元スクエニやカプコンのメンバーが新設した気鋭の開発集団オリフラムを直撃

2014-09-08 20:24 投稿

「作りたいゲームを作る」

全世界で大ヒットを記録したディー・エヌ・エーの内製ゲーム『Blood Brothers(ブラッドブラザーズ)』。そのプロデューサーを務めた池田隆児氏をはじめ、元スクウェア・エニックスやカプコンで数々の名作を作り上げてきたスタッフたちが集結した!

代表の池田氏が言う「作りたいゲームを作る」ために新設したオリフラムとは、いったいどんな会社なのか。現在開発中のスマートフォン用ゲーム『カオスセンチュリオン』とあわせて話を聞いた。

オリフラム代表取締役
池田 隆児
スクウェア・エニックスで『キングダム ハーツ』シリーズや『ディシディア ファイナルファンタジー』シリーズにプログラマーとして参加。その後、ディー・エヌ・エーに移籍し『Blood Brothers(ブラッドブラザーズ)』やその続編の立ち上げの中心として携わる。自身が「やりたいこと」のためオリフラムを設立。
オリフラム取締役
岩尾 賢一
カプコンで『バイオハザード』などを手掛けた後、スクウェア・エニックスに移籍。『パラサイト・イヴ2』や『アインハンダー』、『ファイナルファンタジーXI』シリーズなどを制作。ディー・エヌ・エーへ移籍後は、池田氏と『ブラッドブラザーズ』、吉川氏と『夕暮れのバルキリーズ』を制作した。池田氏と並びオリフラム設立の中心メンバー。
オリフラムデザイナー
吉川 達哉
カプコン在籍時代は、『ブレス オブ ファイア』シリーズの全デザインを担当。『デビル メイ クライ 4』や『ラストランカー』にも関わる。その後はフリーランスになり、ディー・エヌ・エーの『夕暮れのバルキリーズ』や『ダンジョンポッパー』に参加。じつは可愛い系の絵が好きなんだとか。

オリフラムでは、上記メンバーのほかにも、『キングダム ハーツ』シリーズのメインプログラマーや3Dデザイナー、『ディシディアファイナルファンタジー』シリーズでバトルプログラミングを担当していた人物など、実績あるスタッフが7名で開発を行っている。

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海外をターゲットに

──まずは会社設立のきっかけを教えてください。

池田 以前からやりたいことがたくさんあって、ディー・エヌ・エーを退社したのですが、その中のひとつがいま制作している『カオスセンチュリオン』の開発だったんです。ただ、これはひとりでは絶対にできなかったので、企画書だけ作っていたんですね。そんな折、ご縁やタイミングがあって、いまのメンバーが集まったんです。そのときに、これだけのメンバーがいれば「やりたいことが実現できる」と。それでスタートしました。

──それはディー・エヌ・エーではできなかった?

池田 できなくはなかったのですが、自分の欲が強すぎて迷惑がかかってしまうと思いましたね。ならば、自分でやってみようと。

──なるほど。それだけのタイトル『カオスセンチュリオン』とはどんなゲームなのでしょうか?

岩尾 フリーミアムなリアルタイムストラテジー(RTS)です。いろいろな兵科を使いながら戦闘をくり広げ、領地を拡大していくことが目的となります。

──スマホでRTSとは珍しいですね。着想はどこから生まれたのでしょう?

岩尾 ミニチュアゲームってご存じでしょうか。『ウォーハンマー』が有名ですが、ユニットとなるコマを動かして戦う卓上の戦略ゲームです。あの、おもちゃを動かして楽しむ、このおもちゃどうしを戦わせたらどうなるんだろう、という魅力をコンピューターゲームで再現したかったんです。また私自身RTSが大好きでして、『エイジ オブ エンパイア』、『コサックス』、『ウォーロード』、『カンパニー オブ ヒーローズ』など、有名どころはすべて遊んだぐらいです。いかにスマートフォンでその魅力を引き出せるか、再構築できるかがキーポイントかなとも思っています。

▲ロボットを題材にした戦略的なバトルが展開する。

──デザインがすごく“コア”ですよね。言いかたがあっているかはわかりませんが“洋ゲー”っぽいというか。

岩尾 ええ、『ブラッドブラザーズ』が33ヵ国で1位になったという結果も残せたので、まずは海外をターゲットに据えています。ミニチュアゲームやRTSを取り入れたことも、その理由のひとつですね。

──なぜ海外をターゲットに?

岩尾 ユーザーは世界中にいますし、自分たちが作った物をより多くの人に遊んでもらいたい。過去に携わった作品が海外でもヒットしたときの感覚を自分なりにつかめているところがあるので、もう一度チャレンジしてみたいなと。

──自信があると。

岩尾 まぁ、そうですかね(笑)。日本向けに作ってヒットしたものを海外でも出すというのが一般的な王道の戦略なのですが、逆に全世界向けに作ってみて、結果として日本でも受け入れてもらえる……そうした作品がもう一度作れたらいいなぁと思っています。

圧巻のバトルシーン

──このトレーラームービーで流れているのはバトルシーンですか?

▲ひっそりと公開されたトレーラームービーは、いまや再生回数4万を超えるほど注目されている。

岩尾 はい。このバトル画面以外に、いわゆる戦略マップ画面があります。そこで敵の軍団と遭遇したり、敵拠点に攻め込んだりすると、バトルシーンになるわけです。戦闘はただ見ているだけでもよいのですが、前進や後退などの移動指示や、味方を守ったり砲撃目標を指定したりといった兵種ごとに用意されたコマンドを使用することで、勝機を積極的に掴むことができます。

▲両軍対峙。このような遭遇戦のほか、拠点を攻める攻城戦、逆に拠点を守る防衛戦があるそうだ。

──複数のユニットが入り乱れていますが、軍団は自分で編成できるのですか?

岩尾 攻城戦なら砲撃や施設破壊が得意なユニットを、採掘が目的であれば掘削や運搬の得意なユニットを中心に、という感じで自由に編成できます。さらに、“アタッチ”というユニットどうしの組み合わせが重要になってきます。たとえば装甲車に兵隊を載せると兵員輸送車として、大砲を載せると自走砲として運用できる……といった感じです。

▲ユニットを組み合わせる“アタッチ”システムがキー。四足歩行の巨大メカが攻城兵器で、その上に兵隊が乗っているのがわかるだろうか。

──プレイ人数については?

岩尾 非同期型のマルチプレイですね。普段はシングルプレイっぽく遊ぶ形になりますが、戦う相手がほかのプレイヤーがセットした敵である可能性も高く、してやったり感はたっぷり感じていただけます。

描き込まれたロボット

──ユニットの描き込みが、もはやスマホゲームの領域を超えていますよ。

岩尾 説得力のあるディテールがミニチュアゲームの魅力ですからね。そのクオリティを出すことも重要な要素のひとつだと考えています。あとユーモラスといいますか、ややディフォルメされた格好よさも狙っています。

吉川 デザインする際は、情報が濃縮されていて手に取ってみたいと思っていただけるよう意識しています。また、デフォルメはしていてもリベットは省略しないとか、そのあたりの理屈もこだわって表現しています。

▲細部まで緻密に設定されたユニットたち。ゲーム内では「2Dながら奥行きを感じるデザイン」に仕上がっている。

──デザインで苦労されているポイントはありますか?

吉川 バトルシーンは横スクロールですが、完全に真横から見た絵だと情報量が少なくなってしまうんです。なので、表情豊かに見えるよう、微妙に角度をつけて表現しているのですが、これに苦心していますね。またコンソールで開発する場合は設定に入り込んで、この物語ならこんな服装かな、と候補をたくさん考えながら描くことが多いのですが、今回そのあたりは岩尾さんと密に相談して、方向性を絞り込むことでスピードを出しています。

▲吉川氏が描いた設定資料の一部。物語性もあるようだが、それ中心の作りにはなっていないとのこと。

──開発度やリリース時期は?

池田 本作は部隊編成、バトル、領地獲得と経営というサイクルで回りますが、バトル部分はムービーを作れるぐらいに仕上がっています。開発度を数字で表すのはちょっと難しいのですが……強いて言えば30%ぐらいでしょうか。リリース時期は今冬を予定しています。

──リリース後は、いわゆるイベント運営型にはならないわけですよね?

岩尾 そうですね。ただ、本作はユーザーの編成や戦術に黄金パターンが固まってしまうとおもしろさが半減するので、それを揺り動かすためにちょっと時代を進めることは考えています。具体的に説明すると、飛行兵器や誘導兵器など新兵器の登場によって、その対処方法や運用方法で混乱があり、発明があり……といった具合。つまり、アップデートは必要と考えています。

──課金はどのような形態に?

池田 2軸あって、ひとつはオーソドックスな時間短縮ですね。もうひとつは、ガチャに代わるソーシャル性の高い新しい仕組みを考えています。詳細はまだお話しできませんが、僕の知る限りではいままでに見たことがないものになっていると思います。

▲実機で動く様子も。その随所から、ゲーム作りのプロたちのこだわりが感じられた。

──オリフラムは、今後も海外をメインターゲットに据えて開発していくのでしょうか?

池田 現在はコンソールもモバイルデバイスもネット接続が当たり前。海外ゲームも以前より日本で遊ばれるようになってきましたし、ボーダーレスな世界になっていると思うんです。そのような状況の中で、国境もデバイスも関係なく、世界の人に愛されるゲームを作っていきたいと考えています。なので、北米向けのゲームだけを作っていく、というわけではありません。

──では、最後に読者にメッセージをお願いします。

池田 我々は投資を受け、その範囲でゲームを開発しています。作ったゲームが世に出て人気が出れば、可能性がどんどん広がっていきます。いろいろな意味でゲームを作れる力が増していくので、ぜひ読者の皆さんにも応援していただきたいです。

吉川 スマホゲームもコンソールと同様に開発期間や必要資金が増えていますが、やはりコンテンツを世に送り出せるスピードは速いです。言い換えると、それだけ皆さんに好んでもらえる作品が生まれる可能性が高いということだとも思っています。コンスタントに作品を送り出して、より多くの人に楽しんでいただけるようになりたいですね。

岩尾 モバイルゲームの今の状況は、かつてファミコンが出たときに似ていると思います。当時と同じように、他のハードにはあるけれどモバイルでは定番化していないジャンルや、独自性の強いオリジナルジャンルなどが定着する余地があると感じるのです。新しいゲームの市場、文化が形成される……その時代の開拓者に我々もなれたら嬉しいですね。

▲開発スタジオは閑静な住宅街の一軒家。ここから世界に羽ばたくゲームが生まれようとしている。

まさに“ゲーム作りのプロ”たちによるこだわりの作品『カオスセンチュリオン』。続報にも期待したい。

カオスセンチュリオン

メーカー
オリフラム
配信日
今冬予定
対応機種
iOS / Android

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