日中ゲームの壁は無くなる! 安藤武博氏が日中モバイルゲームサミットに登壇
2013-09-23 01:23 投稿
アジア市場にはどのようなチャンスが眠っているのか?
2013年9月18日に、グローバルモバイルインターネット業界のCEOクラブを運営するGWC主催のイベント“GGS東京 日中モバイルゲームサミット”が、都内で開催された。このイベントは日中のモバイルゲームの最新事例について、業界をリードする企業のキーマンをスピーカーに迎えて今後の業界動向についての見解を議論する場となっている。
このイベントに、スクウェア・エニックス 特モバイル二部の安藤武博プロデューサーが登場し、“日中ゲームの壁は、いよいよ無くなる。”と題した講演を行った。まず始めに、「僕は16年、ゲームプロデューサーをやっておりまして、家庭用ゲームからソーシャルゲーム、売り切りアプリなど、結構いろいろと作ってきました」とみずからの経歴を紹介した安藤氏。
同氏と言えば、代表作のひとつ『拡散性ミリオンアーサー』が韓国、中国で成功しているが、その実績について紹介。それによると、『拡散性ミリオンアーサー』は、日本国内でセールス1位、中国で2位、韓国で1位を記録しており、「日本のタイトルでは難しかった、日中韓すべてでトップ3に入る快挙を達成できた初のアプリです」(安藤)。そして、3国における2013年8月の『拡散性ミリオンアーサー』の月商についても公開。日本の額を1とした場合の市場規模は、中国が3、韓国は0.6(ちなみに台湾は0.53、プレイステーションVitaは0.42)となっており、安藤氏は「モバイルゲームにおけるアジア市場で存在感が高まっている」と考えているようだ。加えて、『拡散性ミリオンアーサー』の最高月商についても。こちらも日本の額を1とした場合、中国は1.4、韓国は1.03となっており、安藤氏も「存在感が高まるっていうか、日本よりすごい! 夢がある市場なんです」とコメント。
では、なぜ『拡散性ミリオンアーサー』がアジア市場で成功したのだろうか? 唯一にして最大の理由について、「日本チームが何もしなかったこと……(笑)」と安藤氏。海外展開にあたり、安藤氏を含めた日本スタッフが現地を訪れて痛感したのは、「やはりそれぞれの国でまったく違う。日本人に中国や韓国のことはわからない」という現実だったそうだ。そのため、現地のパートナーを信頼し、極力日本チームが口出しをしない方向性に踏み切ったそうだ。また、『拡散性ミリオンアーサー』はオリジナルタイトルのために、安藤氏が全権限を持っていたことで、現地のパートナーにすべてを任せられる体制を可能にしたことが理由のひとつと語った。そしてもうひとつの理由として、「何よりもパートナーと人が超良かったこと」と安藤氏。「いい人材といい会社を見つけることも海外展開で重要なこと。そのために海外へ足を運ぶことも大事」と続けた。
「日本人のために作ったゲームが、現地のパートナーの手によってそのまま受け入れられたことが、アジア展開の成功で個人的にいちばん良かったと思えたこと」と安藤氏。『拡散性ミリオンアーサー』は、本来日本人向けに作られたタイトル。通常海外展開を考えるならば、遊びかたや絵柄、文化の違いなど、ローカライズにおける問題は山積みに思えるが、海外展開のパートナーとなった盛大からは、「ローカライズよりも、日本のために作ったものをそのまま展開したい」と予想外の回答が。安藤氏自身、「日本人ではわからない国のことを気にして、変なローカライズをするくらいなら、思い切り作りきってしまったほうが海を越えてもいい作品になる」と思っていたため、『拡散性ミリオンアーサー』というゲームの本質を理解した盛大の姿勢も海外展開の成功のポイントだったと振り返った。
また、これまでMMOの時代は、日本、中国、韓国間のゲームの輸入出は、韓国から日本に向けたオンラインゲームが受け入れられた以外は、ほかの日本から中国、韓国や、中国から日本などの成功例はなかったという例を挙げた安藤氏。それがスマートフォン時代になったいまでは、『拡散性ミリオンアーサー』の成功など、中国から日本への輸出以外は成功例が増えてきた。では、中国から日本へのゲームの輸出はどうすればいいのか? 安藤氏は「中国はいま、ものづくりのレベルがアップしていて、技術もクオリティ―も高まっている」という見解を示し、「日本に持ってくるなら、何かのモノマネをせずに、その高い技術とクオリティーを活かしたよい遊びを発明してください」、「オリジナルのビジュアル面は、日本から見ると20年前の作品に見えるものもあるので、ビジュアル面だけを協力する形でもかまいませんので、何かあれば協力します」とエールを送った。
そして最後に、「それぞれの国でお客様がワクワクするようなことをやりましょう。遠慮なくおもしろいことをやって、そこから大ヒットが生まれていけばいいなと思っています」とコメントし、講演を締めくくった。
拡散性ミリオンアーサー
- メーカー
- スクウェア・エニックス
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- コピーライト
- (C) 2012-2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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