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【CEDEC 2015】ログに頼らない分析とは? 新しい形のマーケティング

2015-08-27 21:50 投稿

マーケティングの切り口もさまざま

2015年8月26日から8月28日までの3日間、パシフィコ横浜で開催されるコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2015”。ファミ通Appではスマホ関連のセッションを中心にリポート!

ここでは、バンダイナムコスタジオの竹村伸太郎氏のセッション“アプリマーケット情報を活用して、ログに頼れない分析に立ち向かおう”に関するレポートを行う。

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▲バンダイナムコスタジオ NE開発統括本部 NE開発本部 NE技術部 分析運営課の竹村伸太郎氏。

まず、このセッションの趣旨は以下の通りである。

従来のモバイルゲーム分析に関する発表の多くは、プレイヤーの行動ログという“頼れる”データの存在を前提としている。しかし、現実には「どのタイミングで広告を打つべきか知りたい」といった、ログに頼れない分析に対するニーズもある。

そこで、ここでは、どのようにしてログに頼らない分析を行うのか? その点に追求して分析を行い、判明したことを発表する。

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つまりは「プレイヤーの動き以外、具体的にはストアや市場の動きから取得・推察できるデータから、マーケティングの糸口を掴むには?」といった具合だ。

竹村氏はストア・市場から見る分析に関して「現在は、AppAnnieやAppFiguresという有償のマーケティングサービスがある。これらは、アプリ市場の分析を専門としているため、かなり信頼できるデータを提供してくれる。しかし、これらのサービスを以外にも、メーカー側ができることはたくさんある」と語る。

その例として挙げられたのが、iTunes Connectの活用。iTunes Connectとは、iTunes Store、App Store等のAppleが展開するストアで販売されるコンテンツを管理するためのWebベースで作成されたツールセット。そこでは、アプリの売り上げレポートや税金、契約内容などを簡単に確認することができるようになっている。このツールはAppleが提供しているサービスであるため、使用はiOSに限られるが、信頼性はバツグン。間違いのないデータを示してくれる。

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▲セッションでは、データを自動収集できるかというところまで話が進められた。

しかし、これだけでは自社のコンテンツのデータしか判明せず、市場全体の規模などは予測できない。そう、市場全体の規模を把握するには、ライバルアプリのデータも必要になるのだ。しかし、ライバルアプリの売り上げデータなどを入手するなど、およそ不可能。ではどうすればいいのか?

ここで竹村氏が着目したのがアプリランキングの推移。2011年、カーネギーメロン大の研究チームがiOS有料アプリにおいて、ダウンロード数とアプリランキングがべき乗則におよそ従うというレポートを発表している。2011年のレポートだが、竹村氏は「今でも、市場はおよそこのレポートに即した動きを見せており、十分に信頼できる」と語っており、売り上げベースではなく、ダウンロード数ベースでの市場規模予測はこれによって大方成立するということになる。

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▲こちらがカーネギーメロン大が発表したレポートの抜粋部分。
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▲こちらの、スタンフォード大のレポートも興味深い。これは、ランキング位置が、どれだけ今後のダウンロード数に影響するかという点を研究したもの。
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▲スタンフォード大の研究結果をベースに、アプリのランキング変動をトラッキング。そこから実質的なランキング変動のタイミングとその動きをチェックした結果がこちら。

市場規模予測はこれでなんとかなったが、続いての問題はオンライン広告をどのタイミングでいくら分行うのがベストなのかというもの。オンライン広告は、どこに出稿するか、いつの時間帯に出稿するか、どれだけのページビュー分出せばいいのかなど、いろいろと考えるべきことが多い、難しい広告。ただし、それさえ間違えなければ大きな効果を生む。

竹村氏は、これに関しても面白いものを発見したという。それが、AppScotchというサービス。これは、まだ北米でしか展開していないものだが、AppScotchはオンライン広告の出稿量をつねに監視し、それをデータとしてまとめているという。オンライン広告は、いうなればほぼほぼ公開データ。Webをすべて監視できれば、他社の出稿量でさえ完璧に把握できるというものだ。しかし、それを実現しようとしても、技術的にもコスト的にもおよそ不可能だ。AppScotchは、独自のノウハウを用いてこれをうまくまとめ、およそ完璧に近い出稿量の推定を行っているという。そのため、北米市場でアプリを展開し、そこでオンライン広告を打つ場合は、このサービスを利用してみるのも手だと、竹村氏は語る。

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続いて話題に上ったのが、ここまでに紹介したデータ取得法を含む、すべてのデータを収集しきってからの分析について。膨大なデータを処理するのは難しいため、通常は特定のデータのみをピックアップして、必要と思われる分だけの分析を行う。しかし、バンダイナムコスタジオは取得した全データをうまく活用するために、独自のマーケット分析システム“GRECO”を開発したという。どういった解析を行っているのか、その詳細まではセッションで語られなかったが、バンダイナムコスタジオはこのシステムを活用することにより、複数プラットフォームのマーケティングデータですら簡単にまとめることができたという。また、このシステムの開発意図には、分析効率を上げるためというほか、他社サービスの利用を極力下げて、コストダウンを狙ったところもあるという。

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▲“GRECO”を用いることで、非常に見やすいエクセルデータを出力することも容易になったという。

新規タイトルはもちろん、既存のタイトルにおいても、広告出稿は非常に重要な販売戦略。販売戦略をうまく立てることができれば、自社タイトルの売り上げはもちろん、市場全体の活気にも繋がる。竹村氏は、このセッションを通じて関係者に「ブーストやリジェクトなど、何かと話題に事欠かないアプリ市場ですが、本発表がみなさまの市場データ活用のきっかけになれば」と延べ、業界全体へひとつの助け舟を出す形となった。

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