【注目レビュー】デス・スターの中は生活臭たっぷり!『Star Wars: Tiny Death Star』

2014-03-11 11:00 投稿

観ずに死ねるか!『エピソード7』

仕事に疲れた、人間関係がうまくいかない、金もない。いっそのこと消え去りたい……。人生投げ出すのはまだ早い。あと1年だけ踏み留まろう。来年夏には『スター・ウォーズ エピソード7』が公開されるのだから!

しかも監督はエミー賞を受賞した『LOST』をはじめ、映画では惨敗が続いた『スター・トレック』シリーズを新たなる次元へとリブートさせた、実績ありまくりの、J・J・エイブラハム。もしかしたら、監督を架け橋として、歩み寄ることがないと思われていたスター・ウォーズ・ファンとトレッキーが奇跡の邂逅を果たすかもしれない。

映画の内容も勿論だが、スクリーン外の妄想も広がりまくる、映画史に残るであろう一大イベントを見逃すなんて、死んでも死にきれない。すでにカウントダウンを始めてしまうほどヒートアップする映画ファンとしての気持ちと、日々のストレスにささくれ立つ心を優しく癒してくれるのが、この『Star Wars: Tiny Death Star』だ。

▲ファミコン風のドット絵に、牧歌的なアレンジのBGM。優しげな雰囲気がシックリくる、お手軽&放置系のシミュレーションゲーム。

ベースとなっているのは放置系ビル建設シミュレーションの名作『Tiny Tower』。人を住まわせ、店舗を積み上げ、働かせ、人々が店舗で使った金を貯め、更にビルを高くしていくというもの。極めてシンプルなルールのうえ、店舗の商品をストックていたら放っておいてもバックグラウンドで人々は働き続け、時間を置いて起動すると、ある程度のお金が貯まっているという手軽さもウリだ。

▲ダーク・シディアスは「ジャーン!」なんて言わない! なんてツッコミは野暮。『スター・ウォーズ』の昨今のトレンドは、絵本『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』に代表されるように、コミカルなもの(なのかもしれない)。

だが、”シンプル”ということは、ともすると”すぐ飽きる”ということと同意語となってしまう。そんな危険を払拭してくれるのが『スター・ウォーズ』ならではの完成された世界観。ただのビルがデス・スターになり、市井の人々が映画の登場人物に変わると、箱庭世界の深度が一気に増してゆく。

▲お客さんが来るだけでアガる、ボバ・フェットのような有名キャラはもちろん、マニアでも見落としているようなマイナーキャラも続々登場。

ゲームで深まる原作への理解

映画のなかでは無味乾燥な軍事惑星として描かれていたデス・スターだが、本作ではそこに生きている人々の息使いが聞こえてくる。勤勉に働き、SNSで日々の思いを発信し、夢も持っている。ゲームをやればやるほど、正義という大義名分だけで、人工とはいえ惑星ひとつをふっ飛ばしてしまったルーク・スカイウォーカーの行為は、世界の警察を気取っていた少し前までのアメリカの姿とダブってしまう。

視点を変えれば正義も変わる。帝国軍の一員としてデス・スターの建設に携わりながら、逆の視点での『スター・ウォーズ』シリーズを想像するのも一興だ。

▲キャッシークはチューバッカでおなじみのウーキー族の故郷。ゲームに登場する固有名詞はすべて原作に則しているので、いちいちググるのも楽しい。
▲メイン画面の右下の”メニュー”内の”ホロネット”では、デス・スターの住人たちの生の声を楽しめる。
▲住人たちは店舗ジャンルの”食べ物”、”サービス”、”娯楽”、”小売”、それぞれの適性が数値化されている。”夢の仕事”に就かせると生産効率がアップする。

デス・スターはこうでなきゃ

いくら『スター・ウォーズ』のキャラクターが生活する場所とはいえ、住居と商業施設だけではデス・スターとはいえないし、何かが足りない。そう、軍事施設だ。心配御無用! “到着”ホールから下の階は帝国軍の施設となり、上層とは異なるルールで、悪役らしい軍事活動が展開される。

そこではパルパティーンことシス卿ダーク・シディアスの命のもと、ダース・ヴェイダーが最終兵器建設に向けた”帝国の任務”を達成するための”ミッション”を発布。商業活動はないが、ヴェイダー卿に指示されたアイテムを組み立てると、それに応じたゲーム内通貨が一気に獲得できる。

デス・スターを効率よく巨大化させるには、到着ホールを挟んだ上層と下層をバランスよく建て増していくことが重要となる。

▲地下階層こそデス・スターの心臓部。とはいえ、商業活動である程度の金を稼がないと武器も作れない。富国強兵の礎はあくまで住人たちの生活の上に成り立っているのだ。
▲ミッションをクリアーしたら、ヴェイダー卿から軽口を承る栄誉に預かれる。締めるところはフォースの暗黒面で締め、目標を達成するとともに喜ぶ。理想の上司だ。
▲3月1日のアップデートで追加された”サルベージドロイド”。運がよければレアアイテムを入手できる。レアじゃなくても物資は多いに越したことはないので、積極的に活用したい。

ゲーム中、到着ホールを訪れた来客を、指示された階に移動させるとチップがもらえる。その際、時折現れる”VIP”はマジ、インポータント。店舗の売上をアップさせる”セレブ”や、まとめ買いをしてくれる”浪費家”のほか、地下階層の帝国施設のアイテムを一気に完成させる”補給担当将校”も登場する。

▲来客のなかには”?”を表示するものも登場する。原作と関連のある施設に誘導するとチップを多く獲得できるのだが、大した額じゃないので、あまり気にしなくてもいいだろう。
▲VIPは到着ホールに5人までセーブできる。貯めててもあまり意味がないので積極的に使っていったほうがいい。

無料ゲームゆえの悲しい宿命

『スター・ウォーズ』マニアだけでなく、タイトルしか知らないような人でも楽しめる良作ではあるのだか、ひとつ気になることがある。無料ゲームの宿命ともいえる課金だ。

ゲーム内通貨には、商業活動やミッションで得られる”クレジット”と、特種な条件下でしか獲得できない”帝国ドル”がある。”クレジット”は問題ない。”帝国ドル”の獲得率が恐ろしく低いのだ。ほとんど1ドル単位でしか獲得できないので、ゲームの進行を大きく作用する、エレベーターの速度を上げるためのグレードをワンランク上げるだけで、恐ろしく時間がかかってしまう。プレイヤーが我慢すればいいだけのこととはいえ、何だか釈然としない。

▲不倶戴天の敵。ルーク・スカイウォーカーを見つけても、獲得できる帝国ドルはたったの1ドル! 名前も知らないようなキャラクターを見つけても1ドル。この辺は差別化を図ってほしかった。
▲すべてのキャラクターは”ストア”でアンロックできるが、超メジャーなヨーダでさえ131帝国ドル。マニアどころか一見さんの足元も見ている感じがしてしまう……。

とはいえ、一歩進むごとに体力が減り、すぐにプレイできなくなるソーシャルゲームほどガメつい印象はない。可愛らしくデフォルメされたキャラクターたちのアニメーションをボンヤリ眺めているだでも結構楽しい。末永く付き合う覚悟があるのならオススメ!

Star Wars: Tiny Death Star

メーカー
Lucasfilm International Services Inc.
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS6.0以降。iPhone 4、iPhone 4S、iPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5S、およびiPad対応。iPhone5用に最適化済み。Android 2.3.3以上

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