AppBank Games開発『Dungeons & Golf』のコダワリがハンパねー! 開発者インタビュー
2012-10-25 20:36 投稿
●『Dungeons & Golf』近々リリース!?
iPhoneレビューサイトの最大手であるAppBankが2012年2月にゲーム制作会社AppBank Gamesを設立。東京ゲームショウ2012内で行われたイベント“I Love iPhone”において、開発中のタイトル『Dungeons & Golf(ダンジョンズ&ゴルフ)』を発表したというニュースは記憶に新しい。そしてついにその『Dungeons & Golf』が近々リリースされるという噂をゲット! その真相やゲームの開発秘話を聞くために、AppBank Gamesへとインタビューに行ってきたぞ。
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しかし、インタビューへと行ってまず通されたのは、なぜか人がワラワラと集まり、社員みんなで楽しく『Dungeons & Golf』を遊んでいる部屋だった。まさか、こんな状況でインタビューが始まるのかと驚いたが、話を聞いてみたところ、AirPlayでゲーム画面をテレビに出力しつつ、デバッグをしている最中だったという。また、我々をこの部屋に通したのは、インタビュー前に現在のバージョンの『Dungeons & Golf』をプレイしてもらうため、とのこと。先取りで遊ばせてもらった『Dungeons & Golf』のプレイレポートはこちらをチェックしてほしい。
▲写ってないところにも人がぎっしり! インタビューのつもりでお邪魔したのでビックリしました。
▲(中央)AppBank株式会社 代表取締役兼AppBankGames取締役 村井智建氏 | ▲(右)AppBankGames代表取締役 宮川義之氏 |
●AppBankの流行は「村井でございます」
――2月にAppBank Gamesを設立してから8ヵ月が経ったわけですが、何か変化はありましたか?
宮川 単純に言えば仲間が増えましたね。いまだいたい20人くらいかな? でも、単に社員が増えたっていうわけじゃなくて、むしろそれは小さなことで。私がビックリしたのは、自由に出入りする人が増えたことですね。自由に出入りしちゃいけない場所なんですけど(笑)。(裏を返すと)「あの有名クリエイターが関与するようになった」という言い方もできるんですけど。ある日フラっとやってきて、いま作っているゲームの最新ビルドを遊んで「おもしろい!」って言って帰っちゃうっていう感じですね(笑)。 ウチは9時に朝礼をして、そこから作業って感じなんですけど、「そろそろ最新ビルドが更新されるころかなと思って来ちゃった」って8時50分にウチに来て正座して待ってる人もいましたね(笑)。
村井 あと、どなたが来たかはお教えできないんですけど、とあるスマートフォンの超ヒット作を作った方が、コピー機にサインと「TOP10争いをしましょう!」というメッセージを残してくれたり。まあ、その人はフラっと来たわけじゃなくて、一度遊びにきてくださいよって誘った感じでしたけどね。
宮川 ゲームの作り方をわかっている人、勘を持っている人に見てもらうっていうのは非常にいいことですよ。そういう人がいろいろ意見をくれますからね。ゲームがどんどんよくなっている流れに参加しようという意欲のある人が、参加してくれるというのは光栄です。
村井 実際に、そんな感じで関わってくれた人の中には「こっち(AppBank Games)に移るよ。ちゃんと名刺を作って、このゲームが完成するまでいっしょにやりたい」と言ってくれる人もいましたね。ですから、つぎとか、そのつぎのタイトルとかも楽しみです。
――AppBankは、現在メディア、物販、ゲーム制作という3本の柱ができた状態ですが、今後新たに事業を増やしたりといった予定はあるのでしょうか?
村井 グループ全体としてですよね? ええっと……あると言えばあるって感じですね。何も発表せずに、11月中にしれっとなんかしら始める予定ですが……。まぁいろいろありますけど、それはAppBankっていう名前でやらない予定だったりするんで、まあ始めてもわからないかなって感じですけど。ごめんなさい、謎のままですよね(笑)。 ただ、AppBankとしては、当面この3本の軸はずらさずこのままいくつもりです。
――前回のインタビューで、みんな上下関係なくニックネームで呼び合うようにしているとおっしゃっていましたが、おふたりは社員のみなさんから、何と呼ばれているんですか?
村井 私と宮川さんは、もう3年前から“村井さん”、“宮川さん”って呼び合っていたので、それはもう変えようがないですねぇ。
宮川 “村井さん”と言えば、鎌倉にいたときからAppBankにいる人は、なぜかみんな自分のことを”村井”って名乗るんですよ。電話かかってきて、誰だろうって出ると「村井でございます」って答える人が多いんですよね、表示されてる名前は違うのに(笑)
村井 何言ってるのかわからないですよね(笑)。
――村井さんの名を騙る人が多いってことですか?
村井 そうですそうです。ウチに宮下っていうのがいるんですけど、私がアイツに電話しても、アイツは「村井です」って出るんですよ(笑) それに「奇遇ですね、私も村井なんですよ」って返したりして、ようやくそこから話が始まるんですよね。しかも、アイツ社外の人から電話かかってきたときも、他社の代表電話にかけるときも“村井”を名乗るんですよ。まぁあっちもそれが宮下だってわかってるから大丈夫なんですけどね(笑)。
宮川 大丈夫なんですっていうのも変だけどね(笑)。 もはや「もしもし」に近い感じですね。
●iPhone業界を守りたいんです
――それでは『Dungeons & Golf』に関して。東京ゲームショウ2012で開催されたイベント“I Love iPhone”で「いまのスマートフォンゲームの流れを変えたいという思いから『Dungeons & Golf』の開発が始まった」と仰っていましたが、改めてその真意をお聞かせください。
村井 私はソーシャルゲームがすごく好きで、『パズル&ドラゴンズ』もソーシャルだと思うし、いいものだと思っています。ただ、ソーシャルゲーム独特の課金の流れやゲームシステムってあるじゃないですか? そういうものが、トップセールスを占めてしまうのがイヤだったんですよ。それは何故かというと、あるアプリがヒットしたとして、いまのStoreではただテーマやモチーフを変えただけのアプリがババババッって出てきてしまうんです。それで、それらも各々ヒットしてしまう。早いうちはそれもスゴク楽しいんですが、それが5本とか10本とか続くと、もともとのゲームシステムそのものが飽きられてしまうわけです。そういったものがランキングを占めてしまっていると、結果としてゲーム業界のクビを絞めてしまうと思うんです。私たちAppBankは、iPhoneをいかに楽しむかというところで仕事をしていきたいので、iPhoneを守るためにも、iPhoneがよりいいものにするためにも、現状を変えたいと思い、ゲーム開発を始めたって感じです。
宮川 集客に特化したというか、集客がうまいアプリが目立ってしまうと、ほかのアプリが埋もれてしまうっていう現象が起こりますからね。それと、『Dungeons & Golf』を作った理由はもうひとつあって。iPhone 5が最近出たじゃないですか? で、iPhone 5の性能を堪能しようとしても、それができるゲームが少ないんです。ハードが進化をしているのに、進化を感じられるゲームが減ってしまっている面は、あまりおもしろくないですよね。なので、『Dungeons & Golf』は、そのiPhone 5の性能を堪能できるものになったらいいなって思っています。
――“AppBankの村井さん”が関わったというところでヒットさせるために「これは絶対にハズしちゃいけない」というコダワリの要素というのはありましたか?
村井 このゲームに関わっていて、もうとにかく3ヵ月くらいネチネチ言ってたのが“打ったときの気持ちよさ”ですね。ゲームって、いろんなゲームシステムだったり演出だったり、ハマるための工夫がいろいろあると思うんですよ。でも、ゴルフって考えたときに、いちばんユーザーの印象に残ることはティーショットなんですよね。『Dungeons & Golf』には、何十万ダウンロードとか何百万ダウンロードとかして欲しいと思っているんですが、もしそこまで行ったら、あの最初のカキーンという一発は1年で10億回とか行くと思うんですよ。「その10億回の「カキーン」は、作った人にとっては何気ないSE(サウンドエフェクト)のひとつかもしれないけど、これは全世界で10億回ヒットされるSEなんだ」って製作者に言い続けましたね。で、その何億回も打たれる可能性のあるティーショットの部分だけは、納得のいくまで作らせて欲しいと。
宮川 いま「作った人にとっては、何気ないひとつかもしれないけれど」って言いましたけど、作ってる人たちも刀鍛冶職人みたいになってましたよ。カーンカーンって刀作って冷やした瞬間に「うん、これじゃない」ってポイってして。その繰り返し(笑)。 あ、村井さんにポイってされるんじゃなくて、自分たちでも「何か違う」って思って肩を落としていたんですよね。それくらいの気合いを入れてやってましたよ。
村井 あのショットのシステム全体でも、10バージョンくらい作りましたかね? あ、微調整だけで10回っていうんじゃなくて、フルで、全部作り直しで10バージョンでしたからね。ホントにコダワリました。このゲームをどうしたらみんなが遊んでくれるだろうって考えたら、やっぱりティーショット、ドライバーショットが気持ちよくないと、どれだけ仕組みにこだわってもダメだなって思って。かわいそうだなって思いながらも、納得がいくまでダメって言い続けましたね。
――そもそもの話になりますが、ゴルフをテーマにゲームを制作しようと思ったきっかけは何ですか?
宮川 私がゲームを作る上での、ミッションのひとつに、「今あるもののすべてを凌駕する」というものがあるんです。それを達成するうえで、まぁいろいろリサーチをしたりするわけですが、ゴルフゲームというジャンルは規模も小さく、狙えるところだと思ったので、ゴルフというテーマを採用したという一面があります。あと、AppBank Gamesで、はじめてゲーム開発をするという人が多かったので、ゴルフゲームなら作りやすくて研修にもなりやすいと思って。これから作っていくタイトルにも「今あるもののすべてを凌駕する」というテーマを掲げていくので、その意気込みを研修するという意味でも、規模が小さいというのはやりやすいと思ったんです。ただ、やってみたらゴルフゲーム作るのって難しかったんですけどね(笑)。
村井 ホントね(笑)。 ゴルフを作ろうって決まって、宮川さんからいろいろ上がってきたとき、その中に“3D”っていうのがあって。もうビックリしましたよ。なんかこう、平面でカジュアルなものを想像していたので、「3Dって、いくらかかるんだよ」って思いましたもん(笑)。 私がゴルフゲームにしようとした意図は、宮川さんとは違います。私個人としては、AppBank Gamesという会社は3~4ヵ月に1本くらいのペースでゲームを出していくような会社になって欲しいという思いがあったんですよ。短いスパンで革新的なゲームを生み出し続けるとなると、やっぱりプロデューサーがその数だけいりますよね? そうなると、やっぱり社内からプロデューサーがドンドン生まれるっていうのが絶対必要なんですよ。そこで、すでにシステムが確立しているゴルフゲームを、別のものにして欲しいと、みんなに投げたんです。答えのない要望なので、みんなが同じ目線、同じ立ち位置で全員がガッツリ議論してくれるのではないか? そこから、みんなをまとめられるリーダーが自然と生まれて、プロデューサーが生まれるのではないか? そんな感じの意図があって、ゴルフを採用しました。
――トップの村井さんと宮川さんを除いて、ほかは全員上下関係のないフラットな状態での開発っていうのは珍しいですよね。こういった形は、これからも続けていくんですか? それとも、今後プロデューサーが生まれて、よくあるゲーム開発の形になっていく予定ですか?
村井 私の中では、プロデューサーが生まれて変化していくと思っています。
宮川 私もそう思っています。こういうやり方が正解なら、みんながやっていると思うんですよ。ほかの会社は、こういう形では成功する確率が低いと思ったから、ちゃんとした縦社会を作っていると思うんですけど。まぁ逆の挑戦ですよね。縦社会を作ったことによって、縦社会に縛られて、それで革新的なゲームを作るのは難しいという経験を僕はしていて。でも、それをやめてみたら、それはそれで難しい部分が出てくる。たとえば、全員に責任感を持ってもらったりとかね。今は僕がリーダーをやって、みんなに口酸っぱく言ってやってますけど。ただ、まずはみんなが平等に意見を言える場で、発言できるありがたみだったり、発言の責任だったりを感じてもらいたかったんです。
――なるほど。若いゲームスタジオならではの、育成の意味合いがあったわけですね。また話をゲームに戻します。『Dungeons & Golf』のような、カジュアル色の強いゴルフゲームというと、オンラインゲームの『パンヤ』や『みんなのゴルフ』というタイトルがありますが、何か意識したり、影響された部分はあったりしますか?
宮川 これは「ちゃんとリサーチしてから開発しろよ」と、かなりヒンシュクを買うかもしれないんですけど、じつは『パンヤ』に関しては、知ってはいたものの開発中に存在を意識したことはなかったんです。開発してる途中に「『パンヤ』っていうゴルフゲームがあるよね」って言われて、なんとか思い出した感じです。なので、とくに意識したり影響を受けたりってこともなかったですねぇ。開発を始める、コンセプト決定の段階で『みんなのゴルフ』をはじめ、スマートフォンで出ているゴルフゲームをリサーチ・研究はしましたが、開発中には変に意識をして影響を受けないよう、忘れる努力をしました。
村井 私もそんな感じですね。『Dungeons & Golf』以外のスマートフォンのゴルフゲームを遊んだのって、『Dungeons & Golf』がほぼ完成してからが、初めてでしたからね。
――ちなみに、ゴルフにファンタジーを加えようと思ったきっかけは何だったんですか?
宮川 元も子もないことを言うと、最初は僕の古巣のスクウェア・エニックスの知人と話をしていて、で、彼らがやりやすい話にしようと思って(笑)。「そういえば、アイツはバーサーカー作るのうまかったなぁ」とか思いながら話てたのに、結局そいつは不参加になっちゃいました(笑)。まあでも、そのときに作ってたコンセプトがおもしろかったんで、そのままって感じですね。
――その時のコンセプトってどんな感じのものだったんですか?
宮川 たとえば、血走った眼をしたバーサーカーが超フルスイングをするとか、魔法使いがピンに雷を落としてグリーンが全部焼野原になっちゃうとか(笑)。
――結構激しいですね(笑)。そういう世界観は、海外展開をにらんでという事もありますか?
村井 海外はゴリゴリ意識してますね! あと、さっき宮川さんが言ってた通りゴルフゲーム自体のタイトルが少なくて、世界的なタイトルっていうと2タイトルだけなんですよ。そう考えると、ちょっと物足りないですよね。となると、そこは一石を投じるチャンスがありますから。最初はゴルフや釣りなど複数のタイトル候補があったんですが、海外じゃ釣りは難しいかなって思って。その点ゴルフはほら、アメリカもそうだし中国も、ヨーロッパも市場がデカイんで。中国なんかは、『レッツゴルフ3』が去年のナンバーワンを取ってますからね。ちゃんと作りきれれば、ゴルフはビジネス的にも世界でいけるんじゃないかと。もう海外展開の準備もしてますよ。
●ゴルフゲームを作るならゴルフをやらないと!
――タイトル名の『Dungeons & Golf』というのは『パズル&ドラゴンズ』に影響されてますか?
村井 いえ、その前からですね。AppBank Gamesを創立する前からコンセプトとタイトルは決めていました。で、みんなを集めてこれで作りましょうねっていう感じで進めてきたので。
宮川 誰がどんなポストをやるかっていうイメージがないと軸がブレちゃうので、まずは仮企画を作ってから人員を募集しようと思っていたんですよ。
村井 まだ鎌倉にオフィスを構えていて、コートも着てない時期だったから秋くらいだったかな? で、オフィスの近くのコーヒーショップで、宮川さんがiPadを開きながら「ゴルフを作る」って言ってましたもんね。
――そうなると、構想を含めた開発期間はアプリとしてはかなり長いほうになりますね。
村井 そうですね。今風の流れだと3~4カ月スパンでポンポン出していくもんですから。 超大作ですからね! 「こんなことになるなんて」って開発の当事者たちが一番思ってますよ(笑)
宮川 もうね、みんなが掲げるハードルがあまりにも高くて、全員で満場一致しないとダメ! 誰か納得しない人がいると「いや、もうちょっとやりましょう!」って感じの連続で。僕なんかはもう一番最初に「これでいいです」って賛成するんですけどね(笑) そんな感じで、みんなの言葉を一個一個消化するために、ちょっと時間がかかってしまいまして。
――それが、やる気のある未経験者を集めたメリットだったのかもしれませんね。逆に辛かったことなんかはありますか?
宮川 いやぁ、スキル的にはまだまだ先は長いですよ。知らないことだらけですし。でも、一個一個教えて、それを素直にやってもらって。ふつうだったら5年とか10年とかやってるベテランじゃないとできないようなことも、教えればできちゃったりとかする人もいるんで。先入観のなさなんですかね。素晴らしいですね。
――そういえば、ゴルフコースに研修に行ったと仰っていましたが、それが本作中のどういったところで活かされましたか? また、実際にゴルフをしようと思ったきっかけは何ですか?
宮川 実際にゴルフをしにいったのには、ちゃんとしたワケがあって。最初にアルファ版が上がったときにプレイをしてみたら、動いてはいたけどおもしろくなかったんですよ。で、そのときになってようやく「僕たちってゴルフをわかってないよね」ってことを自覚したんです。それでゴルフを研究しに行ったんですよ。実際のゴルフのプレイって、登るのも嫌になるような坂を、球を打ちながら進んでいくんだなとか、とにかくいろいろ新しい発見がありました。あと、実際にゴルフをしてみて、「ゴルフってすごくおもしろいんだな」っていうのをみんなわかってくれたようで、そこもプラスに働いてますね。それからは本当のゴルフ好きになってしまって、昼休みにゴルフしに行ったりする人も増えましたね。ただ、昼休みにゴルフをするっていうリア充感は、なんか嫌なんですけどね(笑)。 でも、とにかくゴルフを見に行ったことで、ゴルフを好きになってくれたことで、ホントにいろいろ変わりました。SEひとつを取っても「いや、そのクラブの音ってそうじゃないよね」とか意見が出るようになりましたし。
――なるほど。実体験がともなってさらに作りこまれたと。では、コースは何種類くらい用意されていますか?
宮川 40コースですね。1プレイ4コースの10バリエーションって感じです。慣れたら1プレイ5分でいける感じで作りました。
村井 もちろん、どこまで突き詰めるかによりますけどね。難しいコースもただ回るだけなら5分でいけますけど、高いスコアを目指そうと思ったら、20~30分くらいじっくり遊べるようになってますよ。それこそもう、精神をすり減らしって感じで(笑)。
宮川 やっぱりゲームは没入させてナンボですからね。サクサクッとプレイもできますけど、実際のゴルフみたいに、一打一打しっかり集中して、しっかり精神をすり減らして楽しんでいただければと思います。
●禁断の“打ち直し”とオンラインオンリー仕様について
――『Dungeons & Golf』ではタマ券というチケットを使って打ち直しができるようですが、タマ券はいくらくらいで販売する予定でしょうか?
宮川 いちばんお得なセットだと1枚30円足らずですね。あと、タマ券は打ち直しをする以外にも、ショップでアイテムを買うための通貨にもなっていますね。『Dungeons & Golf』は、無料でもトコトン楽しめるようにはなっていますけど、やっぱりガッツリとタマ券を買っていただけたほうが楽しめると思います。あと、極めてしまえば、打ち直しをしなくともいけると思いますし、購入しなくともアイテムを手に入れる手段を用意しているので、あくまでもタマ券は、極めるまでのお手伝いという感じで使っていただければなと。
▲こちらが打ち直し中の画面。ビデオの巻き戻しのような演出で行われる。
村井 『Dungeons & Golf』はオンライン前提のゲームで、ツアーランキングで1位になれば賞品がもらえるっていう仕組みです。タマ券を使えば有利にはなりますけど、ツアーが開催されるスパンが短いし、何度でも無料で挑戦できるので、使わなくてもしっかり楽しめるように作られていますよ。
宮川 むしろそこが大事で、要するに『Dungeons & Golf』はゴルフゲームとしては無料なんですよ、完全に。で、超人ゴルフをしたいという場合には、課金要素がありますよって感じですね。ツアーもモーニング、デイリー、夜中と3つに分けて、地域もざっくり10個くらいにわけて開催されるので「お、昨日の埼玉最強オレじゃん」みたいな感じで楽しめる要素を作っていますので、そういったところをモチベーションに遊んでもらいたいですね。あと、完全にリアルタイムでみんなと遊べるゲームなので、いろんなイベントも開けますよね。たとえば、村井さんがAppBankのツイキャスで生放送しながらプレイをして、村井さんに勝ったら賞品をプレゼントとかね(笑)。
――オンラインプレイが前提ということですが、ユーザーの中にはオフラインでのんびりやりたいという人もいると思うんですが、ひとりプレイ用のモードをなくしたのは何か理由があるんですか?
宮川 裏技ってわけではないんですけど、一応ひとりでプレイする方法も用意してありますよ。プライベートなルームを作って、そこに人を招待しなければ、ひとりでゆっくり遊べるようになっています。もちろん、そこのルームに友人なんかを招待して遊ぶことも可能です。ただそこをシングルプレイっていう言い方をしたくなかっただけなんですよね。
――なるほど。ただ、いわゆるふつうの人って、オンラインというものに抵抗感があると思うんです。裏技的にプライベートな空間を作れるというのも、ふつうの人にはわかりにくいと思います。それなら、いっそのことシングルプレイというモードを作って、さらに楽しむには「オンライン要素があるよ」と誘導するほうがいいかと思うのですが、いかがでしょう?
宮川 『Dungeons & Golf』は、マルチプレイでも対戦っぽくならないように作っているんです。『Dungeons & Golf』のマルチプレイというのは、ただコースに人がいるというだけで、例えるなら、ゴルフ場に行ったら誰かがいましたって感じで、それ以上でも以下でもないんですよね。ですからスコアだったり進行ペースを気にすることもありませんし、コースを回り切ったときに勝敗が表示されることもありません。なので、ひとりでプレイするのとオンラインでプレイするのは変わらないんですよ。あと、ひとりで遊ぶときに楽しめる要素として、コンプリート要素というものを用意しています。ホールインワンを取ったときにもらえる、バッジとかですね。あとプレイすればすぐにわかることなんですけど、キャラクターにカスタマイズ性を付加しています。キャラクターはタマガミ様というものを装備できるのですが、それによってキャラクターの性能が若干変化するんです。いろいろじっくり検証してみて、自分好みのキャラクターを作るという楽しみもありますね。
――もうひとつゲームに関して。さきほどの試遊だとプレイヤーにレベルという概念があるようでしたが、レベルはゲーム中にどういった関わりを持っているのでしょう?
宮川 レベルが上がることで、キャラクターが強くなるとかはないです。ただ、コースとキャラクターをアンロックするための指針みたいなものですね。あと、プレイヤーのレベルが高いと、同じコースでも風が強くなるようにもなってます。
村井 それまじっすか? 知らなかった(笑)。
宮川 なおかつ、レベルによって得られるポイントも変わるんですよ。レベルが上がっていくと、コースの難易度も高くなっていくけどポイントも高くなっていくって感じですね。
村井 へぇー、知らなかった!
宮川 実際のゴルフみたいに、初心者と上級者ではレベルによってハンデが付けられるようになるので、だいたい同じくらいのスコアで回れるように調整してあります。
――最終的にはキャラクターは何人使えるようになるんですか?
宮川 9人も作っちゃいましたね。もしかしたら、今後のアップデートでもキャラクターやコースが増えていくかもしれません(笑)。
――AppBankはこれからもメディア、物販、ゲーム制作という3本の軸で進めていくということでしたが、『Dungeons & Golf』がその軸内で連携をし、マルチな展開をしていく予定はありますか?
村井 そうですね、そういうこともありえると思いますよ。キャラクターみんな個性が立っているので、クリアファイルとかマグカップとか、ぬいぐるみとか。あ、これはiPhone関係ないですね(笑)。 iPhoneに関係あるものだと、ケースとかイヤホンジャックとか、全然あると思いますよ。もしかしたら、秋葉原向けに抱き枕なんていうのも、なくはないかもしれません。
●やるからには、目指すは世界一
――ズバリ、『Dungeons & Golf』に期待している売上はいかほどでしょう?
宮川 僕は、このゲームはスゴイ当たるか、スゴイすべるかのどっちかだと思うんですよね。でも、やっぱりかなりの開発期間をかけているので、世界一を目指したいですね。ただ、出して当たったときに「やっべぇ当たっちゃったよ」っていう気持ちになるんじゃなくて「それぐらいになって当然だ!」と思えるよう、がんばっています。
村井 『パズル&ドラゴンズ』と戦いたいですね。ランキングに定位置作ってるみたいになっちゃってますからね。
――ぶっちゃけ、開発費ってどれくらいかかったんですか?
宮川 出た、踏み込んできた(笑) ううーん……。ご想像にお任せしますっていう選択肢もあるんですけど……。どうしましょう?
村井 そうですね。噂に聞いた話では、某有名メーカーの大作RPGよりも高いのではないでしょうか! あくまで噂ですけど(笑)。
宮川 まぁ4ライン分の予算をもらって、その予算を全部つぎ込んでる感じですからね。
――もしこれで大ヒットをしたら、Androidユーザーから「Androidでも出して」という声が上がってくるかと思うのですが、Androidからも出す可能性はありますか?
村井 ないと思います!
宮川 答えはひとつですよ。iPhoneを買いましょう! iPhoneはおもしろいですよ!! unityを使っているので、移し替えは楽ですけどね。“超”ないと思います。
村井 Androidに移植する時間と予算があったら、iPhone向けの次のものを作ります。っていまは言うけど、時の移り変わりで人の心は動いていくからねぇ(笑)。
――AppBank Gamesとしての、今後の具体的な予定はありますか?
宮川 まずは『Dungeons & Golf』のリリースですね。これは11月中にはできる予定です。あとは、現在総力戦になっているので、これが終わったらちょっと休んで、そこからラインを複数にわけていろいろやっていきたいですね。
――次回以降の作品構想はありますか?
宮川 ウチの会社は、新企画は全部競争制なんです。毎月1回行われる研修会で、いちばんおもしろいゲーム、企画を考えたヤツがつぎの企画を取るって感じなんですね。で、いまはもうベスト3くらいに絞り込まれてて、たぶんつぎの研修会でどうなるかって感じですね。そこで下剋上があるのか、現在のチャンピオンがそのまま新企画を走らせるのかって感じですね。前回チャンピオンがアクションRPGを企画しているのですが、どうなるかはわからないですね。
村井 いまサラッとアクションRPGって言ったよね? 前回の研修会のときにも思ったけど、ホントに!? お財布大丈夫かな(笑)。
宮川 基本的に、僕らが興奮できないと、ユーザーも興奮しないのは当然なので。今は企画という段階で僕らが興奮をしている段階ですね。
――では最後に、配信に向けて意気込みをお願いします。
宮川 最近こんなにグワッとゲームをすることはなかったんじゃないかって思うくらい楽しめる、新しい世界を作りたいと思い、作業をしておりますので、ダウンロードをしたらぜひ時間を忘れてハマって欲しいと思います。よろしくお願いします!
村井 AppBank Gamesとして1作目になるわけですけど、自信を持って世に送り出せるタイトルになっています。なので、ぜひとも遊んでみていただきたいですね。しかも、これだけのクオリティですけど、本体のダウンロードサイズが50MBを切りますから。いつでもどこでも無料でダウンロードできます。気軽にダウンロードしてください。それに、iPhone 5でこれ以上の体験ができるアプリはないと思います。ロードも早いし楽しいし、キレイだし。とにかく楽しんでください!
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