セガネットワークスのマーケティング支援ツール“Noah Pass”の新たな戦略とは?
2014-09-25 22:03 投稿
セガネットワークスが実施予定の新サービス&アプリを発表
セガのスマートデバイス向け事業を手掛けるグループ企業、セガネットワークスは、2014年9月25日に東京・恵比寿にて“メディアカンファレンス 2014 Autumn”と題して同社の事業戦略や新サービスの紹介、アプリの新作&新情報の発表を行った。
本記事では、事業戦略や新サービスについての発表があった第1部の内容をお届けする。
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※期待作続々! セガネットワークスの新作発表会まとめ
第1部 事業戦略発表会
始めに、本カンファレンスの骨子をまとめておく。
①セガネットワークスが手掛けるマーケティング支援サービス“Noah Pass”の有用性を解説。 ②“Noah Pass”の今後のサービスを4つ発表。キーワードを挙げるなら ・Amazonコイン ・クラウドファンディング ・復帰ユーザー ・ユーザーの実態 となる。 |
では、さっそく流れを追っていこう。
Noah Passとは?
まず、セガネットワークスの代表取締役社長 CEOである里見治紀氏が登壇し、同社の概要を説明。
現在の好況を示す数字として、従業員数は2012年7月の会社設立時は230人であったが、2年後の2014年8月には倍以上の530人まで増員。
さらに四半期売上も10億円強で推移していたのが、2014年に入って急成長を遂げ、2015年第2四半期では110億円にもなるとの見通しが立てられているとのこと。
そんな同社を支えているのが、『チェインクロニクル ~絆の新大陸~』などを始めとした多数の優良コンテンツと、マーケティング支援サービス“Noah Pass(ノアパス)”の2本の柱なのだという。
コンテンツに関しては、国内では『チェインクロニクル ~絆の新大陸~』のほかにも『サカつくシュート!』などが好調で、このメディアカンファレンスの第2部でも、多くの新作が発表されている。
ちなみに、欧米では『ソニック』シリーズや『Crazy Taxi』などが人気を博しているようだ。
一方、同社が新しい取り組みとして進めている“Noah Pass”も、デベロッパー間で注目を集めている。“Noah Pass”とは、企業やゲームを超えて各タイトル間で広告を提供するシステムのこと。
具体的には、“Noah Pass”に参加しているタイトルを、各タイトル内でユーザーに相互紹介の形でゲーム内アイテムの付与などの特典をつけて勧め、新たなユーザーを増やしていくという手法を取っている。
同様のサービスはこれまでにも存在したが、“Noah Pass”の特徴は各コンテンツプロバイダーが無料で参加できるという点。
さらに、参加したタイトルの広告効果はアドネットワークの約3倍、さらにゲームの継続率も約3倍になっているという調査結果も出ており、この1年で参加社数、アプリ数ともに大幅に増やすことになった(下写真参照)。
里見氏は今後の目標として、ゲームに限らず他業界、他メディアとの連携を“Noah Pass”を使って深めていきたいと語っていた。
Noah Passの新たなる戦略
続いて、ステージにはセガネットワークス上席執行役員 事業本部長の岩城 農氏が登壇し、同社が今秋より展開する新たな4つのサービスについて説明を行った。
そもそも、新サービスを展開するきっかけとなった“Noah Pass”の出発点は、“開発スタッフが本業に集中できる環境作り”のために考えられたもの。その中で、
①無料であること
無償参加でき、手数料もない
②効果的であること
集客単価を低減できる、継続率・課金率を向上させる、その他サービスの利用が可能
③オープンであること
戦略の制約がなく、タイトル単位での参加が可能、自社IDの取得もプラットフォームとの連結も規制していない
という3つのコンセプトが掲げられた。
その結果、参加企業にはコスト削減や人的資源などの制約がある程度解消されるというメリットがもたらされることとなり、そのことでより多くの良質なコンテンツの提供、さらに新たなユーザーの獲得……という好循環へつながっていったという。
この一連の成功を受け、セガネットワークスでは、“Noah Pass”の仕組みをゲーム以外の異業種にも広げてさらなる可能性を求めることとなった。
そのひとつが、Amazonアンドロイドアプリストアとの協業である。
具体的には、ゲーム内アイテムの購入金額に応じてAmazonコインなどのプレゼントを行うもので、2014年10月初旬より順次展開を予定しているとのこと。
この日ゲストとして登壇したアマゾン ジャパンの岡崎氏は、「ゲームをより深く楽しんでもらうことで、Amazonコインの認知にもつなげたい」と、セガネットワークスとの協業への期待を語っていた。
続いて、フジテレビジョン、goopaとの協業で“Crowdrive(クラウドライブ)”という新サービスを開始する。ひと言で言うなら、ゲームクリエイター、ゲームファン、メーカーなどをつなぐシステムのことだ。
こちらの詳しい内容については、先にまとめた記事を参照していただきたい。
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※セガネットワークスとフジテレビ、クラウドファンディング事業に参入
岩城氏が語る3つ目の取り組みは、“リターゲティング広告の改良”。
新しいコンテンツの平均的な翌日継続率は50%、さらにこれが30日後になると10~20%に下がってしまうという。
しかし、インセンティブを付けるなどしてゲームに復帰してくれたユーザーについては、7日後継続率で約30%という高い数字を叩き出している。
つまり、より高い継続率を求めるには、一度ゲームを離れたユーザーにも着目するべきだということなのだ。そこで、Facebookを始めとした外部アドネットワークを活用し、そういった人々を呼び戻す戦略を今冬より順次展開していくとのこと。
そして最後に発表された取り組みは、“情報の共通言語化”というもの。
これはどういうものかというと、現在、マーケティングを行うための指標となるデータは溢れかえっており、見かたひとつでその形も大きく変わってしまう。
それでは、他社との協業などとても実現できない。そこで、ひとつの基準でデータを抽出することで、同じ視点で対話を行うことが可能となり、より情報も有効に活用できる……という考えから生まれた取り組みなのだ。
具体的なサービス内容としては“『スマホゲームユーザー解体新書』の刊行”、そして“タイプ分類アルゴリズムの外部提供開始”の2点。
岩城氏はとくに後者について、「ユーザーの個人情報に触れることなく“タイプ分類”のデータのみを解析するものなので、少ないリスクでより精度の高い情報を得られる」と強調していた。
いまなお成長を続けるスマホゲーム業界であるが、成長途中であるゆえにあらゆる部分において明確な基準がなく、各メーカーが独自の理論で行動している状態が続いている。
セガネットワークスが今回発表した新サービスや“Noah Pass”は、統一された規格を作り出すことで、そんな状況に一石を投じることになるのではないだろうか。
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