日常に潜む狂った価値観…『呪巣』のEDGES最新作は女子高生との最恐ラブストーリー【開発者インタビュー】
2017-06-05 16:15 投稿
今度の相手はEDGES史上最恐の女子高生!?
スマホアプリを代表するホラーゲーム『呪巣』シリーズや、『赤い女』を開発したEDGES。
その最新作であるホラー脱出ゲーム『THE GIFT』のAndorid版がついに配信を開始。iOS版も順次配信される予定だ。
▼『THE GIFT』Android版配信開始!
『呪巣』シリーズでおなじみEDGESの最新作『ギフト』は“気づくと怖い系”のホラー脱出ゲーム!? |
『THE GIFT』とはどんなゲームなのか。前作『赤い女』の中で『呪巣』との関連性を感じさせる演出があったように、本作にも何らかのつながりがあるのか。
気になることてんこ盛りの本作についてEDGESのプロデューサー”ムゥ”氏にインタビューを敢行!ビビリだけどホラーが大好きなライター深津庵がその真相とホラーに対する想いを伺ってきた。
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2006年2月14日
今日はバレンタインデー…
明日には投げ売りされるチョコが最も輝くことができる日
一緒に過ごす恋人がいない僕にはどうでもいいイベントだ…
今までずっと、女っ気など欠片もない生き方をしてきた
女に興味がないというわけではもちろんない
いつも同じ通学電車にいる他校の女生徒・白井 美沙(しらい みさ)
彼女と初めて眼が合ったあの日からずっと一途な想いを寄せている
卒業し大学へ進めば、出会うこともなくなるのだと思うと寂しく感じる
その想いが、僕に行動を起こさせた
生まれて初めての告白
それも今日、聖なるバレンタインデーの当日に
当然断られると思っていた僕の耳に予想外の答えが返ってきた…
本作に登場する女子高生の異常性は過去シリーズ最恐!!
──待ちに待った『THE GIFT』がついにリリースということで、まずはおめでとうございます。さっそくですが、開発の経緯をお聞かせください。
ムゥ やっとこの日を迎えることができました。まず、『呪巣』シリーズは我々EDGESにとってメインのホラーコンテンツであり、毎年夏にお届けできればと開発を続けて来ているものです。じつはいま、7月か8月に向けて『呪巣』の新作を開発しているところなのですが、それ以外の季節にもホラーをお届けしたい、という考えで開発を続けてきたのが『THE GIFT』です。
──『呪巣』シリーズの新作!?とても気になるところですが、今回は『THE GIFT』のインタビューなのでそれはのちほどに(笑)。『THE GIFT』というタイトルの由来はどこから?
ムゥ 本当はバレンタインの時期にリリースすることを考えて『バレンタイン』というタイトルにしていたのですが、こだわりが強くなって開発が伸びてしまい、どうしたものかと悩んでいるときに、妻のアドバイスから現在のものに落ち着きました。
──本作は、主人公の男子高生がひと目惚れした憧れの女子高生に告白。家に招かれることで物語が始まりますが、1対1で物語は進むのでしょうか?
ムゥ 『THE GIFT』の登場人物は男女ふたりだけで、自分のことを知ってもらいたい女子高生が、男子高生にいろいろな謎解きを仕掛けていく中でストーリーが進んでいきます。謎解き中に、プレイヤーが「もういいや」と思って彼女の部屋の扉をタップすればいつでも脱出、つまりクリアーすることができるんです。
──部屋を出たタイミングに応じたエンディングが発生するのでしょうか?
ムゥ そうですね。謎解き中は部屋の外、廊下で彼女が待っています。エンディングは全部で7パターンくらいありまして、脱出したタイミングによって、そのどこかに向かうと考えていただければ大丈夫です。
──突き詰めていけば彼女がどんな人間なのかが徐々に判明していく流れですか?
ムゥ 最初は憧れの彼女の部屋におじゃましてワクワクしていたのに、謎解きを進めていくとある瞬間から恐怖にかわっていく流れになっています。本作ではBGMや効果音で無理矢理恐怖を煽ったりはせず、淡々と物語が進む中で少しずつ異変に気付いてもらえるような設計になっています。
──これまでの作品と比較して本作で登場する女性の異常さはどのくらいですか?
ムゥ ダントツで本作の彼女です。彼女の異常さにはぜひ注目していただきたいですね。
──こうした人物像はどのように考えているのでしょうか?
ムゥ これまでの作品では、デザイナーである双子の兄といっしょに意見を出し合って構築してきたのですが、本作は私がひと通り作っています。『呪巣』シリーズを含め、これまでのタイトルを多くの高校生や大学生がプレイしてくれていた実績もあり、そうした世代に焦点を合わせたキャラクター設定を心掛けました。
──シナリオを書いていく過程でご自身も恐怖を感じることはあるのでしょうか?
ムゥ どちらかというと足りないなと心配になることが多いですね。表現できることにも限界がありますし、少人数で制作しているので、実装までに時間をかけていられないというジレンマもあります。その時間の中で行う“シンプル且つ最大の恐怖を与えるための試行錯誤”はとてもやりがいを感じますね。
“トラウマ”を与えることがEDGESのテーマ
──『THE GIFT』は“バレンタイン”や“大好きな子の部屋”など、とくに学生時代の男性であれば誰もがドキドキしちゃう憧れの展開が舞台ですよね。そんな憧れの展開をホラーゲームにするのは何か意図があるのですか?
ムゥ 我々が作品を作るうえで心がけているのが、“トラウマを与えるゲームを作る”ということです。本作をプレイすることで、告白することや女性の部屋に行くことに大きなトラウマを刻むかもしれない。将来内容は覚えていなくても、ゲームをプレイしてくれる人の心のどこかに“潜在的な恐怖”として残るゲームを目指しています。
──なるほど。たしかに“トラウマを与えるゲームを作る”という点で、『呪巣』の、突然スマホの通知画面やポップアップが表示される演出は、多くの人に恐怖を与えたと思います。
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ムゥ Twitterなどでもそうしたリアクションをしている方が多く、「してやったり!」とニヤニヤしながら、いいねやリツイートをしてますよ(笑)。
──本作にハッピーエンドはあるのでしょうか?
ムゥ ハッピーエンドなんて作るわけないですよ(笑)。それがEDGESです!
──キービジュアルにある顔をボカした女の子はかわいく見えますが、これも“トラウマを与える”ことに一役買っているのでしょうか?
ムゥ たとえば“あなたが思ういちばんかわいい子を想像してください”と質問すれば、皆さん柔軟な発想をすると思います。しかし、“いちばん好きな金髪の女性”と、ひとつ情報を与えてしまうことで誘導されちゃいますよね。そうしたことを避ける意味であえて顔はボカし、プレイヤーが脳内で作り上げた“理想の女性”に裏切られるように仕向けています。
“気づくと怖い”隠された真実を探すスリル
──冒頭で、毎年夏に『呪巣』シリーズを、『THE GIFT』や『赤い女』はその中間期にリリースされるタイトルとのことでしたが、『呪巣』の中間期のタイトルもシリーズ化する可能性はありますか?
ムゥ 『赤い女』のシリーズ化を考えているのと同時に、これらの世界観が各タイトルでリンクするような仕掛けも練っているところなんです。
──それを聞いてピンときたのですが、『赤い女』で登場する女の“ミサ”。そして、『THE GIFT』の主人公である白井 美沙、つまり“白いミサ”、これにも何か重要な意味があるのでしょうか?
ムゥ よく気づきましたね! 作品を超えて、登場人物を出すことで「これってもしかして?」と想像させるものを柔軟に仕掛けることができます。これまでのシリーズをやっていただいている方には2度おいしい、新規の方にも今後ほかのシリーズに触れて驚いてもらえる要素をつねに考えていますね。
──『赤い女』の中にも『呪巣』の事件に関する新聞が出てきます。これは、ちょっとしたおまけ要素かと思っていたのですが、共通する世界観のうえに成り立っていたとは驚きですね。
ムゥ 先ほど赤いミサと白いミサの話題にもあった通り、登場人物の名前は文字面などからヒントを得たり、ときには同名の何かが出てくるなんてこともあります。そういうところに気づいていただくことで、EDGESのホラーゲームの世界を想像し楽しんでもらえればと思います。
──今後の作品でも、その平行世界での繋がりはあるのでしょうか?
ムゥ ゲーム中に登場する街や人物名からほかの作品を示す情報を盛りこみ、より具体的な関連付けや仕掛けができないかと考えているところです。たとえば、『THE GIFT』の中にも次回の『呪巣』に関するヒントを散りばめるなど、今後リリースされるタイトルではそうしたポイントを各所に設けていく予定です。
──『THE GIFT』は“気づくと怖い系”とTwitterで表現されていましたが、これは具体的にどういう意味なのでしょうか?
ムゥ 目の前にある状況から恐怖を感じてもらいたい。言動はもちろん、どうして部屋にたくさんのカッターナイフがあるんだろうと気にかけたとき、その人となりを想像したり、不信感を持ってもらうことで、得体の知れない恐怖心が湧いてくるものにしたかったんですよ。
体験したひとの数だけ感想が生まれるホラーへの魅力
──直接本人には聞けない本質への恐怖が『THE GIFT』ということですが、たとえば、『放送禁止』※1 のように、そこに気づくことができるか否かで個々の見えている光景が違ってくるものと通ずるものがありますね。
※1 2003年からフジテレビ系列で不定期放送されているテレビ番組。一見ふつうのドキュメンタリー番組だが、不審な点や違和感を持たせる展開から最後に恐るべき“真実”が明らかになるフェイクドキュメンタリー番組
ムゥ その通りです、何気なく交わされる会話もよく聞いてみると恐怖を暗示させるものだったりします。深夜に放送されていた当番組を見たとき、よくあるドキュメントかと思っていたら、おばさんが叫び出して何だか様子がおかしくなって、ある場面でその核心に気づきゾッとした経験があります。そうした恐怖に繋がっていく経験、影響を受けたものはいつまでも潜在的に残りますよね。
──本作ではその大役を女子高生が演じるわけですね。
ムゥ そうですね。『THE GIFT』に登場する女子高生はほかの人とは一部の価値観が異なっています。シリアルキラー(おもに殺害を目的とした犯罪者や連続殺人犯)や、ソシオパス(他者への共感が欠落したものを示すことが多い)に近いというか、そうですね、映画『ファニーゲーム』※2 に通ずるものがあるかもしれませんね。
※2 2001年に日本で公開され、後味が悪く悲痛な感想が多かったオーストラリア映画。
──映画の話が出ましたが、ムゥさんの思うホラー映画の魅力は何でしょうか?
ムゥ ゾンビ系を含むホラー映画はマイナーな役者も多く、いつ誰がどうなるか予想がつかない緊張感があります。また、そうした状況を自分に置き換えてみやすい点、視聴者個人が人生の中で感じてきた恐怖への度合から、作品への感想も個々に違ってくところが魅力だと思います。
──お約束をなぞる恐怖もあれば、来るぞ来るぞと身構えさせ、肩透かしを食らわせた直後に襲いかかる恐怖もある。その駆け引きが、とくに『呪巣』シリーズは見事ですよね。
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ムゥ ありがとうございます。我々が制作するうえで心がけているのも、そうした定番をあえて外し予想外のタイミングで驚かせることなんです。これも何か具体的な作品を参考にということではなく、わたしが潜在的に覚えている怖かった経験が活かされていると思っています。
──映画やゲーム以外での恐怖体験はありますか?
ムゥ 自分自身に霊感はないのですが、曽祖父の葬儀で身内が集まったとき、みんなで撮影した集合写真を後日焼きまわしたんです。そうしたら祖母、つまり曽祖父の娘が持っている写真にだけ曽祖父が映っていたのをみて、「こういうことはあるんだ」と信じるようになりましたね。
──怖いというよりは娘への愛を感じるエピソードですね。ちなみに、ホラー映画やゲームを制作するとき、お祓いをすることが多いですが、そうした経験が実際にあるとEDGESの皆さんも毎回やられているのでしょうか?
ムゥ いや、ぜんぜんやってませんね。それも影響してか、『呪巣』を制作するときは決まって高熱にうなされます。今年の夏にも新作をリリースする予定なので、また40度近い熱がでるのかなってワクワクしてます(笑)。
──いや、今回ばかりはお祓い行きましょうよ!
▼今回のインタビュー後に案の定苦しむムゥ氏。
首がここ一週間重い…— EDGES / 呪巣 新作リリース (@EDGES_APPS) 2017年5月23日
EDGESからファンの皆さんへメッセージ
ムゥ 予約受付を開始してからずいぶんと待たせてしまって申し訳ありません。EDGESはホラーにこだわってきましたが、本作ではこれまで以上に文章ひとつひとつに注目して遊んでもらうことで、新たな発見と恐怖に出会える内容になっていると思います。また、『呪巣』シリーズと『赤い女』にもつながる要素が少しずつ盛り込まれているので、『THE GIFT』をきっかけに改めてプレイしていただけたらうれしいです。
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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
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角満&中目黒のこれ、知ってる?
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編集長!これ、どうでしょう!?
THE GIFT
- ジャンル
- 脱出ホラーゲーム
- メーカー
- EDGES
- 公式サイト
- http://edges.co.jp/games/gift/index.html
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