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【CEDEC 2014】エンジンも自主制作した世界のザ・ジャパンゲー『Tengami』開発秘話

2014-09-04 00:38 投稿

『Tengami』ができるまで

世界中でヒットを飛ばした和テイストの飛び出す絵本アドベンチャーゲーム『Tengami』。その制作者のひとりである、Nyamyamの東江亮氏がCEDECの舞台に登壇、『Tengami』が生まれるまでのストーリーを話してくれた。

 
▲Nyamyamゲームクリエイター、東江亮氏。

外国人が憧れる和を作る

『Tengami』を作ったNyamyamは、レア社のメンバー3人で構成されるチーム。日本人、ドイツ人、イギリス人という国境を挟んだ3人は、スカイプやドロップボックスを利用しながら開発を進めていったという。

まず飛び出した驚きの情報は、この飛び出す絵本のシステムを作成したのは、市販のゲームエンジンではなく、『Paper Kit』という自主製作のツールだったという点。『Modo』と呼ばれるグラフィックツールをベースに、飛び出す絵本専用のプラグインを開発し、そのプラグインで飛び出す絵本を作ったというのだ。Nyamyamの一面は、このツールを開発するため、ダンカン・バーミンガムという仕掛け絵本のプロに指導を受け、1年かけてそこで得たノウハウをデジタルに落とし込んだという。

▲プラグインを開発したのは、チームのひとりフィル・トセル氏。
▲こちらがダンカン・バーミンガム氏の代表作品。彼の助力なくしてはプラグインの完成はなかったかもしれない。
▲仕掛け絵本でよく使われる、パラレルフォールドという構造。世界に奥行きを持たせてくれる表現技法だ。
▲こちらが、パラレルフォールドを用いて作られた『Tengami』のステージ。一見すると複雑に見えるが、難しいことは何もしていないそうだ。
▲こちらも仕掛け絵本でよく使われるVフォールドと呼ばれる構造。このほかにも、多数の構造をプラグインに詰め込んだが、このふたつの構造以外はほとんど使われなかったそうだ。
▲こちらがVフォールドを用いて作られたステージ。こちらには、多少の工夫とテクニックが詰め込まれているそうだが、それでも驚くほど複雑という構造にはなっていないらしい。

なお、ゲーム開発当初は、今のようなアドベンチャーゲームではなく、アクションゲームであったという。そして、そのときに東江氏は、チームのメンバーに「主人公キャラクターは2頭身の忍者にしよう」と提案。

▲こちらが当初考案されていたアクションゲームのモデル。さまざまなギミックを動かしながら進む姿は『リトルビッグプラネット』彷彿とさせる。

しかし、ふたりからは「忍者が2頭身だなんて、ダメだ」と却下されたという。外国人である彼らの価値観には、和の文化への憧れからくるフィルターがかかっていたため、このほかにも日本人の感覚とはかみ合わない部分が多数あったそうだ。しかし、本来なら日本人が気づかなくてはならないようなことを、彼らによって気づかされるというケースが頻発したため、彼らの意見を尊重する方向性にシフト。これが世界で成功した要因のひとつだと考えられる。

『Tengami』は和のテイストを演出するため、絵本の素材を和紙テイストに統一しているが、開発当初は千代紙にしようという考えもあったそうだ。東江氏は、こちらのほうが色鮮やかだから外国人にも受けるだろうと考えたそうだが、これもまたチームメイトにストップをかけられたそうだ。そして、ふたりのアドバイスを受け、和紙でコンセプトアートをリテイク。これが非常に好印象であったため和紙を採用したという。この時点で、東江氏は「デザインに関しては、ぼくが選択することではない。外国人が「この世界に憧れているんだ」と言うものを作らないとダメだったので、1年間デザインをひたすら作っては捨てての繰り返しだった」と振り返っている。

▲こちらが千代紙のデザインを用いて作られたコンセプトアート。華やかさが際立っている。
 
▲こちらが和紙でリテイクされたコンセプトアート。この寂しげな雰囲気にたいして外国人は「わびさび」というものを感じたのだろうか?
▲こちらが和紙でいくと決めるに至った、いわゆる決め手になったコンセプトアート。はかなくも美しいサクラが人の心を打つ。

ちなみに、東江氏が千代紙でのコンセプトアートを良しと判断した背景には、ハッキリとした色使いを好むレア社時代の癖が影響してのこともあったとのこと。

ネーミングに関しても相当揉めたそうだ。多くは語らないが、日本には近い名前のグッズがあり、東江氏はどうしてもそれを連想してしまうため、このネーミングには「No」と訴えていたらしい。しかし、海外スタッフの「これがネーミングがクールなんだよ!」という強い説得によって採用を決定。今に至るという。

このようにして作られた『Tengami』は世界中で賞賛を受け、数々の賞にノミネート、受賞もしている。『Tengami』の幻想的で美しい世界は、外国人が思い描く日本の理想的なイメージが詰め込まれているのだということがわかった。もしかしたら、その中には日本人にとっての原風景もあるかもしれない。プレイしたことのある人は、今一度そこに焦点を当ててプレイしてみてはいかがだろうか?

▲『Tengami』の輝かしい受賞・ノミネート歴。まだプレイしたことがないという人は、これを機に遊んでみてはいかがだろうか?

Tengami

メーカー
Nyamyam
配信日
配信中
価格
500円[税込]
対応機種
iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み

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