荒削り! でも間違いなく光ってる! 『勇者アレン』に触ってみて!
2013-10-07 12:07 投稿
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じつは配信前からプレイするのを楽しみにしていて、かつ実際に配信されたらまんまと好みのゲームだったので、隙を見つけてはコツコツコソコソと楽しんでいるアプリがある。gumiが配信するRPG『竜王と勇者アレン ~世界樹の秘宝~』がソレで、1日1回は必ずログインしてダンジョンをチェックし、パーティーを編成して出撃している。これが、しみじみと楽しい。
俺が『勇者アレン』に惹かれた唯一にして最大の理由は、ファミ通Appの第一報にあった、つぎの一文である。
“ユーザーが操作する部分を最小限に抑えながらも、デッキ構成の戦略性を大幅に向上させたRPG”
スクリーンショットを見る前から、俺は「コレだ!!!」と思った。
「ある意味、俺が理想とするテレビゲームの遊びかたができるかもしれない!」
そんなことすら考え、以来配信されるまでの数日間を悶々として過ごすことになる。中目黒目黒に、「『勇者アレン』って、今日あたり?」と尋ね、「まだですね」と言われた数時間後に「ぼちぼち配信された?」と確認して「まだっすよ!w」と呆れられ、それでもあきらめきれずに数時間経ったのちに「もうそろそろでしょ? メーカーさんに聞いたほうがよくね?」と言って、「事前登録が始まってから1日しか経ってないじゃないっすか!!w おとなしく待っててくださいよ!w」と怒られた。それくらい、俺は『勇者アレン』の配信を心待ちにしていたのである。
それほど待ちわびたのちに登場した『勇者アレン』だが、思った通り、このゲームのシステムは俺の理想にかなり近いものがあった。
誤解を恐れずに書くが、俺が心に思う理想のテレビゲームの戦闘システムは、“戦いが始まったらプレイヤーはそこに干渉できず、ただ見守るのみ”というものだ。……こう書いてしまうと、「そんなシステムのどこに、おもしろさを見出せばいいの?」と言われてしまいそうだが、プレイヤーがやることは“戦闘が始まるまでの、戦略・戦術を練る”ことで、これはいわゆる“軍師”のポジションである。自軍を勝利に導くために入念な準備をし、ユニットを鍛え、知恵を授け、「さあがんばってくれ!」と声を掛けて戦場に送り出す--。あらゆる戦況をシミュレートした末に戦端を切ったものの、その通りに戦いが展開するとは限らず、ユニットも思うように動いてくれない……。しかしどんなに歯がゆくても、自分はいっさい手を出すことはできない……! “戦いは、ぶつかる前から始まっている”を地で行くシステムこそ、俺はおもしろいと思うのである。
この理想を実現してくれたタイトルが、過去にいくつかあった。俺が“心のベストゲーム”といまも思う『伝説のオウガバトル』(いまから21年前のゲーム!)、ロボットの思考プログラムを自分で作れる『カルネージハート』、そしてパーティーのAIをプレイヤーがカスタマイズできる『ファイナルファンタジーXII』の“ガンビット”。どのタイトルもすばらしいゲームデザイン&戦闘システムで、俺は当時、昼も夜もなく「敵はきっとこうくるから、そのときのカウンター用にこの行動パターンを……いや! 回復も必要だからえーっとえーっと……」と考え続けていた。それはもう、果てしなく楽しい時間だった。
『勇者アレン』から漂ってきたのは、これら超名作と同じような“おいしそうな匂い”である。『カルネージハート』やガンビットと比べたらものすごくスッキリとしたシステムだが、シンプルがゆえに紛れが少なく、ヒリヒリするような“戦う前の戦略戦”を楽しむことができる。プレイしてすぐに、『伝説のオウガバトル』を思い出したくらいに、ね。
すでにファミ通Appでは何度も記事になっているので改めて説明するまでもないが、『勇者アレン』の戦闘は、戦う前の準備の段階から始まっていると言っていい。各ユニット(“幻獣”という。イラストが超かわいくて最高)には“タイプ”と“属性”があり、それが互いに食い合うような関係になっているので、どんなパーティーを編成するのかでまず悩む。以前の記事をコピペするが、幻獣のタイプはつぎの6つ。
・物理攻撃:攻撃力が特化しており、魔法防御に特に強い
・物理防御:HPがずば抜けて高く、物理攻撃ダメージを軽減する
・魔法攻撃:攻撃力が特化しており、物理防御に特に強い
・魔法防御:HPがずば抜けて高く、魔法攻撃ダメージを軽減する
・治癒:毎ターン味方の幻獣を回復。攻撃はできずHPも低い
・遊撃:弱点タイプがないが、攻撃力、HPともに物理攻撃タイプより劣り、やや打たれ弱い
属性は、火、水、木、光、闇の5つで、火、水、木は三すくみ、光と闇は互いを打ち消し合う関係にある。これを考慮したうえで、パーティー編成を行うのだ。
手前の幻獣たちが、我が軍のパーティーだ。戦闘中の行動の順番は、手前パーティーの前列左が1番で、2番が敵側の前列左、3番が手前中央、4番目が敵側前列中央……てな具合に、交互に行動する。このルールが、タイプ、属性の相性と相まってさらなる戦略性を植え付ける要素になっており、パーティー編成の楽しさを飛躍させている。たとえば前列に物理防御、魔法防御のカチンコチンキャラを並べて攻撃を受け切る……とか、回復度外視で物理攻撃、魔法攻撃だけをズラリと並べる……とかとか、プレイヤーごとの考えかたで采配を振るうことができるのだ。
それでも最初は、ノープランのゴリ押し脳筋パーティーでもサクサクとゲームを進められてしまう。ま、ゲームってたいがいそうだけどね。しかし、ある程度ゲームが進んでくると途端に「あれ……?」となり、そのうち必ず越えられない壁にぶち当たって、「何コレwww もう絶対勝てねーじゃんwww」と、苦笑いするしかない状況に陥ることになると思う。
でもここからが、軍師としての能力を発揮するときなのだ。
それまでテキトーに配置していた幻獣たちの個性を振り返り、敵の能力と天秤にかけ、行動順まで考慮して新たな作戦を導き出さねばならない。
「敵に先手を取らせないために、ウチの一番手はもっとも攻撃力があるヘーラーに。そしてリーダーのマルスは2ターン目に“敵前列全体に物理攻撃”のスキルを持っているから、行動順は後のほうにしよう。回復役のアイテールは、1ターン目に全体回復のスキルを使うから、ひと通り敵の攻撃を受け切って治療できるよう、いちばん最後に配置……と」
まったく歯が立たなかった敵パーティーがいたとしても、幻獣の行動順をいじるだけで2回目の挑戦では圧倒できた……なんて事例はいくらでもある。作戦が見事にハマり、死んでも勝てないと思っていた敵を蹴散らしたときのカタルシスは、こういったシステムのゲームならではのものだと思う。
『勇者アレン』の最強のスパイスは“プレイヤーに考えさせること”だ。このフレーズにピクンと反応してしまった人は、絶対に1回は触ってみてほしい。
……とまあ、あまりにもツボにハマるアプリだったのでべた褒めしてしまったが、気になる点もいくつかある。“好きだからこそ”の発言として、ちょっとだけ書かせてほしい。
ご多分に漏れず、『勇者アレン』の幻獣も進化して強くなる。かわいらしいイラストがどんどん派手に、強そうになっていく様は壮観で、「この子のつぎのイラストが見たいからがんばる!」というモチベーションにつながるほどだ。これは、じつにすばらしいことだと思う。
しかし! レアリティー★3までの進化は容易く、ゲーム初心者でも気持ちよく進められると思うのだが、★3から★4にするまでがたいへんすぎるのよ! ★3まで育てることができ、「さあつぎは最終進化だ!」とワクワクしながら進化素材をチェックすると、まずは“★3 +1”に成長させないといけないと言われる。+1にするには、まったく同じ幻獣を合成せねばならない。つまり、マルス★3を+1にしたければ、もう1体マルス★3を用意する必要がある、ってこと。「え、マジで……」と思うも、どうしても最終進化させたいからなんとか用意して+1を得るが、つぎは「+2にしなさい」と言われる。+2にするにはもちろん、マルス★3がさらに2体必要。「ちょ……ま……」と冷や汗を流すもどうにか準備して+2を得るが、なんと続けて「+3にせよ」とのこと……。+3にするには恐ろしいことに、1体用意するのもたいへんなマルス★3が3体も必要という……!! うわあああああ!!! ちょっとカンベンしてぇぇぇええ!!
難度の高いダンジョンに行けば、マルス★3がそのままドロップすることもあるのだろう(もしくは、レアガチャを回す)。が、そもそも難解ダンジョンをクリアーしたいがために★4モンスターを得ようとしているのであって、これはさすがに気持ちを折られる。正直、ツラい。
これに付随して、パーティー編成は幻獣ごとに割り振られたコストをマネジメントしながら行うのだが、★2から★3に進化させると一気に幻獣のコストが上がりすぎ、パーティーに入れられなくなってしまう……ということが頻繁に起こる。愛着を持って育てているモンスターは、なるべく早く進化させてともに戦っていきたい……と思っているのに、跳ね上がるコストのためにパーティーから外さねばならなくなり、泣く泣く進化をあきらめて弱いまま使っていたりするんだよね……。ここも、もうちょっとバランスがいいといいのに……と強く思った。
とまあ、最後は言葉乱れてしまったが、それらを考慮しても『勇者アレン』はよくできたアプリだと思う。高い戦略性、それでありながらわかりやすいシステム、スピーディーな展開、かわいらしいイラストと、俺のような人間を刺激してやまない要素の宝庫なのだ。しかも、非常にユーザーフレンドリーにできていて、たとえばダンジョンの攻略に失敗してもスタミナ消費はゼロで、何度もパーティーを組み直してチャレンジすることができる。さらに、ミッションをクリアーすることでゴールドや魔晶石(課金アイテム)がウジャウジャともらえるので、このあたりでストレスを感じたことがいっさいない。このへん、じつによく研究しているなぁと思った。
荒削りなところはあるけど、間違いなくキラリと光っているアプリ。それが、『勇者アレン』だ。興味のある人は、チュートリアルだけでも触ってみてほしい。きっと、ホレちゃうと思うから。
大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通、ファミ通コンテンツ企画部副編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズが2作品ある。現在、ファミ通.com上でブログ“大塚角満のゲームを読む”、“『ドラゴンズドグマ』で暮らす”、アメーバブログで“大塚角満のブログ”などを連載中 ※ゲームを“読む!”はこちら ※大塚角満のブログ (Ameba) |
竜王と勇者アレン ~世界樹の秘宝~
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- gumi
- 配信日
- 2013年9月3日
- 価格
- 基本プレイ無料(アイテム課金型)
- 対応機種
- iOS5.1以降
- コピーライト
- (C)gumi Inc.
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