【新作】失われた記憶が眠る院内を彷徨い真実に迫る切ない愛の物語 『廃病棟からの脱出』

廃病院だけどホラーじゃない脱出ゲーム

誰かに呼ばれる声に導かれ、たどり着いた薄暗い部屋の中で立ち尽くすひとりの男性。

“ここはいったいどこなのか？”

水銀灯の点滅によって時折照らされるそこは、不規則にベッドが並ぶ病院だった。

『廃病院からの脱出』というタイトルから、怨霊やクリーチャーが襲ってくるホラー系を想像しちゃうけど、本作ではそうした要素はいっさいなし。

孤独で不安な主人公と彼を導く謎の声を中心に描く、ちょっと切ない物語に注目したい脱出ゲームなのだ。

手応え十分の難易度とボリューム満点のステージ

消毒液の匂いとそれを打ち消すほどのカビ臭さ、それらを覆う湿り気と、肌にまとわり付くじっとりとした空気が充満する廃病院。

全15ステージ構成の本作は、毎ステージ冒頭で描かれる真相に迫る物語と全体的に難易度の高い謎解き、ふたつの要素を全編にわたって楽しむことができる。

ステージごとに仕切り直しになる昔ながらの脱出ゲームとは違い、本作では徐々に活動範囲が広がっていくため、実際に廃病院を探索しているような体験を味わえる。

また、冒頭から調べることができるオブジェクトの中には、いくつかのステージを攻略して初めて出番を迎えるものがあったり、文面によるヒントがいっさいなく、目に見えるものからわずかな変化を探し、組み合わせていく洞察力が試されるシチュエーションなども多く、つねに廃病院全体を気にかけながらフィールドワークに挑むという緊張感がたまらない。

優先すべき謎解きの有無を伝える便利機能

調べられるものを発見すると、それを使った謎解きが近々に迫っているのではないかと疑ったり、行き詰まったときに“やっぱりあれを使うんじゃない？”と、あきらめきれず何度も調べてしまうことが多い。

しかし、本作ではそのステージで必要なければそれを明確に示すメッセージでプレイヤーに伝えてくれる。

触れられるものに何かしらの答えを求め、執拗にタップしちゃうせっかちな性格の著者タイプにはとってもありがたい機能。

ムダな時間を与えずほかを探索するよう導いてくれるので、謎解きの難易度は高くても遠回りせずヒントにたどり着くことができる。

記憶を失っている主人公と謎の声、忘れてはいけないはずの大切な存在に気づいていく物語とその結末は必見。

廃病院というシチュエーションからホラー要素を懸念する人にも安心で、ちょっぴり切なくなる作品。最近涙腺が弱くなっちゃったと感じている人は念のためハンカチを用意してチャレンジしてもらいたい。

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

動画でも新作紹介しています

気に入ったものがあったら更新
角満＆中目黒のこれ、知ってる？

毎日更新午前7時に更新中

編集長！これ、どうでしょう!?

YouTubeチャンネル登録して動画をいち早く見よう！

ファミ通AppのTwitterをフォロー