【TRENDY EXPO】スマホ時代の次を担うウエアラブルの将来性と市場拡大のキーポイントとは?

2015-11-21 21:53 投稿

ウエアラブルの現状や将来性を議論

2015年11月20日、“TRENDY EXPO TOKYO 2015”が東京・秋葉原において開催された。“ウエアラブルがポストスマホ時代を担う”と題して、NTTドコモの西口孝広氏(以下西口氏)、ソニーの對馬哲平氏(以下對馬氏)、Jawboneの岩崎顕悟氏(以下岩崎氏)の3人によるセッションが行われた。

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▲(写真左から)西口氏、對馬氏、岩崎氏。ウエアラブルの将来性について議論を交わしていく。

進化するウエアラブル機器

グーグルグラスのようなメガネ型や、アップルウォッチのような腕時計型など、ウエアラブル機器は以前から登場し話題を集めている。そんな中、NTTドコモによる衣服型の機器“hitoe”や、ソニーによる従来のアナログ時計の形をした“wena wrist”といった、新商品が続々と開発されている。

 
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こうした将来性のある商品が発表されているウエアラブル機器市場の近未来はどうなっていくのか、登壇者の3人による議論が進む。

生活に密着する機器を目指す

NTTドコモが発表した“hitoe”は衣服の形状をしたウエアラブル機器。着用するだけで心拍数や心電データを計測することができる。西口氏が担当しているNTTドコモのヘルスケア事業はウエアラブル機器を活用することで、生活習慣病の予防や重症化を防ぐことが目的だという。

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▲自然に着用できるため日常的に使用しやすい。長時間のデータ収集が医療分野に活用される。

継続しての収集がしづらかったバイタルデータを、日常生活を送る中で簡単に収集できる“hitoe”に加え、ほかの通信機器を利用することで、データ管理がしやすく、かつ視覚化が可能なことによる運動効果の上昇を狙っていると話す。

人間ドックなどでは短時間による検査しかできず、潜在的な病気に気付きにくいが、シャツ型にしたことで長時間に渡りバイタルデータを取得することが可能。潜在的な病気を事前に知ることができるようになるのが、この製品の大きな特徴だと述べた。

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▲食事、睡眠、運動という生活習慣における3大要素をウエアラブル機器により改善し、医療行為に近しい部分にまでチャレンジできないかと模索しているという。

ソニーの對馬氏が説明するのは、今までのアナログ時計と変わらない形をしたウエアラブル機器“wena wrist”。

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▲自然に見つけられるウエアラブルを目指したアナログ時計型の端末。

身に着けていても自然であるかっこよさとガジェットとしての使いやすさの両立を目指したところ、今の形になったという。時計部分とバンド部分が独立しており、ウエアラブルとして必要な機能はすべてバンド部分に組み込まれている。

無暗に機能を追加せずに必要なものを絞り込んだというwena wristの機能は、電子マネー機能、活動量計のログ機能、通知機能の3つとなっている。それぞれ、財布やスマートフォンを取り出す、という手間をなくすことや持ち物を少なくする目的で開発したという。

 
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▲クラウドファンディングにおいて目標を大きく上回る1億円を突破し、反響の大きさに驚いていると對馬氏。将来的には腕時計ブランドなどとのコラボを考えているそうだ。

Jawboneは2013年からリストバンド型のウエアラブル機器“UP”を日本市場で販売している。参入当初に比べて、現在ではマーケット規模が20~30倍まで拡大していると岩崎氏は話す。

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▲Jawboneはもともとアメリカ軍用ヘッドセットの開発が始まりだという。高い通信技術をウエアラブル機器の開発に活かしているとのこと。

現在、日本で販売されている“UP3”はリストバンドの内側に金属素子が組み込まれており、これが従来の体重計にある体組成計の役割を果たすという。Jawboneは生活習慣病の問題に重きをおき、ウエアラブル機器により生活習慣を見直してもらおうと考えているそうだ。

アメリカでは今年1年で1000万台を越える販売数となり、大きな市場となっているが日本ではまだまだ規模が小さい。とくに男女比率が半々となっているアメリカに比べると、日本は男性の顧客が多く、新製品に興味を持つアーリーアダプターに注目されている現段階では市場はまだ成熟していない。岩崎氏は、アメリカ同様に日本でも2、3年後に流行が遅れてやってくることを期待していると締めくくった。

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▲日本でも販売されているシリーズ。女性客の獲得のためにも小型化、カラーリングバリエーションの豊富さを考慮していると岩崎氏。

ウエアラブル市場拡大のキーポイント

ウエアラブル機器の市場規模を拡大させ、今後の生活を変えていくためのキーポイントはどこにあるか、という話題に移り、司会者は登壇者3人にそれぞれの見解を尋ねた。

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▲ウエアラブルの将来性や市場拡大への課題を議論。

對馬氏は現状でも、ゲームやデジカメなどはスマートフォンが代用しており、それらの機能が集約されていると話す。“wena wrist”でも財布や活動量計を時計に集約、物を取り出す手間を減らしている。持ち物や手間を減らし、ひとつに集約することがウエアラブル機器のキーポイントだと論じた。

続いて、岩崎氏は自社製品であるリストバンド型のウェアラブル機器にはふたつの側面があると切り出す。まずひとつはID管理。アメリカで発売されている、“UP4”はアメリカンエキスプレス社と提携。クレジットカードの情報を入れておけば、簡単に買い物ができるような機能を持っており、それが同時に強固な個人情報になるという。

もうひとつがIoT(Internet of Things)である。ウエアラブル機器の通信機能が幅広く進んでいけば、遠隔治療が可能になるのではないかという。對馬氏の補足説明も加わり、生体情報の取得による個人認証、生体認証ができれば極めて高いセキュリティが確保できると述べた。

最後に西口氏はウエアラブル機器から取得するデータを活用できる仕組みが必要だと付け加えた。取得したデータを医療現場やスポーツトレーナーなど、プロの目線から解析できるような仕組み作りをしなくてはならない。そのためには、端末が直接ネットワークに繋がって、データ管理ができるようにするべきだと話した。

女性需要を高めることが重要

司会者は最後に市場全体での問題でもある、女性を取り込むための秘策について質問。岩崎氏は自身が若く見られる、というエピソードで会場の笑いを誘いつつ、ウェアラブルをつけることによって、ダイエットに効く、美容によい、などの具体的な購買価値をアピールしてマーケティングをしていく必要があると論じた。

対してソニーの對馬氏は、女性の持ち物が多いことに焦点を当て、多くの機能を集約したウエアラブル機器は、女性のニーズが高いのではないか、と予想。女性が持ち運びやすいようにバッテリーの小型化、ブランドとのコラボによるデザインの向上が課題だとし、今後の開発意欲を見せた。

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