スマホアプリのデータ分析を行うApp Annieとは? CEOによる言葉からその本質に迫る

2017-03-08 16:19 投稿

パブリッシャー御用達App Annie

昨年に引き続き行われた、App Annie主催の“Top Publisher Awards”授賞式。

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▼“Top Publisher Award”表彰式の様子はこちら
2016年日本でいちばん収益を上げたアプリゲームメーカーは?App Annie主催“Top Publisher Awards 2016”授賞式

ここでは、授賞式前に行われたメディア向け発表会の内容と、代表へのショートインタビューを交えつつ、App Annieとはいったいどのような企業なのかを紹介していこう。

App Annieとは?

App Annieとは、スマホアプリ市場の市場データをメーカーに提供するサービスを行っている企業。世界15ヵ所に拠点を置き、アプリ開発・運営に必要なビッグデータの分析を行っている。

同社が分析しているデータは、公表されているアプリランキングなどはもちろん、当該アプリのアクティブユーザー数や売り上げ、継続率、広告効果など多岐に渡る。

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では、App Annieとは具体的にどのような知見を集めているのだろうか? まずは、授賞式に先立って行われたメディア向け発表会の内容を追っていく。

市場の動向に関する発表会

メディア向け発表会を行ったのは、App AnnieでCEOを務めるバートランド・シュミット氏。

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氏は登壇に際し「我々はユーザーとパブリッシャーの関係をよりよくするために、データを活用してお手伝いをする会社です。世界15ヵ国に拠点を置いているので、グローバルな視野でのデータ分析も、その土地特有のローカルな視野でのデータ分析も可能です。」とコメント。そういった点が評価に繋がり、現時点で世界で70万社、世界トップセールス100社のうち94社に利用されるサービスとなったという。

続けて「我々にとって東アジアは非常に重要な地域です。アプリ市場は非常にグローバルなものとなっていますが、収益上位52社のほとんどは東アジアに拠点を構えています」と語り、日本をはじめ韓国、中国などで授賞式を行う意義を唱えた。

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メディア向け発表会でまず紹介された興味深いデータは、ひとりの人間がアプリを使用する状況の統計だ。

App Annieによると、人は平均して1日に2時間アプリに触れ、1ヵ月のうちに40個ものアプリを使っているという。このデータは世界平均であり、アプリ市場の成熟度やその国のアプリの捉えかたによって国別データは大きく変動するだろう。しかし、これだけでもアプリという存在がどれだけ我々の生活に密着した存在になってきたかが伺える。

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これに合わせて、アプリ市場の成熟度に関する話もなされた。アプリ市場というのは、成立してからまずダウンロード数が急激に増え、そこからアプリの使用頻度(使用時間)が伸び、最終的にアプリからの収益が増えていくという過程を経て成熟していくという。

現在日本の市場は世界的に見ても成熟した市場となっており、ダウンロード数は頭打ちになったものの、収益額やアプリの使用頻度は着実に伸びているステージにあるようだ。

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確かに、黎明期と呼ばれる時期はとにかくアプリをダウンロードして試すといった接しかたが多かったが、最近はそういった行為も減り、ひとつのアプリにかける時間が増えたように感じる。

続けて発表された興味深いデータは、Google Playのアプリの伸びとアプリ収益の伸びに関して。

App Annieが集積したデータによると、2015年から2016年にかけてのダウンロード数(iOSとGoogle Play合計)は、世界で15%の伸びを見せ、とくにGoogle Playを通じたアプリのダウンロード数は25%という伸び幅を記録している。

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iOS端末を通じたダウンロード数が伸びずAndroid端末を通じたアプリダウンロード数が伸びた背景には、新興国向けの安価なAndroid端末の登場や、同じように新興国の経済事情ではiPhoneが手に入りにくい状況にあることが予想される。

先に東アジアの重要性を説いたバートランド氏だが、こういった状況がその理由の一端にあるのだろう。

また、日本にのみ焦点を当てた話もなされた。まず語られたのは日本国内でのダウンロードランキング(会社別)。1位に輝いたのは、日常生活とも大きく結び付きを持つ“Yahoo!”関連アプリだ。

そしてそれに続くように、LINE、サイバーエージェントなどといった、ゲームも非ゲームアプリも展開している企業が並んだ。

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「日本のアプリ市場は、このようにバラエティに富んだ企業がそれぞれの強さを持っていることであり、こういった企業のお陰で市場は成長する」とバートランド氏は語る。

また、アプリ市場全体を見ての収益ランキング(企業別)では、ゲーム以外にもコミックアプリや音楽ストリーミングアプリのメーカーが散見されるようになり、ここでもバラエティに富んだランキングが確認できた。

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特筆すべきは、上記のような非ゲームアプリの収益が伸びているという点。日本アプリ市場は、世界的に見てもゲームへの支出が多い市場。そんな中でゲーム以外の支出が伸びているということは、日本のマーケットがまだ成長段階にあることを示すそうだ。

また、日本マーケットの成長についてバートランド氏は「日本のアプリ市場は成熟しているが、スマホ普及率はおよそ6割と言われており、9割を記録する韓国などと比較するとまだ高くない。それも、アプリに支出をしない、格安スマホを使用している層も多いので、伸びしろはまだまだあるだろう」とも語っている。

このように、非常に興味深いデータを数多く抱えるApp Annie。彼らはどのようにしてこれらのデータを集め、そしてそのデータの先に何を見ているのだろうか? それを知るべく、バートランド氏に直接尋ねてみた。

App Annie CEOに訊く!

――モバイルアプリ市場に着目した理由を教えてください。

バートランド App Annie創業以前、私は20年間インターネット、モバイル業界で仕事をしてきました。そんな中モバイルアプリが登場し、そこに非常に大きな可能性を感じました。具体的には、アプリがどう使われていくのか、どういったマネタイズが生まれてくるのかという点での可能性ですね。

――確かに、スマホ黎明期から市場はどこまで拡大するのかというのはひとつの関心事ではありましたね。

バートランド 私はそれだけではなく、スマホアプリの存在が、アプリ市場だけでなく、すべての業界に大きな影響を及ぼしていくだろうという予感を感じていました。

そうなってくると、アプリメーカーはモバイルアプリに関するデータと知見が必要になってきます。私は、そのいつか必ず生まれるであろう需要をキャッチしようとしてAppAnnieを設立したのです。

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――ダウンロードランキングや売り上げランキングといったデータはどのように割り出しているのでしょうか?

バートランド ダウンロードと売り上げは創業当初から収集しているデータですが、いまはそのほかにもアクティブユーザー数やアプリにどれくらいの頻度で触れているか、アプリ利用者の継続率、アプリ内広告の分析などを行っています。そのため、我々が扱うデータの種類は拡大し続けているのです。

――いまもなお分析するデータの種類は増えているのですね。

バートランド はい、もちろんです。今後も増やしていく予定です。ちなみに、各データは、それぞれに設けられた独自の指標や技術を通じて集計しています。また、弊社のアナリティクスという無料製品を使えば、それを採用したアプリの情報をトラッキングも可能で、そういったところからのデータ収集も行っています。

また、我々はBtoCのアプリも展開していて、そこから直接ユーザーの動向を確認したりもしています。こういった複数の情報を解析してさまざまな指標を作っているわけです。

――御社のサービスを利用しているメーカーからは、どのような反響を得ていますか?

バートランド まず、我々の主要のお客様はゲームメーカー様となっています。ゲームではないアプリをリリースしているお客様も多数いらっしゃいますが、ゲームメーカー様は、ビジネスの状況によって弊社サービスの使いかたを変えていらっしゃるようです。

たとえば、グローバルな市場を把握するためにであったり、開発計画を立てるためであったり、戦略設計のためであったりといった具合に、実践的な使用をなされていますね。

――ゲームの運営だけでなく、ゲームコンテンツの立ち上げのためのデータを提供することもあると。

バートランド はい。どういったタイミングでサービスを開始し、どういった形でユーザーを獲得していくかというのはサービスインするにあたって重要なポイントです。

そして、我々が市場環境をまとめたデータは、アプリ市場に対する知見が必要な段階でも、サービスに入ってからでも、とにかくさまざまなステージでお役に立てます。そのため、皆様からはご好評をいただいています。

――AppAnnie様から見て、日本の市場はどのように見えますか?

バートランド 日本の市場の大きさは、App Store(iOS)市場では世界3位となる大きな市場です。Google Play(Android)市場では、米国を抜いて世界1位の市場となっています。この背景には、アメリカではiPhoneのほうが主流であり、中国にはGoogle Playがないことが挙げられます。

――なるほど。しかし数年前まではiOSアプリ市場でも日本が1位を取っていた時期がありましたよね?

バートランド 市場規模の順位だけで見れば日本の順位は落ちてしまったように見えますが、2015年から2016年にかけて、売り上げでは35%も成長しています。決して市場が停滞しているわけではありません。

1アクティブユーザーあたりの収益額で言うと、日本はいちばん高いですし。アメリカや中国と比較して、人口が大幅に少ないにも関わらず世界3位です。順位の変動は、中国市場の成長の著しさがあると考えられます。

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――日本市場はまだ伸びを見せているわけですね。

バートランド はい。とはいえ、日本市場は特異性が強く、売り上げTOP30のうち、海外メーカーは2社しかなく、ほとんどが国内のメーカーによって占められています。この理由には、ゲームのスタイルやプレイモデルが独特であることが挙げられます。

海外で受けているゲームと、日本で受けているゲームは、その遊びかたもテーマ性も異なりますので、海外メーカーからしてみると非常に攻略しにくい市場に見え、ユニークだと呼ばれるのでしょう。

――文化の違いが、市場にも如実に現れているわけですね。

バートランド しかし、『LINE:ディズニー ツムツム』のように、海外のIPを使いながら、開発は日本に任せることで、成功を収めている事例は確認できます。ですので、海外メーカーが日本市場でまったくダメかというと、そうではありません。

――では最後に、今後の御社の展望をお聞かせください。

バートランド まずひとつは、パブリッシャーにとって重要な、KPIなどもカバーしていけるよう指標の種類を増やしたり、指標の精度を上げていこうと思っています。

つぎに、企業のお客様は現在Webのプラットフォームをご利用いただいているのですが、それをより使いやすくすること。さらに、弊社は現在モバイルアプリをリリースしているのですが、そちらにも注力していきたいと思っています。

また、モバイル産業は現在、ゲームだけに留まらず、生活の面であったり、さまざまな場面での成長が見込まれています。ですので、ゲーム以外の企業様との関係性も築いていければと思っています。

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