『テラバトル2』と『テラウォーズ』企画立ち上げの意図は?坂口博信氏スペシャルインタビュー
2017-06-29 11:00 投稿
広がる“テラ”ワールド
『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親坂口博信氏率いるミストウォーカーが2014年に配信開始したスマホ向けRPG『テラバトル』。先日、本作に連なる新作として『テラバトル2』と『テラウォーズ』が発表された。
本記事は、両作を手がける坂口博信氏(ミストウォーカー)へのスペシャルインタビューをお届け。開発をスタートしたキッカケや理由、作品が目指すものなどについて語っていただいた。また、現在配信中の『テラバトル』の今後についても気になる部分を聞いてきたぞ。
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より厚みのある物語を
——最初に、『テラバトル2』開発のキッカケや経緯について聞かせてください。
坂口博信氏(以下、坂口) 昨年の1月くらいに「やりたいね」ということで動き出しました。大きな理由としては、『テラバトル』にもシナリオはありましたが、システム上人物や人間ドラマを描くことができなかったので、そういった面を押し出したものも世に出したい気持ちがあったからです。
——確かに、『テラバトル』では明確な主人公などは存在していませんでしたね。
坂口 はい。『テラバトル』の物語では周囲の状況がどんどん変わっていき、その理由や真相を紐解いていく部分がメインで、個々のキャラクターには強くフォーカスしていませんでした。これはおもにゲームシステムが理由で、同種のスマホゲームでは宿命とも言えることなのですが、有償入手(ガチャ)したキャラクターが物語の途中で離脱したり、もっというと死んでしまったりということはありえないわけです。ですが、人と人とのドラマや感情の起伏が表現できないと、ストーリーに厚みや感動をもたせることがなかなか難しい。
——なるほど。となると、根本の仕組みを変えないと実現できなかったわけですね。
坂口 現在の仕組みでキャラクターの“外伝”を入れて、といった形も考えたのですが、そうなると「持っていないキャラはどうする?」など、解決しなければいけないことが多くて。やはり、プレイヤーキャラクターから課金や育成にかける時間といった要素を切り離さないと難しい。であれば、いちからそういうゲームデザインで作ってしまおうと(笑)。実際に入れるかどうかはともかく、RPGの物語によくある生と死、裏切りや恋心といったテーマがないのは寂しいですからね。そういう意味では、ストーリーには期待していただきたいです。
『2』に込めた意味
——タイトルは『テラバトル2』ですが、スマホゲームでナンバリングは珍しいですよね。
坂口 これも迷った部分ではあるのですが、最終的には僕がやっていた『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)の手法に倣う形でいいかなと。『FF』ってナンバリングで世界観やストーリーがまったく違って、ゲームシステムは新規要素を追加するというのが基本的な流れじゃないですか。これがプレイヤーの皆さんにもわか
ってもらいやすいかなと考えました。ですので、個人的な希望的構想としては9作くらい作れると
いいなと思っています(笑)。
——では、ゲーム部分の新規要素について、お話できる範囲で教えてください。
坂口 まず、ワールドマップとフィールドマップの存在は大きな違いです。物語を進めていくうえでやはり欲しかったですね。イベントや会話も挿入しやすいので、ゲームの印象も大きく変わりますから。ストーリーの強化というテーマのなかで、演出の部分で大きな役割を担っているところです。
——フィールドマップには仕掛けなども?
坂口 宝箱が置いてあったり、隠し通路などもありますよ。ファミコン時代のRPGのダンジョンを想像してもらうとわかりやすいと思います。
——RPGといえば、プレイヤーキャラクターの育成要素も気になります。
坂口 大きく影響する部分ですと、まず“守護者”ですね。さまざまな“守護者”がいて、好きな“守護者”を設定することで独自のスキルや能力をプレイヤーキャラクターに付与してくれます。それらを駆使してバトルを有利に進めていく形になります。また、“守護者”は経験を積むことで強くなっていきます。それから、武器・防具の要素もあります。装備は、攻撃力や防御力といった基本ステータスに加えて、スキルの範囲拡張といった効果を持っているものがあります。単純にステータスアップだけではないので、装備のチョイスも重要になってきますね。
——RPG的な要素がかなり増えているんですね。
坂口 そうですね。それから、ソーシャルゲーム的な部分ではフレンドのシステムも入れています。自分のパーティーにプラスひとりを加えてバトルができるようになっています。
『テラウォーズ』ってどんなゲーム?
——同時発表された『テラウォーズ』についても概要をお聞きしたいです。
坂口 こちらは配信が『テラバトル2』よりもあとになるので、あまりお話しできることがなくて申し訳ないのですが……。基本は、藤坂(公彦氏)の描いたキャラクターたちが3Dのクレイモデルになってゲーム中でいろいろと活躍してくれる……というそんなゲームです(笑)。
——『テラバトル』、『テラバトル2』とは趣も内容もまったく異なるゲームと考えていいのでしょうか?
坂口 そうですね、まったくの別物と思っていただいて間違いないです。現段階では、『テラウォーズ』というタイトルなどからいろいろと想像していただければと思います。
——『テラバトル』から『テラバトル2』、『テラウォーズ』への移行や引き継ぎといった要素はあるのでしょうか?
坂口 いまのところ考えていないですね。コラボなどの施策はもちろん用意するつもりですが、基本はまったく別のタイトルですので。引き続き『テラバトル』を楽しんでいただきつつ、両新作も遊んでいただければと思っています。
——出そろったときには、3タイトルが同時に走ることになるわけですね。
坂口 そうなりますね。『テラバトル』は今まで通りミストウォーカーの西村、大野を中心に、『テラバトル2』はミストウォーカーとシリコンスタジオさんとの共同で、『テラウォーズ』は同じくアーゼストさんと共同で開発・運営をするという体制です。ですので、アップデートの頻度などはこれまでどおりのペースでやっていけます。そこはご心配なく、ということはこの場を借りてお伝えしておきます。
——では最後に、読者・ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
坂口 今回の『テラバトル2』と『テラウォーズ』の追加をキッカケに、“テラ・ワールド”を構築していければと思っています。これらのタイトルは、『テラバトル』と同じ基本を持ち、世界観やシナリオがまったく違う、新システムが導入された作品群になります。僕の手がけてきた過去の作品である『ファイナルファンタジー』シリーズにも共通したナンバリングのしかたで、同じ幹と同じ匂いを持ったものにしたいと思っています。レ
ジェンドと呼ばれる歳になりましたが現役にはしがみついて生きていきたく、それでも引退するその日はやってくるのでしょうが、そこまでに“テラ・ワールド”を大きく拡張できればと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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