【新作】幻想世界の視覚トリック『Monument Valley』おもしろすぎて一気にクリアーしてしまった

ランキング急上昇の秘密に迫る

いま、とあるアプリが、App Storeの有料ランキングをものすごいスピードで駆け上がってきている。その名も『Monument Valley』。リリースされてまだ間もないにも関わらず、カテゴリ総合で有料10位、ゲームカテゴリでは有料7位を獲得しているのだ。ここまで人を惹きつける『Monument Valley』とはいったいどのようなゲームで、どのような魅力があるのだろうか？

不思議な世界で味わえる快感と安寧

本作を開発したメーカーは、ロンドンに籍を構えるustwo。これまでに自身でパブリッシングまでしたタイトルに目立ったヒット作はないが、H&MのアプリやSonyのメディアプレイヤーアプリなどを手がけた経験を持つ、実力のある会社だ。

そんなustwoが開発した『Monument Valley』だが、本作を簡単に説明してしまうと、視覚トリックを使ったパズルゲーム。これまで、視覚トリックを使った作品には『無限回廊』や『FEZ』などが存在するが、本作とはこれらとはまた一風違ったテイストをかもし出している。

落ち着いた、淡い色合いで彩られた世界には、整然とした幾何学的な構造物が散在している。主人公の女の子は、その世界を歩きゴールを目指すのだ。構造物は、一見するとハチャメチャな作りとなっているが、じつはこれはプレイヤーの視点を変えることで立派な建造物になるように設計されている。

また、構造物の一部はプレイヤー自身の手によって動かせるものもあり、これによってステージがドンドン変化していく。視点の移動とステージの変化を続けていくと、終いには最初からは想像もできないような変貌を遂げるステージもある。

視点を変えてルートを創出

この”視点を変えて紐解いていくパズル”の楽しいのなんの！　ゲームオーバーがないからトライ＆エラーはしたい放題で、難しいパズルも、ステージをよく見れば絶対にクリアーできるようになっている。そしてなによりも、道がカッチリと繋がったときのあの快感！　「ここかあああああああ！　この角度だったかああああああああ!!!!」と脳内がめちゃくちゃスッキリするのだ。

パズルゲームで難問を解いたときに「あぁ、なるほどね」となることはあっても、脳内で叫んだり、それが思わず声に出てしまうということはまずない。それが、本作にはあるのだ。めちゃくちゃ気持ちいい！

本作は、ただ気持ちいいだけのゲームじゃない。パズルが解けたときの興奮を静かにしずめてくれる、幻想的な世界観＆ストーリーも注目すべき点。主人公の女の子がトコトコと歩く世界は、幾何学的な構造物にあふれているが、トゲトゲしい印象は受けない。むしろその逆。どこかオモチャの世界や絵本の中の世界を彷彿とさせる、温かみのある空間になっているのだ。

女の子の行く先をさえぎってくる、まぁいわゆる敵のような存在も愛らしい。この美しく幻想的な世界をボーッと見ているだけでも、飽きがこない。むしろ、そこからいろいろな想像・妄想を膨らませて楽しい世界に浸ることだって出来てしまう。

この興奮と沈静を絶妙なバランスで演出してくれる作品『Monumet Valley』は、ぜひとも多くのプレイヤーに遊んでみてもらいたい作品のひとつだ。日常に刺激が足りていないと感じる人にはほどよい刺激を、ちょっと心を落ち着かせたいという人には穏やかな時間を与えてくれることだろう。

相反するふたつの顔をこんなにも自然に感じられるゲームはまたとない。急いでプレイをしなくてもいい。ただiPhoneに入れておいて、少し刺激が欲しい、少し落ち着きたいというときにちょっとプレイするくらいでも、きっと素晴らしい経験ができるはずだ。