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ガンホーとタッグを組んだKamcord ガチで日本進出に乗り出してきた黒船の思惑に迫る

2015-01-17 12:00 投稿

スマホ業界がざわついた昨年の11月

2014年11月、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)がアメリカの企業Kamcord(以下、カムコード)の株式取得を発表した。カムコードはスマホゲーム用プレイ動画共有サービスの会社。そのため、『パズドラ』などガンホーの配信タイトルに動画の共有機能がつくことになるのでは? と噂されたのだ。

果たしてその真相や如何に、ということでファミ通App編集部ではカムコードCEOである、マット・ジッツマン氏へのインタビューを実施した。

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――カムコードはいわゆるゲームメーカーではないですよね? まずはどんなことをしている会社なのか教えてもらえますか?

マット・ジッツマン(以下、マット) スマートフォンゲームのプレイ画面を録画して、それをシェアするものを作っています。じつはそういう製品を世界で最初に作ったのはカムコードなんですよ。また、録画したデータをアップするだけでなく、拡散性が高いのも特徴です。TwitterやFacebookはもちろんですが、日本ではLINEに対応するなど、その国に合わせたカスタマイズも行っています。

――それはすごいですね。対応しているゲームはどれくらいあるのでしょうか?

マット いまは約450本以上のゲームに対応しています。利用者も世界中におり、1秒に数本の動画がアップされています。

――それもまたすごい。スマホの動画市場がこれほど拡大すると予想していたのでしょうか。

マット ポテンシャルはある市場だと思っていました。コンソールゲームの動画文化はすごく広まっていましたからね。スマホゲームは環境を揃えるのが大変だったのですが、それでもアップする人が増えていたという点にも可能性を感じておりました。ただ、正直に言うと広まるスピードは予想以上でしたね(笑)。

――ですよね。いまスタッフはどれくらいいるんですか?

マット 最初は3人からスタートしました。カリフォルニアのアパートの1室で開発していたのですが、いまはサンフランシスコに会社を構え、総勢25名になりました。海外で事業を行うときに大事なことは、ビジネスデベロップメントを結んで営業をガンガンやること。それと技術スタッフを確保することですね。これはより多くのデベロッパー様に早く導入してもらうために絶対に必要なことです。

――海外進出は日本が初めてですか?

マット そうです。ヨーロッパに関してはサンフランシスコからでも展開できるんですよね。ただ、僕らはアジアに進出したいと思っていました。そのうえで、やるのであれば本気でやりたい。ですからゲーム動画の文化が広まっている日本を選択しました。

――現状、日本のタイトルでカムコードのSDKを入れているタイトルはどれくらいになりますか?

マット 約30タイトルになります。これは海外も含めた総タイトルの約10%を占める数字です。2014年の頭は5%だったことを考えると、急速に成長してきていると言っていいでしょうね。

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――なるほど。ところで海外で多くアップされているゲーム動画はどんなタイトルのものが多いのでしょうか?

マット 『マインクラフト』に代表されるオープンワールドタイプの自由なゲーム性を持つタイトルが多いですね。そういうゲームはソーシャル性がすごく高くて、閲覧数に対するフォローの数、コメントの数を見てもそれがよくわかります。

――日本ではどうでしょう?

マット 日本はストラテジー系が強いと思います。解説をしたい人にも向いていますし、日記のように使う人もいます。今後はアクション系のゲームも増えていくと思います。

日米ゲーム動画の違い

――マットさんは日本のゲーム実況動画と海外の動画の違いはどこにあると考えていますか?

マット 海外の動画はシェア数が多いですが、日本は閲覧数が多いという違いがあると思います。アメリカ人は見せびらかすのが好きで、日本人は自分で観て楽しむ人が多いということになりますかね。

――そうなんですね(笑)。

マット 将来的にはYouTubeやニコニコ動画といったプロダクトの部分で比較をして傾向を見て商品開発していくべきだと考えていますが、いまはB to Bの段階で、とにかくSDKを広めていくことが第一だと思っています。それがある程度まで伸びた段階でB to Cの取り組みに切り替えていこうと思っています。

――日本独自のカスタマイズをしていくということですね?

マット ユーザーが求めるものが国ごとに違うということはよくわかっています。たとえばユーザーインタフェースの部分でも、アメリカはシンプルなものを好みますし、他の国では違った感じの好みがあります。そういう部分は各国に合わせて少しずつ変えていこうと思っています。ただ、カスタマイズにも段階がありますので、現状はLINEのシェア機能といったところを優先しています。

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――対応タイトルは今後どれくらいのペースで増えていくのでしょうか。

マット タイトル数の部分では目標を立てていません。僕らはユーザー数に注目しています。ですから、多くユーザーを持つタイトルを引っ張ってくることが重要だと思っています。まずは利用者1000万人を目標として、そこから桁数を増やしていきたいと思っています。

――となるとガンホーのタイトルは避けて通れない(2014年12月、ガンホーはカムコード社の株式を取得している)と思うのですが、対応の予定はありますか?

マット それはガンホーの橋本さんに聞いてみてください(笑)。ガンホーと弊社の関係の成り立ちについてお話しますと、最初にガンホーさんに会ったのが5月ごろのことです。そこから継続していろいろな話をしてきたのですが、じつは当初からあまり売り込みの話はしていませんでした。お互いによく知ろうというスタンスで話し合いをしていくなかで、共通の考え方や理念、方向性が見えてきたので、短期的にも長期的にも協力し合えるということでいまのような関係性を築くことができました。ですから、もちろんガンホーさんのタイトルにSDKを採用してもらいたいとは思っていますが、それに限らずいろんな面で協業していければいいですね。

橋本(ガンホー新規事業開発室:橋本裕之氏) 対応に関しては各タイトルで検討しているところですが、まだ具体的なお話はちょっとできないんですよね。では現在どのような協力体制なのかというと、営業的な部分で力を貸しているところが大きいですね。「うち(ガンホー)はまだSDKを入れていないのですけれど、ぜひ入れてみてくださいよ」という変な感じなのですが(笑)。

マット この記事が出たときの反響を楽しみにしています(笑)。

カムコードのこれからについて

――いくつか出ている動画SDKのなかでカムコードの優位性はどこにあるのでしょうか?

マット いちばんの強みはグローバルであることですね。GDC、チャイナジョイ、東京ゲームショウなどいろいろなゲームの展覧会で開発会社と話をすると、どこもグローバルにいきたいという考えを持っています。その部分ではすでにそういう環境を持つ僕らに優位性があると考えています。僕らは世界でいちばん動画シェアを提供するソリューションになりたいという志を持っているので、そこは評価していただけるポイントだと思っています。僕らの成功を見て、真似をする企業があるということは、それだけ価値が有るものを提供しているということを証明してくれたようなものです。ですから、先人として自信を持って話をしていけますね。

――もうひとつ、今後動画プラットフォームとしてどう進みたいと考えているのか、思想というか方向性を教えてもらえますか。

マット 動画をアップするユーザーにはふたつの傾向があると考えています。ゲームの上手い人はまるでタイガー・ウッズのようなスーパープレイをアップして「俺のプレイを見てくれ」という気持ちでアップされているように感じます。もうひとつはおもしろいことやちょっと変わったことをして注目を浴び、人気者になりたいと思う人ですね。動画クリエーターもコメントをくれた人にアクションをしています。それをきっかけにゲーム内でチームを組む人たちもいます。実際にロシアの人とサンディエゴの人がカムコードを通じて知り合ったりもしています。僕らはそういう場を提供したいと思っています。しかもこの繋がりはすごく強いんですよ。たとえば1万人フォロワーがいるようなユーザーであれば、ふつうの口コミは1対1ですけど、このユーザーが動画を投稿すれば1万人に広めることができる。しかも興味があればすぐにインストールできて遊べるわけです。広告っぽくなく楽しく広めていけますよね。

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――それはたしかにいい関係性ですよね。少し現実的になっちゃうんですけど、マネタイズはどう考えていますか?

マット いまはゲームユーザーのコミュニティを作っている段階です。そこに集客をしようということはいまはしていません。ですから、ゲーム動画に興味のあるユーザーだけが集まっている状態なのです。Kamcordアプリの方に広告機能を入れれば確実に利益が得られると思っていますが、まだタイミングとしては早いと思っていて、まずは先ほども申したとおり、少しでも多くのデベロッパー様にSDKを導入してもらいたいと思っています。また、SDK側に広告を入れる事はしません。Facebookは非公開ですが、LINE、カカオトークなどのSNSの収益の60%はゲームからとされています。ふつうに考えると、ゲームに特化してゲームユーザーを集客している我々が同じようにできないということはないですよね。

好きなゲーム、聞いちゃいました

――マットさん自身はどんなゲームが好きなんですか?

マット 僕は5歳のころからゲームで遊んでいました。初めて遊んだのは兄が買ってきた任天堂のマシンです。それから僕はジェネシス(メガドライブの海外名)、ドリームキャスト、オンラインゲームとたどってきたのですけど、いちばん印象に残っているのは『シムシティ』です。父が不動産関係の仕事についていたこともあって、休みの日はいっしょに遊んでいました。いま思えば休みの日も仕事のことを考えているようなものなのかなと思って少し悪い気もしています(笑)。

――それはたしかに大変かもしれませんね(笑)。

マット ひとつ思うのは、ゲームを遊んだ記憶はすごく想い出に残るということです。だれと遊んでどんなことを話したかということもゲームプレイの一部であり、おもしろいところだと思います。すごく魅力的な世界ですよね。

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――ああ、たしかに! では最後にもうひとつだけカムコードに関して質問です。日本ではニコニコ生放送というストリーミング形式の動画メディアがあります。非常に人気の高いものなのですが、カムコードはこういう生放送形式のスタイルには対応しないのでしょうか?

マット もちろん各国で色々な文化があるのは理解しています。ただ、それが本当にモバイルで行うのに向いているのか、ということに関してはよく考えるべきだと思います。将来的に対応することになるとは思いますが、どういうスタイルが適しているのかはよく考えて進めたいと思います。

――そこもふくめたさまざまな展開を期待しています。ありがとうございました。

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