【個人開発ゲームを斬る】「良作」の声続出で話題の『Strange Telephone』有料アプリでリリースしたワケ
2017-02-15 15:55 投稿
摩訶不思議な脱出アドベンチャー
今回ご紹介する『Strange Telephone』(ストレンジテレフォン)は、ピクセルアートで創造された美しくそして不気味な世界から脱出する、アドベンチャーゲームでございます。
怪しいところをタップ
なんだかんだで気がつくと、“暗い世界”に閉じ込められてしまった女の子“ジル”。このままでは遊びにくいですし、記事としても見づらいので、まずは“明かり”を手に入れましょう。
怪しいところをタップでチェック。
アイテム“太陽のランタン”をゲット。これを装備または使用すると、全体がパッと明るくなりました。
てな感じで、怪しいところをタップしまくって、アイテムやヒントをゲットしまくって、後ろの大きなドアを開ける“カギ”を見つければいいのですが、“いまいる世界”にはそんなモノはないようです。
というわけで、“別の世界”へ移動しましょう。
“6桁の番号”を入力して移動
移動の仕方は“テレフォンコール”。
電話の姿をした緑色の生物“グラハム”に、“6桁の番号”を入力すると、それに対応する世界へ移動。目標の“カギ”に繋がる世界へピンポイントで行きたいのですが、その世界の番号がさっぱりわかりませんので、とりあえずテキトーに番号を入力。
“111111”に対応する世界はこんな感じでございます。
ひとつの世界はとても狭いので、タップして反応する箇所は、多くて5個ぐらい。探索が終われば、電話を切って、もとの“扉のある世界”へ戻ります。
行った先の世界で
電話をかけて、世界を移動。探索し、電話を切って戻る。
基本はそれのくり返し。
行った先の世界で運よくアイテムをゲットできればいいのですが、基本はハズレの世界。なにしろ電話は、“0〜9”までの数字と、2つの記号“*と#”が使えるので、その組み合わせパターンは300万ぐらいあるのですから。
電話をかけまくってアポを取る営業さんの気持ちが少し理解できるかもしれません。
ゲームオーバーの条件
全番号を順に“ローラー作戦”していけば、いずれゴールへの道が見つかるでしょう。ハズレの世界へ行ってしまっても、同じようで実は微妙に違う世界ばかりなので、それはそれで楽しめます。
ですが、このゲームにはいわゆる“体力”的な要素があり、それが左上に表示されている“GLITCH”。別の世界へ移動するたびにこの数値が加算され、“5”を超えてしまうと、そこで“ゲームオーバー”。
ただ、つぎのプレイにはそれまでに回収したアイテムやフラグが引き継がれますので、そこまで意識しなくても大丈夫かもしれません。
重要アイテム“カテゴライザー”
大きなペナルティはないとはいえ、何度も何度もジルの悲しい姿を見るのはつらいもの。そんなわけで、攻略の重要アイテム“カテゴライザー”を、とっととゲットしちゃいましょう。
コレに6桁の番号を入力すると、「こんな世界につながります」というヒントが、イラストで得られます。それを見て、まだ行ったことがないような世界を見つけ出しましょう。
ちなみに“カテゴライザー”は、“123654”の世界においてあります。
ネタバレはできるだけ避けたいのですが、ゲーム中にヒントとして表示されますし、これを見つけられずに投げ出されるのも寂しいので、思い切ってご紹介させていただきました。
カテゴライザーで、行きたい世界を決め、番号を入力。
いまは何もできなくても、何か別のアイテムを手に入れればいけそうな場合は、ひとまずその世界の番号をメモしておくのが攻略のポイント。
無事脱出に成功?
というわけで、電話をかけまくって、メモしまくって、カギをゲットし、閉ざされた世界から無事脱出に成功。
その後、ちょっとしたプロローグがあり、スタッフロールへ。これが何とも、クリアーしたのに、どうにもスッキリしません。
こちらのゲームは、“マルチエンディング”を採用しておりまして、先ほどのルートはそんなによくなかったのかもしれません。その後、いろいろと遊び倒して、4つのエンディングを確認。
すべて見つけてしまいたいところですが、お時間となりましたので、開発された“yuta”さんにいろいろ聞いて〆させていただきます。
Q1.簡単な自己紹介をよろしくお願いします!
個人ゲーム開発者の“yuta”と申します、よろしくお願いします。
Q2.思った以上に簡単な自己紹介でビックリしました! ストアの情報を見ると、こちらが初のアプリリリースだと思うのですが、どのようなキッカケでアプリを作ろうと思われたのでしょうか?
じつは初アプリではなく中学生の時からDoCoMoの“iアプリ”を作っていました。きっかけはゲームと絵が大好きな幼少時代を過ごし、自分で絵を動かしてゲームを作りたいと思いプログラムを始めたのがきっかけです。本当に初めて作ったゲームは『STG-CIRCLE』というSTGを作れるiアプリを使った作品で、作った作品を公開して掲示板で交流したりしていました。
Q3.iアプリ、懐かしい! 『Strange Telephone』を作ろうと思ったキッカケは?
いままではミニゲームしか作ったことがなかったのですが、2015年春ごろに『Strange Telephone』のアイデアが浮かびました。皆の身近にあるモノは何か考えたときに“電話”を使ったゲームはどうだろうと。世の中にさまざまな面白い電話番号があることから「電話をかけたら部屋の中で不思議な現象が起こる」という内容でした。その考えをもとにドット絵を描いてTwitter(@yyuta342)にアップしたところ、思った以上に反響をいただけてそこから開発を始めました。
Q4.ご自身のサイト(http://magniflop.com/)を拝見するとかなり長い期間、おひとりで作られていたと思うのですが、開発中、楽しかったことや辛かったことは?
辛かったことのひとつは、“モチベーションの維持”です。長く開発していると自分自身のゲームが面白くなくなってきます。なので、新しい要素を追加したりグラフィックを大きく一新することで時間はかかりましたがなんとかリリースにいたりました。
ふたつ目は思ったような動きをプログラミングで作ることができなかったときです。そのときは無理せず寝たり、お風呂に入ったりして冷静になってから組むようにしていました。
とにかく楽しかったのはリリースできて、多くの方にプレイしてもらえたことです。プレイヤーさんがいなければ作っても意味がないと深く感じました。もちろん今後リリースする新作すべてをどれだけの人にプレイしてもらえるかはわかりません。ですが、できるだけ多くの方に「面白かった!」と言ってもらえるモノを作るために、いっさい手を抜こうとは思いません。
Q5.ほとんどの個人開発者が“無料+広告型”という収益モデルでリリースされているのですが、有料アプリで勝負したのは何かこだわりがあるのでしょうか?
“無料+広告型”が多いのはもちろん知っているうえで“有料アプリ(買い切り型)”にしました。じつは1度だけ無料で出したこともありましたが、そのアプリは結果失敗だったなぁと。これは個人的な考えですが、ゲームはその世界の中のひとりとしてプレイできるところに楽しさ、気持ちよさを感じます。それが僕にとっての面白いゲームです。ですが、“無料+広告型”や“ゲーム内課金型”は、現実のお金を見なければいけないので一気に気持ちが冷めてしまうのが嫌でした。現実の一部として楽しめるものでしたらその形式でもいいかとは思います。
Q6.深イイ話をいただきました! ちなみにお値段を決めるときは、相場的なものを意識しましたか? それとも雰囲気でしょうか?
最終的には自分の判断ですが、初めての有料アプリだったので一度アンケートを取りました。「500円以上でもいいよ」と言ってくれる方が思った以上に多くすごく悩みました。その結果も踏まえつつ、現状のストア(App Store、Play Store)には安売りされている面白いアプリがたくさんあると感じました。ですが、それでもレビュー欄を見ると「高過ぎる」「無料じゃないの」と厳しい言葉が浴びせられています。多分、多くの開発者は怖がってゲームに相応の値段を付けられなくなっています。正直僕自身も本当に怖かったですが、どうしてもストアの現状を変えたくて480円という価格を付けて自信を持ってリリースしました。
結果は賛否両論でしたが「買ってよかった!」や「初めて有料アプリを買った!」と言ってくれる人がたくさんいて本当に嬉しかったです。
今後、ゲームを有料でリリースしたい人に少しでも勇気が伝わればと思います。
Q7.これもまたアツいお話ありがとうございます! 先ほどの質問の返答に少し出ていましたが、あらためてリリース後の反響はいかがでしょうか? 何か面白い反応はありましたでしょうか?
もともと『ゆめにっき』というフリーゲームが好きな人へ向けて開発を進めていたのですが、想定以上に幅広い層にプレイしてもらえました。
なので「意味がわからない」という人もいれば、深く考察する人もいたり。僕自身はこのゲームを考えたストーリー構成をもとに組んでいますが、ほとんどゲーム中では語っていません。それは人それぞれの感じかたがあり、考えかたがあるので自由に楽しんでもらいたかったからです。
結果、さまざまな思い、考えを見ることができてよかったと思います。
Q8.幅広い層の方に楽しんでもらえるような、開発者がこっそり教える攻略法というか、ちょっとしたアドバイスなどあれば。
“自動生成”を使っているので、道筋がひとつではありません。ちょっとした世界の変化(グラフィック)とサウンドを楽しんでいただければと思います。全エンディングを出すのならば、SNSを駆使してもらっていいかと思います。でも自分の力で見つけ出したほうがより達成感を味わえるかと思います。
Q9.これからアプリを作ってみたいという方に、何かアドバイス的なものがあれば。
海外だけではなく、国内でもたくさんのインディーゲームフェス、イベントが開催されているので、開発途中でもどんどん参加したほうがいいと思います! いろいろな人にプレイしてもらえたり、いろいろな開発者さんと交流できる貴重な場でもあります。目を見て直接相手の言葉を聞くことはネットの評判と比べて重みが違います。よりためになることが多いです!
Q10.それでは最後に何かひと言、よろしくお願いします。
多分これから開発を始めたい人は何をしていいかわからないと思います。僕も初めはそうでした。もし不安なことやわからないことがあったら何でも気軽に聞いてもらえたらと思います!
有料アプリの購入は、なかなかハードルが高いかもしれません。お値段もそれなりにするので、期待値というハードルも高くなるでしょう。
しかし『Strange Telephone』は、そんなハードルも軽く飛び越えていってくれるデキとなっております。偶然が生み出す、不思議な世界の旅を、メモを片手にぜひ遊んでみてください。
▼こちらでも紹介しています
【新作】6桁の番号がカギ!約300万もの悪夢をさまようアドベンチャー『ストレンジテレフォン』
■あぷまがどっとねっと (あぷまが) 「すべてのアプリにチャンスを!」との思いから、藤田武男氏が個人開発者が開発したアプリを中心に紹介している情報サイト。ほかでは見つからない“お宝アプリ”が“あぷまが”なら見つかるかも! ちなみにイラストは、あぷまがのマスコットキャラ、アイロニー。 ※あぷまがへのアクセスはこちらから |
Strange Telephone(ストレンジテレフォン)
- メーカー
- Yuta Yamamoto
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 480円
- 対応機種
- iPhone、iPod touch、iPad、iOS 8.0 以上、Android 2.3.3 以上
- コピーライト
- (C) 2017 yuta
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