【個人開発ゲームを斬る】『金太の大冒険』懐かしのコミックソングがゲームアプリで復活

2014-10-20 13:00 投稿

金太、負けないで!

皆様は、“金太の大冒険”という曲をご存知でしょうか?

シンガソングライター“つボイノリオ”さんが歌い、一世を風靡したり、放送禁止になったりした、コミックソングです。若い読者の方が多いと思いますので、どういう曲か簡単に説明させていただくと。例えば、幼なじみの“金太君”がある勝負に挑む時、あなたならどんな声援をおくりますか?

「金太、負けないで!」

なんていいかもしれません。これを”ひらがな”で書くと。

「きんた、まけないで!」

更に、区切りをちょっと変えると。

「きんた ま けないで!」

あら、やだ、恥ずかしい。前置きがとても長くなってしまいましたが、そんな“聞きかたによってはお下品になってしまう”コミックソングを題材にしたゲームアプリがリリースされてましたのでご紹介させていただきます。

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▲シンガソングライター、つボイノリオ公認!
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▲きんた ま もって!

こちらタイトル画面。“金太”のロゴの描きかたがイロイロ連想させていい感じです。タイトルロゴの周りに光輝く、“つボイノリオ公認”と“JASRAC”マーク。最近問題になっている無許可で作った“同人アプリ”ではなく、ちゃんと手続きを踏んでリリースされた証。この辺りのお話は、後ほど開発者さんに詳しく聞いてみようと思います。

とりあえずゲームスタート!

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▲かわいい?お姫様
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▲方向キーで移動

あなたはどこにでもいる青年“金太”君。突然出会った、どこかの国のお姫様が悪人に追われてるご様子。心優しい金太君は、お姫様を守りながら、安全な場所へ連れて行く事に。

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▲悪人に挟まれた!
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▲木陰で体力回復

金太君は虫も殺さぬ性格ですので、悪人を攻撃できません。方向キーを駆使して悪人をかわしながらゴールを目指しましょう。金太君のほうが悪人より足が速いので、囲まれない限り捕まる事はないのですが、金太君には“体力”が存在します。走り続けると体力が切れて、暫くの間、足が極端に遅くなります。

悪人を障害物にうまくひっかけて、いわゆる“ハメ状態”にして、こまめに体力を回復するのが攻略のポイント。

ゴールにたどり着くと

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▲ゴール!
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▲目指せ100%!

障害物に引っかかるのは悪人だけではなく、油断するとお姫様もひっかかってしまいます。お姫様が捕まってしまうと、当然ゲームオーバーになるので、ちゃんと後ろについてきているか気をつけながら逃げ続け、ゴールにたどり着くと次のステージへ。

金太マスカット

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▲ショッピング
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▲きんた ま すかっと!

ステージのあちこちに“箱”が落ちています。箱の中には“コイン”や、体力を全快してくれる“マスカット”などが入っております。街のステージにある“ショップ”で、冒険を楽に進める為のアイテムを購入をしたり、“関所”を通過する際にコインが必要です。アイテムがないとかなり厳しい戦いになりますので、悪人をうまくかわしながら、中身をゲットしておきましょう。

体力回復アイテム“マスカット”は箱の中以外にも、木に吊るされている場合もあります。アイテム“ナイフ”を購入していると、金太がマスカットをスカッと斬って体力を回復させることが可能。きんたますかっと! なんだか股間の辺りがムズムズしてきました。

元気玉

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▲元気玉!
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▲スパーキング!

物語を進めていくと、“元気玉”を習得し、金太君が悪人に攻撃できるようになります。画面長押しで気合を溜めて悪人に“元気玉”をぶつけると、一定時間“硬直状態”に。ただし、皆の元気を少しずつわけてもらうのではなく、金太の体力を消耗するので注意!

更に進めていくと

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▲謎を解け!
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▲サメを避けろ!

物語を更に進めていくと、ただ逃げるだけではなく“住民のヒントを元に隠された鍵を見つけるアドベンチャーモード”や、船を操舵しサメを避ける“大航海モード”も用意されております。ネタゲーっぽい雰囲気なのにちゃんと作り込まれていて、戸惑いを隠せません。

コンティニューには

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▲金の玉!
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▲きんたまわった!

ゲームオーバー時のコンティニューには回数制限があります。初期状態で30回以上コンティニューできるので、まず問題ないとは思うのですが、もっと延長させたい場合は課金して、回数を増やす事が可能。

ちなみに課金アイテムは“金の玉”です。

この辺の下品なこだわりがグッドです。さらにヤリコミ要素として、“お姫様のボイスコレクション”が用意されております。ステージクリア時や、特殊なイベント時に、お姫様が“聞きようによってはたまらないセリフ”を喋ります。

お姫様が可愛い声で「きんたまけがおおい」なんて言ってくれるので、そういうプレイが好きな方に是非オススメです。

お下品すぎて、この記事自体がボツになりそうな気もするんですが、いつものようにこのアプリを開発された“STUDIO SHIN”さんにイロイロ聞いてみました。

Q1.まずは簡単な自己紹介をお願いします!

STUDIO SHIN(スタジオシン)という名前で主にiOSアプリ開発やプログラム関係の書籍執筆などをしております。元々は京都のゲーム会社で家庭用ゲームの開発の仕事をしておりましたが数年前に独立して現在はフリーでやっております。また“Cocoa勉強会関西”という京都、大阪を中心にやっているプログラミング勉強会の代表をさせてもらっています、Cocoa勉強会関西は今年で10年目になる全国でも老舗の勉強会だと思います。それからアプリ開発の他 奈良県の橿原市にある“奈良芸術短期大学”というところで非常勤講師もさせて頂いております。

Q2.肩書きがスゴい! どうして今、コミックソング『金太の大冒険』をアプリにしようと思ったんですか?

作詞作曲者のつボイノリオさんとは20数年前から顔見知りでして、当然この金太の大冒険も含めてつボイノリオさんの楽曲はiPod、iPhoneの中にずーっと入っていたんです。ある日ふと“自分はゲーム作れるんだし金太の大冒険のゲーム作ってみるかな?”思ったんですね。ネットで検索してみるとたくさんの動画がアップされていて、カラオケでも歌われていて認知されているようだし、“これはそれなりにいけるかも!”と思ったもので作ってみようと思いました。

Q3.なんとお知り合いとは! 製作期間はどれぐらいでしょうか?苦労した点は?

作者のつボイノリオさんに許可頂いて作り出したのは2012年の年末くらいだったんですが、それから色々と仕事が立て込んでたこともあったり、歌にストーリーがあるのでそれに沿ったゲームにしようか考えながらやってたので遅々として進まず、今のゲームの形になったのは2013年の夏ごろでした。そうしているとiOS7がリリースされて“SpriteKit”というゲーム用のフレームワークが出てきたもんでもう一度最初からSpriteKitで作り直しました。で審査に出したのが2014年の7月ですからリリースまでの期間は約1年半というところですが、実質的な開発期間は半年くらいでしょうか。苦労した点はゲームの企画立案と楽曲使用の契約ですね。

Q3.ここは見て欲しい! ここがアピールポイントだってところは?

まずはイベントをクリアするとゲットできる“お姫様のボイス”です。ボイス獲得は特に難しいイベントをクリアする必要は無くストーリーに沿ってプレイしていくと自然と獲得できます。ゲーム自体もそれなりに謎解きありのアクションゲームになってますので曲を知らない人でも楽しんでもらえると思います。それから1度クリアしてからの2周目で違ったパターンのお姫様ボイスをゲットできるようになってますが、このためにアップルの審査で指摘されてレーティングが“まれ/軽度な過激な言葉遣いまたは下品なユーモア”になっています。逆にそこまで日本語を理解しているアップルのレビュワーに胸熱です。

Q4.アップルさん、意外に日本通! リリース後の反響はいかがでしょうか?

“よくぞゲームにしてくれた!”ということでつボイノリオさんのファンの方々には好評頂いているようです。いくつかのレビューサイトにも取り上げて頂けまして、リリース後しばらくはそこそこダウンロード数があったんですが、それ以降は右肩下がりというか先細ってます。

Q5.まだまだ知らない人が多いかも! ところで“JASRAC”ってなんだか大変そうなんですが、どのような感じでしょうか?

大変でしたね。なにが大変だったかというと“音楽業界の利権の複雑さ”ですね。手続きの流れを大まかにいうと、権利者への許可申請と契約をしてその契約をもってJASRACと配信契約を結ぶという流れになります。作者のつボイノリオさんに直接許可もらってるから楽勝だと思ってたらそうではなくて、この“権利者”というのは作者のつボイノリオさんではなく、とある出版社が権利者になってるんですよ。多分個人的な想像ですがつボイノリオさんはこの出版社に楽曲の管理を委託されていてそこから印税なりが支払われているのだと思います。で、その権利者である出版社と契約の話をするわけですが、その出版社はさらに他の会社に管理を委託してるようでその話はまた別の会社を通してやらないといけなかったのです。これは各権利会社によると思うんですが、最終的には作者であるつボイノリオさんがOKを出すので、ご本人に直接OKもらってるから問題無いのは分かってるんですがその権利委託の複雑さに苦労しました。それからJASRACとの配信契約の際も音楽を使用するのだから“音楽の配信”ということで手続きをしていたらゲームの場合は“動画の配信”になると言われて途中で手続きをやり直しました。

Q6.大人の世界はムズカシイですね! ちなみにJASRACさんにいくら払っているのか聞いてもいいですか?

支払うお金は2段階になってまして、まず“楽曲使用料”というのを払います。これはまぁ頭金みたいなもんですね。最初にまとまったお金を権利者に払うんです。これは決まった金額があるわけではなくて権利者の言い値だそうでどれだけ要求されるのかビクビクしてたんですが、想像してたよりも安かったです。金額はちょっと差し控えさせてもらいますが、後からつボイノリオさんに聞いたんですが出版社の方に“安くしてあげてね”と言ってくれてたみたいです。それから“1ダウンロードにつき決まった金額”をJASRACに年4回にわけて支払います。これはJASRACのサイトにも書いてあるので言いますが、広告付き無料アプリだと1ダウンロードにつき5.3円支払います。ちなみに有料アプリだと1ダウンロード6.2円だそうです。つまりダウンロード単価が5.3円以下だと赤字が蓄積されていくてことになります。恐ろしいですね。

Q7.ダウンロードされる度に赤字の可能性が!? Android版の予定はありますか?

今のところ考えてないです。契約では“iPhoneアプリで日本のみ配信”ということでやっているのでたぶんAndroidで出そうと思ったらまた別の契約がいるんじゃないかと思います。でも何となくつボイノリオさんのファンの方々って多分Androidユーザーの方が多いんじゃないかって思ってるんです。

Q8.とても勉強になりました! 最後に何かひとこと、お願いします!

『金太の大冒険』をダウンロードして遊んでくださっている皆様、どうもありがとうございます。生々しい話で恐縮ですが、1ダウンロードにつきJASRACに5.3円支払わないといけないという大人の事情があります。なんとなくわかります? そういうことなんでよろしくお願いします。

このアプリの記事を書くにあたって、初めて『金太の大冒険』の曲を聞いたんですが、なんとも下品だけどとても面白い曲で、この記事を書いている途中、ずっと口ずさんでいました。その歌詞、世界観を、本当にうまくゲーム化したなーと、感動すら覚えます。曲を知らない人でもゲームとして十分楽しめるように仕上がっておりますので、皆さんダウンロードして開発者さんの赤字を増やドンドン増やしましょう!?

■あぷまがどっとねっと
(あぷまが)

「すべてのアプリにチャンスを!」との思いから、藤田武男氏が個人開発者が開発したアプリを中心に紹介している情報サイト。ほかでは見つからない“お宝アプリ”が“あぷまが”なら見つかるかも! ちなみにイラストは、あぷまがのマスコットキャラ、アイロニー。


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金太の大冒険

メーカー
STUDIO SHIN
配信日
配信中
価格
無料(アイテム課金制)
対応機種
iPhone、iPod touch、iPad、iOS7.1以上

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