですね。
──風の塔をキャプチャーする中でトラブルはありませんでしたか?
池田 過去に複数人がまとめて風の塔にアクセスしたときがあり、それに対しておかしいと声が挙がったことがあるんです。しかし、それは複数の車でチャレンジしていただけなんですよね。もともと、この風の塔はレジスタンスのエージェントが最初にキャプチャーに成功していて、私は2番目なんです。残念だったのはそれに対して、私が位置偽装したのでは? という本人不在の弾劾裁判まで行われたことですね。先ほどお伝えした通りの方法で不正はしていませんし、当日は名のある複数のエージェントに同行してもらい、それぞれが風の塔にレゾネーターを挿すことで履歴も残し、それを証拠に無実が証明されました。
──そうなることを想定していた?
池田 はい、絶対疑われるだろうと予想していました。案の定という展開でしたが、驚いたのは風の塔へのアクセス方法が、その直後に漏れたことです。これはズバリ、うちの東京湾緑化機構にスパイが潜んでいたわけですね。スパイと判明したきっかけもシンプルなもので、我々のコミュニティページのURLが某掲示板に載ってしまったんです。ただし、それはメンバーでなければアクセスできないものだった。そうなればもう、どこから漏れたことはなんて明確ですよね。
──レジスタンスとしては残念なことですが、スパイは両陣営に潜んでいますよね。XMアノマリーの開催が決まるとお互いに陣営限定のコミュニティなどが設立され、その中で個々の作戦を決めたりもするのですが、決まり文句のように“ここは◯◯のコミュニティです、対象外のかたは抜けてください”的な注意が冒頭に書かれる。戦いは当日現場でとイメージされる方もいますが、じつは開催が決まったときから始まっているんですよね。
池田 そうなんですよね。ただ、私たちのコミュニティはそうした縛り付けや閉じたものにはせず、スパイがいてもポジティブに解決していっています。そうした事柄にも柔軟に対処したうえで達成していく。一見困難に感じる事案を乗り越えてきたからこそ、コミュニティは成長できているのだと思いますね。
──湾岸での活動が多いようですが、巨大なコントロールフィールドを作っているとサイクルポイントも稼ぎやすそうですね。
池田 私が始めた当初は東京湾周辺のサイクルポイントを取りやすかったのですが、もちろんレジスタンスの皆さんも黙ってはいません。最近はそうした活動を狙い撃ちするスナイパーのような方もいて、とても激しい戦いになっています。
──集計のタイミングを狙って妨害してくると?
池田 例えば、本来その土地の持ち主しかキャプチャー出来ないようなポータルを使ってコントロールフィールドを作ることもあるのですが、リンクを結べないよう妨害されるんです。それを未然に防ぐため、一定の時間帯は立ち入りが禁止されている公園内の灯台ポータルなどを使ってガードリンク(ポータル同士を結んでできるリンクを盾に見立て、それを飛び越すリンクを防ぐ)を結んだりもしますね。
──これは個人的な考えですが、『イングレス』はプロレスだと思うんです。陣営間の対立はあって当然、負けるもんかとお互いが感じてなければ成長しません。ただし、本気で戦うのはスキャナの中だけ、プロレスで言えばリングの上というわけです。
池田 同感ですね。私は敵陣営のエージェントと飲みに行ったりするような交流はしませんが、本気でぶつかり合える相手があってこそ『イングレス』が楽しくなる。位置情報を使ったゲームなので当然ライバルとも遭遇しますが、お互いの存在があってこのゲームが成立しているわけですからね。
──両陣営のエージェントが飲みにいくといった交流しないということですが、その理由は?
池田 少しでも相手のことを知ってしまったら情が湧き、スキャナ上で本気の殴り合いができない。敵陣営じゃなかったら仲良くなれる間柄なのかもしれませんが、『イングレス』をしている以上、そこはしっかり線引していますね。まさに、プロレスというわけです。
──そう、情が湧いたら戦いにくい。同じ考えで安心しました。というのも、僕はこれまで中立の立場で『イングレス』の記事を書き、両陣営の皆さんとも交流してきたのですが、今回の主題でもある風の塔に関する情報は、いわば敵陣営にすべてを晒す行為になりますよね。池田さんがどんな気持ちでこのインタビューを受けてくれたのか気になっていたんです。
池田 風の塔に関する情報、エピソードに関してはコミュニティ内で了解を得ています。また、すでに両陣営のあいだでもキャプチャーしている方はいるので、内々のネタにしておくよりも互い奪い合ってエージェント活動が活性化すればいい。そのうえで、私は全力でレジスタンスの皆さんと戦いたいですね。
──『イングレス』の話題で盛りあがっていますが、池田さんと言えば、iOSのリアルタイムストラテージゲーム『カオスセンチュリオン』を手掛けるていますよね。ゲームクリエイターとして見る『イングレス』とはどんな存在なのでしょう?
池田 『イングレス』は単なる位置情報ゲームではなく、RPGだと思っています。私、池田隆児という人間とkyletan22は別人格だと考えているのと同じで、エージェントの皆さんも基本は実名を明かさない。どこかテーブルトークRPGにも似たものがあると感じていて、先ほどおっしゃっていた戦うならリングの上というのと同じで、我々エージェントがこの世界をゲーム盤に見立てて冒険している。そこにはさまざまな職種の方がいて、思いがけない人との輪が広がり、ともに戦う仲間が増えていくのがおもしろい。
──これまでの人生を振り返っても、こんないっきに輪が広がったことがないというくらい、多方面の方と知り合えますよね。
池田 この広がりには本当に驚きます。同じ陣営だったら仲良くなれただろう方もたくさんいますが、最初の陣営選択が違っただけで、宗教観の違いや政治的抗争でも始まったかのようにバチバチの戦いが始まる。互いがそれだけのプライドを持って挑める点も、現実世界をロールプレイしているからこその醍醐味だと思います。
──現実世界を使ったゲームと言えば、いま池田さんが開発しているコードネーム『Kaze』の詳細も気になりますね。
池田 ありがとうございます。じつは現実世界を舞台にしたゲームを開発している最中なんですが、先に言ってしまうと、『イングレス』や『ポケモンGO』という二大巨頭のいるジャンルですが、そのふたつにはない要素を取り入れることで、まったく異なるものに仕上がってきていると感じています。
──ヘックス(6角形のマス)で埋め尽くされた地球が舞台のようですが『イングレス』のように陣営に属して戦うイメージなのでしょうか?
池田 そうした概念はないですね。遊びかたとしてはまず、ヘックスに4つの属性を持つさまざまなカードを配置します。ディフェンス側は家にいながら、周囲数キロに渡ってそれらカードを操作することができる。『クラッシュ・オブ・クラン』の箱庭要素が自宅を中心に現実世界で構築するイメージです。いっぽう、オフェンス側には屋外に出て攻撃を仕掛けたほうが有利になる要素が多く、それをサポートすることで、さらに戦力を高めることもできる。タワーディフェンスをこの現実世界で楽しめると考えるとベストかもしれませんね。
──攻めるべき目的はなんでしょう?
池田 相手が所有している土地を奪い、囲って壁を作ると自分の陣地になるんです。また、倒した相手の国旗を戦利品をして奪うこともできる。さらに、各プレイヤー(国)が連合を組むことでテリトリーを拡大していくこともできるんです。現実世界にあるランドマークなどのスポットをテリトリーに収めると、その容積に応じて国力が高まるなどの要素もありますね。
──とてもおもしろそうなのですが、それだと田舎のプレイヤーは遊びにくくなりそうですね。
池田 田舎には田舎の大きなメリットがあるんです。じつは、ミサイルや戦闘機など攻撃系のカードを使う場合、その周囲にあるものを爆風で破壊してしまう。しかし、田舎であればその心配もない。当然、発射するまでに時間がかかりますし、その様子もゲーム画面上に表示されるので、対抗するプレイヤーに攻められます。そのリスクが少なく済むのも田舎のメリットだと思います。そうした駆け引きのヒントになったのが、映画『シン・ゴジラ』なんです。あの劇中で描かれていたヤシオリ作戦の前に決行された作戦の再現なんですよ。
──多摩川の河川敷を絶対防衛ラインにしたタバ作戦ですね。
池田 そう、それです。劇中ではゴジラという災害が東京を破壊しますが、本作でもあのような災害が発生します。ひとりでは対処できないものに、みんなで共闘して防衛ラインを構築して立ち向かうことができる。『イングレス』ではさまざまなコミュニケーションツールを使ったゲーム外の情報伝達もおもしろい要素ですが、そうしたアクションを『Kaze』でも巻き起したいですね。
──スマートフォンアプリといえば課金も気になります。
池田 もちろんありますが、無課金でも十分楽しめるのもを目指しています。ちなみに、アイテムを輸送機などに詰め込んでヘックス上に起き、仲間に届けることができるのですが、当然それを破壊することできます。その後、周囲に飛散してしまったアイテムを奪うことも可能なので、カードの特性を考えていろいろな立ち回りを考えてほしいですね。
──具体的なストーリーは?
池田 バックグラウンドに宗教的なものや政治的なものは設定しますが、それ以上のものは用意していません。もちろんストーリーを考えていはいますが、それを押し付けるようなこともしない。そのかわり、カードのフレーバーテキストに記載しようと思っているので、それらを読んでいくと世界観がより膨らむはずです。
──ちなみに、具体的な時代設定などはあるのでしょうか?
池田 いまから100年後の未来を想定していて、現在進行系で世界が動いているというイメージです。
──つねに、我々の生きている現在とは100年の距離があると?
池田 そんなイメージですね、100年後の未来に何が起こっているのか。そこを楽しんでもらえればいいですね。
──リリースの予定は具体的に決っているのでしょうか?
池田 2018年を予定しています。システムはほぼ完成しているのですが、開発状況は40%という段階です。以前のインタビューでも例えた通り、ゲーム開発は炒飯と同じで下準備ができればいっきに炒めるだけ。いままさに調理をする段階には来ているので、まずは、『カオスセンチュリオン』をプレイしていただきつつ、楽しみに待っていてもらえるとうれしいです!!
P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
対応機種 | iOS/Android |
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価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
ジャンル | その他 |
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メーカー | ナイアンティック |
配信日 | 配信中 |
コピーライト | (c) 2014 Niantic Inc. |
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