【新作】王道テーマだけど鮮度のいい恐怖がいっぱい！ 『学校の七不思議-恐怖からの脱出』

因縁ふっかけてくるこっくりさんにご用心

西洋に伝わる“ウィジャボード”や“テーブルターニング”が起源といわれる“こっくりさん”を題材に、さまざまな霊現象の謎解きに挑む『学校の七不思議-恐怖からの脱出』。

こっくりさんとは、50音と1から0までの数字、鳥居などを書き込んだ紙にコインを置き、指を乗せて、文字通り“こっくりさん”に問いかける占いの1種。

著者の幼少期には心霊的な事象も多く報じられ、それを禁ずる学校も多かった危険な遊びという印象が強く、“海外版こっくりさん”として他国で話題になった“チャーリーチャレンジ”も同様、多数のトラブルを生んでいる取扱注意なものになっている。

それを知らずか手を出してしまった女の子たちは、帰ってくれないこっくりさんに大慌て。言われるがまま、七不思議の謎を解き明かすため校内を探索することになるのだ。

予測不能！　新たな視点で描く七不思議

トイレの花子さんや音楽室の肖像画といった1度は聞いたことがあるエピソード、学校にまつわる七不思議。

本作では、呼び出したはいいけど帰ってくれないこっくりさんから、“七ッ目マデコイ 来ナケレバ 呪イ殺ス”と脅され、真夜中の学校を順に調査していくことになる。

呪い殺すとは物騒な話だけど、ただじゃすまない展開もこっくりさんの醍醐味。しかも、そこに絡んでくる七不思議はつねに死と隣り合わせ、ちょっとでも気を抜くと速攻でやられてしまうスリルも味わえる。

そんな恐怖を倍増させるのが、スライダーを使った視点変更や端末を傾けるといった探索だ。

シーンが切り替わって驚かされるなら甘んじて受け入れるけど、みずから視点を切り換えて恐怖と向き合うとか、これはもう試練なのである。

「そこにいるのはわかってるぞ」、霊感はないけどゲーム的直感に自身のある著者は、どことなく嫌な気配が漂い出したら捨て台詞を吐いてささやかな抵抗。

ちょっとだけ目を細め、スマホを遠ざけながら奴らの出現をやり過ごしたぞ。

SNSやマナー設定などスマホが謎解きに大活躍

冒頭で入手するスマホには周囲を照らすライトのほか、こっくりさんに参加していた友だちらと交わすSNS、気になるポイントを撮影できるカメラなど、文字通りスマホらしいさまざまな機能を使うことができる。

個別の役割を持って行動中のみんなとSNSで進捗を報告。情報を交換しながら正しい対処法のヒントをもらったり、撮影した画像は拡大して細部をチェックするなど、どこか現実的なアクションで攻略に挑めるのがおもしろい。

こんな状況下にあってもスマホがあると落ち着くあたり、依存症なんじゃないかと自分が心配になってきちゃうけど、みんなとつながっている安心感はどんな武器よりも頼りになる。

ただひとつ、気を付けてほしいのがマナー設定だ。SNSの着信を頼りにするのはいいけど、ときにその音が取り返しのつかない事態を招くことに……くれぐれも注意してもらいたい!!

アプリ内に実装されたヒント機能が超便利

七不思議ごとに多彩な謎解きが用意されている本作は難解なものも多く、攻略に行き詰ってしまうこともあるだろう。

そんなときに役立つのが、スマホにインストールされている“ヒント”アプリの存在だ。

SNSを介して送られてくる友だちからのメッセージ、アプリで得られるふたつのヒント、これらを総合することで著者自身もだいたいの謎を解くことができた。

『学校の七不思議』ってベタなタイトルだけど、ゲームの内容はとっても怖いし、謎解きの難易度とヒントのさじ加減はちょうどいいバランス。そのへんの仕掛けは、数多くの脱出ゲームを手掛けてきたあそびごころ。だと感じる良作だった。

バッド、ノーマル、トゥルー、3種類のエンディングに秘められた七不思議最後の秘密、その結末はぜひ、ご自身の手でたどり着いてもらいたい！

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら