『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』はどうやって生まれた?ファンクルー代表ソ・ジョンファン氏インタビュー
2016-09-13 12:00 投稿
ゲームも会社も生まれたばかり
ファンクルーから配信中のアプリゲーム『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』。本作は、クイズゲームとシューティングゲームを融合した新感覚のアプリゲームだ。クイズパートとシューティングパートを交互にテンポよく進めて行くゲーム性は新鮮で、サクサクとプレイできるのも魅力。リリースされて間もないが、要注目の1本だ。気になった人は、以下の動画をチェック!
ソ社長のキャリアは波乱万丈!
さて、この『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』を開発・運営している会社はファンクルー。会社自体もまだ立ちあがったばかりで、もちろん『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』が処女作だ。単なる開発会社ではなく、運営も宣伝も行うファンクルーとはいったいどんな会社なのか? 動画に出演していただいたソ・ジョンファン社長の「ゲームももちろんだけど、会社のこともみなさんにもっと知ってもらいたい」という意向もあり、ここからは同氏へのインタビューをお届けする。
マンガ家を目指した青年時代
――最初に、ソさんは一風変わった経歴をお持ちだとお聞きしました。
ソ・ジョンファン氏(以下、ソ) そうですね(笑)、変わっているといえばすこし変わっているかもしれません。
――学生時代は韓国で過ごされたんですよね?
ソ はい。高校までは両親の意向もあって普通の進学校に通っていました。大学はいわゆる外国語大学に入ったのですが、じつは僕は小さいころからマンガ家になりたくて(笑)。といっても、当時の韓国の大学にはマンガはもちろんグラフィック関連を学べるところはありませんでした。ですので、大学時代はマンガ家さんの下でアシスタントとして勉強していました。大学は辞めようと思いましたが、親に猛烈に反対されて、アシスタントと並行して通っていました。学点(成績)はヒドイものでしたけど(笑)。
――子どものころからマンガ家になりたかったとのことですが、なにかキッカケになるようなことがあったのですか?
ソ これはもう完全に『SLAM DUNK(スラムダンク)』と『ドラゴンボール』がキッカケですね。ちょうど僕が小学生のころ、これらのマンガが大ブームで、ものすごく影響を受けました。最初は、真剣にバスケットボール選手を目指そうかと思ったくらい(笑)。
――(笑)。日本のマンガの影響があったんですね。
ソ はい。日本の作品は韓国でもすごく人気がありますから。
――そうして大学に通いながらマンガ家のアシスタントという生活がしばらく続いたのですか?
ソ いえ、2年ほどで軍隊に行きました。韓国には兵役義務があるので。
――そうでした。確か期間は2年?
ソ はい。
――軍隊に居るあいだはマンガなどの製作活動は……?
ソ まったくできないですね。
――ちなみにどんなところに配属されたのですか?
ソ 戦闘警察といって、デモなんかに対応するところです。
――想像するだけで大変そうです。
ソ ある程度希望は出せますが、どこに配属されるかはランダムなので。ガチャに似ていますね(笑)。
――配属ガチャ!?
ソ (笑)
――兵役を終えたあとは大学に戻ったのですか?
ソ そうなのですが、すぐにマンガ雑誌の新人賞を取れたんです。で、本格的にマンガ家を目指したいと思い休学することにしました。そして1年くらい準備して、その雑誌で連載を始められたのですが、これが4ヵ月で打ち切りになってしまい(笑)。
――なんと……。
ソ その後webトゥーン(web上で読むマンガ)で2本ほど作品を発表しましたが、ヒットとはいかず。その頃の韓国のマンガ業界は雑誌からwebに移行する過渡期で、僕はどちらの媒体でも実績がなかったので、生活も苦しかったです。
――その頃がひとつ人生の岐路になるのでしょうか?
ソ ある面ではそうですね。まだマンガ家への気持ちは強かったのですが、何かを変える必要もある。そこで、やはり自分の原点である日本のマンガを学ぼうと思い、ワーキングホリデーを利用して日本に行くことにしたんです。そういう意味では大きな転機でしたね。
日本での生活
――日本に来る際に、何かツテやアテはあったのですか?
ソ まったくなかったです。ついでにお金もありませんでした(笑)。
――ずいぶん思い切りましたね(笑)。
ソ なんとかなるだろうと(笑)。そして、マンガ家さんのアシスタントを斡旋するサイトに登録して、何人かのマンガ家さんのアシスタントとして仕事をしていました。
――ひとりの方のところで、というわけではなかったんですね。
ソ やはりビザの問題などもあって、僕を長期間雇いにくかったので、単発の仕事がほとんどでしたね。そうしているうちに、幸運にも好条件でビザもとれそうなオファーが来たんです。
――どこからオファーがあったんですか?
ソ 『北斗の拳』の原哲夫先生のスタジオです。
――大御所じゃないですか!
ソ 僕も驚きました(笑)。当時、スタジオに韓国人のスタッフが増えてきて、そのまとめ役として声をかけていただいたようです。言うまでもないですが、原先生の画のクオリティはスゴイのひとことですし、本当にいろいろと勉強させて頂いたのですが……。どうしてもマンガ家への夢が捨てられず、2年ほどでスタジオを辞めて、マンガを描いて出版社に持ち込む生活に戻ったんです。
――なるほど。
ソ ですが、当然収入がないと生活ができないので、しばらくしてあるゲーム会社に入り、イラストやデザインの仕事をしていました。
――ここでゲームへのつながりが出てくるわけですね。
ソ はい。そして、マンガ関連以外の仕事を経験したことで、僕のなかで考え方に変化が出てきました。
――どんなふうにですか?
ソ 自分がやりたいことを表現するのに、方法はひとつだけではない、ということですね。これまで僕はマンガで自分を表現しようとやってきました。でもうまくいかなかった。それならばほかのやり方も試してみるべきではないか。この場合ゲームですね。そう考えて、ゲームを作ってみようと思い立ちました。いま思えば自分のどこからそんな大転換をする勇気が出てきたのかわからないですが(笑)、韓国の投資家から出資を募り、ファンクルーを立ち上げたんです。
会社立ち上げ!
――ついにファンクルーの誕生ですね。最初は何人で立ちあげたのですか?
ソ ふたりです。最初は何もわからないで、とりあえずエンジニアが必要だろうと声を掛けた人と始めたのですが、その人はサーバーエンジニアで(笑)。
――なんと(笑)。
ソ そうして徐々に、韓国の知り合いなどに声を掛けて、プランナーやデザイナーなど必要なスタッフに来てもらいました。ですが、それぞれは頑張っていたのですが、ひとつの形に仕上げるのがやはり難しくて、会社を立ち上げてから3ヵ月は何も成果がないという状況でした。そして、資金も尽きかけていよいよマズイというときに、なんとか『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』をリリースできまして。完璧に仕上がったとはいえない状態でしたが、立ちあがりの雰囲気も悪くなく、なによりゲームをリリースしたという実績で、出資者を探しやすくなったのが大きかったです。
――そういう部分が大事になってくるんですね。
ソ はい。その実績を持って僕がほうぼうを回って出資者を探して、なんとか毎月運営できる目途が立ったんです。
――ずっとマンガ家を目指してやっていたソさんが、まったく違う営業活動をするというのも大変ではなかったですか?
ソ 自分でもこんなことができるなんて思ってもいませんでした(笑)。ただ必死でしたし、それに僕ひとりだけのことではなかったからだと思います。会社を立ち上げた当初は、イラストは全部自分で描こうと考えていたのですが、そういったほかの業務が多くて結局無理でしたね。
――イラストのお話が出ましたが、本作を作る過程で大変だった部分はどこでしたか?
ソ ほとんど全部ですけれど(笑)、とくに大変だったのはクイズを作ることですね。そもそもクイズ自体は世界中の誰がやってもおもしろいものだと思いますが、日本向けのクイズを韓国人の僕が作るとなると……(笑)。
――ジャンルによっては難しい面が出てきそうですね。
ソ そうなんです。とはいえそうも言っていられないので、まずジャンル6つに対して各2000問づつ、計12000問をひねり出しました。予算もないので自分たちで考えたのですが、これだけの数を作ると、まずクイズになってないものが出てきてしまいます。たとえば○×クイズの質問が「冷たいお水はおいしい」とか(笑)。
――人によって違いますね(笑)。
ソ そういうクイズを弾いていく作業、もちろん答えが間違っていたりといったものもです。つぎに、日本語がおかしいものが出てきます。最初に韓国語で作ったものを翻訳したのですが、日本語は難しいということもあってどうしても言葉が変ものが出てきます。クイズでそれはマズイので、そこもチェック。量が多いのでとにかく大変で(笑)。
――まだまだスタッフの数も少なかったころですよね?
ソ いまも少ないですけれど(笑)。僕は会社を立ち上げる時は「みんなやるぞ!」「オーッ!」みたいなアツい感じを思い描いていたのですが、そんな余裕もなく実際はみんな黙々と作業していました(笑)。
ソ社長とファンクルーの未来
――いろいろな苦労があってリリースされた『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』ですが、当面の目標を教えてください。
ソ やはりまだまだ認知度が低いので、とにかく多くの人にダウンロードしてもらうことですね。ネガティブなものも含めて、いろいろな意見をいただけるようになることがまず大事だと思います。それから運営面ですね。我々にノウハウがないので、アップデートやイベントの頻度、ストレスのない課金ポイントの設定等々、課題は山積です。そういう状況ですので、いまの『コロナ王国』はほとんど課金しないで遊べます(笑)。
――いまがチャンス!(笑) 知名度という面では、東京ゲームショウ2016への出展はいい機会になりそうですね。
ソ はい。すでに業界の方からは応援の声もいただいたりしていますが、やはりゲームファンの皆さんに広めたいですし、そういう機会にしたいと思っています。
――では最後に、ファンクルーの会社としての今後の目標も教えてください。
ソ 第一は『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』をしっかりと軌道に乗せて、プレイヤーの皆さんに評価していただけるものにすることです。会社が順調に成長すれば、マンガや動画、幅広いエンターテイメントを扱えるようになりたいですが、それはまだ夢の段階の話ですね。まだまだ不足しているところも多いと思いますが、『クイズシューティング 不思議のコロナ王国』をあたたかく見守っていただければと。
――本日はありがとうございました。
クイズシューティング 不思議のコロナ王国
- ジャンル
- クイズシューティング
- メーカー
- ファンクルー
- 公式サイト
- http://www.funcrew.net/
- 価格
- 基本プレイ無料(一部アイテム課金制)
- 対応機種
- iOS / Android
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