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【CEDEC2012】『パズル&ドラゴンズ』大ヒットの秘訣は“嫁レビュー”

2012-08-20 23:31 投稿

●とにかく楽しいゲーム開発を

2012年8月20日から8月22日にかけてパシフィコ横浜でCEDEC2012が開催されている。ここでは、『パズル&ドラゴンズ(以下:パズドラ)』でスマホゲーム業界に旋風を巻き起こしたガンホー・オンライン・エンターテイメントの山本大介氏の講演”パズル&ドラゴンズ ~嫁と開発と私~”の模様をお届けする。

同セクションでは、山本氏自らが『パズドラ』の開発のコンセプトを振り返りつつ、「ライトユーザー(ゲームを遊んだことの無い人)」から「コアユーザー(ゲームが好きな人)」まで幅広く楽しんでもらえるゲームルールの考え方、意見取り手法、チューニング手法などについてが語られた。

壇上にあがった山本氏は、「普通に話だけではつまらないので(笑)」と、愛犬が飼い主に対して話しかける『犬と私と10の約束』という本を真似て、ゲームから開発者に話しかける、という珍しい手法で進行した。

1、私と気長につきあってください
「この企画(ゲーム)はおもしろい! 作りたい!」という純粋な気持ちで、『パズドラ』のプロジェクトが立ち上がった結果、本編のアプリ開発はもちろん、継続開発も「超楽しい!」という状況だという。やはりゲーム開発には情熱と何よりも楽しむことが大事。

2、私のおもしろさを見てください。それだけで私は幸せです
メインゲームのおもしろさ(『パズドラ』でいえばパズル部分)だけを追求し、プロトタイプの開発を行ったという。ゲームのキモをしっかり作れば、「過度なソーシャル性や射幸心に頼ることなくゲーム性で長期的に遊んでもらえるはず」(山本)。

3、私の売り方だけは先に考えておいてください
ゲーム内で何を売りたいか? 3、4つ考えておくことが重要。「KPIやマネタイズばかりを考えると、ゲームとしていちばん重要なレベルデザインやチューニングの障壁になってしまう。ゲーム本来の目指す方向性を見失わないこと」(山本)。

4、遊んでくれないのには理由があります
自分がプレイ前に止めたくなる要素は全部廃止した」と山本氏。「オンラインゲームなので、管理のしやすさから、ユーザーネームの重複を防いでいる場合が多いですが、自分の好きな名前が入力できないと萎えてしまいます。それと、おもしろいかどうかがわからないゲームに、メールアドレスなどの個人情報を入力させる のはかなり敷居が高いと思ったので、これも注意したいです」と、ユーザーネームの重複登録を可能にしたほか、個人情報も要求しない仕様に。無料で入手できるゲームは敷居が低い反面、ゲームの本編に至る前にプレイを断念してしまうユーザーがいるのは、なにかしらの理由が存在するはず。

5、有料販売クオリティーで私を開発してください
『パズドラ』は170円で発売する想定で最初から最後まで開発された。「170円というと安価に聞こえますが、AppStoreでいうとかなり高価。パッケージソフトでいえば2800円から3800円くらいの価値のゲームになります。この価格で提供するという覚悟で最後まで作りきったことが、現在に好影響を及ぼしている。無料でゲームで遊んでもらおうと思うと、よこしまな考えが出てきてしまい「どうやってお金を稼ごうか」とか、ゲームの要素を出し切らずに突然壁を作って「ここからは有料です」というふうになりがち。そういった意味でも最初から有料アプリとして作っていたことがよい影響になった」(山本)。

6、ソーシャルゲームを否定しないでください
ソーシャルゲームにも楽しい要素は非常に多く含まれていて、自分が実際に触ってみて楽しいと思った要素は『パズドラ』にも含まれている。まずは自ら体感して取り入れてほしい。

7、一番遊ばせたいところはサーバで管理してください
『パズドラ』は通信が少ないため、アプリ側で管理している項目が多いと思われがちだが、ダンジョンの生成アルゴリズムや、モンスターのスペックなど大切な要素はすべてサーバ管理。あまりにもクライアント依存なゲームになってしまうと、Appleの承認次第では、ゲームの開発のスケジュールに影響がでてしまう。

8、私にも限界があることを忘れないで
ゲーム内に過度なチュートリアルや情報発信を入れてしまうと、容量や通信が多くなりユーザーに嫌がられるので、公式Twitterでのフォローや、(家庭用ゲーム機業界ではあまり例がないが)メディアが制作する攻略記事へのリンクを設置するなど、ユーザーが必要なときに信頼できる情報をみれることで、継続率の向上に繋がっている。「これこそがいままでのコンシューマーソフトなどにない、新しいメディアミックスだと思います」(山本)

9、あなたには家族や友達がいます
「社内の意見取りを多くやるのはもちろんですが、開発スタッフそれぞれの嫁へ頻繁に意見を聞く”嫁レビュー”を積極的に行いました」(山本)。結果、これがカジュアルユーザーの多いスマホで成功ができた要因。

10、お願いです。どうか私たちをパクらないでください
『パズドラ』では、ほかと差別化するために200本以上のパズルをプレイしたもの。大好きなゲームを作り続けられる市場があり続けるためにもパクリは禁物。山本氏は、KONAMIの『ドラゴンコレクション』の登場により劇的に変化したソーシャルゲーム市場を例に掲げ、「『ドラゴンコレクション』のよ うなすばらしいゲームが出た途端、あまりにも市場が似たようなゲームばかりになってしまいました。僕の大好きなゲームが、この先2,3年つくれなくなってしまうのではないかとビビってました(笑)。今後ゲーム開発をやっていくうえで、5年後、10年後、ゲーム市場があるのかどうか、そこをちょっとだけ考え てゲームを作って欲しいです」と熱く語った。

と、上記の10項目を説明。「ソーシャルゲームとは何か? そもそもゲーム作り?」というメッセージが強く込められた説明で、感銘を受けたゲーム開発者も多いはず。

 

●『パズドラ』の誕生秘話

つぎに企画編として、『パズドラ』を企画するきっかけとなった『ダンジョンレイド』の出会いを語った。山本氏は「『ダンジョンレイド』は洋ゲーですが、あまりにも衝撃を受けてしまい、これに負けないような日本製のゲームを作りたいと思いました。パズルゲームなんですが、『不思議のダンジョン』のようにローグをプレイさせている感覚に衝撃を受けた」と語り、これまでスマホゲームには、既存のタイトルの移植などが多かったのに対し、「人気ゲームをスマホインターフェースに直すだけじゃだめ。インターフェースがスマホにマッチするような別ジャンルの新体験が必要」と感じたという。「パズルでRPGのバトルを表現したい」。この衝動が『パズドラ』の開発に繋がった。

 

さらに、人の意見を素直に聞けたのが勝因だったとも述べた。どちらかといえばゲーム開発に相当のこだわりを持っていて、人の意見を聞き入れることが少なかったという山本氏は、「おもしろさが第一で、売上は二の次だ」というガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長の信念に強く共感したこともあり、下の写真のような意見も取り入れることができたという。さらに、子供が産まれたことにより、「ちょっと大人になれた」とも。「ゲーム開発で苦労なさっている人は、お子さんができると、新しい価値観が生まれるかもしれません(笑)」と会場を沸かせていた。

 

続いてプロトタイプの開発についてが語られた。『パズドラ』のメインとなるパズル部分のルールを決めるうえでキモとなったのが“カジュアルユーザーに受けるパズルーゲーム”だということ。そこから『パズドラ』はまず”3マッチパズルタイプ”に決まったという。ここで山本氏は、先に述べた“嫁レビュー”の重要性を語った。「『パズドラ』のプロトタイプが出来上がり、さっそく嫁にプレイさせてみると……(ナナメに長く移動するなど)予想できなかった操作をするんですよ! 僕にとって嫁レビューはカジュアルゲームの固定概念を打ち破る、すごい出来事になりました。それ以降、ロムの更新があるたびに嫁にプレイさせました(笑)」と山本氏。

 

加えて、ドロップを自由に移動できるようにしたことで、コンボができやすくなり、ゲームバランスが崩壊してしまったことを挙げ、最終的に“ドロップの持ち時間”を持たせることで、プレイヤーの修練と達成感を保つ、RPGのバトルのようなベストなバランスになったと説明。さらに、ドロップの数を決めるうえでも、“ドロップが小さいと誤操作してしまう”という嫁レビューによって、最終的に6×5マスのパズルに決定したことを明らかにした。

 

これらのように、スマホのインターフェースに合わせた新しいパズルゲームのルールが出来上がったわけだが、山本氏曰く「パズルゲームに慣れ親しんでいるユーザーに遊んでもらうためにも、既存のパズルゲームのゲームデザインから離れすぎないようにすることも重要。いかに敷居を低くゲームをはじめられるデザインにすることも考えるべき」と述べた。これにより、もともと狙っていた一般ユーザー、カジュアルユーザーに加え、ゲームのコアユーザーにも遊んでもらうことに成功したようだ。

 

●今後のトレンドはメディアミックス!

最後にメディアミックスの可能性について語られた。山本氏は「メディアの方々やゲーム業界の方々がすごく応援してくれてます」と述べ、AppBank、我がファミ通Appの『パズル&ドラゴンズ』まとめページなどを紹介(ありがとうございます!)。さらに、バンダイナムコゲームスの“太鼓の達人プラス”とのコラボキャンペーンを事例に挙げ「(業界を盛り上げるため)今後、このようにいろんなメーカーさんとコラボをしていくことがトレンドになっていくと思っています」と語った。

[関連記事]
※大塚角満の熱血パズドラ部 ~本日も斜め移動日和~ バックナンバー
※【まとめ】『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』総合ページ

 

●新たなコラボが発表!

そして、ここで驚きの発表が。「初出しとなりますが、“太鼓の達人プラス”に続き、スクウェア・エニックスさんとのコラボも準備中です」と、モニターにスクリーンショット2枚が映し出された。詳細については語られなかったが、大型タイトルとのコラボに期待できそうだ。また、この日、今夏中にAndroid版が配信される予定とリリースされたが、「8月下旬に間に合うかも」とは山本氏。

[関連記事]
※Androidユーザーに朗報! iOSで大人気のパズルRPG『パズル&ドラゴンズ』が今夏Google Playに登場

 

山本氏は、“ソーシャルゲームが流行っているので、今はゲーム性が求められていない”と思われがちだがそうではないという。ゲームは求められているが、一般ユーザーに“ゲーム性を知ってもらえるまでのほんの少しの敷居の低さが足りないだけ”との持論を展開。

「思いがけないところから普段ゲームを遊ばない方からゲームファンまで遊んでもらえるゲームになり、しかもゲーム初心者だった方がコンボを習得して遊んでくれているんです。改めてゲームデザインはおもしろくて奥深いと感じました。ぜひ、ゲーム開発をされている皆さんは、α版からでもご家族やご友人など、貴重な意見を聞いてみてください」(山本)

『パズドラ』を開発してよかったこととして、「これまでまったく僕のゲームを遊んでくれなかった嫁が毎日遊んでくれている。これは開発のモチベーションに繋がります(笑)」と山本氏。ゲーム業界のライバル的な存在だった友人に「(『パズドラ』の成功がうれしくて)奥さんと一杯やりました」と報告を受けたときは、「思わず泣いてしまった」という。100万ダウンロード突破したモンスタータイトルに成長しようと、やはり身近な人たちの励ましは格別のモチベーションアップになる、という心温まる話題で講演を終えた。

パズル&ドラゴンズ

メーカー
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
公式サイト
https://pad.gungho.jp/
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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