【インタビュー】2ヵ月で500万DL超えを果たした『パワプロ』のキーマンを直撃!
2015-03-12 14:00 投稿
パワプロはまだまだ進化します!
アプリ版では初となる選手育成モード“サクセス”を実装したKONAMIの野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』(以下、『パワプロ』)が好調だ。配信前は田中将大投手の応援大使就任、サービス後はトップセールス上位をキープしたまま、2ヵ月で500万ダウンロード達成、最近では田中投手プロデュースのシナリオの発表など、コンシューマー版に引けをとらない盛り上がりを見せている。
アプリの寿命が延び、ヒットタイトルが売れ続ける中、なぜ新作タイトルの『パワプロ』が成功を掴めたのか。ヒットの理由や今後の展開について、『パワプロ』シリーズを統括する谷渕弘氏に話を聞いた。
コナミデジタルエンタテインメント ベースボールコンテンツプロダクション シニアクリエイティブプロデューサー谷渕弘氏 |
500万ダウンロードを振り返る
――『パワプロ』のアプリ版が配信されたのが、去年の12月18日。それから2ヵ月で500万ダウンロードという記録を立てているわけですが、このスピード感はどう捕らえているのでしょう?
谷渕弘氏(以下、谷渕) 予想より早くてビックリといった感じですね。これまでにも『パワフルプロ野球TOUCH』なども出していて、おかげさまで多くのお客様にダウンロードしていただいています。ですので、その経験から最初は「それなりの数はいくだろうな」とは考えていましたが、500万というのは完全に予想以上です。
――アプリで初めて『パワプロ』やサクセスを遊んだ人もいるでしょうね。
谷渕 スタッフの中にもいるんですよ。今回から加わったメンバーで、サクセスやったことないっていうのが(笑)。そんな人が、僕たちよりもとても楽しそうに選手を作ってるんですよね。「お前何やってんの? ちゃんと仕事してるの?」って言うくらいに。それを見て、僕らは嬉しくなりましたね。
――これだけのスピードで500万ダウンロードに到達できた要因というのは、どこにあったとお考えですか?
谷渕 今回のアプリ版『パワプロ』は、コンシューマー版を作っているメインのチーム総出で作ろうということになり、開発を開始したんです。これからスマートフォンでゲームを遊ばれるお客様も増えると思っていましたし、「出すからには成功をさせないと」という思いもありましたので、何が何でも品質重視でやろうと。おもしろくなかったらリリースしないつもりで開発をしたんです。
――いまのアプリ市場全体を見ても、確実にゲーム自体の完成度は高まっていると思います。『パワプロ』の名を冠するならなおさら求められる部分ですね。
谷渕 『パワプロ』の認知度を考えると、コアなユーザーの方々にはまず手に取っていただけると思っていたのですが、実際にプレイしていただいて「これは面白い!」と遊び続けてもらえる商品を目標に制作しました。ただ、スマホゲームというところで、我々もどの程度の操作性にしようかなど考えることは多くあって、それでクローズドβテストも実施させていただきました。
――大手メーカーでβテストをやるというのはあまり例がないですね。
谷渕 最初に少人数の意見を集めて、ある程度直していってプロモーションをかけ、そこから完成度100%に向けて作り込んでいくという方法もあるかもしれませんが、『パワプロTOUCH』の実績から『パワプロ』は配信直後から多くダウンロードされると想定していたので、最初からしっかり作り込まないとダメだと。そこでβテストを実施していろいろなご意見をいただき、それを修正してリリースに至りました。
パワプロの魅力をスマホで表現するために
――『パワプロ』シリーズはマイライフやペナントなど、たくさんのモードがありますが、今回はサクセスがアプリ化されましたよね。ほかのモードもアプリ化するという話は企画の段階で出なかったのでしょうか?
谷渕 最初にお題目として掲げたのが、『パワプロ』をアプリ化するということでした。まず全部のモードがあると考えましたが、それはスマホには適さないと思いました。短時間で遊べて、『パワプロ』らしい楽しみを味わえるとなると、アプリとして成り立つのはひとつのモードのピックアップなんじゃないかと。それで、今回はサクセスをアプリ化しています。
――では今後、サクセス以外のモードがアプリ化される可能性も?
谷渕 『パワプロ』のモードはどれもそれぞれがひとつのアプリとして仕上げられると思っています。今回のアプリ版『パワプロ』はプロ野球は入っていませんが、毎年開幕するプロ野球と連動した楽しみというのもいずれ作っていきたいですね。これまでの『パワプロ』シリーズは年度ごとに終わりを見せて、また来年新しくといった展開をしてきたので、アプリにも何かしらの形でそういう区切りが見せられたらいいなと思います。いままでのアプリにない形になると思いますけど、『パワプロ』のアプリとして最適な形というものを追い求めていきます。
――開発はどれくらいの規模で動いていたのですか?
谷渕 これまで『パワプロ』の全モードを作っていた人数と同じくらいの人数規模でサクセスだけを作っています。次々とシナリオを作らないとダメだし、イベントとか運営も入ってくるので。
――運営側はどうなのでしょう?
谷渕 運営側にもコンシューマーを作っていた人がいますが、中にはアプリを作っていたメンバーも含まれています。コンシューマーのチームには、運営のノウハウがあまりないので、ブラウザやアプリで運営経験のある人を運営チームに集まっていただいて対応しています。これはどうしても成功させたかったので。
――そこで意見がぶつかることも?
谷渕 ぶつかりっぱなしですよ(笑)。「ユーザーの気持ちがわかってるのは、オレ達だ!」みたいなね(笑)。みんな面白いものを作りたいという気持ちを持っているからこそぶつかりますしね。
――コンシューマーとアプリで部署を完全に分けず、お互いが協力しあっているのですね。そこに老舗の意地みたいなものを感じるのですが、そういうものってありますか?
谷渕 あります! KONAMIはゲーム作りをずっと続けているので、ゲームとして負けたくないという気持ちは強いですね。コンシューマーで支持された遊びが、スマホ市場でも支持していただいているのは非常にありがたいと思います。
独自路線を進むパワプロ
――今回実装されているイベキャラデッキというシステムは『実況パワフルプロ野球2013』(、以下、パワプロ2013)で実装されたシステムですが、同作品を開発・リリースした時点でこのシステムをアプリにも持ってこようという構想があったのでしょうか?
谷渕 いえ、その当時は具体的な構想までは固まってなかったです。『パワプロ』シリーズはコンシューマーでやっていたコアゲームなので、アプリ市場で支持されるフリートゥプレイゲームをイメージするまでに、思考錯誤、経験そして制作者のマインドチェンジが必要でした。そこでまずはコンシューマーで新しい試みをやってみようということで、『パワプロ 2013』にデッキシステムを組み込んでみたんです。それがお陰様で支持をいただけて、これはスマホにも展開できるのではないかという流れですね。
――トレンドという意味でいうと最近のスマホゲームはいわゆるゲリラダンジョンの仕組みがほとんど搭載されていますが、本作にはありませんよね。
谷渕 『パワプロ』の場合、手に入れたキャラクターがそのまま強いわけでもなく、いいキャラクターを組み合わせてそこから育てても、プレイがうまくなければいい選手はできません。そういう意味ではゲームデザインが最近のスマホのものと異なる部分があります。この仕組みがスマホでゲームを遊ぶユーザーに受け入れてもらえるのかを最優先で確かめる必要がありました。不安がなかったとは言えませんが、チャレンジしないと結果は出ないので、この独自路線で進めようと決めました。
――その一方で、アプリ版ではサクセスのプレイ時間やアクション部分の難易度はコンシューマーと比べると低くなっていると思うのですが、そうすることで既存の『パワプロ』ファンから不満の声が上がるのではないかという不安はなかったのでしょうか?
谷渕 コンシューマーとスマートフォンでは、プレイ時間や環境、手軽さ、操作感など遊び方が違います。当然、スマートフォンなので、いままで『パワプロ』を遊んだことがないという方も入ってくるという想定もありました。そんな中で、『パワプロ』の面白さをどう表現していくかはかなり悩みました。正直、ミートカーソルを合わせるというのは、最近のスマホゲームと比較すると難しい操作だと思います。小さなストライクゾーンの小さなミートカーソルを動かすわけですから。強振なんかさらに小さくなる。だから、この遊びをスマートフォンで出して本当に大丈夫かとも思いました。それでもある程度はプレイヤースキルがゲームの結果を左右する余地を残せるように、難易度に関してはリリースが迫っても毎日バランスが変わるくらい細かく調整をしました。
マー君シナリオの秘密
――田中将大投手プロデュースのシナリオの概要が発表されましたが、あれはどのように作っていったのでしょうか?
谷渕 みなさん、まさかマー君がプロデュースするなんて! とびっくりされていると思うのですが、私もそう思ってました(笑)。田中投手に協力していただけるということが決まって、みんなで何をしてもらおうか考えたんですよ。で、その候補の中に「シナリオを考えてください」というのを入れて田中投手に投げてみたんですね。最初はお忙しい方ですから、これはダメだろうなと思っていたのですけど、オーケーって返事がきて(笑)。そこからどういう風に作っていきましょうかという話になり、田中投手に「とりあえずプロットを考えてみますか?」と尋ねてみたら、本当にプロットがあがってきて。私たちはそれをそのままゲーム化しました。
――純度100%田中投手のアイデアで進められているんですね。
谷渕 プロットや各種設定は田中投手の原案そのまんまです。
――全員彼女候補というのもこれまでにないパンチのある内容ですね。
谷渕 プレイしていただいたら、「おーっ」と声を上げたくなる、このシナリオ独自の部分もありますよ。田中投手ご本人の希望もあり、今回のシナリオは北海道が舞台になっています。サクセスなので、ひとりの選手が成長していくのですけれど、田中投手ご自身が主人公というプロットになっていたので、この能力で主人公にしていいですかと確認を取って。そこからシナリオを作り込んでいく過程で、田中投手から「全部女子部員っていうのはどうですか?」と提案を受けて、すぐ採用させていただきました。
――配信が楽しみですね。マー君シナリオ以外にも新しい展開があるのではないですか?
谷渕 いろいろ考えていますよ! マー君がサクセスシナリオをプロデュースするというので、みなさんビックリされていると思うのですが、そんなこともあるのかという驚きも用意しているので、そこもぜひご期待ください。
――なにかヒントはないんですか?
谷渕 これは言ってしまうと本当に怒られてしまうので、言えないんですよ(笑)。
――それなら、いつ頃実施予定かだけでも!
谷渕 時期的なものも、ちょっと。それなりに近いとしか言えないです(笑)。
――残念(笑)。でも楽しみにしています! 最後に『パワプロ』のユーザーに向けて一言お願いします。
谷渕 いま制作している田中将大選手プロデュースの“北雪高校”編は、これまでの『パワプロ』シリーズになかった試みに挑戦しているので、にやけながら遊んでいただけたらと思っています。今後も新シナリオや新しい仕組みを考えておりますので、いい選手を育てておいていただければ、彼らが活躍する舞台がドンドン増えていくと思います。どうぞ末永くよろしくお願いします。
阪神甲子園球場公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2014年のデータを基に制作しています
©Konami Digital Entertainment
実況パワフルプロ野球
- ジャンル
- 野球・育成
- メーカー
- KONAMI
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- Android(4.0以降)、iOS(7.0以降)
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