『ブレイブフロンティア』プロデューサーに聞く 作品の現在と未来
2013-08-26 20:00 投稿
話題のRPGはこうして生まれた
2013年7月3日にiPhone版がリリースされて以来、トップセールス上位にランクインし続けている大人気RPG『ブレイブフロンティア』。配信直後に長期メンテナンスを余儀なくされるなどの苦境を強いられながらも、いまや多くのユーザーを虜にしている。そんな本作を手がけているエイリムの代表取締役であり、本作の開発プロデューサーを務める高橋英士氏に独占インタビューを実施。『ブレイブフロンティア』のこれまでと現在、そして今後についてお話を伺った。
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ブレイブフロンティア公式サイト
エイリム
『ブレイブフロンティア』プロデューサー
高橋英士氏
【とにかく一度試してみる制作スタイル】
――配信から2ヵ月あまりが経ちましたが現在の心境はいかがでしょうか?
高橋:予想を大きく超える反響をいただいていまして、本当にうれしい限りです。配信当初、お客様にはご迷惑をおかけしましたが、我々が作ったものをユーザーさんに受け入れてもらえて、ホッとしています。
――非常に好調ですが、当初はどのように広がっていくと期待されていましたか?
高橋:初めに計画したところでは、リリースから2週間くらいまでは、アプリが正常に動作するかをチェックしつつ、数千人くらい集まってくださればいいかなというくらいでした。その後、2週間ほどまともに稼働したら、リワード広告などで一気にユーザーさんを集めて……という感じでプロモーションチームとは話をしていました。そうしたら、配信2日で驚くほどインストール数が増えていたので、うれしい方向でプロモーション計画は崩れましたね(笑)。
――一気にユーザーが集まったのは、どのような点が要因だったとお考えですか?
高橋:iPhoneなら、リワード広告などを展開していきユーザーさんに広まる、というのがセオリーになっています。それを否定する気はないですが、このタイトルに関しては、ゲームが好きな方々に触っていただいて、ゲームとして評価してもらうことを期待していました。そこで、初めからファミ通Appさんでキッチリとゲームとして評価していただきながら、ユーザーさんに訴求していくという形をベースに考えていたので、そこは効果があったと思いますし、事前登録時から記事にしていただいたことで、ユーザーさんの期待感を煽れたと思います。
――アプリのアイコンをアンケートで決めるという企画もありましたね。
高橋:そうですね。アイコンのデザインもインストール数にかなり影響するので、けっこう悩みましたが、いっそユーザーさんに聞いちゃうのもいいんじゃないかと。それも本作のヒットにつながったのでは、と思います。
――本作の開発がスタートしたのはいつごろですか?
高橋:2011年末くらいから構想を始めて、本格的に開発に取りかかったのが2012年の4月ですね。リリースまで1年と3ヵ月ほどかけています。
――構想時から、いまのゲームデザインを想定されていたのですか?
高橋:企画スタート時にすぐに決まったのは、フルネイティブアプリであることと、ファンタジーRPGであること、そしてドット表現の3つだけです。スマートフォンのデバイスで、タッチパネルで操作するには何がいいのか、ということを話し出していたら、その2ヵ月後に『パズル&ドラゴンズ』がリリースされました。プレイしてみると非常によくできていて「なんじゃこりゃ、ヤバイ」と。さらにリリースから2ヵ月後には『パズドラ』がかなりヒットし始めてきたのですが、そのタイミングがちょうと我々がプログラミングを始めるころだったこともあり、仕様に関する影響を大きく受けましたね。
――具体的に、影響を受けた仕様はどのような点がありますか?
高橋:クライアントアプリとしてのサクサク感だったり、UI(ユーザーインターフェース)だったりですね。『パズドラ』のUIは本当に理に適っていたので、どうやったら『パズドラ』にならないようにオリジナリティーを出せるかという点は、非常に難しかったです。『パズドラ』をリスペクトして、いろいろな部分を参考にさせていただきながら、RPGをやるとしたらこんな感じかな、というのを表現した部分ですね。戦闘パートとシナリオパートのUIは、オリジナリティーを出せたかなと思います。
――攻撃するユニットをタッチするという操作方式は、どのように決まったのですか?
高橋:かなり練りまして、最初はコマンド式のRPGにするという話もありましたし、じつのところ『パズドラ』が出るまでは、通常のRPGのようにダンジョンを移動することも考えていました。ですが、その辺も『パズドラ』は割り切っていて、そうすることでスムーズに遊べるゲーム設計になっていました。ですから、確定するまでに結構な期間、悩みました。
――その結果、現状の形に決断したきっかけというのは何だったのでしょうか?
高橋:タッチパネルで遊んでいるので、簡単に操作できなければいけないとは最初から考えていました。ですから、キャラクターを押して、相手に向かっていくというのは、割りと最初の方で決めました。とはいえ、パーティは6人いるので、「全員動かすの?」という問題が上がって、一時期は全員が一斉に動く”GOボタン“というものも考えました。
――それはそれでよさそうな気もしますが……。
高橋:ですが、それだと単調なプレイになりそうだと言う話になり、「もうこうなったら、1回作って試しながら調整しよう」という流れになりました。実際にやってみると、ポポポポンって押すのがけっこう快適で、「悪くないかもね」と(笑)。
――実際に触れた感触で決まったわけですね。ブレイブバーストやSPARKなどの攻撃以外の操作を導入したのはその後ですか?
高橋:何かしらの方法でスキルを使うことと、タッチで進んでいくというのは最初から決めていたのですが、どのように発動させるかは相当悩みました。最初はいまの長押し→フリックという操作ではなく、ボタンを押したら”ブレイブバースト発動モード“になるという形でした。その後、もっと簡略化できないかと考えた結果、思いつきのような感じで決まりました。
――ガードもその流れで?
高橋:そうです。僕は最初、「ガードいるのか?」と否定的だったのですが、最終テストでプレイしてから、「ガードは必須だった」と意見が180度変わりました(笑)。
――いまは多くのプレイヤーがそう感じていると思います(笑)。
高橋:あとはSPARKですよね。計算し尽くした仕様ではなくて、開発終盤に「タップにはテクニックがないので、もう1ギミックほしい」という話になって生まれました。移動する距離やユニットの攻撃方法によってSPARKの発動するタイミングが変化するので、テクニックも必要になります。それでも、最初はやはり自信が持てなくて、実際にプレイしてみて、「これはどうやら重要だ」と実感し、SPARKに関するスキルを持つユニットの有用性に気づきました。ですから、計算し尽くして設計したというより、一歩ずつ感触を確かめて仕様を決めた感じでした。
――ひとつひとつ試したので、いいものになったのでしょうね。
高橋:そうだと信じていますし、ユーザーさんにそう評価していだたけるとうれしいです。
【Android版の配信に向けて】
――キャラクターの名前や設定も凝っていますね。
高橋:あれはエグゼクティブプロデューサーの趣味です(笑)。中二病的に、和英辞典を見ながら考えていました。このコンテンツの世界観というか、ネーミングセンスや設定ひとつとってもそうですし、関発側からしてみると、「そんな長いテキスト必要?」と思いますが(笑)。でも、そのサブカル的な要素を評価してくださるユーザーさんもけっこういますので、RPGとして重要な部分だと感じています。
――ラスボスの技中に表示されるセリフも凄いですよね(笑)。
高橋:正直、僕らもドン引きしていました(笑)。
――ユーザーの方々の声は、開発サイドにも届いていますか?
高橋:ものすごい数が来ています(笑)。TwitterやFacebookを使って告知を出したりもしますし、コミュニケーションが取れていると思います。当然、カスタマーサポートへもたくさんのご意見をいただいています。
――印象的だったのはどのような意見ですか?
高橋:いちばん感動したのは、配信直後の長期メンテナンスのときの励ましです。我々がつまづいて、皆さんにご迷惑をおかけしたときに、1日1回ツイッターで状況をお知らせしていたのですが、数秒後にリツイートしてくださって、「ちゃんと待ってます、大丈夫です」というお言葉が大量に来たんです。泣いている開発者もいましたね。当然、10個に1個くらいは「はよ再開せい」というようなコメントも来ますが(笑)。あれだけご迷惑をおかけしたにも関わらず応援していただけたことで、“愛されるコンテンツになれるポテンシャル”を秘めているな、と感じていました。
――いまは順調にサービスが続いていますが、直近の課題は何だとお考えですか?
高橋:あっという間にユーザーさんに遊び尽くしていただいて、これはうれしいことなのですが、我々が当初想定していたより早いタイミングでした。ですので、早く新しいマップやレイドバトルといった新機能を導入したいです。皆さんが育て上げたパーティを活躍させる場を用意するのが急務だと思っています。少しでも早く、ユーザーさんに届けたいと思います。
――具体的な時期については?
高橋:それほど遠くないタイミングでお知らせできると思います。月に一度のタイミングで新しい遊びをユーザーさんに提供することはお約束します。9、10月は連続して、新しい遊びだったりエリアを追加予定ですので、楽しみにして頂けると嬉しいです。
――新要素が入ることによって、たとえば現状だと闇のユニットが非常に人気ですが、今後そういった流行も変わりますか?
高橋:そうですね。バランスを見ながら調整はしていきます。
――単刀直入に、闇以外の属性のレベルを上げやすい経験値稼ぎクエストは出ますか?
高橋:当然対応していく予定です。皆さんが想像しているものに近い対応になるのではないかと思います!
――現状は、レベル80まで育つユニットもいれば、30までしか成長しないものもいます。そういったユニットも新たに成長する可能性は?
高橋:現時点ではあまり育たなくても、今後進化する可能性は十分にありますよ!
――レベル上限が高いモンスターと低いモンスターの基準は、どのように決められているんですか?
高橋:各属性で★5まで成長するユニットは何体、というようなバランスを考慮して選んでいます。新しいユニットは今後どんどん追加していく予定ですので、いま大量にドットを打ちまくってます!!(笑)※8月26日には新ユニットが追加。
――ちなみに、Android版のリリース予定とのことですが、時期的には年内くらいでしょうか?
高橋:そこまで遅くはならないと思います。元々、何とか夏の間に配信したいと考えておりましたし、多くのお客様から「Android版を待っています」というお問い合わせがあるので、1日でも早く出せるようにがんばります!
――いま楽しんでいるユーザー、Android版を待っているユーザーにコメントをいただけますか。
高橋:『ブレイブフロンティア』というコンテンツ自体は、完成度というか我々の理想形から見たら、まだ半分にも満たないと考えています。レイドバトルやそのほかにも、いま計画している追加機能を入れたときに、皆さんに驚いてもらいたい。その部分では自信を持っています。新しい要素をたくさん用意していて、今年のうちにいくつかはお届けできると思いますので、まだ見捨てないでください(笑)。今後も、運営と開発の両面で皆さんの期待に応えられるよう、努力していきます!
【さらなる開発のキーマンにも直撃!】
高橋氏のインタビューに続いて、開発のキーマン2名へのインタビューも実施。現場ならではの開発秘話も飛び出す(?)注目の内容となっている。その模様は近日中に公開予定なので、お楽しみに!
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※【まとめ】ブレイブフロンティア情報局
ブレイブフロンティア公式サイト
ブレイブフロンティア
- メーカー
- エイリム
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS4.3以降対応、iPhone4以降/iPod touch第4世代以降/iPad
- コピーライト
- (C)2013 Alim Co., Ltd. All Rights Reserved.
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