【超熱血パズドラ部】第1492回:ブライダルガチャの結果は
2024-07-16 11:25
2012-10-09 13:54 投稿
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パズル&ドラゴンズ
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●カオス引きの陰と陽(単行本裏話その5)
伝説の“無明引き”で見事(?)に、ふたりしてナーガを引き当てた俺と山本プロデューサー。なにもわざわざ同じモンスターを……それもナーガを……と思わなくもなかったが、こういう酒席でのレアガチャイベントは楽しいったらないね。
でも、楽しさの50倍くらいの濃度でこの場に渦巻いたのは、俺と山本さんの悔しさから生まれた怨念と瘴気。当然、このまま終わらせるわけにはいかない。怒気のこもった赤い視線をナーガに向けながら、山本さんが低い声を出した。
「これじゃあプロデューサーとしておさまりがつきませんよ……。こうなったら…………!!」
そう言ってレモンサワーをガブリと飲み干した山本さん、何を思ったのか鬼気迫る表情でテーブルの上を片づけだした。そして、ツマミの皿で埋め尽くされていた場所に幾ばくかのスペースを作り、ニヤリと笑う。いったい何が起ころうとしているんだ……? ポカンとする3人の男に向かって、山本さんはおもむろに口を開いた。
「皆さん、もう逃げられませんからね……。さあ、何も言わずにスマホを出して、ここに並べるのです」
“ここ”と言うのは、山本さんがたったいま作った空きスペースのことらしい。勢いに気圧された俺、目黒、イトウさんの3人は、言われた通りスマホをそこに並べた。
和風居酒屋のテーブルに並ぶ、最新デジタルガジェット4台--。まるでスマホ4台がお見合いか合コンをしているようで、なかなか風情のある光景ではないか。その様子を見た山本さんは満足げに「うむ」と頷き、続けてこんなことを言った。
「では皆さん、『パズドラ』を起動してください。……ウケを狙って『ぐんまのやぼう』とかを立ち上げるのはナシですよ……」
言われた通り、黙って『パズドラ』を起動する3人。ここまでくれば、山本さんが何を狙っているのか薄々とわかってくる。もしかしたら、この人は……!
「立ち上がりましたね……。では続けて、レアガチャルームに入ってください」
ここで目黒が「はっ!!!」と言った。どうやら山本さんの狙いに気付いたらしい。イトウさんはニヒルに口の端を吊り上げて「ふふ……。そういうことか」とつぶやき、レアガチャルームに入っていく。俺も黙って、それに続いた。その様子を見た山本さん、ついに高らかと宣言した。
「もうおわかりですよね、皆さん……。そう……!! これから禁断の“カオス引き”を行います!! 全員が同時にレアガチャを引き、何を引き当てたのかを競うのですっ!! 同じ条件であるにもかかわらず、そのときの運、体調、ガチャの機嫌により、出てくるモンスターは大きく異なります! 生まれるは嫉妬、怨嗟、敗北感……! 場を埋め尽くすのはひたすらの混沌! それがカオス引きっ!!」
ぼんやりと山本さんの演説を聞く3人。要するに、4人同時にレアガチャを引いて、結果により一喜一憂しようというわけだ。なるほどなるほど。これはおもしろい! ひとりのパズドラーとして、逃げるわけにはいかねえぜ!!
鼻息荒く、オノレのスマホ画面を睨みつける4人。いい歳こいて何を真剣にやってんだ……って感じがしなくもないが、こういったシンプルな勝負ほど燃えるものはないだろう。
するとそこに、この店に入ったときから“女優の鈴木杏樹さん似の美人”と(4人のあいだで)話題だった店員さんが、空いた皿を引き上げにやってきた。彼女はテーブルに並んだ4台のスマホを見て、素っ頓狂な声を上げる。
「空いたお皿をお下げしま……って、何をしてらっしゃるんですか?w」
杏樹さんの問いかけに、男4人は我先にと説明する。いわく、「これから真剣勝負が行われるのです!」、「俺だけいいのを引いて3人を絶望させたいんです!!」、「負けられない戦いがここにはあるのです!!」、「パールヴァティーを引きたいんですっ!!!」。すると杏樹さんは、「は、はあ……。そうなんですか~。がんばってくださいね^^」とにこやかに言って去って行った。……最後の「がんばってくださいね^^」は、俺に対して言ってくれたのだろう(と、ほかの3人も思ったに違いない)。
話が逸れた。
レアガチャの画面を出した3人は、厳かにレバーに指をかけた。山本さんは「×△&%#$!?%……」と例の呪文を唱えから、静かに口を開く。
「お三方、準備はよろしいですか……? では、カウントダウンを始めます……!」
期せずして、男4人は口をそろえた。
「三!」
「二!」
「一!」
「うりゃ!!!」と目黒。
「ふんっ!!!」とイトウさん。
「だりゃああ!!!」と山本さん。
「ヴァティーッ!!!」と俺。
それぞれの掛け声に押されるように、レアガチャの腹からゴロゴロとタマゴがまろび出てくる。すると……。
「地味タマゴデタァァァァァァァアアアアア!!!!!!」
と、俺、目黒、イトウさん(苦笑)。
「よよよよし!!! 銀タマゴ!!!! せめてもの銀タマゴ!!!!!」
と山本さん。……ていうか、誰も金のタマゴを引き当てていない時点で、俺らの程度が知れた感じですが……。
しかし、地味だろうが銀だろうが中身がよければすべてヨシ。運命の抽選結果は……。
「キュ、キューピッド……? どう反応していいか困るんですけど……」と目黒。
「タ、タイタンって……。い、いらなすぎる……」とイトウさん。
「お、俺もタイタン……。4人中、ふたりがタイタンって、どんだけレアガチャ内にひしめいてるんだコイツ……」と俺。
そして、唯一の勝ち組候補生、山本さんはと言えば……。
「シ、シーサーペント…………?」
しばらくお地蔵さん化した山本さんが、ようやく発したヤケクソの言葉が忘れられない。
「だ、誰が作ったんだこのゲーム!!www」
まわりの3人に「あんただろっ!!!www」と総ツッコミされたのは言うまでもありません。
その後、近い日の再戦を約束し合い、席を立った4人の戦士たち。するとさっそく帰り際に、「さっきの『パズドラ』ってゲームですから!! ぜひ遊んでくださいね!!!」と杏樹さんに主張し合ったところで早くも再戦が勃発したのでしたw
おしまい。
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大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通、ファミ通コンテンツ企画部副編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズが2作品ある。現在、ファミ通.com上でブログ“大塚角満のゲームを読む”、“『ドラゴンズドグマ』で暮らす”、アメーバブログで“大塚角満のブログ”などを連載中 ※ゲームを“読む!”はこちら ※大塚角満のブログ (Ameba) |
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