全国から選ばれしアプリクリエイターが激突! SPAJAM2014密着取材(2日目/午後②)
2014-07-05 22:56 投稿
森下氏が考えた企画もあった!? 中間プレゼンを終えての感想
“SPAJAM2014”2日目の午後2時30分。主催者企画として、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏とコロプラの柳澤康弘氏によるパネルディスカッションが開催された。
パネルディスカッションに先駆けて、森下氏と柳澤氏は中間プレゼンの感想を語り合った。「(アプリを含めて)ゲームしか作ったことがない」という森下氏は「実用系アプリのプレゼンを聞くのはとても新鮮です」とコメント。
さらに、「発表されたアプリの中に、昔トライしてみようと思った企画に近いものがありまして」と明かした。そのアプリとは、パイレーツ・オブ・イチミヤン ~ポセイドンのめざめ~チームが手掛けている、本格めんこ体験ゲーム“バトルめんこ”(※詳細はこちらの記事より)。
子どものころ、めんこでかなり遊んだという森下氏は、「どうやってめんこを体験させるのか。実際にスマートフォン本体を振るのかどうかなどに着目して審査したいと思います。あとは、ジャック・スパロウがどんなプレゼンを行うのか、期待しています(笑)」と、審査ポイントを語った。
一方、柳澤氏は朝風呂ブラザーズチームが制作しているアプリに注目(※詳細はこちらの記事より)。「海外の人の助けになるし、クイズとしても楽しめるのは、エンターテインメントととしておもしろいなと思いました」とコメントしたうえで、「投稿した写真に対していろいろなコメントが送られていると、思ってもみなかったことが起こりそうですよね」と期待を寄せていた。
パネルディスカッションでわかったガンホーとコロプラの共通点&相違点
今回行われた森下氏と柳澤氏のパネルディスカッションのテーマは下記の4つ。
“パネルディスカッションのテーマ”
①1タイトルの開発期間はどれくらいか?
②ゲームの企画は、誰がどうやって作っているのか?
③企画・仕様をどれくらい作り込んでから開発に着手するのか?
④人を採用するとき、何を重視しているのか? どういう人を採用したいか?
ここからは各テーマの中から、とくに印象的なエピソードを紹介しよう。
①1タイトルの開発期間はどれくらいか?
森下氏によると、ガンホーでは明確な開発期間を決めていないという。「スマートフォン向けの短いもので言うと5ヵ月から6ヵ月くらい。コンソールゲーム機の長いものになると、2年半から3年とか。別のメーカーさんといっしょに開発したタイトルの中には、3年半というものもあります」(森下氏)。
コロプラの場合は、「『魔法使いと黒猫のウィズ』などのオンラインアプリは半年から1年くらい。ライトなタイトルは少人数で3週間とか。長くても1ヵ月くらいで完成させます」(柳澤氏)と、ガンホーよりも開発期間は短いようだ。
また、森下氏は自分たちが納得したものをリリースするために、バランスのチューニングや、UIの最適化などのブラッシュアップにかなりを力を入れているそうで、ギリギリまで調整を行うことも。「サービスリリースの2週間前にUIを変えたときは、デザイナーにめちゃくちゃ怒られました(苦笑)」と驚きの開発スケジュールを教えてくれた。
これに対して、「コロプラも近いところがあります」と柳澤氏。「リリース直前までいったのに、ゲーム性をガラリと変えたことがあります。たとえば、『蒼の三国志』というゲームは、最初にスロットの要素がありましたが、もっとおもしろくできると思い、軍勢RPGという形になりました」とエピソードを語った。
②ゲームの企画は、誰がどうやって作っているのか?
森下氏が企画のコンセプトをほとんど作るというガンホー。コンセプトを作った後は、森下氏が「できそうだったり、共感してくれそうな社員に話しかけて、少人数で企画を練っていく」そうだ。そのため、いろいろな社員に声をかけやすいように“部”や“課”をなくして、フラットな環境で開発ができるようにしているという。
職場環境がフラットなのは、コロプラも同じ様子。森下さんの話を聞いた柳澤氏は、「馬場(馬場功淳氏。コロプラの代表取締役社長)はタイトルを直接見ているので、とくにリリース直前になると、馬場の隣りで作業をすることになります」と返していた。
また、柳澤氏によると、コロプラの企画は「社長の馬場氏がコンセプトを出したり、ターゲットを決めて進めたりする」とのこと。「最初は少人数のチームから始まって、最終的には役柄に関係なくアイデアを出し合って企画を作っています」(柳澤氏)。
③企画・仕様をどれくらい作り込んでから開発に着手するのか?
企画がスタートするときは、「頭の中でゲームがどのように動くのか、完全にシミュレーションできているかどうかを重要視している」という森下氏。頭の中にビジュアルが完全にできあがり、説明ができるようになってからプロトタイプの開発がスタートするそうだ。
なお、企画書はペラ1枚程度にまとめることが多く、仕様書は作らせることもあれば、作らせないこともあるのだとか。「その判断はどうやってしているんですか」と柳澤氏に聞かれた森下氏は、「ディレクターのタイプで。仕様書を作っても意味がないなってタイプには作らせませんし、作ったほうがいいタイプには作らせています」と回答していた。
一方、コロプラはアプリやゲームの手触りを重要視していて、実際に動くものを早い時期に開発するそうだ。「たとえばクイズゲームなら、いかに答えを選びやすくするかとか、くり返しくり返し開発して、ゲームとして必要な要素を加えるようにしています」(柳澤氏)。
④人を採用するとき、何を重視しているのか? どういう人を採用したいか?
参加者から寄せられたテーマに、「ひと癖、ふた癖ある人。なんか変なやつだけど、おもしろそうだなっていうところを見ています」と答えた森下氏。いまのところ気になるプログラマーは、チームMizukiの五十嵐太清くん。「彼からはいいプログラマーだなという匂いがしてくる(笑)」そうだ。
ちなみに、五十嵐くんは話題になっていたときに席を外しており、森下氏が話している途中に帰ってくるというミラクルを起こす。森下氏はそんな彼を見ながら、「飄々と帰ってくるところもたまらない。かなり惹かれます」とコメントしていた。
そんな森下氏に対して、柳澤氏は「弊社が求めているのは、前提としてチームプレイができる人。そして、ゲームが好きで、素直な性格の人です。自身を持ってリリースしたタイトルが売れなかったとき、結果を素直に認められることが大事だと思います」と語っていた。
ふたりの好きなゲームは!? ~ディスカッションこぼれ話~
パネルディスカッションでは、森下氏と柳澤氏が好きなゲームで盛り上がり、司会の女性陣をおいてけぼりにする一幕も。森下氏にどんなゲームをプレイするのか聞かれた柳澤氏は、「海外ゲームが好き」と回答。『World of Tanks』や『EVE Online』で遊んでいるそうだ。
一方、『Watch Dogs』をプレイしているという森下氏は、「オンラインでほかのユーザーにハッキングできるんですが、めちゃくちゃドキドキするんですよ」と、本作のオンライン要素を絶賛していた。
そして、話は『Watch Dogs』を手掛けるユービーアイソフトの『アサシンクリード』へ。柳澤氏が『アサシンクリード』を大好きなタイトルとして上げると、森下氏も同調。細かなシチュエーションを挙げては盛り上がっていた。こうして、1時間にもおよぶパネルディスカッションは終了。参加者たちは熱心にふたりのトークに耳を傾けていた。
さてその後、この原稿まとめている午後8時半ごろ、審査員のひとりであるサミーネットワークスの佐々木昭祐氏が本会場へ。「皆さんの頭に、いっぱい詰まっているであろうものを持ってきました」と、アンのたっぷり入ったたい焼きを持参。気の利いたこの甘い差し入れは、参加者たちの疲れた頭を癒してくれたことだろう。
さらに時間が経過し、現在は午後11時近く。プレゼン資料提出期限の明朝8時まで、残すところあと9時間とちょっととなった。
なにやら話し合っているチーム、黙々と各自が作業をするチーム、会場に一部のメンバーしかいないチームなど、じつにさまざま。いずれにせよ、そろそろラストスパートの時間に入る。明朝9時からのプレゼンに、万全の態勢で挑めるチームやいかに。
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