開発力や企画力を競うアプリクリエイター頂上決戦再び! SPAJAM2015密着取材(2日目/午後)

2015-07-06 02:37 投稿

25時間ぶっ通しで開発した渾身のアプリを発表!

7月5日の午後5時から、“SPAJAM2015”のプレゼンが行われた。

今年のテーマは“シェアを楽しむ”。このテーマをもとに、7月4日の午後4時から7月5日の午後5時までの25時間、12チームがアプリ開発に臨んだ。

ここでは、発表を行ったチームの順番に、その内容などをレポートしよう。なお、プレゼンの持ち時間は審査員の質疑応答を入れて各チーム10分となっている。

※初日の模様はこちら
※2日目/午前の模様はこちら

①『HERO(ヘーロー)』
ガンホーファイブ!!(エキシビション)

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トップバッターを務めたのは、エキシビションとして参加したガンホー・オンライン・エンタテイメントの代表取締役社長・森下一喜氏が率いる“ガンホーファイブ!!”

開発したのは、同社初の社会派ゲーム『HERO(ヘーロー)』。GPSと連動しており、“オナラのシェアで世界を救う”がコンセプトとなっている。

特徴的なのは、やはりオナラを使ったゲームシステム。スマートフォンに向けてオナラをすることで、キャラクターを育成したり、ほかのプレイヤーとの共闘バトルが楽しめる。

詳細は不明だが、オナラのジャストヒットでクリティカルを狙ったり、オナラのコンボをつなげることで最大で49倍のダメージが出せるといった攻略要素がある。オナラが出ないときのために、1屁を購入できる課金アイテム“魔屁石”も。

ユニークなゲーム内容に加えて、冗談を交えながら行われた森下氏のトーク力、ガンホー社員が活躍するテレビCMのデモにより、会場から終始笑いの起こるプレゼンに。

それでいて、短期間でロゴやUI(ユーザーインターフェース)を作り込むなど、ゲーム作りのプロの実力もしっかりと見せつけていた。

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▲真剣な顔でプレゼンを行う森下氏。オナラ(をテーマにしたゲーム)について熱く語っていた。

②『Life Optimizer』
五十嵐清太(エキシビション)

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続いては、ゲストで来ていた前回の覇者“チームMizuki”の五十嵐太清くんが、飛び入りのエキシビションとして参加。

たったひとりで開発したという、潜在的な能力を共有するサービス『Life Optimizer』を発表した。

五十嵐くんは、“法律を読む→判例を学ぶ→戦う”という弁護士の仕事のプロセスが、プログラマーの“仕様を読む→実装を学ぶ→戦う”というプロセスに近いことに着目。

“知識、経験をアプリで補てんすれば互換可能なのでは?”というアイデアから、全国統一のテストを受けて自身の特性を洗い出し、アプリがその結果に応じてユーザーに合った職が提示されるアプリを提案した。

さらに、このアプリをきっかけに資格制度の仕組みを変えることで、適性に合った職の資格を獲得できるようにし、実際にその職で働けるようにしたいとも。

今回はひとりでアイデア出しを行ったそうだが、前回の優勝チームに恥じぬ独創的な発想でアプリを開発していた。

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▲前回同様、動画を交えたプレゼンを実施。ちなみに、動画は現場スタッフの協力のもと撮影したとのこと。

③『Kudol(クードル)』
東京C予選代表 Spasibo

 
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いよいよ、全国予選を通過した参加者たちのプレゼンがスタート。まずは、東京C予選を勝ち抜いたSpasiboがお手軽宣教師App『Kudol(クードル)』を発表した。

このアプリは、“シェアの楽しみの正体が承認欲求である”という考えから、何かを認めさせたい人たちや認められたい人たちの活動は、“布教”であるという発想を経て誕生。

ユーザーは現代の宣教師として、地図を塗りつぶして自分の崇拝する対象の信仰範囲を広げていくという内容になっている。

とくにユニークだったのは、地図を塗りつぶすのに“PSS(Passion Sensing System)”を搭載している点。

これは、ユーザーの信仰物に対する感情の高まりをスマートフォンのLEDライトとカメラにのせて測定するシステム。計測後、“爆発だぁ!”のアイコンをタップすると、地図が大きく塗りつぶされて信仰範囲が拡大していた。

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▲プレゼンでは、メンバーが“PSS”を使用するイメージ動画も公開され、会場の笑いを誘っていた。

④『World Portal(ワールドポータル)』
大阪予選代表 VRつくり隊

 
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参加チームの中で、唯一女性の割合が多い(男性ひとり・女性ふたり)大阪予選代表のVRつくり隊は、360度の風景が撮影できる全天球カメラ“RICOH THETA”を使った『World Portal(ワールドポータル)』を開発した。

『World Portal』は、“自分の世界”をシェアして“まだ見ぬ世界”を体験できるアプリ。

RICOH THETAで撮影した写真を“Share”ボタンで共有できるほか、“Trip”ボタンを押すとほかのユーザーがシェアした世界の写真を楽しめる。

Tripの機能で特徴的だったのは、写真に表示されたドアのアイコンを一定時間画面フォーカスすることで、ドアを抜けて別の写真にランダムで移動できるところ。これにより、世界を飛び回るような感覚で写真が楽しめるのだ。

また、お気に入りの景色を“いいね”し合える機能のほか、モバイルVRの対応も考えているとのこと。RICOH THETAを愛用している審査員からは、連動アプリへの期待を寄せるコメントが贈られた。

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▲ランダムで移動した写真の風景で気になる場所があれば、マップで位置を表示する機能なども搭載されていた。

⑤『OHAKO(オハコ)』
北陸予選代表 ふくもん会

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北陸予選代表のふくもん会は、“シェアしたくないものをシェアして楽しむ”アプリ『OHAKO(オハコ)』を開発して公開した。

“シェアしたくないもの”とは、人に言えなくて好きなのに隠している趣味や思考のこと。だが、“好きなものこそシェアするのがいちばん楽しい”という考えから、そうした“ヒミツをひみつにシェアする”アプリ『OHAKO』が生まれた。

『OHAKO』には、スマートフォンにインストールされたアプリからユーザーの嗜好を自動的に判断する“自動スキ判別”のほか、近くのユーザーと情報を自動的にやり取りする“オハコ交換”、共通の趣味を持った者どうしで交流する“オハコ検定”の機能を搭載。

発表の途中に、参加者の趣味のフォルダが映し出され、ヒミツがシェアされるトラブル(演出?)にも見舞われたが、無事に発表を終えていた。

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▲その画像の嗜好レベルを表す“オハコランク”を設定することで、共通の隠れ趣味を持ったユーザーと趣味が合うかどうか確認できる。

⑥『NEIRO』
仙台予選代表 BAKAVIRUS

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音楽好きのメンバーが集まった仙台予選代表・BAKAVIRUSは、“音色で世界を埋め尽くす”をコンセプトと目標に『NEIRO』を発表した。

『NEIRO』は、撮影してアップロードした動画にユーザーが音声のコメントを行うことで、サーバー上でコメントの音声やボリュームなどから感情レベルを計測。喜怒哀楽のどの感情でコメントが投稿されたのか、マップ上に異なる色の音符で表示される。

さらに、その動画が再生されるときの音楽(BGM)は、感情に合わせたものが自動で生成される仕組み。ユーザーがコメントした感情つきの音と色で、世界を埋め尽くしていくというわけだ。

また、動画はほかのユーザーが投稿した音声のコメントの数に応じて、哀しみから喜びのように変化することも。

まだ実装できていなかったが、動画のURLをツイッターやフェイスブックなどのSNSで共有することで、より多くの人と動画に対する感情のシェアができるとも考えており、商品プロモーションに使えるのではないかと提案していた。

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▲「文字入力は古い行為だと思っているので、できるだけさせたくない」という考えで、ユーザー名の入力以外は音声入力で行える作りに。

⑦『Share Hearts(シェア ハート)』
岐阜予選代表 まどべんよっかいち

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“互いの言語と感情シェアで起こす幸福イノベーション”という発想のもと、本当の情報をシェアできる新たなSNS『Share Hearts(シェア ハート)』を手掛けたのは、岐阜予選代表のまどべんよっかいちだ。

全国消費者価値観調査の“SNSユーザーのうち、じつに53%がSNSをめんどうだと感じている”という結果をもとに、まともな情報シェアができていないと考えたメンバーは、『Share Hearts』の開発に着手。

ユーザーの表情と音声を認識し、表情豊かなキャラクターのイラストから適切な表情が選ばれてやり取りを行う仕組みにより、本物の情報をシェアできる。

また、日本語と英語に加えて、中国人メンバーの監修のもと、中国語による自動認識と自動翻訳機能も搭載。ネイティブスピーカーだけで20億近い人口に対応できるそうだ。国籍に関係なく、ひと目で感情が読み取れるキャラクターのイラストも審査員たちに好印象だった。

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▲実機を使って表情と音声からイラストが選ばれる様子も紹介されたが、なぜか毎回悲しい顔や怒り顔に。これは予想外だった!?

⑧『エール!JAPAN』
大阪優秀賞 ザ・ドロえもんズ

 
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ヤフー大阪支社の同僚が結成したザ・ドロえもんズが手掛けたのは、みんなのエールをシェアするアプリ『エール!JAPAN』。

「スマホユーザー全員で応援できたらきっと楽しい」という思いから開発されたこのアプリは、スポーツなどを観戦しているときのユーザーの声のトーンや声の大きさ(エールの熱)を、アプリ内で表示する機能を搭載。

音声処理や画像処理で多く使われる“フーリエ変換”により、声のトーンは文字が打ちあがるときのバルーン色に、声の大きさはバルーンが爆発して表示される文字の大きさで、それぞれ表現される。このアプリを使うことで、自宅にいながらにして試合の興奮を分かち合うことができるというわけだ。

審査員からは「テーマに合っていて実用性も高い」という意見が出たほか、「スポーツ観戦だけでなく、人知れずがんばっている人も応援してあげるのはどうか」といったコメントも寄せられた。

 
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▲アプリの実機画面。この写真だとわかりにくいが、打ち上げ花火のようにバルーンが上空に舞い上がり、画面の上側でコメントが表示される仕組みだ。

⑨『Share Monsters’(シェアモンスターズ)』
福岡予選代表 魔王討伐隊

 
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SPAJAM2014の出場経験者を擁する魔王討伐隊は、モンスターをシェアして育成するゲームアプリ、『Share Monsters’(シェアモンスターズ)』で本戦にチャレンジ。本作は、①モンスターのシェア、②SNSでのシェア、③モンスターどうしのシェア機能があるのが特徴だ。

まず、①は自分のモンスターとほかのユーザーのモンスターをドッキングさせて、新たなモンスターを生み出し、ふたりでシェアしながら育てるシステム。ほかのユーザーの育成がモンスターの外見などに影響を与えるなど、シェアプレイならではのゲーム体験が楽しめる。

また、ドッキングする相手を探すために②の機能が実装されたほか、③ではモンスターどうしが世間話を行う姿が楽しめるとのこと。

参加者がモンスターの声真似でプレゼンを行うなど、会場を盛り上げるシーンもあったが、機材のトラブルなのか、思い通りプレゼンが行えない一幕も。伝えきれなかったゲームの魅力のひとつ、“ドッキング”はプレゼンの後に行われる懇親会時の実機テストに持ち越しとなった。

 
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▲モンスターのデザインやUIなどは作り込まれており、与える食事によってモンスターの色や大きさが変わる要素も実装されていた。

⑩『Sharerm(シェアラム)』
札幌予選代表 FUNkey

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大学生チームの札幌予選代表・FUNkeyは、寝坊で講義や待ち合わせに遅れてしまうという、大学生ならではの悩みをシャアして解決する目覚ましアプリ『Sharerm(シェアラム)』のプレゼンを行った。

『Sharerm』は、“Share(シェア)”と“Alarm(アラーム)”を組み合わせた造語。その名の通り、グループのメンバー全員が目覚ましをセットし、スヌーズ機能を共有。起きられない人がいると、全員にスヌーズ機能が動いて知らせてくれる。

このアプリにより、寝坊した仲間をほかのメンバーがサポートできるほか、「メンバーに迷惑をかけられない」という危機感が、寝坊しやすい人に生まれるといった利点がある。

実用性は高そうだが、審査員からは“バッテリーが切れたときの対応策”を指摘する声もあった。

 
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▲スヌーズ機能のきっかけに対し、「部下の寝坊のせいで、メンバー登録した社長が電車のなかで鳴り響くアラーム音に慌てる様を想定しました(笑)」と語っていた。

⑪『ワラカン』
東京A予選代表 デジテニ東京

 
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着替える余裕がなかったため、代表がホテルの部屋着でプレゼンに臨んだ東京A予選代表のデジテニ東京。

本戦では、時間や友人、思い出をシェアするのが楽しい合コンでの集合写真をもとに、男性陣と女性陣の支払額を計算してくれる『ワラカン』を発表した。

『ワラカン』が支払額を算出するときに重要視するのが、写真に写った人たちの笑顔。顔認識機能を使い、よりステキな笑顔の人が多い性別のグループは、配分が少なくなるという仕組みだ。

ただし、よほど愛想のない女性がいない限りは男性の支払いが多くなるなど、女性にやさしいサービス設定となっている。また、笑顔と異性の美しさから算出した宴会満足度を明細書に記載する機能や、SNSに投降する機能のアイデアも発表された。

プレゼンでは、実際に顔認識機能も披露されたが、男性の審査員を女性として認識する誤作動が発生。会場は大きな笑いに包まれた。また、代表が描いたというビールをモチーフにした愛らしいキャラクターが、審査員たちの心を掴んでいた。

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▲α版では10人までの人数制限があるとのこと。実装を考えた場合、顔認識の精度に加えてそちらの対応も必要そうだ。

⑫『SANPO』
東京B予選代表 シーエスレポーターズ

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激戦区の東京B予選を制したシーエスレポーターズは、スマートフォンで安価にVR(バーチャルリアリティ)が体験でき、楽しい時間をシェアできる『SANPO』のプレゼンを行った。

25時間という限られた中で、VRの世界を構築。お手製のVRビューワーと組み合わせることで、スマートフォンを使ってVRでのマルチプレイが楽しめる。

また、加速度センサーを使うことで、足踏みを行うとVRの世界を移動できるほか、視点を下に向けると感情表現に役立つアイコンを選べたり、アウトカメラ(背面に搭載されたカメラのこと)を使った撮影機能なども実装されていた。

アプリの完成度の高さはもちろん、テレビCMを彷彿とさせるプロモーション映像、隙のないプレゼンテーションなど、本戦でも激戦区の覇者であることを窺わせた。

 
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▲ステージのスクリーンには参加者がVRで体験している映像が映し出されており、審査員やほかの参加者たちもVRを視覚体験できた。

⑬『MUSIC ELEVATOR』
東京B優秀賞 よろしくお願いします。feat.Higu’s Bros

 
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プレゼンのラストを飾るのは東京B予選の優秀賞として本戦にコマを進めた、“よろしくお願いします。feat.Higu’s Bros”。「極力、何もしないのにシェアを楽しめる」をコンセプトに、世界中の人々と音楽をシェアする『MUSIC ELEVATOR』を公開した。

シェアするユーザーの負担を極力減らそうとしたメンバーは、スマートフォンの充電に注目。充電時間中にランダムで選ばれた世界中の誰かと、スマートフォンのプレイリストに入っている音楽をシェアして視聴するアイデアが生まれた。

また、世界中から音楽が集まるエレベーターをイメージし、最終的に『MUSIC ELEVATOR』が誕生したという。

プレゼンでは、充電を終えて曲を入手するイメージ映像も公開。撮影はホテルのエレベーターホールで行われ、曲をシェアして入手したり、視聴する流れがわかりやすく紹介するなどの工夫も。

審査員からは『MUSIC ELEVATOR』という世界観が素晴らしいといった賞賛のコメントが贈られていた。

 
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▲「なぜ音楽を選んだのか」という審査員の質問に、代表者は「音楽から人間性を知ることができて楽しいので」と回答。やり取りの中で、音楽以外のコンテンツにも利用できそうな可能性が感じられた。

プレゼン終了! SPAJAM2015の最優秀賞チームの栄冠は!?

SPAJAM2015には我がファミ通App編集部の中目黒目黒編集長も審査員として参加。手前味噌ながら、各チームのプレゼンを間近で体験した感想を訊いてみた。

「こんなにまじめにプレゼンを聞いたのは初めて、というくらい審査員のこちらも気合いをいれて参加チームのアイデアを拝聴しました。

初めてハッカソンを間近に見て、正直たった1日でどこまで形にできるのか、多少疑問もあったんですが、予想の上をいく完成度で、さまざまな可能性を感じました。

だって1日で企画を立てて、アプリまで作っちゃうんですよ? まだ結果発表前なので推しチームなど詳しくは言えませんが……。

ひとつ言えることは、来年のお題は“新しいファミ通を作るとしたら?”で実施してくれるとうれしいです(笑)。

僕らがメディアを作るとしたら、コンテンツを考えぬくのは得意分野なんだけど、テクノロジー側から迫ることは不得意というか、正直できないので、皆さんのアイデアを聞いてみたい!

そんな妄想をしちゃうくらい興奮しました。

参加した皆さん、おつかれさまでした! 正直、混ざりたかったです!」

(中目黒目黒)

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▲いつになく真剣な面持ちの中目黒目黒。

また、プレゼントの後はホテル内のレストランに場所を移して懇親会と実機テストがスタート。

森下さんの参加者を労う乾杯の音頭のもと、25時間のアプリ開発を戦い抜いた参加者たちは、審査員に再度作品をアピールしたり、参加者どうしでお互いに写真を撮るなど、親睦を深めていた。

 
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優勝チームが発表されるSPAJAM2015の表彰式は、2015年7月6日(月)にモバイルプロジェクト・アワード2015の表彰式と同時に行われる。その模様は追ってお伝えする予定なので、楽しみにしてほしい。

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▲懇親会の一幕。ただし、実機による審査員のテストもあり、最後まで気を抜けなかったようだ。

※最終日に続く

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