NVIDIAの新ゲームストリーミングサービス“GRID”がスゴいことになっている!
2015-03-28 10:00 投稿
グラフィックスの巨人が手掛けるゲームストリーミングサービス
GeForce(ジーフォース)シリーズやTegra(テグラ)シリーズなど、高性能なGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)や統合型プロセッサを手掛けるNVIDIA(エヌビディア)社。現在、同社がゲーミングタブレット“SHIELD”シリーズ向けに提供を開始した、ゲーム・ストリーミング・サービス“GRID”に注目が集まっている。
GRIDは、同社のクラウドゲーム技術“NVIDIA GRID”を活かし、最大1080p、60フレーム/秒でゲームをオンデマンド配信するサービス。概要については、GDC 2015のレポートを参照されたい。
本記事では、GRIDで配信中の各ゲームを、記者が同社の“SHIELDコントローラ”を使ってプレイしたインプレッションをお届けする。
超有名なゲームが、家庭用ゲーム機版そのままのクオリティーで遊べる!
GRIDを立ち上げてログインすると、利用できるゲームが一覧で表示される。その数は、2015年3月21日現在で42タイトルにもおよぶ。『ウルトラストリートファイターIV』を始め、家庭用ゲーム機でも有名な作品もラインアップされているほか、『PixelJunk』シリーズや『Astebreed(アスタブリード)』といった、日本で制作された作品の英語版も用意されているぞ。
まずは、レースゲームの雄『GRID 2』をプレイ。日本でも『RACEDRIVER GRID2』として家庭用ゲーム機で発売され、週刊ファミ通のクロスレビューでもゴールド殿堂入り(2013年8月1日号)の評価を得た作品だ。
公道を舞台にしたオーソドックスなレースゲームである『GRID 2』の特徴は、砂煙舞う演出を始めとした圧倒的な3Dのビジュアルと、複雑すぎないセッティングや操作系といったシンプルにまとめられたシステム。
とくに、前者がタブレット端末でどれほど再現できるのかが気になるところであるが、その心配はまったくの杞憂だった。ビジュアルがとにかくキレイ。扱うデータ量が莫大なので、他のゲーム同様Wi-Fiは必須なのだが、ある程度の高速回線が確保できていればロード時間は家庭用ゲーム機よりも短いくらいだし、プレイ中にラグが発生することもほとんどない。SHIELDコントローラでプレイしていることもあってか、サウンド面も含めて家庭用ゲーム機でプレイしているのとほぼ変わらない感覚でプレイできた。
続いて、2D格闘ゲームの金字塔『ウルトラストリートファイターIV』。こちらも英語版ではあるが、操作系を始めゲーム内容は国内の家庭用ゲーム機版とまったく同じ。コンフィグでボタン配置はいつでも変更可能なので、あとはSHIELDコントローラのスティックに慣れれば、じつに快適にプレイできるようになった。
アーケードや家庭用ゲーム機版のタイミングに慣れている人は、若干反応に差があるので最初は違和感があるかもしれないが、フレーム数を1フレーム単位で体感できるほどの達人でもなければすぐアジャストできる程度のものなので、おおむね問題ないはずだ。GRIDで『ウルトラストリートファイターIV』を遊ぼうという人は、まずは操作に慣れるためにトレーニングモードをやり込んでおくといいだろう。
気軽に遊べる多彩なタイトル群
なお、タイトルのほとんどは英語版で提供されているが、『PixelJunk Monsters Ultimate』、『PixelJunk Shooter』、『Revolver360 RE:ACTOR』の3タイトルは日本語版でも楽しめる(ゲーム内の“オプション”機能などで変更する必要あり)。今回はそのうちのひとつ、『PixelJunk Shooter』をプレイしてみた。
『PixelJunk Shooter』は、2009年にプレイステーション3向けのオンライン配信ゲームとしてリリースされた、カジュアルに楽しめるアクションゲーム。プレイヤーは開拓惑星の洞窟内部で小さな宇宙船を操作して、流れる水や溶岩をかわしたり、ときには利用しながら、洞窟内に取り残された生存者たちを救出していくことになる。
画面写真を見ていただくとわかるように、素朴なビジュアルのゲームなので、むしろタブレットのような小さな画面はおあつらえ向き。1ステージにかかる時間も数分程度と、他のゲームと比べると、肩肘張らずに片手間で遊べるようになっているのが特徴だ。
ほかにも、GRIDにはシリーズ作品の『PixelJunk Monsters Ultimate』なども用意されており、ウリであるリッチなコンテンツだけでなく、こうしたカジュアルなコンテンツも楽しめるという意味で、内容は非常に充実しているという印象を受けた。配信中のタイトルは、いずれも家庭用ゲームとして発売されているものということもあり、外で気軽に楽しむのではなく、ヘッドホンなど環境を整えたうえで腰を据えて遊ぶものだと考えていい。
GRIDの特徴は、タブレットならではのポータブル性というよりはむしろ、家庭用ゲーム機ではハードの違いなどもあってプレイできなかったタイトルが、ハードの垣根を超えて楽しめるところにある。ミニHDMIケーブルを使えば、液晶テレビなど大画面モニターにも出力できるので、これはもうほとんど家庭用ゲーム機そのものと言ってもいいだろう。ジャンルはアクションやシューティングが中心だが、2D、3Dなど、なかなかに多様性のあるタイトルが揃っており、さらに今後どんどん追加もされていくらしい。
懸念される“遅延”や“通信、ロード時間”については、家庭用ゲーム機版を遊んだことのある人ならほぼ気にならないレベル。“GRIDによるクラウドゲーミングはここまでストレスなく遊べるのか”と実感できた。GRIDは、質、量ともに誰もが満足できるサービスだと言えそうだ。
(TEXT:ギャルソン屋城)
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